1996年6月18日号

(No.119)


                     Nutsの表紙です



『カツ電のココロ』

 皆さま、お待たせいたしました。ニューヨークの日本人のための生活相談 電話、「カツ電」のお話しでございます。
 当初は、もう少し早く始めるつもりでしたが、知らない間にズルズルと時が 過ぎてしまいました。楽しみ及び期待していた方々には、まことに申し訳ないと 思っております。
 なにはともあれ、この「カツ電」のココロと言いますか、コンセプトが、 とうとう決まりました。つまり、「誰を相手にどういう情報を提供するか」 ということを決定したのであります。
 ご紹介しましょう。
1)『誰を対象に?』
 この問題、かなり考えました。いきなり「誰でも来なさい。」というには 準備が不十分ですし、「学生だけね。」というと、なにかカタヨリがありますし、 そのヘンのところをいろいろと検討したのであります。
 で、最終的に決めたのが、「ニューヨークに来たばかりの人」という分類 なのでした。
 ニューヨークにやって来たばかりで、右も左も、アップタウンもダウンタウンも、 イーストもウエストも分からない方々を対象にした生活相談電話です。つまり 「ニューヨークの新人さん」用ね。
 ここで、このような対象設定になった理由をいくつかご説明しましょう。
*「来たばっかりの時が一番困るのよね。」
 これは説明の必要はないですね。要するに、「いや〜ん、分かんな〜い。」 とか、「ゲッ! これ、どうしたらいいんだべか?」などという状態に追い 込まれるのは、圧倒的に来たばっかりの時が多いのであります。でも、それらの 問題というのは、こちらに数年住んでいる人にとっては、なんでもないことで あるケースが結構多いんですよね。中には、来て早々、とんでもない事件に 巻き込まれる強者もいますが、通常は、そんなに大した問題ではありません。 そういうちょっとした問題を解決するお手伝いができれば、と考えております。
*「昔はみんな”ニューヨークの新人さん”」
 今、ニューヨークに住んでる日本人の方々は、昔は、みんな「ニューヨークの 新人さん」でした(今現在、「新人さん」の人もいますけどね)。つまり、 みんな「ニューヨークの新人さん」の経験があるわけです。
 ということは、私たちニューヨークの日本人は、来たばかりの日本人の 気持ちというのが、よく分かるんですよね。どういうことで困ってて、どういう ことで悩んでて、どういうことで迷っているのかが、よく分かると思うのです。
 これは、この「カツ電」にとって、非常に重要なことなのであります。
 この「カツ電」は、ボランティアによって運営されて行きます。要するに、 シロウトたちが始めるのです。当然、「カツ電」用に勉強やリサーチはやりますよ。 でも、最初の時点では、どうしても複雑な問題や特別な知識を必要とする問題には 対応しきれないと思うのです。私が言ってるのは、「そういうやっかい問題から 逃げようぜ。」ということではありません。来れば戦います。でも、できれば 最初は、なめらかな滑り出しにしたいのです。ボチボチ行きたいのです。
 話を戻します。
 結局、私が言いたいのはですね、「”カツ電”のボランティアの人たちに とっても、自分が経験のあること、つまり、”ニューヨークの新人”であった ことに関する質問の方が、答えやすく、なおかつ、相談してくる人の気持ちも よく分かって、その対応にもいい意味で気合いが入るのではないだろうか」 ということなのであります。「カツ電」スタートのカタチとして、これは非常に よろしいのではないかと、私は思うのです。
*「ある意味で宣伝しやすい」
 この「カツ電」の対象となる人々、「ニューヨークの新人さん」たちに、 この「カツ電」を宣伝するにはどうすればいいか? これは意外と簡単です。
 「ニューヨークの新人さん」にならんとする人々、要するに予備軍ですね、 彼らがいるのは、断然、日本です。ですから、日本を攻めればいいのです。
 では、どう攻めるか?
 普通、ニューヨークに住もうという人は、必ずと言っていいほど、 ニューヨークのガイドブックを購入します。これらの本に、この「カツ電」の ことを載せてもらえばいいのです。
 「え〜? そんなに簡単に載せてもらえるの〜?」という声が聞こえて 参ります。でも、よく考えてみてください。そういうガイドブックというのは、 便利さの追求のために存在しています。もし、この「カツ電」が読者にとって 便利であり、活用価値のあるものであれば、彼らは必ず載せてくれます。だって、 わしらは、「ニューヨークに新しく来る人々のための生活相談電話」って 言ってるんですよ。そりゃもうガイドブック制作側にとって、こんなおいしい ネタはないでしょ。
 というわけで、この対象設定で行くと、宣伝が意外と簡単なのでした。
 以上が、このような対象設定となった理由です。
 最後にひとつ。
 これまでの説明をお読みになった方々の中には、「じゃあ、”ニューヨークの 新人さん”じゃないオレたちは、どうなるんだよ?」という不満及び疑問を お持ちの方もいると思います。
 そうなんです。そこも問題なんですよね。でも、私は、あえて今回のような 対象設定にしました。
 今、この「カツ電」は、まったくの赤ちゃん状態です。
 「ニューヨークの新人さん」たちが、ここニューヨークで、右も左も分からない ように、現在、私たち「カツ電」軍団も、生活相談の世界で、右も左も分からない のでした。
 その状態で出発するには、まずひとつの目標設定が必要です。それは、明確に 絞り込まれたものであり、なおかつ、比較的簡単に解決できるものでなくては なりません。
 「比較的簡単」と書きましたが、これは別に「ニューヨークの新人さん」たちが 持つ問題をナメてるわけではありません。ただ、どちらかと言うと、私たち 在ニューヨーク組にとって解決しやすい問題が多いという意味です。
 話を戻します。
 明確に絞り込まれ、比較的簡単に解決できる設定、それが「ニューヨークの 新人さん」、及び、「彼らが持つ問題」なのであります。
 とりあえず、そこから始めます。
 もしかしたら、そのうち、在ニューヨーク組も使えるような強力な「カツ電」に なるかもしれません。そしたら、「あの”カツ電”は、けっこう活用価値があり、 なおかつ、活発に活動してるので、こういうのを活躍する”カツ電”と言うので あるね。」などという噂を自然と耳にすると思います。
 そうなることを目標に、この「カツ電」はボチボチ動き出すのでした。
 そこのところ、よろしくお願いします。
 2)『どういう情報を流すか?』については来週お話しします。
 では。                   編集人

