1997年9月30日号(No.186)
Nutsの表紙です
目次
*『ラジオの話』
*『Nutsコラム』
・コラム『弱肉強食』〜留学生のゆううつ〜
・コラム『寄り道』〜イスラエル編3〜
・コラム『優柔不断』
・コラム『日本政治の馬々虎々』〜第2回 「民主国家ニッポン」〜
*『グリーンカードへの道・第12話』
*『今週の歌』
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『ラジオの話』
さて、ラジオの話です。
なんと10月1日(水)からここニューヨークで日本語のラジオ番組がス
タートするのであります。
その名も「jam jam」。
放送は、火曜日から金曜日までの午後11時ー12時の1時間。周波数
は、1380-AM。日本の音楽や最新情報などをリスナーの皆さんにお届けする
そうです。また、毎日違うDJが出演するとのこと。なかなか楽しみな展開で
はないですか。
ところで、ニューヨークでは、これまで数々のラジオ番組が失敗してきま
した。その原因は、ただひとつ。広告を出してくれるスポンサーが付かな
かったことです。要するに、ビジネスとしてラジオが成り立たなかったから
なのであります。
なぜスポンサーが付かなかったかと言いますと、ニューヨークの日系のメ
ディアに広告を出すような企業は、「ラジオ」が自社の宣伝媒体になるとは
考えてないのであります。「日本語のラジオなんて誰も聞かんから、そんな
とこにワシらのCM流しても意味ないやないの」というのが彼らの正直な気持
ちだと思います。
だから、この街では、これまで日本語のラジオが存在し得なかったので
す。だって、ラジオが金もうける方法って、CMしかないからね。
で、そういう状況の中に登場してきたのが、今回の「Jam Jam」なのであ
ります。
この「週刊Nuts」紙上も盛んに言ってましたように、この街には日本語ラ
ジオが必要なのです。ラジオというのは、テレビとか紙に比べて、「音さえ
ありゃ、なんとかなるわい」的お手軽メディアなのであります。そういう意
味で、非常にコミュニティー向きな情報発信手段なのですな。
今現在、ここニューヨークには、ホントの意味で地域に密着し、比較的頻
繁に情報を流してくれる日系メディアというのが存在しません。だから、今
回の「jam jam」には、とってもとっても期待しているのであります。
そんなわけで、Nutsは、「jam jam」を全面的に応援します。
はっきり言って「先にやられてクヤしいわ」という気持ちもあります。私
たちも長々と「ラジオやりたいのう」と言い続けてきましたからね。ただ、
この時点で必要なのは、日本語ラジオが有効な広告媒体であることをだれか
が証明することなのであります。でないと、日本語ラジオは、いつまで立っ
ても、ビジネスとして、つまり、継続を目的とする活動体として、この街で
存在し得ないのです。
もし、「jam jam」が失敗したら、ラジオの広告力を信じない人たちは、
「ほら、やっぱりね」と思うはずです。そしたら、その後遺症のために、あ
と2、3年は日本語ラジオは出てこれません。そういう意味で、「jam
jam」には、是非ともがんばっていただかねばならないのです。
「じゃ、私も応援しようかしら」と思ってる方々もいることでしょう。そ
こで、「でも、どうやって応援していいのか、わかんな〜い」という方のた
めに、正しい応援の仕方をお教えします。
方法は、至って簡単です。「jam jam」を聞けばいいのです。そして、そ
こに流れるCM に反応してあげればいいのです。もし、そのCMと同じものを
テレビや紙で目にしてた場合でも、「あ、ラジオで聞きました」と言ってし
まうのです。そうすることによって、広告主側は、「おっ、ラジオ聞いてる
でねえの」と思い、広告代(金)を「Jam Jam」に供給し続けるのでありま
す。
みんなで「jam jam」を聞こー。そして、「あ、ラジオで聞きました」と
言おー。
さて、話は変わって、Nuts絡みのお知らせです。
毎週毎週、いろんなところにシコシコと「週刊Nuts」Eメール版を送ってた
甲斐がありまして、この9月より、日本のラジオ局である「FMふくやま」に
「ナッツ・コーナー」というのができたらしいのであります。
すばらしい。パチパチパチ。
これは、「ニューヨークのプリクラ事情」だとか「在外投票権と永田町の
マルチメディア度」などというふうに、毎週お送りしている「週刊Nuts」か
ら特定の記事を抜粋し、それを紹介するコーナーらしいです。
ちなみに、毎週火曜日午後4時半ごろに放送されるそうです(聞けるもん
なら、聞いてみい)。
いいですねえ。こんな感じで、いろんな人たちと協力しながら、楽しいこ
とやっていきたいですよね。
もし、このNutsと一緒に何かやりたいというテレビ、ラジオ、新聞、雑
誌、ミニコミなどがありましたら、お気軽にご連絡ください。
以上です。
では。 Nuts電子電波部
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『Nutsコラム』
『弱肉強食』〜留学生のゆううつ〜
A: 人生イマこの瞬間にすがっちゃダメだよね。まだ何も始まってないし。社
会人にすらなってないのに。
B: 停滞期とか思ってても、自分で気付かないだけで、前進はしてるんだっ
て。
C: ねえ、何メジャー?
