1996年10月15日号(No.136)


                     Nutsの表紙です



目次

*『電話模擬投票です』
*『VOICE』
・編集人「在外投票訴訟について」 ・「風の言葉」
*『今週の歌』
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『電話模擬投票です』

 今回は、完全に「選挙がらみ」Nutsです。
 カタイ話ばっかりで、ゴメンナサイです。
 さて、電話模擬投票なのであります。
 今度の日曜日、10月20日に日本では総選挙が行われます。私個人の考え では、またすぐに次の選挙が来ると思うのですが、まあ、今度の選挙は今度の 選挙なりに、いろんな面白さを含んでおりまして、民主党なる新顔さんもいま すし、最近調子の良い共産党が、このまま共産党国家への道を突き進むか、 などという楽しみもあります。
 しかし、です。相も変わらず私たち海外に住む日本人は選挙できないのであ ります。
 そこで、です。いつもナンダカンダと騒いでいる海外有権者ネットワーク・ NYは、「今回の総選挙に合わせて、こっちでも何かやろやないか。やるんだっ たら模擬選挙なんかオシャレね。」などと考えまして、この度、電話による 「在米日本人の総選挙模擬投票」なるものをブチ上げることになったのであります。
 すばらしい。
 ちなみに、今回は、「電話」を使った模擬選挙です。電話だったら、だれだっ て使えるし、山奥にいる人でも、離れ小島にいる人だって投票できるのであります。(そういう人たちがどうやって、この「模擬選挙」の情報を得るかって問題もあ るけど、ま、そこは、ドンマイ、ドンマイ。)
 と言いますのも、前回の参議院選の時に、テレビ東京さんが、「在外邦人によ るインターネット投票」というイベントをやったのであります。このNutsでも 宣伝したのですが、結局、約300票が世界中の日本人から集まったとのことでした。
 でもですよ、海外に住む日本人の中で、インターネットを使える人というのは、 まだまだごく一部でありまして、ほとんどの人は、インターネッてないのであり ます。実際、そのインターネット投票の後に、「インターネッてない人間は、 投票できんやないか。」という声をいくつか耳にしました。
 そんなわけで、今回は、誰でも使える「電話」使用の模擬投票となったので あります。
 また、今回の作戦では、日系国際通信会社のマルチネット・インターナショナル社の 協力により、なんとトールフリー・ナンバーを使用することができるのであります。
 それと、同社からは、ボイスメール・システムまで提供して頂いて、わたくし、 なんとお礼を言っていいか分からんのです。
 感動であります。
 なにはともあれ、「電話模擬投票」なのであります。
   以下に、この作戦のために作ったチラシの文の一部を掲載します。それで大体の ことはお分かりになるはずです。
 お読みください。
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 現在、海外に住む日本人は、憲法によって選挙権が保障されているにもかかわ らず、海外において日本の国政選挙には参加できません。今回の総選挙においても、 私たちは、ただ指をくわえて眺めているだけです。
 もしアメリカに住む私たちが、10月20日に投票日を迎える今回の総選挙に 投票できるとしたら、どの政党を選ぶのでしょうか? 自民党?新進党?それとも、 民主党? 私たちの「選択」は、日本の「選択」とどう違うのでしょうか?  そんな「もし?」という疑問に対するひとつのアプローチとして、海外有権者 ネットワーク・NYは、電話による「在米日本人の総選挙模擬投票」を企画しました。
 今回、マルチネット・インターナショナル社のご協力により、トールフリー・ ダイヤルをご用意しました。投票期間中であれば、24時間いつでも投票できます。
 また、投票結果は、「アメリカに住む私たちの声」のひとつとして、現地の日系 メディア及び日本のメディアに発表されます。
 電話をかけるだけで簡単に投票できます。アメリカに住む私たちの声を私たち 自身で集め、日本へ伝えましょう。
 皆さまのご協力のほど、よろしくお願い致します。
     1)投票用電話番号:1ー888ー835ー5931          内線200(トールフリー)
2)投票方法:交換手に内線番号を告げ、ガイダンスの後、支持する政党名を ボイスメールにお残しください。投票は、ひとり一票となります。(投票は 対政党のみ。)
3)投票期間:10月17日(木)〜19日(土)(24時間いつでも投票できます。)
4)投票資格:20歳以上の日本人
5)結果発表:投票の結果は、10月21日(月)にマスコミ各社にご報告します。
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てな感じですな。
 というわけで、この作戦を行うのに、助けが欲しいのであります。ボランティアが 欲しいのであります。
 ちなみに、ボランティアには「外回り」、「自宅勤務」の2種類があります。
 「外回り」というのは、今週の金、土の夕方に行う予定のビラ配りなのであります。 まずこれに人が必要です。
 で、もうひとつの「自宅勤務」というのは、簡単に言いますと、「貴方のアメリカ中の 知り合いに、この選挙のチラシをFaxして頂戴」というものなのであります。要するに、 「クチコミ攻撃隊」ですね。
 Faxのない方は、電話でも構いません。できるだけ多くの日本人の方々に「こういう イベントやってるよ〜」ということをお知らせしたいと思うのであります。最終的に 電話投票するかしないかは、その人次第。でも、少なくとも、こういうイベントの 存在を知っておいて欲しいのです。
 最後にひとつだけ。
 数人の方にこの模擬投票の話をしたのですが、その時、「いや〜、オレは棄権だね。 だって、支持政党ないもん。」とコメントする方が何人かいました。
 ちなみに、今回の電話模擬投票では、「支持政党なし」という選択肢もご用意 致しました。支持政党なし派の方もお楽しみ頂けると思います。
 そんなところです。
 ぶっちゃけた話、私は、このイベントをできるだけ楽しみたいと考えています。 とりあえず、在外投票権運動なんてカタイことは置いといて、アメリカに住む 私たちは、日本のどの政党を支持し、どの政党を支持しないのか、そんなことを みんなで一緒に眺めてみたいと思うのであります。それが結果的に私たちの声の 一部として日本に伝わって、政治家や官僚やマスコミや一般大衆の方々が、海外に 住む私たちのことを考えてくれるキッカケになってくれればいいなあ、などと考え ております。
 楽しくやりましょ。
 それでは、皆さんのご協力のほど、よろしくお願いします。
                       編集人
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『VOICE』

