1996年8月27日号
(No.129)
Nutsの表紙です
目次
*『「チップ」の話です』
・投書「Aさん
・投書「Bさん」
・編集人
*『今週の歌』
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『「チップ」の話です』
さて、例の「チップ」の話です。
今回は、この件に関する投書をいくつかご紹介します。
書かれた方のお名前はご紹介しません。ただ、一応便宜上、「Aさん」、
「Bさん」というふうにお呼びします。
それでは、じっくりお読み下さい。 編集人
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@週刊Nutsいつも楽しく読ませていただいております。
チップの話で是非コメントをという事でしたのでちょっと思う事を。
そもそも日本にはチップという習慣は全くありません。その日本人が海外で
チップを払うという事は非常にしんどいものがあります。しんどいというと語弊を
招くかも知れませんが、要するに色々と気苦労が多くなってうっとうしいのです。
まず悩むのはその金額。美味しい食事をごちそうになって本当に満足していても、
日本では全く払う必要のないお金。そんなお金を置いていかなければならないと
いうのは文化の違いという一言では片づけられない苦悩があるのです。
金額は本当に悩みます。よくトータルの15%とか10%とか言いますが、
きっちり決まっていればまだしも曖昧なもんで悩むのです。
たとえばトータルが16ドルだったとします。10%なら1ドル60セント、
15パーセントなら2ドル40セント。しかし実際に払う段には硬貨をじゃら
じゃら渡すのは素人である私にもおかしいという感じがします。という事は紙幣で
払わないといけない。となると2ドルになるんだろうか。いやいや、それでは
15%に満たないので3ドルになるんだろうか。ボーイさんが伝票を持ってきて
横で支払いを待っていよう物なら頭はパニック。ええい、こんなもんじゃ〜。
と思わず3ドルを渡したりするのです。
よく、日本人は海外ではチップを渡し過ぎるという指摘を耳にします。
そんな言葉が頭をよぎりながら3ドルが手を離れていく。これは苦痛以外の
何者でもありません。
それと、問題になるのが渡すタイミング。旅行の解説本を読んでいたりすると
渡しかたにもお国事情があるみたいで・・。
伝票と一緒にサービス税みたいにきっちり払う国もあれば、支払いは支払いで
きっちり払っといて店から出しなに担当のボーイさんに近寄って握手をしながら
そっと渡すなんて事もあります。(パリでこれをした事がありますが、何か
すっごい自分が格好良く思った記憶があります)
渡しかたも千差万別。金額もあいまい。日本人も感情をはっきり表現しない
ええかげんな国民ですからチップという曖昧なもんには適応が早い様に思ったり
するのですがそこが大間違い。感情ははっきりしないが勘定ははっきりしてないと
いかんのです。
ええ加減な、払ういわれのないお金は払いとうないのが日本人なのです。
特に大阪の人間にはこの傾向は強い。(私も大阪ね)
てな事でチップなんてややこしいもんは早くなくなってしまえばええのにと
海外に行くたんびに思うのは私だけではないと思います。
それとついでに疑問も書いときますね。
「チップは個人のサイフにないないされるのでしょうか。それとも店が終って
から皆で出しあって頭割りをするのでしょうか?」
日本では旅館に泊まった時にお世話になる仲居さんに包みを渡す事があります。
あれもどうなっているのか知りたい所ですが・・・。
Aさん
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再び編集人です。
以下の投書は、インターネット上の「New York Nuts メーリングリスト」から、
ご本人の許可を得て転載したものです。
では、どうぞ。 編集人
@私は、一年のうちに何回かアメリカに出張します。最初の頃は、チップの
習慣がなかったためにどうしてよいやら解らなかったので同行されていた方から
チップについていろいろと教えていただきながら食事の時にチップを残して
おりました。今でも、食事のチェックのさいにはチップは残すようにしています。
それが、サービスを行うものの収入源になっており、又、そういうシステムだと
理解しているからです。
チップの割合ですがこれが私にはくせ者でしてはっきり言っていくら残せば
よいかがよくわかっていません。州や場所によってどうも違うんではないからしい
ことは聞かされていました。(本当か、どうかはよく解りません。)
このメーリングリストでNYでのチップの割合を知ることができました。
ありがとうございます。
