1997年2月18日号(No.154)


                     Nutsの表紙です



目次

*『VOICE』 ・投書「ルームメイトのルームメイト選びについて」 ・投書「あるレストランでの出来事について」 ・編集後記 ・ひとりごと「オザケンの問題・ふたたび」
*『今週の歌』
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『VOICE』

@2月末にニューヨークのアパートを引き払い、大阪に就職することになっ た。アメリカ人のわがルームメイトは、私にかわる新しい同居人を決めるた めに、連日おとずれる「候補者」と面接の日々を送っている。
 いままで部屋を見に来たのは女優、弁護士、サラリーマン、バンドマン、 学生など多士済々だ。私は、彼らが部屋を見おわって帰った後、ルームメイ トにそれぞれの人物評をきいた。すると、このアパート周辺の近所の「掟」 と、彼の人物評価基準がわかってきた。
 黒人青年が部屋をみた後の会話。「黒人はダメなんだな」「なんでだ。ま じめそうでいい男だったじゃないか」「おれはいいんだけど、近所の人たち が許さないと思うんだ」「へえ」「これは誰も口にださないが、この近所で 黒人は一人も住んでいないだろ。そういうことだ」
 別の日は、白人青年が来た。「こんどはどうだ」「うーん。ユダヤ人だか らな、だめだな」「なんでだ?」「日本人に説明するのは難しいんだが、ユ ダヤ人は不誠実なんだ」「そんなもんか」
 部屋にもどって頭をひねった。そして、わがルームメイトに声をかけた。
 「ところで、ひとつ、聞きたいんだが?」「なんだ?」「なんで、イエ ローの俺をルームメイトに選んだんだ?」「うーん。そうだなあ。よくわか らないよ」
ルームメイトが決まるまで、まだ観察すべきことがありそうだ。
                       石井政之
@新年早々(1月2日でした)、ある日本食レストランで起きた出来事につ いてお話ししたいと思います。
 アメリカに来ると日本で感じるような”新年”って感じることができない んですよね(少なくとも私にとっては違うんです)。「まあ、じゃあ新年の お昼を”X店”で・・」ということで、レストランに6人ほどで$10定食を 食べに行きました。元からあまりこの店は好きではないのですが、$10定食 のメニューすら日頃から外には貼り出していません。1回座ってから聞くん です。
 ところがこのランチ、前々から、何か前日の誰かが残したものをどうにか ごまかして、$10、客からだまし取っているという感じのランチなんです。 これって、あくまでも私の意見ですから公表すべきものではないのですが、 そうしないと許せない小事件が起きてしまったのです。
 1月2日にいつもの通り、$10定食を頂きに行って座ると、まず$10定食 はないと.......「大晦日と三ヶ日はシェフのポリシーで$10定食はしてないん です。」と教えてくれました。もちろんこの日も”$10定食ナシ”の貼り紙 なんてありませんでした。
 私たち6人、店のド真ん中に座っていたんですが、周りに気を使わずに 出てしまえばよかったのですが、何故かお茶を一杯飲んでしまった後は、 出れなかったのです。
 普通のX店のメニューは、私たちローカルで仕事している者にとって、特 にまだ社会人1、2年目の人にとって、X店の値段は痛いのです。でも、ま あ一番安いのが、$15のお雑煮というので、どんなお雑煮が$15するのかと 思いきや.....きっとすごく味の深い汁の中に素晴らしくおいしいお餅が出て くるのかと期待を抱き、アメリカで独身生活をしている面々なので、やは り故郷の味が恋しく、新年という雰囲気を高めようと6人で1食$15のもの を注文したのです。
 ところが出てこない、出てこない。ウエイターがいくら多少お時間がか かりますと忠告してはきたけれど、でも40分以上も待たされた。この間 に出ていってしまえばよかったと今でも思う。
 いくら何でも40分は長すぎる。まあ、雑煮がうまけりゃこれも許す位 の気持ちはあります。ところが出てきたものは、2cm x 2cmの薄い餅2 個にカニカマちょこっと浮かべて緑物を数本浮かしただけのもの。まして や、この餅は餅粉と餅米の味がまだするし、焼けてないから伸びもしな い! こんなまずい餅、生まれて初めて食べたという感じ。密封されて安 く売ってる餅の方がずーっとずーっとうまい! こんなんでよく客に$15 も請求できるナという怒りが、6人が6人の腹の中に沸いてきたのです。
 とにかく、まずくて食べられた物じゃない。マネージャーを呼んでもな かなか出てこない。周りのお客様の前で騒ぐのも失礼かと思い、立ち上が れば、”お勘定お願いします。”だそうです。
 そして、やっとX店のマネージャーが出てくれば、「お客様にお出しし た物を今食べさせて頂きましたが、何も問題ございません。あの雑煮は私 たちの味でございます。お客様に味が合わなくても、これは関西の味です し、当店のポリシーでございます。お代だけは頂きます。」
 その間、サービスの悪さにも一言、二言、コメントしたし、餅も冷たい ばかりか、伸びない、焼けてない、汁は冷たいと言っても自分の悪さを ちっとも認めない。あれが関西の味です、と言われてしまった関西料理が かわいそうである。
