1997年10月7日号(No.187)
Nutsの表紙です
目次
*『在外投票のこと』
*『Nutsコラム』
・コラム『Choking Victim』=ある日本男児2=
・コラム『小さな話』 〜モントリオールへ Part 1〜
・コラム『ミラー家のヨメ』
*『グリーンカードへの道・第13話』
*『編集後記』
*『今週の歌』
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『在外投票のこと』
さて、久々の「在外投票」の話です。
去る9月29日に、待ちに待った臨時国会が始まりました。この臨時国会
というのは、臨時にやるから「臨時国会」なのでありまして(当たり前
じゃ)、でも、まあ、臨時にやると言いましても、通常やってる「通常国
会」が終わった後に、大体いつもやってる「臨時国会」でして、「どこが臨
時やねん」と言いたくなるところですが、それはまた別の話なのでありま
す。
で、その問題の臨時国会なのですが、これまでの流れですと、この国会で
在外投票の件がフィニッシュする予定なのであります。だから、待ちに待っ
てたのですね。
そんな私たちの期待に応えるべく、太陽党の羽田ちゃんが、まず走りまし
た。羽田ちゃんっていうのは、前、総理やってた羽田ちゃんなのでありま
す。
普通、それぞれの国会の初めには、各党首が「代表質問」ちゅうのをかま
しまして、それに対して総理、つまり今は、橋本の龍ちゃんが「ウンと
ね・・・」と答えることになっています。
今回のその「代表質問」の際に、羽田ちゃんが、「在外投票、そろそろや
ろや。アンタ、どう思う?」と聞いてくれたのであります。そしたら、龍
ちゃんったら、「わしもそう思う」と答えたちゃったのであります。龍ちゃ
ん、アンタ意外とええヤツやね。
そんなわけで、在外投票の件は、なかなかいいスタートを切ったのです。
ところが、です。私の耳に直接的、あるいは、間接的に入ってくる、日本
の議員さんや政策担当者さんの在外投票に関するコメントというのが、非常
に否定的なものばかりなのであります。具体的には、「在外投票? う〜
ん、じぇんじぇん話題になってないねえ。この国会じゃ、むずかしいんじゃ
ない。だれーも興味持ってないみたいだし。」という意見ばかりなのです
ね。
実を言いますと、これと同じことを前国会の初めにも聞いたのでありま
す。でも、結果的には、前国会において、新進党+太陽党連合軍と与党から
在外投票の法案2つが国会に提出されました。つまり、永田町には、そのく
らいのことも読めずに、「いや〜、無理じゃない」などとほざくオタンコナ
スが山ほどいるということなのであります。
で、今回もそれと同類らしきオタンコナスたちを見つけたのです。彼ら
は、またまた「いや〜、無理じゃない」と同じことを飽きもせずに繰り返し
ておるのです。
では、とりあえず、彼らが言う「いや〜、無理じゃない」という意見を信
じるとします。ならば、その根拠は何なのか。
先に書いた新進党+太陽党連合軍と与党から出た在外投票の2法案は、今
現在、その件に関する委員会の審議をじっと待っています。それは衆議院の
ホームページ(http://www.shugiin.go.jp)を見れば一目瞭然です。
すでに2つの法案が国会に提出され、それらがすでに担当の委員会に回さ
れているのにもかかわらず、「いや〜、無理じゃない」と言ってしまうの
は、何故なのでしょうか。それって、委員会のメンバーみんながシカトし
て、「在外投票なんて知らんよー」という態度を取る可能性があるってこと
なのでしょうか。もしそうならば、その理由が聞きたいところです。
あるいは、「今、龍ちゃんの内閣って、とってもフラフラ不安定なのよ
ね。もしかしたら、与党の関係に土石流が起こるかもしれないし、今後のこ
とは、東京湾に潜ったみたいに先行き不透明なのよ」という理由かもしれま
せん。でも、それだったら、「だから、よく分からないの」というコメント
になるはずです。
また、もっと腹が立つのが、「じぇんじぇん話題になってないねえ」と
言ったオタンコナスのひとりが、この件に関する法案さえ作っていない某民
主党の人間であるということです。だったら、アンタらがどうにかするのが
スジなんちゃうん。「じぇんじぇん話題になってないから、わしらがどうに
かしよか」。やっぱり、そういうノリの方が、こちらとすればありがたいの
であります。「じぇんじぇん話題になってないねえ。無理なんじゃない」な
どと言われますと、「おめえ、ホントに物事分かってそんなこと言っとるん
かい。だったら、何が無理か説明せ〜い」と入れたくもないツッコミを入れ
たくなってしまうのですね。
インターネットの発達によって、海外に住む私たちにも、日本の国会で起
きていることが、手に取るように分かる時代がやってきました。ですから、
もし永田町の皆さんからナメた返事をいただいた場合でも、ただ単に
「あっ、そうですか」とうなずくだけではなく、「でも、ここには、こうい
うふうに載ってるじゃないですか。それってどういうわけなんですか」とス
ルドい切り返しを入れることも可能なのであります。
永田町の皆さん、もし「まあ、とりあえず”無理よ”って言っとけば、で