私は、このほかにホテルの housekeeper に対してチップを残しています。
これはどこの hotel に宿泊しても1ドルという定額制を自分では取っています。
(帰国するときは、その1ドルと余った coin をぶちまけて帰ります。)
最近ではこのチップを置かない人がどうも増えているようです。理由は
宿泊料に当然、含まれているはずだという論理だそうで、アメリカの人にどうも
多いようです。その証拠に、毎日1ドルでもホテルの housekeeper からチップを
置いてくれる事に "Thank you" をわざわざ言われた人が同行者の中にいたからです。
(部屋でではなく、朝、会ったときだったそうです。)
私から見れば、レストランでよりは hotel でのチップに重きをおくべきでは
ないかなと考えることがあります。どうみてもレストランのほうが従業員の年
齢は若く、少々、チップが少なくても困る(生活が窮地に追い込まれるという
意味です。)連中ではなさそうだからです。
私は、これからも私なりにチップとおつきあいしていくことでしょう。
( hotel はどうもよくわからんです。bell boy に運んでもらったお礼にチップを
渡そうとしたら断られたこともありました。どうみても学生のパートタイマーで
だったのに……。)
Bさん
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しつこく編集人です。
以下の文も前記の「Bさん」が書かれたものです。
ただ、『』で囲んである部分は、私が、「チップに関する投書、お願いね」
という主旨で、メーリングリスト上で書いた文の一部です。
要するに、私の書いた文に対する「Bさん」のお返事というわけです。
突然「Bさん」の文だけ紹介しても、読者の方々には、お分かりにならないと
思いましたので、私の文も同時に転載しました。
では、どうぞ。 編集人
@『私、思うんですけど、その部分、つまり、「ウエイター&ウエイトレスと
お客さんのコミュニケーション」 が無かったために、このチップの問題は、
ここまで肥大化したのではないでしょうか。要するに、お客さんが思うこと、
感じてることが、彼等には、分かってませんし、 彼等の苦労というのも、
お客さんには、分かっていません。そこのところを、最初になんとかしたいと、
わたくし、思うのであります。』
お客さんが思うことや感じていることが、彼等には、分からないのは当たり前で
あって、又、彼等の苦労というのも、お客さんには、分かりませんし、分かる必要
もないと思います。
ウエイター&ウエイトレスとお客さんの間にあるのは、あくまでも客と従業員
という関係だけでよいのではないでしょうか?
私がチップをおくのは、あくまでもそういうシステム(受け取った bill に
更に10%ほどの金額を上乗せする。)だと理解するからであって、敢えて
サービスを行ってくれたウエイター&ウエイトレスの方に感謝の気持ちを渡して
いるのではありません。
誰か、私に教えてほしいです。チップは感謝の気持ちだと彼ら(ウエイター&
ウエイトレス)は本当に考えているのでしょうか?
再びBさん
@度々申し訳ありませんが、またまた編集人です。
今度は、元ウエイターとしましての、私の意見をお話ししたいと思います。
これまでに、この「週刊Nuts」、そして、「NY Nuts メーリングリスト」上で、
いろんなご意見を読んでまいりましたが、私が思いますに、お客さんの側にある
もっとも大きな疑問というのは、「そもそも”チップ”ちゅうのは、一体、
何やねん?」というものではないでしょうか。(ここでは、”レストランでの
チップ”についてのみ、お話しします。)
アメリカで生まれ、アメリカで育った人々にとっては、この「チップを置く」
という行為はごく普通の習慣のひとつで、それを置く度に、「チップとは何ぞや?」
などと考えることなく、自然な感じでパサッと置いて行きます。
しかし、私たち日本人にとって、この”チップ”なるものは、まったく異質な
ものでして、大体の方が、こちらに来て初めて経験される「習慣」なのであります。
私もNYの日本食レストランのウエイターとして、3年半ほど働きましたが、
未だにこの”チップ”なるものを正確に定義づけできずにいます。
私が考えますに、チップには、「義務的に含まれるサービス料」という意味も
ありますし、「サービスに対する評価、心付け、感謝の気持ち」という意味も
あります。
ただ、この両者の関係というのが、まことに微妙でありまして、私が、
チップの定義づけがうまくできないのも、それが原因なのであります。
というわけで、ここで、チップの「義務的に含まれるサービス料」という要素と、
「サービスに対する評価、心付け、感謝の気持ち」という要素について少し考えて
みたいと思います。
