1997年3月4日号(No.147)


                     Nutsの表紙です



目次

*『”ぶりてんNuts”オープン』
*『VOICE』 ・投書「チップについて」 ・投書「いま、そこにある日本人の倒錯した音感」 ・編集後記 ・ひとりごと「ライバルの問題」
*『今週の歌』
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『”ぶりてんNuts”オープン』

 さて、「ぶりてんNuts」の話なのであります。
 以前お話ししました「NY生活情報掲示板・ぶりてんNuts」がとうとう オープンします。
 「ぶりてんNuts」をご存知ない方のために、ここで少し説明いたします と、この「ぶりてんNuts」というのは、インターネット上のホームページ を利用した「NY生活情報掲示板」のことなのであります。そのホームペー ジにアクセスした人が、自分が掲載したい情報、たとえば「求人・求職」 や「アパート・不動産」などの生活情報をその場でホームページに掲載す ることができるのです。つまり、「読者が作る掲示板」なんですな。
 「ぶりてんNuts」では、掲載できる情報をいくつかの項目に分けており ます。「求人・求職」、「アパート・不動産」、「売ります・買います」、 「その他」、そして、「オピニオン」。この他にも「おまけチャット」と いう名のチャット・コーナーもあります。
 また、日本からのいろんな情報もカバーできればと考えております。た とえば、「ライターが欲しい」だとか「アパート借りたい」なんちゅう情 報も掲載していただけたらなあーと思います。
 というわけで、「ぶりてんNuts」のアドレスなのであります。
 http://www.nyct.net/~nuts/
 掲載された情報は、毎週土曜日の夜にすべて消去されます。つまり、 掲載期間は、最長で1週間となります。
 この「掲載期間の長さ」に関しましては、多くの方から「短すぎるんで ないの?」という声をいただきましたが、私は、情報というのは、「寿司 屋のネタ」みないなもので、「回転」が命だと考えております。
 この「回転」というのは、別にネタケースの中のシメサバが、前転した りバック転したりしてる風景のことではありません。品切れしてもいいか ら、新しいネタをドンドン仕入れて、常時新しいネタを提供できるという 意味での、「回転」なのであります。
 てなわけで、掲載期間は、今のところ最長1週間でして、波に乗ってき たら、週に2回ぐらい情報の入れ替えができればと考えております。グル グル回転させちゃうのよ。
 私の予定では、この「ぶりてんNuts」が本当の威力を発揮するには、1 年ぐらいかかります。また、別の誰かが「ぶりてんNuts」に似たようなも のを作って、そっちの方がずーっと便利でカッコ良かったりして、「ぶり てんNuts」がかなり苦しむ展開も考えられます。つまり、「競争」が発生 するってケースやね。
 でも、そういう「競争」は、ニューヨークに住む日本人、あるいは、 ニューヨークに興味のある日本人にとっては、非常にプラスなのであり ます。だって、便利なものが増えるってことは、そこに住む人、そこと関 係したいと思う人にとって、ラッキー以外の何ものでもないからね。
 だから、できれば「競争相手」が出現してほしいのであります。とりあ えず、誰かが良いもん作ろうでないの。
 そんなこんなで、「ぶりてんNuts」が発進いたします。皆さんのご支援、 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 では。
                            編集人
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『VOICE』

