1997年1月21日号(No.150)


                     Nutsの表紙です



目次

*『インタビューの話』
*『VOICE』 ・投書「日本人のアイデンティティー」 ・お知らせ&編集後記 ・ひとりごと「アカウンタビリティーの問題」
*『今週の歌』
*************************

『インタビューの話』

 さて、インタビューの話です。
 例の小説、「NYウエイター物語」を書くためのインタビューを始めました。 これまでに、インタビューし終わったのが、10名。予定では、100名ほど の方にインタビューできればと考えております。
 一応、50名ほどは、すでにリストアップされておるのですが、残りの50 名に関しましては、これからエッチラホッチラ探し出さねばなりません。 つきましては、「インタビューされてもいいよ〜ん。」という方がいましたら、 編集部(212-982-3348)の方までご連絡頂ければ幸いです。
 ちなみに、これまでに数名のインタビュー・ボランティア希望の方からご 連絡を頂きました。やっぱ、何でも言ってみるもんやね。
 ところで、インタビューしてて思ったのですが、私たちって、友達の過去と かバックグラウンドっていうのを意外と知らないもんなんですな。
 普段、酒飲んだり、メシ食ったりしながらいろんな話をしてるんですけど、 そんな時は、話題もあっち行ったりこっち行ったりして、ひとりの話をじっく り聞くってことができないですし、普通、ひとりが、ガーっとしゃべる時って いうのは、その当人がかなり感情的になってる場合でありまして、じっくり冷 静にその人の歴史を聞く機会というのは、なかなか無くて、結果的には、とり あえず、その人が何者であるかってことは分かってるんだけど、詳しいとこ ろは、意外と分かってない、てな感じになるのであります。
 ところが、インタビューちゅうのは、基本的にひとりの話をじっくりゆっく り聞くことになるわけでして、それをやりますと、その人の未知なる部分が ザクザク出て来るのであります。そして、私は、そのザクザク出て来たものを 見て、いつも「へえ〜。」と思うのでありました。
 人それぞれにいろんなストーリーがあります。若くても、まだ経験が浅くて も、それはそれなりに興味深いストーリーがあります。「自分はごく普通の人 間で、おもしろい話なんか何も持ってない。」などとお考えの方もいるかもし れません。でも、そんなことは絶対にないのであります。誰だって味のある話 を持ってます。下手したら、バリバリ活躍してる人の話より、ごく普通にして る人の話の方が、ず〜とおもしろい場合だってあります。
 このインタビューを始めて、私はつくづく「人間ちゅうのは、ホントにおも しろいのう。」と思いました。下手なパーティや宴会よりも、ひとりの話を じっくり聞けるインタビューの方が、私にとっては楽しいです。ですから、 今回の「100名インタビュー」が終わってからも、できるだけ多くの人に インタビューしたいですのう。
 いや〜、インタビューはおもしろい。
 そんなところです。
 では。                     編集人
**********************

