Nutsの表紙です
目次
*『Nutsコラム』 ・コラム『小さな話』 ・コラム『ミラー家のヨメ』 ・コラム『Village 日記』
*『VOICE』 ・投書「不倫について:私の意見」 ・投書「ニューヨークの”プリクラ”」
*『クリーンカードへの道・第7話』
*『今週の歌』
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『Nutsコラム』
先週もお話ししました「Nutsライター」の皆さんが書く『Nutsコラム』 が、今週からスタートします。
これまでに十数名の方からご連絡をいただきまして、そのほとんどの方が今 後「Nutsライター」として書き書きすることになっています。
毎週、その中の4、5名のライターの方にそれぞれのコラムを書いていただ きます。また、コラム名は、朝日新聞の『天声人語』のように通しで使用され ます。
それでは、「Nutsコラム」、お楽しみください。
「週刊Nuts」編集部
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『小さな話』
知り合いから聞いた話です。
「今、110番に寂しい人からの電話が多いんだって」。最初は日本語電話相 談の110番に、そんな電話が沢山かかってくるのかと思いました。
ところが違った。日本の、あの、警察に繋がる110番。つまり、110番通報 のことだったのです。
24時間体制の110番。たしかにかければ繋がるでしょう。受験に失敗した予 備校生や、一人暮らしのおばあさん、そして、深夜の酔っ払いさん。「誰かの 声が聞きたい」人からの電話は後を断たない、とか。
夜、友達の誰にかけても留守番電話とか長話できないような雰囲気に、なん となく受話器を置いてしまう。でも、誰かと話していたい。そんな寂しい夜、 ありますね。ひとり暮らしの時は特にそうだった気がします。
布団をひっかぶって眠るとか、読めずにいた本をひたすら読むとか、忙しく て見られずにいたビデオを見るとか。
それでも、自分ひとりだけがこの夜の中に置いていかれるような、そんな途 方もなく大きなものに飲み込まれていく感じ。朝が来るのを待つしかないよう な、漠然とした不安。
たまに友達に話してもお説教されたりなんかして。ただ、「うん、うん」と 話を聞いてもらえれば楽になることもあるのに。それって「甘えている」ので しょうか。
110番にかかってくる電話は、夕方から午前1時頃までがピーク。最近では 瞬間的に繋がらなくなることもあるという。中には本当に危ない目に遭って 110番に電話している人もいるでしょう。
寂しいからかける電話で、もしも本当に必要としている人からの電話が繋が らなくなってしまったら…。
川村 彩乃
『ミラー家のヨメ』
結婚前は、「アメリカには、嫁と姑のいざこざが無いだろう」という幻想を 抱いていた。
この国には、日本人と良く似た気質の民族もいるが、未来の夫は、アイルラ ンド系で、母親も優しく聡明な女性だったので「彼女なら口うるさくない」 と、結婚の日を指折り数えて待った。
最初の暗雲が立ちこめたのは、彼と同居する日が数ヵ月に迫った頃だった。 彼との間で私の飼い猫をどうするか?という話題が、たびたび出るようになっ た。不審に思って問いただしてみると、母親が彼の喘息を心配しているとい う。「なんで今頃・・・?」。彼は、大型犬と猫達が駆け回る環境の中で生活 してきたのだ。
「人にあげた方が良いのではないか?」というのが、彼女の意見であった。
ペットは、喘息の敵!という意見は、もっともである。私も同感だ。が、し かーしっ!息子の為にペットを手放さなかった人が、言うべきではないのでは ないのだろうか?
常識を宇宙の彼方まで飛び越えた彼女の台詞に愕然としながら考えた。
「彼女が口に出す問題ではない」と、彼か私のどちらかが言った方が良いだ ろう? 日本人が相手なら、息子が言った方が角が立たない。アメリカ人の場 合も同じなのだろうか?
ぐるぐる考え込んだが、真っ白なまま答えが出ない。「キミが言えば?」。 あっさりと彼。やけに私が言うべきだ!と主張する。理由を尋ねると母親と言 い争いをしたくないのだと本音を漏らした。おいおいおい・・・・・・。
未来の姑と友好関係を築いていくには、異文化間を行き来する外交官(彼) の協力が必要不可欠なのでは? 気分は、ビートルズの「Help!」そのもの。
姑対処法を日本式で行うべきか否かそれが問題だ。他のカップルは、こうい う時どうするんだろう?
