2001年10月8日付号外
目次
*『ドキュメント・テロ7』
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『ドキュメント・テロ7』
パーク・ロウからブロードウェーに出る。ここも書類だらけだ。
水溜まりがいくつかできている。
ブロードウェーを東から西に渡ると目の前に教会があった。この
教会の裏がワールドトレードセンターだ。
教会の北側のストリートをワールドトレードセンターに向かって
歩く。書類の海だ。シティーホール付近とは量が違う。教会の柵沿
いに雪のように書類が積もっていた。
マスクのヒモが切れた。頭がデカイからか。仕方がないので手で
押さえながら歩く。
教会の柵の中をのぞくと、そこは墓地だった。その墓地にも書類
が積もっている。紙の海に墓石がいくつも立っていた。
手に持ったデジカメを確認する。すでに約30枚ほど撮っていた。
その墓地の写真も撮る。
足下にマスクが落ちている。だれかが落とした物か。拾い上げて
みると、まだ使えそうだった。そのままダイレクトに付けるのもなん
だから、拾ったマスクの内側に持っていたマスクを入れて顔にあてる。
パーフェクトだった。
ただ、マスク2枚でも足りないぐらい、その辺り一帯は煙かった。
右手にデリがあった。ガラスは割れ、店の前に置いてある自転車は
黒焦げだった。ただ、店自体は焼けてない。どうやってこの自転車は
黒焦げになったのだろう。自転車だけが焼けていた。
その店の前で写真を撮ってるときに後から声をかけられた。警官だった。
「ここで何してるんだ?」
私はプレスパスを見せながら、「プレス」とだけ言った。
「Sorry」
警官はそう言いながら、少し笑った。
デリの写真を撮り終えたあと、私は再び地面に落ちている書類に目を
落とした。日本語の書類を探していたのだ。
足下は積もった灰と紙と水でグチャグチャだった。私の靴とズボンは、
そのせいで汚れまくっていた。
「会社に帰ったらトイレで洗うか」
汚れた靴とズボンをかみさんに見せた日には、「またダウンダウンに
行ったんでしょ!」と怒られるのは目に見えている。家に帰る前になんと
か証拠隠滅する必要があった。
ズボンの汚れをチェックしながら歩いていると、知らない間にウエスト
ブロードウェーに出ていた。
目を上げると、道の向こう側に巨大な黒いかたまりが横たわっている。
一瞬、呼吸が止まる。私はそのとき、ワールドトレードセンターの目の前に
立っていた。
そこはまさに戦場だった。
ひろ
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