『VOICE』

@「今、なぜ日本人の Identity(アイデンティティー)を気にするのだろ うか?」
 私事で恐縮ですが、日本人としての Identity を覚醒せざるを得なかった 私の体験から上記の題について書いてみます。
 私のローティーン(12才)の時代は国家も個人も波乱万丈の中にあって、 一時的ではありましたが、国の亡びゆくかと思われる時と重なりました。
 当時、私は日本の植民地であった満州国で育ち、そこにあって、戦いに敗れ た民族の受けなければならない運命に圧死させられるかと思われる状況を経験 しました。戦勝国としてのソビエト軍、中共の前身である八路軍、台湾に後進 してゆく前の中国国府軍、朝鮮独立のためのアンダーグランド組織の浮上、そ して暴徒化した地域住民、それらが一斉に日本人と名のつく民族に襲いかかり、 略奪、殺りく、レイプ、ありとあらゆる暴力の限りをつくしました。
 その時、我々日本人は好むと好まざるにかかわらず、その Identity と正面 から対じしなければならなかったのです。その厳しさに耐えかねて中国人やコー リアンに変身しようと試みた人もありました。又、我が子の生命を守るため、 子の日本人としての Identity を放棄し、中国人に手渡した母親も少なくはあ りませんでした。
 その極限の状況の中で、人間の尊厳をかろうじて守り通せた私の両親は非常 に幸運だったと言えます。そして、守り通した人間としての尊厳が、マイナス としての日本人の Identity を上回り、プラスとなって、日本人であるが故に、 当時非常に貴重で奇跡と思える友情と善意を持った中国人、コーリアン人に助 けられて困難から脱出することが出来ました。
 私は学者ではないので、その過程から民族の Identity は何かということは、 理論的に表現出来ませんが、私の両親の生き方を目の前に見て、自分の日本人 としての Identity は私一代で出来上がったものではなく、両親から受け継いだ ものと自覚しました。又、そのIdentity が国家に属する場合と、個の中に存在 せねばならない場合があることを知りました。
 そして、個の中に Identity を持つ時、人間としての尊厳の裏打ちのないも のは価値がなく、良きにつけ悪しきにつけ、" Belong to the nation" になら ざるを得ないような気がします。" Belong to the nation " の場合、世界の 歴史が示すように、国の興亡によってその国民の Identity の誕生、消滅を見 ることができます。
 しかしながら、その中にあって、5000余年の長い時間の中で民族の Identity を守るために苦難の道を放浪しなければならなかったユダヤ人、又、 古代からゆうゆうと流れる黄河と共に現在も中国人の Identity を自然のうち に持ち続けている民族も存在します。
 民族の Identity とは仲々面白い命題です。ゆっくりと取り組んでみて下さ い。
           マンハッタンの              ウルトラ・コンサーヴァティヴのおばさんより
@編集人です。
 さて、最初は、「カツ電」の話なのであります。
 先週お話ししましたように、「カツ電」は、このNutsを卒業しました。 現在は、日系人会の中のひとつのグループとして動いております。
 ついでに、正式な名前も決まりました。「生活情報電話・J ライン」。それ が、「カツ電」の正式名称となったのであります。まあ、妥当な線ですな。
 この「J ライン」、これからは、日系人会ユースのひとつのグループとして やって行きます。ですから、基本的には、Nutsとは関係ないのであります。  しかし、です。「J ライン」の世話人もわたくしですし、このNutsをやって おりますのもわたくしですから、そこには当然、助け合い励まし合い協力し合い 態勢というのが生まれるのであります。このNutsがサポートできるところは、 できるだけサポートしたいと考えております。
 というわけで、早速、サポートの話なのであります。
 「J ライン」では、2月に「移民法関係の弁護士及びサポート機関」に関す るリサーチをやります。できるだけ多くの弁護士及びサポート機関をリスト アップして、それらのサービスなどについての情報を集めます。
 そこで、Nutsの読者の皆さんにお願いがあるのであります。
 もし皆さんがご存知の弁護士及びサポート機関などがありましたら、その名 前と電話番号をお教え頂きたいのであります。こちらへの連絡方法は、電話で もFaxでもE-mailでも構いません(裏面参照)。提供して頂いた情報は、「J ライン」の方に送ります。できるだけ多くの情報をお送り頂ければ幸いです。 よろしくお願いします。
 また、同時に「J ライン」では、ボランティアも募集しております。興味の ある方は、212-982-3348・竹永までご連絡ください。
 お次ぎは、井戸端会議について。
 来る1月30日(木)午後6時半より日系人会にて、今年初めて、そして、 久々の「Nuts井戸端会議」を開きます。詳細は以下の通りです。
 日時:1月30日(木)午後6時半ー8時半
 場所:日系人会     15 West 44th Street, 11th Fl. bet. 5 & 6Ave.
 話のネタは、今月発行のNutsに掲載されたネタならなんでもアリにします。
 チンタラチンタラいろんな話ができればと思います。参加希望の方は、編集 部(212-982-3348)までご連絡ください。
 最後は、Nutsのバックナンバーの話。
 「97年度の作戦」の中でお話しましたように、わたくし、今年中にNuts本 を完成させるつもりなのであります。つまり、今までのバックナンバーを集合 させて、1冊の本にしてしまおうという作戦なのですね。
 というわけで、今、そのための準備をサクサク進めておるのであります。