欠伸をしてテレビを見始めた呑気な婚約者を横目に頭を抱え込んだ。
香月葵
『Village 日記』
3年前のあの夏、楽しかった大阪の街に束の間の別れを告げてJFKに降り 立ったとき、だれがこんな予想をしただろう。その2年と半年後の2月14 日、ラスベガスの”愛のチャペル”で永遠の愛を誓った私。
話は当時に遡る。生まれて初めての海外生活、ルームメイト、ウエイトレ ス、そしてビンボウ。毎日が踏んだり蹴ったりで、英語を学ぼうとわざわざ海 を越えてやって来たというものの、英語を話す機会はクラスかデリのオヤジぐ らい。アメリカに不幸になりに来たのかと思ってたそんなある日、ルームメイ トと大喧嘩の末、一大決心した。
「アメリカ人とシェアしようっと。」
思いたったが吉日女を自称する私。「幸せは歩いて来ない、だ〜から歩いて 行くんだよ〜」と、NYで水前寺清子の鼻歌ほど似合わないものはないと知りな がらもVillage Voiceを小脇に抱え、足早に真夜中のアムステルダム街を家路 に向かって歩いて行った。
その日は雪がちらつく寒い夜だった。ルームメイトになるかもしれないその 人の部屋を見にグリニッジ・ビレッジに向かっていた。おそるおそるブザーを 鳴らすと、”Hi”と極上のスマイルで出迎えてくれた彼は残念ながら私のタイ プではなかったが、それよりも、100年は経ってるであろう古いアパートメ ント、煉瓦造りの生きた暖炉と壁、高い天井に瞬間にして恋に落ちた。この 際、ルームメイトはどうでも良かった。
ちょうどその日は私の誕生日で、「きっと神様が私に与えてくれたんだわ」 と調子のいいことを思ってた私。そして最近になって気づいたのが、神様が与 えてくれたのは部屋ではなくて、かけがえのないパートナー。そう、そのどう でも良かったルームメイトが私の今のだんなさま。人生はほんとに何が起こる かわからない。まさに、事実は小説よりも奇なり。
絵夢
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『VOICE』
@『不倫について:私の意見』
アメリカにはかなり長く住んでいますが、まあアメリカ全体の傾向がどうの こうのとまでは言えるほど深く観察しておりません。私の経験から、この ニューヨーク周辺の典型的なホワイトカラーの職場での不倫について述べさせ ていただきたいと思います。
日本での不倫って、だいたい職場関係が多いんじゃないですか。職場の上司 が部下の女性を誘惑するとか、部下の女性が男性を誘惑するとか。私の周辺で も、日系企業では、日本から不倫相手を追っかけてこちらに転職してくるなん て話を実際に耳にしているし、また職場の日本人女性を誘惑しているのも自分 の周辺で目にしています。
以前アメリカの企業で働いていた時に、なぜそんなことがなかったかと考え てみたら、かなり厳しいセックスハラスメント規定があったからで、宗教が抑 制してるなどと高尚な理屈ではなく、もっと実際的な理由からだったと思いま す。セックスハラスメントの派生として、単に性的いやがらせだけでなく、職 場で部下の(普通多いのが)女性と極端に親密になると、必ず周囲の同性か ら、XXX関係を利用して、成績考査を甘くしているとか、楽で特する仕事を あてがわれるとか等の苦情が必ず起こるので、職場内での親密な男女交際はむ しろ白い目でみられていました。
タイトルが異なれば(たとえば、秘書と管理職)、純粋に仕事以外の話題 は、ごく差し障りない話題ばかりで、仕事帰りに食事でもなんてまずは有り得 ませんし、そんな事をしたら、親切心からでも、まずセックスハラスメントの 苦情が持ちもまれるだけです。
私生活での交際範囲は、顧客の接待を除いては(だいたい昼食)、むしろ職 場と無関係でした。ところが日系の企業に移ってみて驚いたのが、すべて職場 単位での交際。休日も上司同僚とゴルフ、平日の夜は同僚と飲み会、または上 司とともに日本人取り引き先の接待、奥方は日本本社にいた頃の職場の同僚か 部下、365日すべて職場に関係しているのです。だから、不倫の相手も職場 でなんて多いのもうなずけます。日本人の若い女性も、よろこんでついて行く んですよね。その関係が噂にのぼって、他の日本人女性は不公平と思っても、 セックスハラスメントの苦情をまずは持ちこまないんですよ。まあ、嫉妬深い と思われるだけで、上司や人事部も相手にしないからでしょうね。
この不倫関係に関して、他の同僚女性が成績査定で不公平であると苦情を持 ち込みだしたら、日本でも職場内での不倫は極端に減るとおもいますよ。以前 のアメリカの企業で言われたのは、実際にXXXの関係があったかどうかは問 題ではなく、周囲にそんな誤解を生ませるような雰囲気を作ったのが問題で あって、それが直せないなら、清い関係であろうとなかろうと、しかるべき評 価を下されるというものでした。
こういう問題は、宗教論などと高尚な理論ではなくて、実際の仕事上でマイ ナス評価がでるかどうかというごく実務的な制度が関係しているんじゃないで すか。アメリカの職場でも、セックスハラスメント運動の盛んになる前には職 場不倫も結構あったらしいし、現在でもワンマン社長がぎゅうじるような中小 企業ではまだ問題が横行していると思います。結構大きな企業でも、時々問題が生じていますが(昨年も大手のスエーデン系の薬品会社でもスキャンダルが ありました)、セックスハラスメント運動の高まりとともに職場不倫もだんだ ん姿を消すんじゃないでしょうか。いずれ日本にも、その余波は来ると思いま すよ。