@チップの制度は中世から近代にかけてのヨーロッパの階級制度に於いて 生まれました。
 今日では誰もが利用し、従事できる”サービス業”(ウエイター/ウエイ トレス、メイド、ボーイ、ガイド等)ですが、その昔、ヨーロッパの社会で は、サービスを提供する人間と受領する人間との区別がはっきり分かれてお りました。
 サービスを提供する人間は、貧しい労働者階級の人々で、現在のように労 働者を守る社会的システムが確立されていなかった当時、労働条件は劣悪で した。”下級層”という生まれながらのレッテルを貼られた彼らは、いくら がんばっても報われない運命だったのです。
 一方、サービスを受領する人間は、豊かな貴族階級の人々でした。この 豊かな人々が、自分達の贅沢な生活を支えるべくして周りに群がる貧しくて 可哀想な”サービス提供者”達に与えた無償の追加報酬が、チップなので す。
 それでは、なぜ、豊かな人々が、安くても一応は賃金を受け取っている サービス提供者たちにわざわざ追加報酬を与えたのでしょうか。
 当時のヨーロッパの上流階級の人々にとって、その豊かさを恵まれない 人々に無償で分け与えるのが美徳でありました(この精神が現在のいわゆ る”チャリティー活動”へと発展します)。しかしその美徳の裏側には、 上流階級、つまり支配層の、政治的思惑が潜んでおりました。
 彼らは、富を分け与えることによって、より多くの民衆を支配し、同時 に、自分達の権力を誇示したのです。従って、チップの制度は、昔の封建 制度での支配する者とされる者との力関係の名残りである、と言っても過 言ではありません。
 さて、この様に、元々はヨーロッパで生まれたチップの制度ですが、現 在、そのヨーロッパでは、南欧の一部を除き、チップの制度は消えつつあ ります。ドイツやスイスのレストランなど、ほとんど全て、メニューに” サービス料込み価格”と明示されており、チップを置く必要はありません。 但し、釣銭に端数のコインが出た場合(こちらの価値で言えば1ドルにも 満たない様な金額)、それを持ち帰らない人もいます。強いて言えばこれ をチップとみなしてもよいのですが、アメリカ流にテーブルに置きっぱな しにせずに、きちんと店の従業員に直接渡します。”枕銭”に至っては、 置いているのは日本人観光客位ではないでしょうか。
 では、ヨーロッパにおけるチップ制度の消滅の理由を考えてみましょう。 一言でいえば、チップの制度は”時代遅れ”なのです。サービス提供者の 労働条件の改善(それに伴なう賃金の上昇)、階級制度の崩壊により、サー ビス提供者と受領者を分け隔てているものが無くなりました。提供者が貧 乏で支配される立場にあり、受領者が豊かで支配する立場にある、といっ た昔の図式は、現在では当てはまりません。そして、何よりも、ヨーロッ パの消費者が考えたことは、サービス料をいちいち計算して払うのは面倒 であるし、現代の合理主義に反してる、という事ではないでしょうか。
 チップ制があるから競争原理が働きサービス向上につながる、というの も確かに一理ありますが、残念ながら、ここニューヨークでは、実際その ようには動いていないと感じられます。特に高級でもない、良くも悪くも ない、普通の日本食レストランで、適当な額のチップを置いたはずなの に、”足りない”と請求された経験は、多くの人にあるはずでしょう。 また、従業員のほうも、一見してチップが少ないだろうと思われる客には あらかじめチップを付け加えて請求することもよくある話です。サービス なんて良くても悪くても、とにかく勘定の15%以上は置かなければなら ないというのが義務と化しているのが現状です。そんなことになるのなら、 最初からチップ込みで請求すればいいのにと思います。チップ制度なんて やめてしまえばいいのに。この事は、日本人だけでなく、アメリカ人の中 にも同意する人は多いはずです。
 ところがどっこい、そうはいかないのが移民の国アメリカなのです。私 が思うに、このような時代遅れなチップ制が廃らない理由は、実は、アメ リカの都会でレストランやメイドの仕事に従事しているのは不法就労者が 多い、という事実ではないでしょうか。都合の良いことに、現行の税制下 では、現金での所得はその気になれば申告せずに隠すことも可能です。ア メリカのレストランで不法滞在して働いていても、チップという記録に残 らない収入のおかげで、税金を払わなくてもバレないし、移民局の捜査で も入らない限り、身元が割れて強制送還になることもないでしょう。
 一方、雇用者のレストラン等も、慢性的な人手不足を補うのにこの様な 不法就労者たちを雇うわけですが、不法就労者に与える賃金源として、記 録に残らない現金チップは雇用者にとって都合が良いのです。つまり、チッ プの制度は不法就労の”隠れ蓑”なのです。
 ひょっとしたら、新移民法など施行せずとも、チップの制度を廃止・不 法にしたら、かなりの数の不法移民が出国せざるを得なくなるのではない でしょうか。レストラン等に従事している不法就労者の数を考えてみれば、 業界、そしてアメリカ経済に与える影響はかなりのものになるのではない かと思います(もちろんこれは新移民法にも当てはまりますが)。
 そんなわけで、故郷ヨーロッパでは、完全に過去の遺物としてみなされ ているチップの制度が、ここアメリカに渡り、”アメリカナイズ”されて 存続しているのです。
 おもしろいですね。             滝沢真弓
@「いま、そこにある日本人の倒錯した音感」
歌が暴力的に下手なオザケンという「歌手」のCDに金を払って購入する 日本人が増えていることを、本紙によって教えられた。この現象は下手な 歌をすばらしいと感じる倒錯した感性の日本人が増えてきたことをはっき りと示している。
このオザケンという歌が暴力的に下手な歌手を支持する、その日本人の 倒錯した音感というのはあらゆる角度から分析するに値すると思う。本紙 で「いま、そこにある日本人の倒錯した音感」という特集を組んでもらい たい。
                    石井政之
@編集人です。
 別に異常なしです。
 でも、この3月はいろいろとおもしろくなります。
   では、また来週。            編集人
@さて、「ライバルの問題」である。