きなくてもそれでOKだし、もしできたとしても”あら、ラッキーね”で済ま
せられちゃうから、妥当なとこよね」という意図のもとに発される「無理な
んじゃない」でしたら、丁寧にご返品いたします。と言いますか、そういう
ご返事でしたらいりません。こちらとしましても、胸クソ悪くなるだけです
から。
状況が分からない場合は、「分からない」とお答えいただて結構です。適
当にウソつかれるよりも、その方が、ずーっと信用できます。
また、根拠のある「無理なんじゃない」というご意見でしたら、いつでも
聞かせていただく所存です。その際は、ご教示のほど、よろしくお願いいた
します。
この国会もまたおもしろくなりそうです。
そんなところです。
では。 Nuts在外投票部
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『Nutsコラム』
『Choking Victim』=ある日本男児2=
その時の33rd streetはほとんど人通りがなかった。
右腕で肩を抱きながら、セキュリティーの開けてくれたドアをくぐる。そ
の右腕の人差し指を、下を向きながら意味もなくもてあそぶミッシエル。
静かに、エレベーターのドアが閉まる。
肩にまわした右腕で、やさしく彼女の顔を上に向けさせる。明るいエレ
ベーターの中で、お互いの口と舌が絡まり合う音だけが響く。
再び下を向きながら、ミッシエルは言った。
「このブーツ新しいから足つかれちゃった。」
部屋のドアを閉めると同時に彼女の体を強引に引き寄せる。ミッシエルも
それに答えるように、首に両腕を回してきた。
ベッドの上で、黒いサマードレスを脱がせる。その下から現れたのは、ミ
ルクのように白い肌。抱きつくと、腹に、胸に、そして腿に、服の上からで
はわからない暖かい皮膚の感触が伝わる。
窓から入ってくる光だけの暗い部屋で、唯一蠢く二人の体。聞こえてくる
のは、シーツの擦れる音。
ミッシエルの手を取り、誘導する。彼女はその小さな手を上下に動かしな
がら、しっかりと握り締める。
誘導した手でブロンドをかき分け、その向こうを刺激する。腰が敏感に反
応し、耳元で、「ん・・・」と吐息が漏れる。
暖かく柔らかい感触が中指を包む。
その指をさらに滑り込ませる。濡れているのが伝わってくる。そして、そ
の先には・・・・・
ヒモがあった。
(・・・!なんでこんなとこにこんなモンがあるんじゃ!なんでじゃ、な
んでじゃ!抜くでー。抜いてもええんじゃろ、おう?スースー言いやがって
このアマ!
(・・・ん?スースー?これは腹式呼吸の音?まさか・・・
(はうあ!このアマ寝とりやがる!寝るなやー。ここまできてそれはない
じゃろ。なあ、なあ。抜くで、抜いてええんじゃろ・・・?)
「もう、寝かせて!」
(・・・・・・・・)
ゆっくりとベッドから降りる。足に、冷たいフロアーの感触が伝わってき
た。
ふと人の気配を感じて前を見る。そこにいたのは、片方だけグレイの靴下
を履いた全裸の男。鏡の中で、その日本男児は悲しそうな眼をしていた。
MediaBlitz
『小さな話』 〜モントリオールへ Part 1〜
モントリオールへ行ってきました。目的は就労ビザのスタンプの取得。目
指すはアメリカ領事館。
なんとかApprovalもとれた私の前に立ちはだかったのが、ビザスタンプの
問題。噂では、「自国に戻ってスタンプを取得せねばならない」と聞いてい
ました。え、あのめちゃくちゃ厳しいと聞く東京の領事館へ? 途方に暮れ
ていたら、弁護士さんから「カナダでも大丈夫」。「東京でビザスタンプ捺
印を拒否されると、アメリカに再入国できなくなるおそれがあります。その
心配のないカナダ、それもモントリオールへ行ってください」。
面接の予約を取るべく、もらった電話番号にかけてみました。1ー900番号
で、1つ1つ受話器のナンバーを押して進むもので、最後に録音メッセージ
の無情なひとこと。「モントリオールの予約は締め切りました」。3日もそ
れが続くとさすがにおかしい、と気付き、オペレーターに出てもらいまし
た。「モントリオールの予約は、午前7時から1時間ほどで締め切りま
す」。翌朝、気を取り直して午前7時にかけたところ、難無く3週間後の予
約が取れました。
あとからLaw Firmの人に聞いたところ、予約がすぐに取れるのは、キャン
セル待ちのモントリオールだけだったとか。トロント、ヴァンクーバーに
至っては、8月に電話をかけても面接は10月まで待たされるとのことでし
た。
Rejectされたらどうしよう。一抹の不安を覚えながらも、ラガーディア空
港からモントリオールへ飛び立ったのでした。
川村 彩乃
『ミラー家のヨメ』
ボストンの観光スポットを梯子していた時、あくまでついでなのよーとい
いう口調で母が言った。
「明日、ミラーさんの家に行ってみたいわ。」
彼と私は絶望的な気分でうなずいた。
やっぱり(観光はみせかけで)反対しに来たんだ。
彼の実家を訪れたのは夕方頃。ガイドから通訳に早変わりした私は「どう
しようもない娘で・・・。」という謙遜スピーチを(母の希望どおり)直訳
した。困惑の色を浮かべた彼の母は息子をけなすことなく褒め称えた。