 「当店**年の歴史がありまして、外で何と言われようと関係ありませ ん。お代は頂きます。好きなことを何なりとおっしゃって下さい。」... だって..... あきれて他に何も言えませんでした。そして、情けない私たち も1人$15ずつ取られて帰りました。
 まず、どう考えてもあのサービスとあの料理.... $15はちょっと高いとい う物ではありません。サギです。
 **年間経営してきた自信は素晴らしいけれども、その自信だけに埋も れていいのでしょうか。”初心忘るべからず”と言うではないですか。改 善の心はどこに行ってしまったのでしょうか。
 私は、日本人として、あのレストランを日本食レストランと言われるこ とにショックを受けました。日本人として、あんなどうしようもないサー ビスで、あんな雑煮を$15で売りつけるレストランをとても恥じる思いです。
 普通、ああいう小事件があったら、一言でもお詫びというか反省の念が 出てくるべきだし、自然に出てくるものだと思うのです。
 あんな不愉快な思いはもう二度としたくありません。他のお客さんにあ んな不愉快な思いもさせて欲しくないので、X店の人々に考え直してもらい たいです。
                     A子
@編集人です。
 さて、連絡事項がふたつばかしあります。
 まず、今月の井戸端会議がやってまいります。ちなみに、先月の参加者 数は6名でした。かなりおもしろかったです。やっぱり、6、7名で話す のが一番いいような気がしますな。
 今回のテーマは、前回と同じように、今月中に発行されたNutsの中に 出てきたネタならなんでもOKなのであります。何かのネタについて熱く語 りたい、あるいは、熱く聞きたいという方がいましたら、お気軽にご参加 ください。また、参加ご希望の方は、編集部(212-982-3348)までご 連絡ください。
日時:2月27日(木)午後6時半ー8時半 場所:日系人会    15 West 44th Street, 11th fl. (bet. 5 & 6 Ave.)
 次は、国際結婚の会「アップル・カップルズ」、略して「プルプル」の話。
 「プルプル」が、来たる2月21日(金)に日系人会にて「交流パーティ」 を行ないます。パートナーも引きずりこんでのイベントです。どな たでも参加できます。お気軽にお越しください。
日時:2月21日(金)午後6時半ー9時 場所:日系人会(住所は上記参照) 会費:10ドル
 とりあえず、わたくしが今年の「プルプル」世話人代表となりました。 したがって、「プルプル」に関するご質問などがありましたら竹永(212- 982-3348)までご連絡ください。
 今週は、そんなところですな。
 最近、かなり前に掲載された投書についてのご意見などが送られて来ま す。それらもできればご紹介したいのですが、あまりにもネタが古すぎる ために掲載できないのであります。
 古いネタについてお書きになる場合は、大体の概要も一緒に書いて頂け れば幸いです。よろしくお願いします。
 では、また来週。
                     編集人
  @「オザケンの問題・ふたたび」である。
 去年の12月3日号(NO.143)のNuts に、私は、小沢健二こと「オザ ケン」に関する文章を書いた。その文の内容はと言うと、「オザケンとい う歌手が唄う風景をテレビで観た。彼は凶暴なくらい歌が下手だった。な んで彼が歌手なる職業をこなしているかが、私には理解できない。きっと 別の付加価値があるに違いない。東大出で、おじさんはあの "Seiji Ozawa" だという。それにしても、歌が下手なのよね。でも、これが売れてるから 困っちゃうじゃないの。」てな感じであった。
 さて、この文章に対して、かなりの数の手紙、E-Mail が送られて来た。 それらのほとんどは、「オザケン弁護」の手紙であった。Nuts 紙上で紹介 したかったのであるが、ほとんどが「Nuts に出しちゃいやよ。」手紙だっ たため、残念ながら掲載できなかったのである。
 しかし、である。それらの意見の断片を紹介することはできるのである。 そんなわけで、ここでそれらの断片たちを列挙してみたいと思う。
 付け足しになるが、ほとんどの意見は、「オザケン様に対してなんてこ と言いやがるんだ! ひかえろ!」という感じのものではなく、「できた ら、ひろさんにもオザケンの良さを理解してほしい。」という、非常に ラブリーなものが多かった。
 では、始めよう。まずは、オザケンの歌唱力について。
 幸い「オザケンは、歌がうまい。」という意見には遭遇しなかった。み な一様に、彼が歌が下手であることを、たとえば、「演歌歌手みたいには 歌はうまくないけど・・・」というふうに認知していた。中には、「かな り下手」とまで言い切ってしまうオザケン派の人もいた。私は、それらの 意見を読んで、少なくとも自分の聴力は時代遅れになっていないことを確 認できて非常に幸せであった。
 というわけで、彼は、歌が下手である。
 彼の付加価値、つまり「東大出」であるとか、おじさんが「Seiji Ozawa」 であるなどという要素については、「そんなことは、どーでもいいので す。」という意見が大半であった。