 ここで言う「ライバル」とは、「週刊Nutsのライバル」のことである。
    私は、ニューヨークで発行されているすべての日本語出版物は「週刊Nuts のライバル」と考えている。
 いかにそれが日本の大新聞であろうとも、全米をカバーする雑誌であろ うとも、日本語の出版物である限りは、「週刊Nutsのライバル」なのであ る。
 確かに、それぞれの日系コミュニティにおける役割や立場は違うし、 一概に「あいつは、ワシの競争相手なのじゃ。」とは言えないのであるが、 「おもしろい紙面作り」や「新しいマーケットの開拓」という点において は、他の出版物は、見事にこのNutsの「ライバル」なのである。
 そんなライバルたちの中で、最近、やたらと輝き始めているのがいる。 「ニューヨーク情報誌・OCS NEWS」である。
 「OCS NEWS」は、タブロイド版の隔週発行のニューヨーク日本語情報 誌で、ページ数は約60ページほど。読者の多くは、ニューヨーク在住の 日本人である。
 その内容は、著名人のエッセイあり、投書欄あり、生活に関する情報あ り、求人情報などのクラシファイド欄ありなど、より取りみどりふかみど り状態なのである。
 この「OCS NEWS」が、最近気になる動きを見せ始めている。なんと彼 らは、日本を攻め始めたのである。
 ここで少し、ニューヨークにおける日本語紙媒体の状況を説明しよう。  現在、ニューヨークには、約10万人の日本人が住んでいる。このこと を人に話すと、「いや〜ん、そんなに住んでるの〜?!」という反応をよ く受けるのであるが、所詮は10万人なのである。
 私の実家である熊本県八代市がちょうど人口10万人なのだが、はっき り言ってド田舎である。おもしろそうなものは、な〜んにもない。それは、 発行物に関しても言える。人口10万人では、大しておもしろいネタもな いし、何よりもまず、発行物をビジネスとしてやっていくことがかなり難 しいのである。
 この「発行物ビジネスの難しさ」は、ここニューヨークも同様である。 今現在、かなりの数の日本語紙媒体がニューヨークで発行されているが、 「クックックロジ(黒字)でラックラク(楽)〜」という会社は、私が知 るかぎりでは皆無である。みんな「ヒーヒー」言いながら、発行し続けて いるのである。
 ニューヨークの各紙媒体が「ヒーヒー」言うのは、先にも話したように、 ここにはたったの10万人しか日本人が住んどらんからなのである。全米 規模で見ても、おそらく4、50万程度だろう。この小さなマーケットに 恐ろしい数の紙媒体が存在しているのである。そりゃあ、みんな「ヒー ヒー」言うわな。
 そこで、おそらく「OCS NEWS」は考えたのだろう。「どっかにもっと 大きなマーケットはないかしら」と。そして、彼らは見つけたのである。 太平洋の向こう側の日本人人口1億2千万を有する小さな島を。
 てなわけで、「OCS NEWS」は日本を攻め始めたのである。
 でもよく考えると、この「日本攻め」は、当たり前と言えば、当たり前 の話なのである。
 これまで、ここニューヨークの日本語紙媒体は「ニューヨークまたは アメリカに住む日本人」を中心に攻めてきた。しかし、地球上には、もう 3種類の「ニューヨークの日本語紙媒体を読む可能性のある日本人」が存 在している。まず「アメリカ国外に住み、ただ漠然とニューヨークに興味 のある日本人」、次に「アメリカ国外に住み、将来ニューヨークに住みた いと考えている日本人」、最後に「現在アメリカ国外に住んでいるが、過 去にニューヨークに住んだことがあり、未だにニューヨークに興味のある 日本人」。そしてこの3種類の日本人が集中して住んでいるのが、太平洋 の向こう側の小さな島「日本」なのである。そしたらやっぱ、日本を攻め なしゃーないべな。
 現在「OCS NEWS」は日本の約百の書店で販売されている。これはおそ らく日本で激しく営業をかけた結果であろう。また、「OCS NEWS」は日 本で売られているニューヨークのガイドブックなどにもしっかり広告を出 している。出所を叩いて、こちらに来たらすぐに読者としてつかまえる作 戦なのである。
 私が思うに、ニューヨークの日本語紙媒体にとっての最高のマーケティ ングとは、将来こういうカタチになる。
 「日本にいる日本人の中で、”ニューヨークに住みたいなあ”と思って る人たちにまず読んでいただいて、実際にこちらに来てからも、すでにそ の存在を知ってるから、続けて読んでいただいて、日本に帰ってからも” ニューヨークが懐かしいなあ”と思う気持ちをなぐさめるために読んでい ただいて、その他の”ただなんとなくニューヨークに興味があるんだ〜” という人たちにもなんとなく読んでいただければ、非常にハッピーなので はないだろうか」。
 ニューヨークにおいてこの作戦、つまり「日本をひとつの巨大な読者 マーケットと見て、そこに殴り込みをかける」作戦を現在実行に移して いるのは、「OCS NEWS」とこの「週刊Nuts」である。となると、「OCS NEWS」は、その「日本攻め」分野において、Nutsの最大の「ライバル」 なのである。
 現在、日本でのNutsの読者は、1回の発行につき約8千人である。ほと んどがインターネット上の読者である。「OCS NEWS」が、どのくらい日 本でがんばっているか私にはよく分からんが、おそらく今のところ、読者 数に関しては、Nutsの方が一歩リードしているはずである。
 でも、油断はならない。また「OCS NEWS」が新たな作戦を仕掛けてく るかもしれない。
 ただ、どちらにしろ、日本にニューヨーク関係読者が増えるのである。 すばらしいではないか。
 お楽しみは、これからなのだ。
                         ひろ
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『今週の歌』

「”安ければ いいのか君は” トイレにて
             紙質向上  肛門に思う     ひろ」

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net


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