 さて、「在外投票訴訟」の話です。
 先日、原告募集の文を載せましたところ、その件についての問い合わせが何件か ありました。また原告になる方も登場しました。
 それらの問い合わせの中で、もっとも多かった質問というのは、「裁判の詳細に ついて」及び「訴訟費用について」でした。
 てなわけで、今回は、この2つについて少し詳しくご説明しようと思います。
 まずは、「裁判の詳細について」。
 前々回に書きましたように、今回の裁判は、「賠償請求裁判」です。「違憲裁判」 ではありません。
 正直言って、私たちは、最初、「違憲裁判」をやるつもりでした。でも、弁護士 軍団と話し合ったところ、「違憲裁判は、時間もかかるし、手間もかかる。それ よりは、比較的簡単な賠償請求裁判の方が、勝ち目もあるし、戦いやすいし、なに よりも結果が出るのが早い。」という意見で、私たちも「それならば、賠償請求裁判で 行きましょか。」てなことになったのであります。
 また、ある方から「勝ち目はあるの?」というご質問を受けたのですが、弁護士 軍団によると、「ある。」そうです。
 日弁連の人権擁護委員会も、この件には、「早急に改善されるべきである」という 明確な見解を示しておりますし、憲法学界も一般論としては「在外邦人にも選挙権は あるべき」という考えです。
 そして、なによりも勝ち目のない戦にボランティアで参加する弁護士の方という のもあんまりいないわけで、参加するからには、勝ち目があると読んでいるわけです。
 次に「訴訟費用について」。
 賠償費用は、200ドルです。これは、本決まりです。
 で、問題は、これがホントに200ドルで収まるかどうか、ということですが、 今のところ、収まる予定です。というよりは、とんでもないことが起こらない限り 収まります。
 この200ドルには、実際の訴訟費用、約1万5千円と、諸経費代が含まれて います。弁護士の方々は、基本的にボランティアですので、この方たちに対する費用が 増えることはありません。ですから、200ドルでいけるはずです。
 また、賠償請求額、つまり、国に対して「私たち、こんなに被害を受けたのよ。 だからこんだけ払って。」と請求する額は、5万円となりました。これは、地方 裁判所の最低賠償請求額です。
 で、もし勝った場合、その5万円は、私たちの胃袋に「打ち上げパーティ」の 飲み食い物として消えるわけではなく、弁護士の方々へのお礼及び訴訟経費に充当 されることになっています。
 てなとこです。
 さて、最後にもうひとつ重要なことがあります。
 住民票を日本に残してある方は、今回の原告団には参加できません。つまり、 日本に住民票が残っている場合は、そこで投票できるわけでして、今回、原告に 参加できるのは、「どこにも投票するすべのない人」ということになっています。
 こういう大事なことをなぜ今頃書いてるかと言いますと、私自身、今まで知らな かったのであります。良く言えば、お互いのミスコミュニケーション、悪く言えば、 私のマヌケさが原因です。
 この住民票の件で、海外有権者ネットワーク軍団の「ハワイ」と「パリ」の代表、 そして、「ニューヨーク」の代表である私自身が、原告として参加できなくなりました。
 原告になれなくなったのです。
 この「住民票を持つ人は裁判に参加できない」論というのは、弁護士軍団から出た ものでして、その理由は、「争点をできるだけ絞り込んで戦いやすくし、そして、 勝つため」です。
 その理由は、十分理解できます。だから私は引きます。
 ただ、ここでひとつ説明しておきたいのは、これは、「実際海外での投票が行わ れる場合、住民票を残してる人が投票できない」ということに直結するものではあり ません。
 これは、裁判に「勝つため」に行われた絞り込みです。そこのところ、ご理解くだ さい。
   なにはともあれ、わたくし、竹永は、原告団から退場となりました。
 マヌケです。
 まあ、ここのところ、ちょっと調子に乗りすぎてましたから、いい薬です。それに、 この訴訟を少し客観的に見れるようになりました。(まあ、そうでも考えんとやっと れんわな。)