『シンポジウムで行こう』

   さて、突然ですが、シンポジウムを開きませんか?
 以前、このNutsの永久編集人、新谷哲士くんが中心となって、「第一回 全米学生日本人会シンポジウム」なるものを開いたことがあります。あれは、 1995年の秋でしたね。
 その内容はと言いますと、アメリカの大学にある日本人会(通常、”Japan Club”などの名称ですね)の代表を集めてですね、それぞれの活動、例えば、 日本文化紹介だとか、日本語教えてるだとか、ニュースレター出してるなんて ことをお互いに情報交換し合って、「なるほど。」とか「へー。」とか「それ、ウチ、もらい。」などとしみじみと考え、今後の自分たちの活動に役立てて行こう ではないか、という狙いのイベントだったのであります。
 合計23校、53名が参加しました。サンフランシスコ、シアトル、テキサス などからの参加もありました。
 それを再び開こう、と私は言っとるのです、ハイ。
 前回のテーマは、「日本人会の活動」についてでした。ちなみに、今回の テーマは、まだ決めてません。
 現在、決まってることはと言いますと、「ニューヨーク開催」、 「この秋に開催」の2点だけです。後は、これから決めていかねばなりません。
 なにはともあれ、今必要なのは、「人」なのであります。
 シンポジウムを開くには、私を含めて少なくとも3名、できれば4名の仕掛人が 必要です。その2、3名を現在探しとるのであります。
 できればニューヨーク在住の学生さんがいいですね。男でも女でも構いません。 気合いさえあれば大丈夫です。
 前回のシンポジウムをやって思ったのですが、この「全米学生日本人会 シンポジウム」の私にとっての最大の収穫は、いろんな人間に会えるということ なのでした。
 通常、大学で日本人会などをやってる学生というのは、行動力のある人間が 多いです。要するに、「言って、やる」人間たちです。こういう人間たちが、 前回のシンポジウムの際には、全米から集まりました。当然、それは、死ぬほど 面白い風景なのでありました。
 ギラギラしてるヤツもいました。フワフワしてるけど、ナイフのように 切れるヤツもいました。そういう学生たちに会えて、私はとっても幸せでした。
 その幸せをもう一度あじわいたいと思い、他にも「あじわいたい」と思う人が いたら、一緒にあじわおやないか、というのが、この文の主旨なのであります。 お分かりになりましたでしょうか。
 なにはともあれ、仲間を募集します。
 興味のある方は編集部までご連絡ください。
 では。                   編集人

