1997年7月29日号(No.177)


                     Nutsの表紙です



目次

*『NYの小グループについて』
*『VOICE』 ・投書「ある事件について」 ・投書「不倫について」
*『グリーンカードへの道・第3話』
*『今週の歌』
☆☆投稿及びライター募集「1万人の読者の視線に耐えられるか」☆☆
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『NYの小グループについて』

 さて、「NYの小グループについて」なのであります。
 わたくし、かなり前にこのNuts紙上にて、「NYにもいろんな日本人グルー プができたらいいなあ」という話をしました。NYの日本人社会は、今現在も 進化の途中でして、「ある程度熟したコミュニティになるためには、いろい ろな種類のグループが、ズコバコ出てくることが必要なんじゃないかしら」 というのが、その時の私の意見でした。その考えは、今でも変わりません。
 で、ここから本題に入るのであります。
 先日、「かがやく女性の輪」というグループの方から、「イベントをやる ので協力してほしい」という連絡をいただきました。
 この「かがやく女性の輪」というグループの存在は、前々から知ってまし た。初めてこのグループのチラシを見た時、「あらまー、やたらとまぶしそ うな名前だこと。」とわたくし思いました。そして、次の瞬間、私の脳裏に こういう思いがスッとよぎったのです。「こりゃ、宗教やね。」
 私は、どちらかというと、こういうグループに関する偏見というのが少な い人間です。でも、この「かがやく女性の輪」という名前を見た時の、私の 「こりゃ、宗教やね。」という反応は、偏見に満ちていおりました。だっ て、アナタ、この名前見たら、誰だってそう思わない?
 で、わたくし、この「かがやく女性の輪」の方と実際にお会いしたのであ ります。お話をうかがった限りでは、宗教軍団でも集団物売り隊でもありま せんでした。どちらかというと、健康的なグループのようでしたね。
 先にも書きましたように、向こうの方のご希望は、「私の協力」なのであ りました。私も基本的に「NYの小グループがんばれがんばれ」派ですので、 一応、「いいですよ。」とお答えしておきました。ただ、その後に「でも、 ワタシ流に協力します。」と付け加えておきました。てなわけで、今回、こ んなふうにシコシコ書いておるのであります。
 このグループが、今週末にイベントをやります。
講演と鑑賞会「今、私たちにできること」  日時:8月1日(金)7:00-9:00pm(開場6:30pm)  場所:St.Peter's Church (619 Lexington Ave. at 54th St.)  参加費:30ドル(連絡先・212-496-7690/252-1232)
 最近、だいぶマシになったのですが、ここNYの日本人社会には、新しくで きたグループを疑心暗鬼の目で見るクセがまだまだあります。それは、私に も言えることです。
 でも、こういうクセというのは、あまり健康的なものではありません。ど ちらかというと、「とりあえず、やってみーや。」という姿勢の方が、明か るくて建設的のような気がします。
 ですから、私たちも、もっと太平洋のような広い心で、こういう小グルー プを見守ってあげるべきだと思うのです。見守るだけじゃなくて、積極的に 踏み込んでみるのもおもしろいかもしれません。そして、もしイヤだった ら、サッサと抜けてしまうのです。その時も「いやー、あのー、そのー」と いうふうにウジウジせずに、「ハッハッハッハ。イヤです。」と明かるくバ イバイすればいいのです。
 なにはともあれ、「NYの小グループがんばれがんばれ」の姿勢で行きま しょう。
 では。                  編集人
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『VOICE』

