2001年9月18日付号外




目次

*『ドキュメント・テロ3』
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『ドキュメント・テロ3』

 12日(水)の朝、クイーンズの駅から地下鉄に乗っていつも通 り出勤する。ただ、いつも乗るRトレインは走っておらず、そのか わりにEトレインが走っていた。
 地下鉄の中は意外に混んでいた。ただ、途中でFトレインに乗り 換えたときはそうでもなかった。
 マンハッタンに着いて地上に出る。昨日はあんなに渋滞していた サード・アベニューがガラガラだ。人も大して歩いていない。
 今日はパブリックスクールは休み。会社も休みのところが多いよ うだった。
 いつものようにビルの前のニューススタンドで新聞を買う。 ニューヨーク・ポスト、デイリーニューズ・・・、タイムズがな い。ニューヨーク・タイムズがもうなかった。売り切れたのか。
 でも、歩道もこんなにガラガラなのに売り切れるわけがない。あ とでわかったのだが、この日、ニューヨーク・タイムズはマンハッ タン内では配布されなかった。クイーンズにある印刷所からマン ハッタン内に持ち込めなかったのだ。結局、マンハッタン内のタイ ムズ購読者には、12日付は翌日、13日付と一緒に配達された。
 その日のニューヨーク・ポストの表紙は「ACT OF WAR」。デイ リーニューズが「IT'S WAR」。WAR。戦争ってわけか。
 オフィスに行って、コンピューターをオンにする。今日もメール がいっぱい来ている。
   日本から次々と電話がかかってくる。「こっちから電話する」と 言って切った電話もあって、そこに国際電話をかけるが、つながら ない。昨日は日本→アメリカがダメだったが、今日はこっちから日 本に電話できない。慌てて連絡方法をメールに切り替える。
 ラジオをつける。1010WINS。時事ニュースはこの局が一番 だ。いろんなニュースが流れてくる。それを聞きながら今日やるこ とを考える。やはり、再び現場に行ってみるべきだろう。
 それと、いつもなら人でいっぱいの場所が、この状況でどうなっ ているかということも知りたかった。5番街、ロックフェラーセン ター、グランドセントラル駅。こういう事件が起きたとき、ロック フェラーセンターの紀伊国屋書店には必ずなんらかの情報が張り出 される。それをどのくらいの日本人が見にくるかということにも興 味があった。
 早速、準備に取り掛かる。デジカメのバッテリーがちょっと不安 だったが、まあ今日はなんとか持つだろう。7月にNY市警に申請し て取ったプレスパスもバッグの中に入れる。なんかの役に立つかも しれない。アパートを出る前にかみさんからもらったマスクも持っ て行こう。かみさんに「死んでもダウンタウンには行くな」と言わ れていたが、まあバレなければいいだろう。
 ニュースによると、ハウストン・ストリートから南には入れな い。地下鉄はハウストンから下の駅はすべてスキップして、そのま まブルックリンにぬけると言っている。
 ただ、出社してきた他の社員は、42丁目から下は全部スキップ すると言う。とりあえず行ってみるしかないだろう。
 外に出て携帯を試す。昨日は死んでた携帯だが、今日は大丈夫 だった。
 午前10時前、51丁目を西へ歩く。どのアベニューもガラガラ だ。
 いつもなら観光客でいっぱいの5番街も今日はシーンとしてい る。車も大して走っていない。5番街からロックフェラーセンター に入る。ここも同じ。観光客は確かにいるが、いつもの数の10分 の1以下だろう。
 そのまま紀伊国屋に。入り口に人が集まっている。そこの壁に今 回の事件のニュースなどが張ってあるのだ。それを日本人たちが じーっと読んでいる。
 次はグランドセントラル駅だ。5番街を下る。「グラセンもガラ ガラだろう」と予測していたのだが、意外に人が多くてビックリ。 団体客のグループが多かった。
 6番のホームに降りる。42丁目から南はスキップするという話 もあったが、アナウンスで「次の駅は33丁目」と言っているから 大丈夫なのだろう来た6番に乗る。
 その車内であることに気がついた。
 昨日の午後からなんとなく感じていたのだが、街で会う人たちの 顔から笑みが消滅していた。笑顔を見ないのだ。笑ってる人という のがほとんどいない。
 ある意味、当たり前なのかもしれないが、ニューヨークから笑み が消えた・・・
 車内のアナウンスで、「マンハッタンでの最後のストップはブリ −カー・ストリート」と言っている。その駅で降りて、あとは歩く しかないだろう。
 ブリ−カーで降りて外に出る。1ブロック向こうに見えるブロー ドウェーには人が集まっていた。おそらくチェックポイントだろ う。
 私はバッグからプレスパスを取り出しながら、ブロードウェーに 向かって歩き始めた。
                         ひろ

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「週刊Nuts」編集部


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