D: 旅行しようと思って。学校の事なんかぱっと忘れたいよ。
E: 先週ペーパー10枚仕上げないといけなくて、たばこすいすぎて頭痛い。
F: ノート盗まれた...
G: 誰かルームメイト探してる人知らない?
H: 卒業後プラクティカルトレーニングビザ申し込む? あれ一生に一度なん
だってね。
I: ミッドタームとか始まるとねれないからさあ。
J: トランスファー? 前、どこいたの?
K: 親のすねばっかりかじれない。日本食レストランでバイトしようかと思っ
て。
L: やっぱ、夢はでかい方がいいっスよね。
M: えっ、そこ安い。うちの学校、その倍するよ。
N: 日本語のtutorとかやったら?
O: なんかいつもぼぉっとしてない?
P: 先学期、Dean's Listに結構日本人のってたよ。
Q: 在学中にいっぱいインターンやっとかないと。かなり厳しいよ。ただでさ
え外国人雇ってもらえないのに。
R: なんで留学したの?
S: やっぱり、こーゆー時はラーメン食べたくなるよねー。
それなりに毎日がサバイバル、です。
I
『寄り道』〜イスラエル編3〜
「どこのウルパン行ってるの?」ひとまずイスラエルに住み始めた頃によ
く出る質問である。
「ウルパン」というのはNYでいう「語学学校」のことで、勿論ウルパンで
英語は教えないが、イスラエルの公用語であるヘブライ語だけを教える学校
である。ヘブライ語のアルファベットは全部で26文字程度。一番最初に行
き始めたのはエルサレム街の真ん中にあるわりと大きなウルパンで、世界各
国から集まったジュウイッシュ(ユダヤ人)や、自分のような外国人やから
が朝8時から昼まで週5日間びっしりどっぷりとヘブライ語だけの世界に漬
からされるのである。
たかが26種類。「スパルタだが伸びるのは速い」と聞いてそこを選んだ
ものの、「伸びるのは速い」のはあくまでもその授業の速さについていけた
ら、という事に一発目の授業で気付く。発音から書き方までは2日間で終
わってしまい、その間徹夜でわけのわからないその「形」を100万回くら
い書くはめになった。その徹夜中、小学生の頃にやった漢字テストのことが
なんでか何回も頭をよぎる。「初心忘れるべからず、、」と謙虚になぐさめ
てみた。「日本語なんてひらがなだけでも50字以上あんだぞ!」といき
がってもみたかったが、本音は日本語を勉強している全ての外人に後光がさ
して見えてきたというだけだった。
授業中ウルパンの先生はベブライ語でしかしゃべらない。単なる音にしか
聴こえない。生徒達は若いので16才、中年からもう耳の遠くなったジジバ
バまでが40人ちかくも教室に並ぶ。出身国も皆ばらばら。4月の終わり、
イスラエルはもう夏のように暑くなっていた。それぞれの体臭が独自の匂を
かもしだしていたその教室にちゃんと通うことを誓った。
KOBAYASHI
『優柔不断』
最近いつだったか忘れたけど、2対2のデートをした。男2人と女性2
人。2人の女性は日本人ではない。もう1人は男友達。
初めは当然あいさつから。やはり、その時当然の様に女性2人と握手しな
ければならない。その時ふと思った。自分は何と握手の間の悪い事か。
アメリカに来て3ヵ月、かなりこっちの文化に慣れて来たと思ったけれ
ど、こればかりはどーも慣れない。
その時も初めに友人があいさつをして握手をする。さー次は自分の番だと
思うとミョーに緊張して、手の平が汗ばんでしまった。汗をジーンズでそっ
と拭いて、さー握手。でもいつ手を離すか考えてしまう。あんまり長く手を
握っているのも変だし、かといって指先だけで一瞬というのもちょっとって
感じがする。その後も握手し終わった手をどうしようと考えて、鼻とか掻い
たり、腰に手をやったり、自分はいったい何をやっているんだとか思った
り。そんな事ばかり考えているから2人の女性の名前も覚えられなくて、も
のすごくアセリを感じたりした。
その様なことがあり、他人の握手の場面に遭遇すると、じっと研究するよ
うになった。
まず、手の出し方。カッコ良いのは指先を必要以上に下にして、手首を上
げる感じですっと腰元から出す。
次に握手。2、3回かるく(でも、どー見ても大袈裟に見える)手を振っ
て、ガバッと手を引く。「もーなんて慣れてるんだ」と思えるくらい自然に
できる人が結構たくさんいる。そういう人を見ると、何とすごいのかと感心
してしまう。
でも1つ、逃げ道を発見した。何か小道具を持っていると良い。1、2冊
の本がベスト。ただ持ち直したりして間が取れる。タバコも良いが、少し相