@「ある事件について」
 先日、友人から電話で酒鬼薔薇聖斗(さかきばら・せいと)が捕まったこ とを知らされたとき、犯人が中学生と聞いてすぐに私は二つの事件を思いだ した。一つは昨年福島駅前で「切腹」した中学浪人。そしてもう一つは先 月、セントラルパークで起こった15才の高校1年生二人(うち一人は少 女)による44歳の不動産業者殺人事件だ。早速私は数週間前のNew York 誌を探し出し、その事件を扱った特集記事をあらためて読み返してみた。そ して、事件に対する日米の反応の違いに少々驚いた。もちろん、同じ殺人事 件といっても残忍なやり方で、2人が殺された日本の事件と、ナイフで刺さ れるといった「ありふれた」殺され方をされたセントラルパークの事件で は、すべてを同等のレベルで比較するわけにはいかないだろう。しかし殺人 は殺人である。しかも同じ時期に、同じような年齢の子供によって起こされ た。比較して全く無駄であるとも思えない。
 私の興味を引いた大きな違いは主に以下の二つである。
1)米国では本人の実名、写真、両親の写真すべてが公表されたが、日本で は実名はもちろん、写真掲載も違法(一誌だけ顔写真を載せた「フォーカ ス」が論争を巻き起こす)。
2)米国の報道では事件の背景として都会の少年ギャングの存在、犯人の精 神的トラウマ(いじめなど)、そして家族の問題に焦点をあてていたが、日 本ではもっぱら学校側の責任が問われ、犯人の親は同情の対象ともなった。
 まず1)について。私は事件のあと偶然、アメリカの少年法をリサーチす る機会に恵まれた。それで知ったのだがアメリカでも罪を犯した少年(州に よって若干定義は異なるが、おおよそ18才未満)の実名は、基本的に明か さないらしい。また裁判と言ってもヒアリング中心であくまで少年の更生に 重点を置いている点も日本と似ている(というより日本の法律が米国のそれ を手本に作られている)。その中で最も違うと感じたのが殺人やレイプなど の凶悪犯罪に対する処置だった。そういった場合例外として、裁判官の判断 で少年でも大人と同様の裁判を受けることになるそうだ(つまり陪審員つき の裁判)。不幸なことにその例外となる「適用範囲」は年々広くなっている という。そして州によっては死刑の最低年齢は事件当時16才(ただしNY 州は18才)。現在、死刑を宣告された未成年死刑囚も全米に58人いるそ うだ。
 私は個人的には死刑制度に反対で、ここでも「酒鬼薔薇を死刑にせよ」と 言ってるのではない。
 だいたい犯罪率や社会システムが異なる米国の法律をすぐに日本に移植で きるわけでもない。私がここで問題にしたいのは、過去50年間、何度も論 議の的になりながら一度も改正されることのなかった日本の少年法の「硬直 性」である。そしてさらに懸念されるのはこの「硬直性」が少年法だけでな く、日本社会のあちこちに見られる点である。特に「硬直性」が「伝統」と いう甘美な言葉で包まれる時は注意しなければならない。
 そして2)の問題。日本では酒鬼薔薇が自分のことを「義務教育の犠牲 者」と呼んでいたことからも学校教育の在り方があらためて問題にされてい た。対照的に私が読んだNew York 誌の7ページにわたる特集記事の中には 「教師の責任」といったような記述は皆無だった。だいたい「教師」という 言葉さえ出てきたかどうかわからない。記事の中で問題にされていたのは犯 人の心理的要因、あるいは親子関係だった(逮捕された少年は抑鬱薬を服用 しており、少女は養子だった)。
 一方の日本。私は橋本首相が語ったといわれる「どうして慕えるような教 師がいなかったのか」というコメントに異議を唱える。私は橋本さんに聞い てみたい、「あなたがもし彼の担任だったら、どうやって自分の家で隠れて 人間の肉が飛び散り、臓器が空を舞うようなビデオや漫画を見ている少年 に、その行動を戒めるように警告するですか?」と。警告どころか、そう いった危険性にどうやって気づけというのだろう。1学級30〜40人の生 徒に対して、そこまで目の行き届く教師などいるはずないだろうし、もしそ んな教師がいたら私は逆に恐怖を感じる。そもそも教師=人格者という神話 がいけないのかもしれない。第一、教員採用試験だって人格を見るようには 作られていないのに、どうして私達にサラリーマン化した教師(特に公立) を責める権利があるのだろう。今の日本の現状を見ればこの手の事件はどこ でも起こり得るわけだし、神戸の中学校が日本で最悪の学校であったとも考 えられない。そう、やはり変えなければならないのは「日本の現状そのも の」ではないだろうか。