『VOICE』

   @以下の文章は先週の「朝日新聞」に関する投書の続きです。
 では、どうぞ。            編集人
*    *    *    *
@さて、長くなりますが、もう一つご指摘のあったページDの韓東信さんの 取材記事の翻訳部分について。
 「コロンビア・・・修士課程・・・は『一種の悪夢』だった」「五つの 講座ごとに五十ページの評論を毎週計5本、もちろん英語で書かねばならず・・・」
 これは、ご指摘通り誤訳でした。スイマセン! 正しくは、
「五つの講座ごとに評論を毎週五本、計約50枚、もちろん英語で・・・」
 となります。上層部(?)から許可が出れば、次号に訂正文を載せさせて いただきたく思います。お恥ずかしい話ですが、ご指摘があるまで全然気が 付きませんでした。ありがとう。
 ただ、その誤訳をよく読んでいただければわかるのですが、雅章さんの おっしゃるような「週に1250ページ」ではなくて、50×計5本= 250ページのつもりの誤訳でした。しかも、お懸念のような「大げさ、セ ンセーショナルな文章」にするつもりは毛頭なく、私自身そもそも 売文業(ライター)のくせに、と言うべきか、そのゆえにと言うべきか、 別段「うわあ、たいへんだわぁ」とも「本当かしら」とも思わず、「まあ、 そんなものかな」くらいの認識でやり過ごしていたのでした。確かにもっと 留意してしるべきでしたね。
 でも、あえて一言。取材・執筆者の名誉のために明言しますが、彼女は実に 潔癖で誠実なジャーナリストで、ご懸念のようなセンセーショナリズムからは ほど遠い人間です。私も、先の誤訳はさておき、センセーショナリストなどと 呼ばれたら憤慨のあまり腹を切ってしまうわ。
 それにしても、「ニューヨークの日本人の女の子=イエローキャブ」とか、 「日本人留学生=遊学生」とかいうステレオタイプがあるように、 「ジャーナリスト=センセーショナリスト」というステレオタイプが存在する のかもしれませんね。そして、その手のステレオタイプは、やっぱりその他の 誤ったステレオタイプと同様、はた迷惑なものです。もちろんこの場合、 その原因となる部類のジャーナリズムが現に存在するわけで、留学生の皆さんが 経験的にそれを知っていらっしゃることは承知で申し上げるのですけれど。 人種差別を語るとき白人全員をレイシストとして排斥する誘惑に有色人種たる 私たちが抗しなくてはならないように、また、米国三菱自動車製造のセクシャル・ ハラスメント問題を含めた米国からの対日批判を一くくりに「ジャパン・ バッシング」と呼ぶ一部日本人からの単純なPR戦略に乗せられてはならないように、 ジャーナリズムのステレオタイプが何かの、たまには誰かの、便利な護符や 逃げ口上として利用されないように、ジャーナリズムの側からこそ心してカブトの 緒をしめ直し続けなければーなどと偉そうに自戒するこの頃です。
 なんだか、話がやけに大仰になってしまいました。この辺でやめましょう。
 辛口批評を励ましの言葉でしめくくってくださった雅章さん初め留学生の皆さん、 今後ともヨロシクお願いします。
    『Plaza Asahi』別冊『The 留学生 League』編集人
                       まりもめいり
@結婚指輪を探しにチャイナタウンへ行った。ついでに、ヒマラヤに捨てた、 昔の彼女とお揃いの指輪のことを思い出した。 あの女(ひと)、元気かなあ。
                              ひろ

『今週の歌』

「ふたりして ケンカしながら 中華街 
            3桁の指輪に 1桁のメシ   ひろ」
           *チャイナタウンに結婚指輪を買いに行って。

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net