アメリカ人のお客さんによくあるパターンは、その「義務的に含まれる
サービス料」のラインを料金の15%辺りに引いておいて、特別気に入った
サービスには、「サービスに対する評価、心付け、感謝の気持ち」として
エクストラのチップを置く、というものです。
例えば、です。
アメリカ人のボブさんが、NYのお寿司屋さんに行きました。
食事が終わって、担当のウエイトレスがチェックを持って来ました。料金は、
100ドル(Taxは含まず)。
レストランに行った時、普通、ボブさんは、料金の約15%をチップとして
置くことにしてます。ですから、通常のパターンで行くと、今回は、だいたい
15ドルほどのチップを置くことになります。
でも、です。このボブさん、担当のウエイトレス、ケイコちゃん(この名前に
深い意味はありません)のサービスがやたらと気に入ってしまいまして、
エクストラのチップ、5ドルを置くことにしました。
よって、チップの合計は、20ドル(つまり、料金の20%)。
そのチップを置いて、ケイコちゃんにバイバイしながら、ボブさんはその
レストランを後にしたのでした。
このボブさんのように、「義務的に含まれるサービス料」のラインを15%の
辺りに引いてる方でも、置くチップがそれ以下になる可能性は、十分あります。
「ウエイトレスが超無愛想」とか、「寿司の中に靴が入ってた」などという
場合です。(靴が入んのかい。)
また、その日の精神状態などでも変わってきます。
ただ、普通のサービスで、普通の精神状態であれば、料金の約15%をチップと
して置きます。
一方で、この「義務的に含まれるサービス料」のラインを15%より少し低い
ところに設定している方もいます。
例えば、です。
アメリカ人のジョンさんが、NYのお寿司屋さんに行きました。
食事が終わって、担当のウエイターがチェックを持って来ました。料金は、
100ドル(Taxは含まず)。
レストランに行った時、普通、ジョンさんは、料金の約10%をチップとして
置くことにしてます。ということは、今回のチップは、だいたい10ドルという
ことになります。
でも、です。このジョンさん、担当のウエイター、ケンジくん(この名前に
深い意味はありません)のサービスがやたらと気に入ってしまいまして、
エクストラのチップ、3ドルを置くことにしました。
よって、チップの合計は、13ドル(つまり、料金の13%)。
そのチップを置いて、ケンジくんにバイバイしながら、ジョンさんはその
レストランを後にしたのでした。
てな感じです。
この他にも、アメリカ人の中には、その「義務的に含まれるサービス料」の
ラインがかなり頻繁に動く人、そういうライン自体を最初から持とうとしない人
などもいますが、それらはごく一部で、一般的には、それぞれがそれぞれの
比較的安定したラインを、だいたい10%〜17,8%の辺りに持っているようです。
では、ここで日本人のお客さんたちについて考えてみましょう。
まず、この”チップ”という習慣に最初に遭遇した時、私たち日本人の脳味噌
の中には、「義務的に含まれるサービス料」のラインというのが、通常、引かれていません。
確かに、本やガイドブックなどには、チップに関する説明が載っていますが、
それをひとつの「習慣」として、自分の脳味噌に刷り込ませてはいないわけです。
どちらかと言うと、普通は、「サービスに対する評価、心付け、感謝の気持ち」
というイメージの方を”チップ”というものに対して強く持っているのではない
でしょうか。
確かに、こちらで暮らし始めますと、「チップっていうのは、意外と義務的な
要素が強いもんなんだなあ。」という感じがしてきて、「義務的に含まれる
サービス料」のラインというのも自分なりになんとなく身についていきます。
ただ、チップを「サービスに対する評価、心付け、感謝の気持ち」とだけ捉える
考え方は、すぐになくなるわけではなく、自分の脳味噌の中に、けっこういつま
でも残っているものです。
これらの2つの要素、「義務的に含まれるサービス料」と「サービスに対する
評価、心付け、感謝の気持ち」の微妙な関係が、チップというものに関して、
私たち日本人の脳味噌の中を混乱させている原因ではないかと、わたくし、
考えるのであります。
とりあえず、続きは来週にでもお話しします。
話は変わって、わたくし、結婚式から逃げ出すこともなく、無事、
結婚いたしました。
詳しいことは今度ね。
では、また来週。 編集人
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『今週の歌』
「お互いの ”ここがサイテー” 見つけ合い
それを飲み込め! 新婚旅行
ひろ」
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