1996年5月28日号

(No.116)


                     Nutsの表紙です





『カタい話をすこし』 

 私は今から「在外投票権」運動とその周辺についてお話しします。見た目 はカタそうな話ですが、できるだけ読者の皆さんに分かりやすいように書こ うと思います。ちょっとだけ、お付き合いください。
 最近、この「在外投票権」運動の方が、かなり静かでした。別にヤメたわ けではありません。単に「イベント(例えば、署名運動とか抗議ハガキ運動 とか)」がなかっただけです。この運動を推進する、海外8都市にある「海 外有権者ネットワーク」の仲間たちも、「ケッ、つまねえな。そろそろヤメ ようぜ」などと言うこともなく、まだまだ元気にガンバってます。
 そして、今月、この問題に関して、ひとつの動きがありました。
 去る5月1日、日弁連の人権擁護委員会は、橋本首相、衆参両議長などに 「在外投票権問題」に関する要望書を提出しました。簡単に言いますと、 「今、海外のワシらの同胞は、選挙できんのよね。こりゃ、やっぱりオカシ イべな。だって、憲法で国民の選挙権は、保障されてるんだからよお、海外 にいるってだけで、その人らが選挙できねえちゅうのは、単に政府の怠慢じゃ ねえの?そこんとこ、よく考えて、サッサと投票制度、作ってあげたらどな いだ?」という内容の文章を、日弁連の人権擁護委員会が、橋本の龍ちゃん とか土井のたかちゃんなんかに提出した、ということなのであります。
 今回、日弁連がこういう行動に出たのには理由があります。昨年の春に、 私たち「海外有権者ネットワーク」軍団が、日弁連の人権擁護委員会に対し て、「今、ワシら、選挙できんのよね。これって、やっぱ憲法違反じゃない?  選挙権っていうのは、基本的人権の一つだし、それが行使できないちゅう のは、人権侵害じゃねえのかな。そこんとこ、ちと検討してくんねえかな。」 という申し立てを行ったのです。ですから、今回の日弁連の動きは、去年提 出した私たちの申し立てに答えたものだったのです。
 ここで本題に入ります。で、結局、今回の日弁連の行動は、日本政府のケ ツを叩いたのか、叩かなかったのか? 
 私は、「大して叩いてない」と考えております。
その理由(1):「マスコミがこのニュースを大して取り上げなかった」
その理由(2):「政治家は、今、他のことで忙し過ぎる」
その理由(3):「日弁連が、この要望書を提出したのが、見事にゴールデ ン・ウィークのド真ん中で、みんなお休み気分の中、だれがこんな難しいモ ノ読みまんねん。」
 その中でも一番痛かったのは、(1)の「マスコミがこのニュースを取り 上げなかった」ことです。
 ここからは、「マスコミ」の話が中心になります。「日弁連」の話は、脇 役になりますので、そこのところよろしく。
 今の時代、政治家はいつもマスコミを見ています。はっきり言って、彼ら が見てるのは国民ではありません。マスコミが何を書き、何を流したかが、 彼らにとって、もっとも ”important” なのであります。そのマスコミが、 今回、この「日弁連」の件を取り上げなかったのです。
 痛いのであります。とっても痛いのであります。まあ、最初から「日弁連」 には、そんなに期待はしてなかったのですが、まさか、あそこまでマスコミ に無視されるとは思いませんでした。 
 では、なぜマスコミは今回の件を無視したのか? ゴールデン・ウィーク のド真ん中に発表されたというタイミングの悪さもあります。しかし、その もっとも大きな理由は、「マスコミは根本的に、海外にいる日本人について 興味がない、あるいは、知らない」ということなのであります(例外:「イ エローキャブ」)。
 私は、以前からこのことを強く感じてました。日本のマスコミは、私たち 海外在住日本人が、異国の街で、その国の人々と同じように生活してる、と いう事実をよく理解してません。彼らは、言葉の上では、理解しています。 「はあ、外国にも、日本人が住んでいるのね」というふうなです。でも、そ の頭の中にあるイメージというのは、「観光に--の生えた」程度のものであ り、「日本からチョコっと行ってる」というカンジのものです。