 でも、ホントは、すんげえ悔しいんですよ。
 ・・・・・・・・・ちくしょう。
 そんなところです。
 では。                   編集人
@USビジネスニュースさんに何かお礼をせねばなるまい。
 10月14日付けのUSビジネスニュースに「在外投票権問題」及び「在外投票訴訟」に ついての記事が掲載された。
 同紙は、アメリカに住む日本人210人にこの件について電話アンケートをとり、 その結果を同記事の中で紹介していた。
 そのアンケートの中で行われた質問の中には、こういうものも含まれていた。
 「海外在住者に投票権がないことに対し、日本国に損害賠償を求める訴訟が提訴 されましたが、原告の一人として同裁判に参加する意志はありますか?」
 「その際、負担を求められたら支払いますか?(海外有権者ネットワークによると 原告ひとり当たり200ドルから300ドルの予定)」
 それぞれの質問に対する回答を紹介すると、原告になる意志があると答えた人は、 210人中42人(20%)、訴訟費用を払ってもよいと答えた人が、210人中12人(5.7%)、 となっている。
 この数字に関して、同記事は、こう書いている。
 『訴訟に参加するかの質問に対しては、80%が不参加を表明、「普段の生活 (勉強など)に支障がない程度だったら参加するかもわかりません(なぜか弱気)」 (22歳・学生・在米年数3年)の良心的な回答があった。訴訟費用を負担するかに ついては全くだめ、寄せられたコメントとしては「権利と義務」の利点からみても 負担すべきという声が一通あっただけだ。』
 この記事は、数字の読み方を完全に間違っている。
 それは、今回の同紙のアンケート結果をアメリカ全体の日本人に当てはめてみると 良く分かる。
 現在、アメリカには、約20万人の日本に選挙権を持つ日本人が住んでいる。 このアンケートの数字をその約20万人の日本人に当てはめると、全体の20%、 約4万人が在外投票訴訟の原告になる意志があり、また、5.7%、約1万1400人が、 実際に訴訟費用を負担しても良いと考えている、ということになる。
 もっと分かりやすく説明しよう。
 現在、日本には、約8000万人の有権者が住んでいる。今回のアンケートで 「200ドルから300ドルの訴訟費用を負担しても原告になる」と答えた人は、 全体の5.7%。これを日本の有権者数に当てはめると、約456万人となる。
 この数字は重い。これは、署名運動の用紙に「署名をしてもいい」という人の数 ではない。国に対して行う訴訟の「原告になってもいい」という人の数である。
 これまでの日本の歴史の中で約456万人の原告を集めた訴訟が存在しただろうか。 現在の日本に、「2、3万円の訴訟費用なら負担してもいい」という原告を約456万人 集められる社会的問題が存在するだろうか。
 そう考えると、日本であれば約456万人の原告を集める可能性のある、この 「在外投票権問題」は、私たち海外に住む日本人にとって、非常に深刻な問題と 考えざるを得ない。
 今回の同紙のアンケート結果を見て、私は、この運動を行う者として、大いに 勇気づけられた。同紙に「ありがとう」せねばなるまい。
 ちなみに、NY近辺には、日本人の子供たちが通う補修校があるという話だ。 そこでは、算数も教えているはずである。同紙の皆さんもそこに少し通われて、 数字の読み方を勉強なさったらいかがなものだろうか。
 このアドバイスをもって、同紙へのお礼とさせて頂く。
                          風
****************************** 『今週の歌』
「この女(ひと)の 心のドロ水 飲み過ぎて
          ひとりゲップを 吐く吐く吐く吐く    ひろ」

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net


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