NYバガボン
@『ニューヨークの”プリクラ”』
ある猛暑の昼下がり、イースト・ビレッジのアスタープレイスにある「K マート」へショッピングへ行った。すると入口近くの写真コーナーには、子供 連れや、学校帰りの中学生、高校生が集まっていた。よく見るとそれは日本の 小・中学生の間でビッグ・ブレークした「プリクラ」であった。「キャラオ ケ」、「タマガッチ」に続き、ついに「プリクラ」までもアメリカに上陸した のである。
輸入元のアップル・ミュズメントへ問い合わせしたところ、証明用写真ブー スを捜していたが、見当たらず、代わりに同様な機械で「プリクラ」が日本で 大流行していることを知ったそうだ。これはアメリカでも受けるのではないか と思い、日本の代理店を通してアメリカへ持ってくる企画を立てたが、日本で の需要と供給が追い付かず、入手するまで一年もかかった、という。3週間前 からテスト期間としてブロンクス、ロング・アイランド、ブルックリンと、こ のイースト・ビレッジの「Kマート」、そして、34丁目のニューヨーク・ モールに設置した。評判はとても良く、フランスの会社などからも、どのよう に仕入れたのかという問い合わせがきているらしい。
アスタープレイスの「Kマート」の「プリクラ」のマネージャー、ロアンダ さんは、「大方の人は偶然にここへ来てこの機械に遭遇し、すぐ可愛いプリン トが出来、その上、ステッカーになるので面白いのでないか?」という。年代 は上は70才ぐらいのお年寄りから、下は子供連れの母親や学生まで、幅広 い。主な使用目的はノートブックやサンキューカード、手紙などに貼ったり、 トレーディング・カードとして交換もしている。
面白い例として、毎週65才位の婦人が来るそうだ。祖国の孫にでも送って いるのであろうか?
ちなみに、値段は16枚で3ドル。アメリカでは「ネオ・プリント」と呼ば れている。
森本真理子
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『グリーンカードへの道・第7話』
それは、衝撃の風景であった。
移民局の8階の待合室で、イスに座りながら、「わしらの番はまだかいな」 と待っていた私たちの目の前を、ビニール袋を持った中国人のお兄さんが横 切ったのである。
彼はそのままカウンターに歩み寄り、持っていたビニール袋を受付のお姉さ んに差し出した。それは、チャイニーズ・レストランからのデリバリだったの だ。
彼の正体に気づいた瞬間、私の脳裏をこういう思いが駆け抜けた。
「この兄ちゃんは、一体どうやって移民局に侵入したのだろう?」
彼が入口のあのながーい列に並んだとは考えられなかった。チャイニーズ・ レストラン側もそんなことまでして4ドル50セントの焼飯を売ろうとは思わ ないだろうし、オーダーする側も永遠に来ないデリバリをお腹を空かせながら 待つはずがなかった。
ということは、このデリバリ兄さんは、あの列をスキップしたのである。で は、どうやってスキップしたのか。
移民局が、彼らにある種のパスを持たせているのだろうか。う〜ん、そんな ことしたら、海賊版作りが得意な中国人軍団によって、その摸造品のパスがす ぐに出回って大騒ぎになるはずだ。
入口のガードマンが、オーダーした人に下から電話で確認するという可能性 もある。でも、もしその人が電話に出なかったらどうするのか。ガードマン は、犯人が電話に出るまで電話を掛けまくるのか。デリバリ兄さんは、その横 で、冷たくなり始めたチャイニーズ料理を持ったまま、ボケーと突っ立っているのか。
いろいろ考えた結果、デリバリ兄さんたちは、きっと「これ、8階のダレダ レに頼まれたんだ。」と言って、正々堂々と胸を張って移民局に入って来たに 違いないという結論に落ち着いたのである。
つまり、いかにも「デリバリ兄さん」のような出で立ちで、「チャイニー料 理が入った袋」のようなものを持って、「これ、何階のダレダレに頼まれたん だ。」というようなことを言えば、移民局にデカイ顔して入れる可能性がある のだ。
私が、「デリバリ兄さん」のような出で立ちで、「チャイニーズ料理が入っ た袋」のようなものを持って、「これ、何階のダレダレに頼まれたんだ。」と いうようなことを言って、移民局侵入に成功したとする。1度成功したら、あ とは楽勝だ。回を重ねるごとにガードマンの私に対する「デリバリ兄さん」と しての信用は増すことになるだろう。すばらしいアイデアではないか。
目の前にいたデリバリ兄さんが歩き去った後、片手にチャイニーズ料理を 持って、悠々と移民局に入ってくる自分の姿を想像しながら、私は「すごい ぞ、すごいぞ。」とひとり日本語でつぶやいていた。
そんな私にかみさんが言った。
「おめえよお、英語しゃべれや。」
それは、感動の8月6日の午後1時半過ぎであった。
ひろ
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『今週の歌』
「十字切り お祈りかます 横の彼
ハンバーガーも しあわせそうな ひろ」
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投書、意見、感想もどうぞHiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net