 Nuts本を作るに当たって、とりあえずやらねければならなかったのは、「Nuts のバックナンバー揃え」でした。で、わたくし、やりました。押し入れ の奥の方からフル〜いNutsを全部引きずり出しまして、NO.1からNO.149 まで をきれいにファイルしたのであります。
 で、わたくし、その時に2冊のファイルを作ったのであります。1冊は、 本作りのための編集用。そして、もう1冊は、一般の人たちがいつでも読め るように、公共の場に残すためのものでした。
 その「一般の人たち」用のNutsファイルは、現在、日系人会の図書室 (住所:前記参照)の方に置かせて頂いております。「どうしても今までの Nutsをすべて読破したい」という方がいましたら、そちらの方でチャレンジ できるはずです。ただし、すべて読破するのには、約7、8時間かかります ので、そこのところご注意ください。
 いやいや、あっという間に150号まで来てしまいました。150号記念 パーティでもやろうかと思いましたが、「最近、パーティに飽きたから、何か 別の形でやりたいですのう。」などと考えてる間に150号になってしまいま した。ゴメンナサイ。
 とりあえず、今は、「Nuts本作り」に集中します。もしNuts本ができるこ とになって、ホントに出版なんかしちゃった日には、しっかり宴会いたします。 その時まで、しばしお待ちを。
 今週は、そんなところです。
 では、また来週。              編集人
  @「アカウンタビリティーの問題」というものが存在する。
 去年、日本では、この「アカウンタビリティー」という言葉がやたらと 流行ったらしい。英語で書くと、「Accountability 」。その意味は、「説明 する責任」。
 この「アカウンタビリティー」が、去年、日本のマスコミによって多量使用 されたのは、政治や行政などの隠しモノの多い場であった。要するに、「日本 の政治や行政は、国民にあんまり隠し事しないで、何やってるか、ちゃあ〜ん と説明せなあかんのよ。」てなことを言う時に、この「アカウンタビリティー」 ちゅう言葉を引っ張り出してきて、「あんたらには、国民に対するアカウンタ ビリティーがあるんやからね。」などと宣(のたま)うのであった。
 それにしても、この「アカウンタビリティー」という言葉、少し長すぎるの ではないだろうか。例えば、こんな文がある。
 「行政には国民に対するアカウンタビリティーがあり、そのアカウンタビ リティーを果たす努力が常時必要とされる。また、現在の不透明な行政の態勢 を改善するためにも、アカウンタビリティー意識の確立が急がれており、今年 の行政改革においても、このアカウンタビリティーがひとつのキーワードとな るはずである。」
 かなりうっとうしいし、分かりづらい。
 確かに、この「アカウンタビリティー」に適合する日本語は見当たらないし、 これまでの日本の政治や行政にも、こういった考え方というのは、存在しなかっ た。そのために、誰かが「アカウンタビリティー」という言葉を急遽輸入し、 日本語に仕立て上げたのだろう。
 とりあえず、この言葉は、これから日本語として使われていくはずである。 非常に長く、使いづらいと言えばそうなのだが、日本語にそれに適合する言葉が ない現在の状態では、輸入せざるを得なかったというのも理解できる。
 しかし、である。その使い方について、私は、ひとつ注文がある。
 これまでに私が読んだ「アカウンタビリティー」という言葉を使用した文た ちは、多分に分かりづらかった。私自身が、この「アカウンタビリティー」と いう言葉をイマイチ理解してなかったということもあるのだが、輸入し立ての 言葉を使うからには、書き手側は、その言葉の初心者にもできるだけ分かりや すく書くべきである。
 ところが、である。ちまたには、何を言っているのか、さっぱり分からん 「アカウンタビリティー使用文」というのがゴロゴロしている。新しいオモチャ で遊--たがる子供のように、やたらめったら「アカウンタビリティー」という 言葉を文中で使ってるもんだから、読んでる方は、その言葉に遭遇する度に 「え〜と、え〜と、なんだっけ?」状態なのである。
 そんな時、私は、その書き手に対して思うのである。
 「おい、おめえのアカウンタビリティーはどうした?」と。
 先にも書いたように、輸入し立ての言葉を使用する者には、その言葉を知ら ない人が読んでも分かるように書く責任というものが存在しているのである。 つまり、言葉の初心者に対する書き手側の「アカウンタビリティー=説明する 責任」である。
 しかしながら、ちまたには、この「言葉の初心者に対するアカウンタビリ ティー」を果たさんアホの書き手どもが、たくさんいる。
 日本の政治や行政に対して、「もっとアカウンタビリティー意識を持て!」 と言う前に、自分こそ読者に対する「アカウンタビリティー」意識を持たんか い。それができなくて、何が「もっとアカウンタビリティー意識持て!」だ、 まったくもう・・・。
 ところで、この文において、私は、読者に対する「アカウンタビリティー」 を果たしたのだろうか。読者の皆さんは、私が言わんとしてる事を理解された のだろか。
 いやはや、世の中、何事も「アカウンタビリティー」である、ハッハッハ。
 あ〜あ、アホくさ。
                       ひろ
************************

『今週の歌』

「耳元で  怒鳴る声聞き  起き上がり
               怒鳴り返して  日曜の朝    ひろ」

下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
投書、意見、感想もどうぞ

Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net


Return to Home Page