 たとえば、酒やタバコだけあれほど規制しておいて暴力的なメディア(映 画、ビデオ、マンガなど)を野放しにしているのもおかしな話だ。たばこを 吸って人を殺した人間は私の知るかぎりいないが、ホラー(バイオレンス) ビデオに影響されて人を殺した人間はいくらもいる。もちろん、暴力を米国 のように規制(X指定)したからといって犯罪がなくなるわけではなく、今 回のような事件が起こらないという保証もない。しかし、事件再発の要因の 一つくらいは排除できると思う。ただ、私は暴力的なメディアをなくせと いっているのではない(もちろん検閲も大反対)。その年齢制限を酒・タバ コくらいに厳しくしてもいいんじゃないかと言っているのだ。例えばビデオ ショップで学生証なり、生徒手帳を見せるとか。
 それに少年法の改正。何をどう変えるのかは専門家に任せたいが、とにか く現状のままでは将来に大きな不安を抱かざるを得ない。昨年シカゴで12 才の少年が5才の幼児をビルから突き落とすというショッキングな事件が あった。当時のイリノイ州の法律では13才未満の少年を少年院に送ること はできなかったが、その事件を機に法律が改正され、少年は21才まで刑務 所で暮らすことになった。日本でもし12才の少年が宮崎勤のような幼女連 続暴行殺人を犯したら日本の法律はどう対処するのだろう?
                      原口光弘
@今日は初めてNutsの議題に対して意見させてもらいます。もちろん議題は 『不倫』です。ポイントは2つです。
 まず一つ目。いきなりですがヒロさんが持ち出したお話として、『ついで に、日本のオフィス・ワークの生産性が諸外国に比べて低いのは、不倫が原 因ではないかと私は考えます。まあ、他にも、いろいろと原因らしきものが あるとは思いますが、不倫が、その生産性の低さに力強く関与してること は、否定できないのではないでしょうか。』ってのがありますが、これはい くら何でも「???」です。
 このお話、まるで「日本の不倫=会社内不倫」という、あまりにも過激な リクツのような気がします。まあ確かに社内不倫の話は巷にあふれています し、Nuts氏がそう言いたくなる気も解らない訳ではありません。
 ここで日本のオフィスワークの生産性について、あれこれ数式や統計、学 説等を持ち出す気はありませんが、今回はちょっと勇み足だったような気が します。穿った見方をすれば、上の表現はもしかしてヒロさんが読者の本音 を聞きたいがために、わざと書いたのでは? これを書くことによって、読 者の注意を引こうとしたのでは?等々考えたりしてしまいます。まあ理由が どうであれ、上の因果関係はおかしいと思います。
 それともう一つ。
 『ちなみに、アメリカでは、その抑制する役目を「宗教」が背負っておる わけですが、日本には、そういう意味での「宗教」はありません。だから、 言論界の”一部”が気合を入れて「不倫はいかんよ。」と言うべきなのです が、まったくやろうとしないのです。その結果、不倫に関する議論が生まれ ず、人々は、ただ流されるようにズルズル不倫してしまうのです。まあ、 「なあなあ」な国の「なあなあ」な言論界に期待するのが間違いなのかもし れませんが・・・。』
 この点についても「???」です。端的な例を申し上げましょう。あの 『マディソン群の橋』が出たときに、米国の宗教界が「不倫反対」「悪書の 出版中止」などと声を上げましたか? 米国の言論界が『マディソン群の 橋』を不倫小説という観点から、倫理的に宜しくないと責め立てるような議 論を起こしましたか?
 問題はバカ売れした『失楽園』という不倫小説がたまたま過激な性描写を 含んでいてたために、その後に俗な雑誌や新聞が作り話である小説の実例を 現実世界に求め、便乗特集を組んで社会現象っぽく仕立て上げたからなので は? しかも言論界にも宗教界にも、不倫行為を責め立てなければならない 義務などありません。それを今回の議論のように、日本社会の「なあなあ」 的体質を結びつけるのは、あまりにも話が飛躍しすぎているような気がしま す。
 とまあグダグダと意見を申し上げましたが、結局のところ私も不倫を肯定 的に受け止めることはできません。やってもやられても、気分の良いもので はありませんから。それに、不倫を描いている小説、映画、ドラマは、決し て不倫を前向きに評価している訳ではありませんし、そういう虚構の中のお 話をネタにする雑誌や新聞の記事は、私はあくまでも人間誰もが持ってい る、覗き見趣味な嗜好を満たしている玩具なのではと思っています。
 長くなりましたが、今回の議題について私が思っていることを、初めて Nutsにぶつけてみました。ご意見お待ちしております。
                   AKIHORO
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『グリーンカードへの道・第3話』