手に失礼。買物袋も良いが本人がダサイ。
でも、カッコだけでなく、自然にやれば良いのだけれど、やはり形にこだ
わる今日この頃である。
mee
『日本政治の馬々虎々』〜第2回 「民主国家ニッポン」〜
先週22日、佐藤孝行総務庁長官が橋本総理に辞表を提出し、橋本第二次
内閣発足以来紛糾していた閣僚人事をめぐる問題が一応の決着をみた。今回
の出来事で面白いと思ったのは、与野党が本当に騒ぎ出したのは、各種世論
調査の結果が公表されはじめてからだったということだ。「世論」を読みき
れなかったのは橋本総理だけではない。
本当に自民党を動かしたのは、社民党でもさきがけでもなく、参院自民党
でもなかった。それは「国民の気持ち」だったのだ。これはすごいことだと
思う。日本人は日本の政治を「三流」だと言って揶揄するが、ちゃんと国民
の気持ちが政治に反映される、という意味では、立派な民主国家なんだと感
心した。
NYで仕事をしていると、そうしたデモクラシーが確立していない国々の
方とお付き合いする機会が多い。それも当然で、世界で完全な民主選挙が実
施されている国は、西欧、北米を除けばそう多くはないし、選挙をしても皆
が従うとは限らない。本国の民主化を熱望する彼らから見れば、日本政治は
三流などでなく超一流なのだ。
ところが、「最大の世論調査」である「選挙」への関心は低下の一途を
辿っている。昨年の総選挙での低投票率などを見ると、私たちはもっと自分
たちの持っている力を自覚し、積極的に政治参加していくべきだと思う。も
ちろん「設問」(=政策、理念等)が悪いとか分かり難いとか理由はあろう
が、せっかく獲得した権利を空洞化させてはもったいない。
日本では、国民が選べば、自民党を更に何十年も単独与党にしておくこと
もできるし、共産党政権を作ることだってできる。繰り返したいのは、「民
主国家ニッポン」ということだ。選びたい政党がなければ自分たちで作れば
いい。言論の自由だってある。これで何かできないというなら、それはその
人の怠慢というものだ。(つづく)
*今回のまとめの詩(うた)
「ありがたや 民主国家の ニッポンで
やりたいことは なんでもできるゾ」 勝人
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『グリーンカードへの道・第12話』
これまでも、かみさんに対して殺意を抱いたことは何度もある。ただ、グ
リーンカードのインタビューの最中に、「このアマ、カンチョーじゃ!」と
プッツンしそうになるとは、想像もしなかった。
その時、かみさんは、突き刺すように私をニラんでいた。
「提出用の写真、どこやったのよ。」
私は動揺していた。確かにその写真をアパートを出る前に最後に見たの
は、この私だった。でも、私は、その写真をかみさんのバッグの中にしっか
りきっちり入れたのである。
「いや〜、オレ、ちゃんとバッグに入れたんだけど・・・」
「・・・・・」
かみさんはまだ私をニラみつけていた。
「も、も、もう1回探してみてよ。オレも探すから。ね?」
「チッ」
かみさんは再びバッグの中を探し始め、私は私で、入っているはずもない
スーツのポケットなどをゴソゴソと捜査した。
その直後、かみさんが静かに言った。
「あったわ。じゃあ、これでお願いします。」
かみさんは、「ないわ、ないわ」と騒いでいたその写真をスッと面接官に
差し出した。
私は、スーツのポケットに手を突っ込んだまま、茫然とその姿をながめて
いた。そして、かみさんの「提出用の写真、どこやったのよ。」という言葉
と責めるような視線を思い出した。
「て、て、て、てめえ、”あったわ”だと〜。黄色人種をナメとんの
か!」
私は、そう怒鳴りつけ、かみさんの柔らかそうなコメカミに頭突きでも食
らわせたかった。でも、私にはできなかった。
「がまん、がまん、グリーンカードを取るまでは・・・」
その瞬間だけは、不条理とお友達になることを誓った、黄色人種31才な
のであった。
ひろ
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『今週の歌』
「近頃は 昼がドンドン ちぢまって
ひと・まち・そらも ヨワキな夕暮れ ひろ」
下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
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