 例えば、私たちが、ここニューヨークで「朝起きて、朝メシ食って、ウン コして、通勤電車に揺られて、その中で新聞読んで、働いて、コーヒー飲ん で、おしゃべりして、また働いて、”今週末は、なにしようかな?”とか考 えて、仕事終わって、家に帰って、郵便ポスト開けて、電話代の請求書と電 気代の請求書を見つけて、”はあ〜”と溜息ついて、アパートのエレベーター に乗って、自分の部屋のドアの前まで来て、鍵を取り出しドアを開けて、電 気のスイッチを”カチッ”とつけた瞬間に、”あ、いけね。コメ買ってくん の忘れちゃった”と気付いたけど、ここは、やっぱりニューヨーク」なんて 生活をしてることは、彼らは、あまりイメージとしては持ってないのです。 ある新しいタイプの日本人の生活が、そこにあることを彼らは知らないので す。
 「海外にいる日本人に興味がない」というのは、政治家も同じです。しか し、先に書いたように、「政治家は、いつもマスコミを見てる」と考えた場 合、「マスコミが海外にいる日本人に興味を持たない限り、政治家がそれら に対して興味を持つことはない」ということになります。
 でも、逆に言うと、「マスコミが海外にいる日本人に興味を持つならば、 政治家も持つ」ということでもあるわけです。
 ここで話をスルドく戻します。
 在外投票制度を実現させるためには、いろいろな運動やアプローチを行わ なければならないのですが、その中でもっとも重要なのは、「日本のマスコ ミに取り上げてもらう」ということです。それが、結局、政治家にも影響を 与えることになります。
 また、取り上げてもらうには、私たち海外に住む日本人に関して、日本の マスコミに興味を持ってもらわねばなりません。それも「イエローキャブ」 などの陰気で卑怯なネタではなく、できるだけ正直で生活感の溢れるネタを 提供することによって、彼らの触覚をワシ掴みにするのです。
 そこで私は考えました。「どうするべかな?」と。
 そして、ある方法で動き出すことにしました。その名も「インターネット 版”週刊Nuts”を日本中のマスコミにバラ撒いたろやないか」作戦です。
 この「バラ撒き」作戦ですが、詳しくご説明しますと、現在、わたくし、 この現物の「週刊Nuts」と同時にインターネット版の「週刊Nuts」も作って おります。このインターネット版の「週刊Nuts」というのは、ホームページ のことではありません。電子メールのカタチにした「週刊Nuts」のことです。 ちなみに、内容は、まったく同じです。
 このインターネット版「週刊Nuts」を日本のマスコミに毎週流そか、とい うのが今回の作戦なのであります、ハイ。  対象となるのは北は北海道から南は沖縄までの新聞-、放送局、及び、雑 誌社、合計約80社。これらのマスコミに毎週水曜日(日本は木曜日)、イ ンターネット版「週刊Nuts」を送るのであります。
 すばらしい。
 まあ、最初は、読んでもくれずにポイと捨てられてしまうかもしれません が、5、6年送り続ければ、そのうち読んでくれるでしょ。なにはともあれ、 わたくし、この作戦を今週から実行に移します。
 さて、どうなりますやら。
 最後に、在外投票権運動のその他の動きについて。
 「マスコミにわかってもらう」運動の他に、私たちが今やらねばならない のは、「日本政府を憲法違反で告訴する」ということです。
 しかし、これを実現するにはいろいろな難問があります。例えば、「無料 でやってくれる弁護士を探す」、「裁判が始まったら、一体誰がその裁判に 実際に参加するのか」などです。
 でも、やらんといかんのです。
 う〜ん、どうやりましょか?
 そんなところです。
 「カタい話」を最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。でも、 来週もまた行くよ。 
 では。                     編集人