 グリーンカードのインタビューの日が、ジリジリと近づいている。
 インタビューの際に一番気になるのは、「一体何を聞かれるのかしら」と いうことである。映画「グリーンカード」を観ると、お互いの食い物の好み のような細かい事まで聞かれている。うちのかみさんも「インタビューの 時って、歯ブラシの色とかも聞かれるかもしれないから要注意よ。」と私に 言っていた。
 また、インタビューの時は、別々の部屋に連れて行かれ、個別に質問を受 けるという話もある。
 でも、これらは、本当なのだろうか。私の友人の中には、住所と名前を聞 かれただけで終わったという人もいるし、別々の部屋に連れて行かれること もなく、仲良く一緒に質問を受けた人も多い。
 例えば、こんな話がある。
 2人が緊張する中、インタビューが始まった。
 持参した結婚後の写真を見ながら、突然、係官が無愛想に質問した。
 「これなに?」
 「こ、こ、これは、カ、カ、カメです・・・」
 係官は、写真の中のカメを指差していた。
 「どこの?」
 「ハ、ハ、ハワイの・・・」
 「あ、そう。」
 それでインタビューが完了したケースもある。
 ただ、確かに別々に質問を受けることもあるらしい。
 これも私の友人(日本人女性)の話だが、彼らの場合、別々に質問を受け たそうだ。
 最初に彼女がインタビューを済ませ、ダンナが帰ってくるのを待っていた のだが、これがなかなか帰って来ない。「何かヤバイことしゃべったんじゃ ないかしら。」と彼女が心配してるところにやっと彼が帰って来て言ったそ うな。
 「いや〜、共通の友達がいて、世間話してたんだ。」
   「カメ」の例のように、インタビューの際には、結婚していることを証明 するための写真を持参することになっている。中には、気合いを入れて、写 真を山のように持ってったら、係官に「こんなに持ってきたの。」とイヤミ を言われた人もいる。また、写真一つひとつについて、あまりにもクドクド と説明したため、「もういい。」と係官をうんざりさせた人もいる。なかな かおもしろい。
 私たちの場合も、結婚式の写真と無理矢理撮ったカップル写真数枚を持参 することにしている。
 でも、ひとつ残念なのは、私たちのアルバムに「カメ」の写真がないこと である。カメの写真を指差しながら、「これなに?」と聞かれた時、「それ は、クジラです。」と答えたら、係官は一体どんな顔をしただろう。
 試してみたいような、みたくないような・・・。
                         Hiro
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『今週の歌』

  「妹に 本の表紙を 頼んだら
        最初にボソリと ”で、いくらくれるの?”  ひろ」
 

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net


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