 私は初めて知ったのだが、オザケンの両親は大学教授とのこと。でも、 それらの「毛並の良さ」というのは、オザケン派の人たちにとっては大し たことではないらしく、彼らがあくまでも「オザケンの魅力」と主張する のは、彼の歌や感性なのであった。
 というわけで、オザケン派の人々によると、彼はただの「東大出」の 「Seiji Ozawaの甥」ではない。
 それではここで、問題の「オザケンの歌と感性」についての意見をご 紹介しよう。
 オザケンを支持する理由の中で最も多かったのが、「彼の作る歌詞が いい。」というものであった。また、その歌詞の良さを説明する文の中で 最も多用されていたのは、「素直」という言葉であった。
 ある手紙にはこんなことが書いてあった。
 「かっこつけて、気取って、色々ほざいているより、他の人に何といわ れようと、彼の正直な感想や気持ちを歌にしたりしてるというのは、いい と思います。」
 なるほど・・・。
 また、彼のその感性を表わすエピソードとして、彼が自分の彼女を「子 猫ちゃん」と呼ぶということが、ある手紙に書いてあった。
 オザケンは、自分の彼女を「子猫ちゃん」と呼ぶらしい。
 まあ、彼が自分の彼女を「子猫ちゃん」と呼ぼうが、「モスラちゃん」 と呼ぼうが、「ガメラちゃん」と呼ぼうが、私たちにとっては、大したこ とではないのであるが、なにやらオザケンの感性の一端の見たような気が するのは私だけだろうか。
 ちなみに、この「子猫ちゃん」の話を関西人の友人に話したところ、 彼女は、「こういう男の子って、東京に多そうよね。もしこんな子が関西 に転校してきたら、きっと一番にイジメられるわね。」てなことを言って いた。
 確かに、オザケンは、関西人が嫌いなタイプかもしれない。
 話を戻すと、送られて来た手紙やE-Mailの中には、オザケンの歌詞や感 性が、その声と歌唱力にピッタリ合ってるという意見もあった。要するに、 部品の一部に乱れはあるが、それらを組み合わせていくと、全体的にはか なりいい製品になるという意見である。
 この辺のところは、私にはさっぱり分からん。
 てなわけで、私の「オザケン論」に対するオザケン派の人たちの意見は、 以上である。
 ところで、ある手紙にこんなことが書かれていた。
 「ひろさんは、Nutsの2ページ分も費やしてオザケンを非難してますが、 そんなにひどいものでもないということを分かって欲しかっただけです。 でも、ひろさんがそれだけオザケンについて語っているということは、オ ザケンはただの下手な歌手でおわらせられない、何か気にさせられるもの があったということでしょうか。」
 これは、当たっている。実を言うと、私はオザケンが気になってしょう がないのである。
 私は、オザケンの話を聞いてると、作家の田中康夫のことを思い出すの である。田中康夫とは、「なんとなくクリスタル」を書いたあの田中康夫 である。  田中康夫の登場は、私にとっては、かなりセンセーショナルな出来事で あった。それはなぜかと言うと、彼が現われた時期を境に、日本人の価値 観がグググと変わったような気がするからである。
 これは、あくまでも個人的な見解なのであるが、彼が現われるまで、日 本人の価値観というのは、どちらかと言うと、「根性、根性、ド根性」 だったと私は思う。でも、表面的でフワフワしててなんとなーくクリスタル な若者の生活を描いた、彼の「なんとなくクリスタル」の登場を期に、そ れまでの「なんでもかんでもド根性」価値観が、「なんでもかんでもクリ スタル」価値観にゴロリと変わってしまったのである。
 こういう価値観の変化を、「パラダイム・シフト」と言うらしい。そし て、この「パラシフ」とやらは、ジワジワ少しずつ変わって行くのではな く、突然、何の前触れもなくやって来るそうである。
 田中康夫の登場は、その「パラシフ」スタートの合図だったと私は思う のである。そして、彼の登場の時と同じ匂いを、私はオザケンにも嗅いで しまうのである。
 今、日本では大変なことが起きつつあるのかもしれない。
 なにはともあれ、今後も私はオザケンに注目していきたいと思う。
 話によると、オザケンは、「Olive」という少女雑誌に連載を持ってる らしい。それも読んでみたい。
 また、問題の「オザケンの歌詞」についても、もう少し突っ込んで調べ てみたいところである。それに関して、何人かのオザケン派の人たちが、 「テレビよりCDの方が聞きやすいですよ。」というアドバイスをくれた。
 テレビよりCDの方が”聞きやすい”・・・。
 やはり、今、日本では、とんでもないことが起こりつつあるのかもしれ ない。
                       ひろ
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『今週の歌』

「我が姿  鏡に写し  ひと踊り
       ケツの動かぬ  ”ぬりかべ”サルサ    ひろ」

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net


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