『VOICE』 

   朝日新聞インタナショナル社から発行された、「THE留学生リーグ」を お読みになりましたか?
 まだ目にしてない方でも、この投書の趣旨だけは明確になるように書きま すので、最後までおつきあい下さい。
 このミニ新聞「留学生リーグ(以下リーグ)」の巻頭には、「留学生SP EAK−UPフォーラム」という特集があります。「留学生が…思いの たけを交換し合うたまり場」にしたい、というコンセプトのもと、今回は留 学生10人の非常に立派な意見がインタビュー形式で載っています。
 留学生のほとんどは遊んでいる遊学生だという内容の発行物がでまわった 後なので、こういう留学生賛美型の新聞は大歓迎。作る側の、学生に対する 善意が感じられます。
 しかし、それを承知であえて苦言を呈します。
 まず第一の問題。もともとこの企画は、対談形式で行われたものを、スペー スの都合によってか、あたかも一人一人をインタビューしたかのような感じ でまとめられており、学生の口調も全部変えられています。
 きちんと読んだ人はお気付きになったと思いますが、男子学生の口調はみ んな同じになってしまっている(たとえば、「…だよね。」「…なんだ。」 「…だと思うよ。」など)。そこには学生の個性が見えてこない。
 リーグに掲載されている「立派な意見」の中には、学生が、打ち解けた雰 囲気の中で、半分照れも交えて言った意見もあるのに、それらがすべて断定 口調の自信満々の言い回しになってしまっている。
 例えば、ページCにあるNくんの意見より。「会計学は僕にとってはあく までもご飯を食べるための手段。将来に向かっては、世界中まとめて相手に してやろうって気概があるべきだと思うよ。」
 まったく、正気の人間が言える言葉でしょうか、これ。
 実はこのNくんは僕なのですが、読んだとき、「けっ。なにきれいごとを 言ってるんだ」と自分で身をよじらせてしまいました。
 言い訳がましいですが、僕はあそこまで自信満々にしゃべった覚えはあり ません。2時間の対談の中で、ちょこちょこ出した”いい意見”が凝縮され て、その結果、高飛車大王みたいな話し方になっている。
 このような「凝縮」の仕方では、学生の意見を正確に伝えるというよりも、 只のカ条書きに近い。紙面の都合で大がかりな編集をせざるをえないのなら、 せめて、「もともとは対談形式のものを編集した」等のただし書きをめだつ ところに置くのが筋でしょう。
 そして第二の問題。(これは僕の杞憂である可能性も高いのですが、一応 書きます。)
 ページDにある、コロンビア大学映画批評科卒・韓東信さんの経験を取材 した記事の翻訳の中に、次のような文があります。
 「コロンビア…修士課程…は『一種の悪夢』だった」「五つの講座ごとに 五十ページの評論を毎週計五本、もちろん英語で書かねばならず…。」
 これをそのまま信じると、韓さんは週に1250枚のペーパーを書かなけ ればいけないことになる。もちろんそんなわけはないので、これはちょっと した翻訳の際のエラーかもしれません。
 でも、どうもこの文には、「アメリカの学校では、こ〜〜んなに膨大な勉 強量をこなさなければいけないんだよ」というメッセージが見え隠れしてい ませんか?その狙いで書いたものだとすると、上記の文はかなり大げさ。読 者がしかめっ面をしてしまいます。
 以前、「日本人女子留学生の99%は日本から親の援助で生活している」 という、ろくに調べてないことがまるわかりの恥ずかしい文を載せたビジネ ス=ニュースの例もありましたが、こういう数字を交えた文章は厳しチェッ クするべきです。
 「情報のつめこみ」や「大げさ、センセーショナルな文章」で表面を取り 繕うよりも、いっそ、そういう部分を排除してほうが、良質の新聞になると 思います。
 これからの「留学生リーグ」の活躍に期待を込めて。
                       雅章
@人間、意外なときに意外なモノをヤケドするものである。
 私は自慢ではないが、自分がトイレでウンコした後はマッチを擦るように している。なぜかというと、ニオイが消えるからである。
 先日もいつものように、ウンコしてマッチを擦った。焦げたニオイが私の まわりに漂う。そして、私はその擦り終わったマッチを便器に捨てようとし たのである。
 その捨て方であるが、私の場合は、便座に座ったまま、その便座と自分の 股間のモノとの間をすり抜けるようにしてマッチを捨てる。
 この時も、いつもと同じように、そのちょっと隙間からマッチを捨てよう とした。しかし、その瞬間、私の頭の中が突然真っ白になったのである。そ して、私は、かすかなこんな音を聞いた。
 「ジュッ」。
 それは付属部分ではなかった。本体にマッチが接触した音だった。
 「ヒ、ヒ、ヒエ〜!」。
 便座に座り、そのマッチを右手に握りしめたまま、私はひとり叫び声を上 げた・・・。
 人間、トイレであんなモノをヤケドする可能性があるのだね。       
                                           ひろ

『今週の歌』

  「”あれやろう” ”これやろう”と思いつつ             ふと気がつけば 三日目の午後  ひろ」
                     *3連休の最後の日に

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net