1994年6月28日号
(No.15)
在外投票権問題に関する最近の動き
1. 5月11、12日に東京にて行われた第35回海外日系人大会の内閣
官房長官主催のレセプションにて、石井一自治大臣はできるだけ早い時期に
在外投票制度を確立すべきであるという考えを明らかにした。
2. 5月16日、フランスの「在外投票問題を求める会」より羽田総理、
土井衆議院議長に1、526名分の署名が郵送にて提出された。
3. 5月23日の衆議院予算委員会にて、羽田総理は自民党の後藤征士郎
議員の在外投票制度に関する質問に対し、「なるべく早い時期に権利が確保
されるよう対応したい」と述べ、制度確立に前向きな考えを示した。
現状分析
まず最初に明らかにしなければならない点は、政府側はこの制度の確立に
賛成であるということです。「この制度を持つべきか、持たないべきか」と
いう議論はもう政府内にはありません。問題は「どうやってやるか」の一点
に絞られています。
この法案成立に最も必要なものは「安定した政府」です。現在、政府(自
治省)では小選挙区割りが行われていますが、この後に来るのは在外投票制
度の審議です。ただ、それは現在の内閣が維持された場合のことで、また解
散があれば、また新しい組閣が行われるまで在外投票制度の審議はお預けに
なります。
すべては日本の政局にかかっています。国会が落ち着けば、この法案は間
違いなく通ります。
海外有権者ネットワーク・NY
代表 竹永浩之
在外投票制度の内容について
前のページの「現状分析」にありましたように、この法案成立のポイント
は「どうやってやるか」という方法論に絞られています。
そこで、少しここで各国の在外投票制度を説明したいと思います。
在外投票制度を持つ諸国(外務省領事移政策課調査)
アジア :インドネシア マレーシア ミャンマー
北米 :米国 カナダ
中南米 :コロンビア ブラジル ペルー
欧州 :スイス アイルランド オーストリア オランダ スウェーデン
デンマーク ドイツ フランス イギリス ノルウェー
フィンランド ブルガリア ポーランド ポルトガル ルーマニア
ロシア
大洋州 :豪 ニュージーランド パプアニューギニア フィジー
アフリカ:エジプト モロッコ
G7参加国の在外選挙制度の概要(同)
国名 投票資格 投票法
***************************
米国 全在外米国人 郵送投票
イギリス 全在外イギリス人 代理投票
(海外在住20年以内) 在外交換投票併用
ドイツ 在外ドイツ人 郵送投票
(欧州評議会加盟以外の
国は在住10年以内)
カナダ 公務関係者 在外交換投票
イタリア *法案否決 (郵便投票)
(産経新聞 94年1月4日号より)
@現在、投票制度を持つ国は世界中で約30カ国。その中の半分近くの国々
が在外公館での投票方法を採用している。中にはオーストラリアのように郵
便と在外公館での投票の併用制を用いている国もある。
@代理投票というのは、海外にいる人が本国にいる人に投票をお願いすると
いうもの。
ニューヨークでどうやって投票するか?
現在、政府は「在外公館での投票」方法導入の方向で動いています。「郵
便での投票」は不正が起こりやすい」という理由で自治省が強力に反対して
います。
とりあえず、ここでは最も実現しやすい形の「在外公館での投票」を基本
に、ここニューヨークでどうやって投票するか、ということを考えてみたい
と思います。
政府側はこの制度成立を考える上で、ここニューヨークを非常に重視して
います。なぜなら、ニューヨークは世界最大の在外日本人人口を抱える都市
だからです。ニューヨークでやれれば世界中どこででもやれる、という考え
のようです。もしそうなら、ニューヨークに住む私たちは、この法案成立に
関して、非常に重要な役目を負っていることになります。
具体的な方法を考える前に、まず、海外で投票を行う場合の制度上の枠や
条件がありますので、それを先に説明したいと思います。
1.選挙公示から12日後に選挙。
2.日本での選挙日は必ず日曜日。
3.投票後の開票は日本で。(つまり票を日本に送り返す時間が必要。)
4.通常、日本では一つの投票所の許容人数は約3千人。(ちなみに、ニュー
ヨーク日本領事館の管轄地域の日本人人口は、当領事館によると、約5万人。)
1.についてですが、これは要するに、選挙運動が開始されてから12日
後に選挙があるということです。3.の開票の件ですが、基本的に領事館に
は開票できるだけの人的パワーがありません。また、海外で開票するとなる
と、それを監視する選挙管理委員会も世界中に送り出さねばならなくなりま
す。
在外選挙の投票方法に関する意見交換会
ニューヨークでの投票方法は幾つかのものが考えられます。例えば、投票
期間を1週間にしたり、投票を在外公館だけでなく、ヤオハンなどの日本人
がよく集まる所に仮設投票所を作って、そこで投票できるようにする、など
の案があります。
そこで、海外有権者ネットワーク・NYでは、投票方法に関する意見をで
きるだけ広く集めるために、来る7月15日(金)午後6:30より日系人
会にて、「在外選挙の投票方法に関する意見交換会」を開きます。
今回のNUTSの紙面上で、在外選挙制度について説明できなかった点も
幾つかありますので、それらについては上記の意見交換会にて詳しくお話し
するつもりです。
「在外選挙の投票方法に関する意見交換会」
日時:7月15日(金)午後6:30〜9:00
場所:日系人会 図書室
15 WEST 44TH ST 11階
詳しいことは、(212)831-8166 竹永まで。
JSN学生井戸端会議
毎月恒例の井戸端会議ですが、今回は私たちJSNも在外選挙問題について
考えます。テーマは「ほな、どうやってニューヨークで選挙しましょか?」
というものです。そして、今回は海外有権者ネットワーク・と同じ時期、同
じ場所、つまり合同でやることにしました。面白くなりそうです。
日時、場所は上記の意見交換会と同じ。詳しいことは、
(212)628-4938 新谷まで。
VOICE
@今回はまず謝っておこう。
相当堅い内容になってしまって申し訳ない。普通なら柔らかい内容のもの
が紙面の半分ほどあるのだが、今回はやたらと、「法案」とか「政府」とか
「方法論」などと言った堅苦しい言葉が並び、紙面中が非常に重々しい内容
になってしまった。
書いてる私としても、ちっとも面白くないのであるが、たまにはこのよう
なシリアスなものも良いではないかな、と思っている。
このNUTSには今回のような使い方がある。自分もなにか特集でやって
みたい、という方がいたらご連絡頂ければ幸いである。存分にやって頂くつ
もりだ。
@このNUTSを初めて読む方にお知らせしたい。
NUTSは週刊「60秒間読み捨て紙」である。基本的に書きたい人間が
書くというのをポリシーにしている。ちなみにNUTSが手に入る場所は、
ミッドタウン:サッポロ、紀ノ国屋、サンボク、旭屋、東京ビデオ、JB
C、めんちゃんこ亭
その他:アケアン(ダウンタウン)、ヤオハン(ニュージャージー)
などである。NUTSを見掛けたら、パッと取って、パッと読んで、パッと
捨てて頂ければハッピーである。
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