もうヤダ・・・。
私のつぶやきは「明日お食事でも。」という提案にかき消された。
改めて正式にセッティングされた対面は開始前から険悪な空気を醸し出し
ていた。「夕食代はミラー家が出すべき!」と私の母が言い出した事が全て
の発端だった。「あっちが払うのが当たり前!」と彼女はがなりたてた。異
国から来た(親戚になるかもしれない)客をもてなすのは常識だ!というの
である。ミラー家は「夕食の提案をしたのはウチではない。」と間接的に提
案を拒否し、受話器の向こうの彼を慌てさせた。結局私達が(母親達には内
緒で)食事代を出すことになり、ミラー夫婦がレストランにやってきた。
「どちらが食事代を払うか問題」で対面がお流れになるかも・・・と思って
いた私達は、お財布と同じぐらい気持ちを軽くして席に着いた。自己紹介の
後、重苦しい沈黙が流れた。両家の胸に日米常識論の残骸がくすぶってる事
は、明らかだった。
突然ミラー氏が立ち上がった。
「手品をお見せしましょう!」
彼は暗黒モードに耐えられなかったのかジョークを言いながらトランプを
出した。
マジカルパワーで戦闘モードのママ達をなごやかモードに変化させたパパ
に私達は拍手喝采を送った。
「これで結婚できる・・・。」
意外な人の活躍で閉じかかっていた結婚への道は開かれた。
香月葵
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『グリーンカードへの道・第13話』
その時、私は、怒りの闘魂であった。
原因は、うちのかみさんである。敵が「提出用の写真、アンタ、どこに
やったのよ」と私を責めたにもかかわらず、その写真は、しっかりとかみさ
んのバッグの中に眠っていたのだ。
でも、かみさんは、そのことに動揺することも反省することもなく、その
写真をサッサと面接官に提出した。
しかし、今度は、かみさんが怒りの闘魂になる番だった。
その写真を受け取った後、面接官が、かみさんに向かって言った。
「ところで、あなたは、いつごろアメリカ市民になったの?」
私は、横にいたかみさんのテンションが急激に上がるのを感じた。一種の
「気」が、突然、膨脹したのである。
かみさんはしばらく無言のままだった。その顔には、「だれ? 私のこ
と? それって、私に向かって言ってるの? この耳ダレ野郎が」と書いて
あった。
私は、その横顔を見ながら、「あ〜あ、開けちゃった、開けちゃった、パンドラの箱、開けちゃった」とココロの中でワクワクしながらつぶやいてい
た。
かみさんは、クイーンズ生まれのブルックリン育ち。つまり、あのクソ生
意気で、屈折してて、自信家で、そして、人一倍さびしがり屋のニューヨー
カーなのである。なのに時々「アメリカに来る前はどこにいたんですか?」
と聞かれるらしいのだ。
人に言わせると、かみさんの英語には、奇妙なアクセントがあるという話
である。ちょっと前にも、アラバマ出身のアメリカ人に「アンタ、どこの国
の人?」と聞かれたらしく、「南部のブタのウンコに何でそんなこと言われ
にゃならんのか」と怒りまくっていた。
かみさんのアクセントに関しては、私にはまったく分からない。私にとっ
ては、かみさんのしゃべる言葉は「英語」ではなく、また「日本語」でもな
く、あくまでも「かみさん語」なのである。
そんなわけで、「アメリカに来る前はどこにいたんですか?」と聞かれる
度に、かみさんの脳裏を「この耳ダレ野郎」とか「なに〜、ブタのウンコ
が」などという言葉が飛び交うのであった。
そして、それと同じことが、ここでも起こったのである。
かみさんは、平静を装いながら、ゆっくりとこう言った。
「私はクイーンズの生まれよ。」
彼女は耐えていた。その込み上げてくるマグマのような怒りに耐えていた
のである。
怒りの闘魂と化したかみさんを私はウルんだマナザシで見つめていた。そ
して、私の溜飲は、満足げにグルルルルと下がっていった。
幸せって、こういうことを言うのかしら。
ひろ
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『編集後記』
NY市立図書館の日本語の本に関するお知らせです。
裏情報によりますと、日本語の本を借りる人が増えるほど、新しい邦書購
入のための予算が増えるという噂なのあります。
NY市立図書館では、今年の4月に千ドル分の邦書を購入したのですが、そ
の後、日本語の本を借りる人が急増したため、去る9月の購入の際には、そ
の予算が前回の2倍の2千ドルに膨れあがったのであります。
ちなみに、日本語の本は、53丁目の5と6の間にある市立図書館の3階
に山ほどあります。
みんな、がんばろー。
では、また来週。
「週刊Nuts」編集部
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『今週の歌』
「きみと我 つなぐのはただ ”笑い”のみ
たったそれだけ でもそれがある ひろ」
下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
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