1997年10月21日号(No.189)
Nutsの表紙です
目次
*『コラムの話』
*『Nutsコラム』
・コラム『Choking Victim』 =ゼラチンの誘惑=
・コラム『Art life』
・コラム『考える』〜インターネットについて〜
・コラム『優柔不断』
*『グリーンカードへの道・第15話』
*『今週の歌』
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『コラムの話』
今週は、「コラムの話」で参りましょう。
「週刊Nuts」編集部としましては、このNutsは「コラム紙」であってほし
いと考えております。コラムがいくつか載ってる紙ってことですな。現在、
掲載しております「Nutsコラム」もそういう願いがあって命名いたしまし
た。
ところで、「コラムよ、コラムよ」と言いますと、どうしても「コラムっ
て、エッセイとどう違うの?」という疑問が浮上してくるのであります。
一応、編集部では、「コラム=中身がみっちり濃い」「エッセイ=中身が
フワフワしている」と解釈しております。
ただ、当然、中身の濃いエッセイというのも存在するのであります。わた
くしどもでは、そういう「みっちりエッセイ」も「コラム」と呼んでおりま
す。
Nutsコラムに関しましては、文字数が750字と非常に短く、もしその中
でフワフワしたものを書いてしまいますと、結局、読者には何も伝わらない
間に文が終わってしまうという、非常に恐ろしい事態が発生してしまうので
あります。
だから、Nutsコラムには、「コラム」であってほしいと思うのです。
しかしながら、私たち編集部は、Nutsライターの皆さんに、「コラムっ
て、こういう感じのものなのよ」ということを未だに説明できずにおるので
あります。
お恥ずかしい限りですな。ハッハッハ。(反省の色ナシ)
まあ、笑ってばかりいるのもなんですから、とりあえずナマケモノの編集
部でも、コラムについていろいろと調べてみたのです。そしたら、いい説明
が見つかったのですね。
以下の文は、評論家の谷沢永一氏が『読書人の園遊』(桜楓社)に書いた
「コラムの本が迎えられている」という文の一部です。コラムの本質をなか
なか鋭く突いています。
『ピリッと爽快な山椒のから味、寸鉄の一言に託した批評精神の清潔な香
気と、それぞれ独特なひとヒネリふたヒネリを、底に沈めた話術の芸。一瞬
に読ませる短いスペースのなかへ、はらごたえがあって長持ちのする内容を
こめ、更にそのうえ、つい手をのばしてつぎつぎとつまみ食いしたくなるよ
うに、気やすく小意気な雰囲気を盛りつける工夫。モノ知りだけではコラム
は書けない。コラムニストの必須条件は、このむつかしい人の世を、裏から
横から斜めから、観察し続けてきたワケ知りのたくましい複眼である。(中
略)論説が真正面からキマジメな姿勢を持するのに対し、ちょっと視座をず
らした皮肉とユーモアの角度から、世間話の呼吸で時事問題を扱う。事件の
-会的意義よりも人間的興味に重点をおき、口角アワをとばすマジメ論法を
避け、一歩さがった余裕のある微苦笑をもって臨み、結論を強く打ちだそう
とはせず、読者とともにユックリ考えようとする』
う〜ん、非常に味わいのある解説ですのう。
この文の中には、「世間話の呼吸で時事問題を扱う」とありますが、Nuts
コラムの場合は、別に時事問題でなくても構わないのであります。読者の脳
ミソに刺さるネタや文章であれば、別に飼ってるネコが風邪を引いたという
話でもOKなのです。
上記の文の中で、編集部としまして、もっとも強く愛する言葉はといいま
すと、「それぞれ独特なひとヒネリ・・・話術の芸」、そして、「一瞬に読
ませる短いスペースのなかへ・・・気やすく小意気な雰囲気を盛りつける工
夫」なのであります。
そういう文をNutsライターの皆さんにも書いていただきたいと思います。
「そういう自分たちは、書けるんかい」という反応が返ってきそうですが、
私たちは、約3年半もミニコミをやってきております・・・・・・・でも書
けません。
いやいやいや。
まあ、とりあえず、目標としてですね、みんなでそういう「話術の芸」や
「工夫」を習得したいと思うのであります。
最近、日本の雑誌社などから、「文章書いてちょ」というオーダーが、編
集部の方に結構入ってきまして、私たちも調子こいてシコシコ書いておるの
ですが、それらの雑誌に掲載されている文などを読みますと、私たちの文章
の「甘さ」と「薄さ」を痛感させられるのであります。まだまだ努力が足り
ません。
今後、Nutsライター及び編集部ともども、みっちりと太った文章創りに励
んでいきたいと思っております。
「週刊Nuts」上の文章に関して、読者の皆さんからある程度の評価をいた
だくのに約3年かかりました。でも、今度は2年でやってみせます。
というわけで、皆さん、気長に2年ほどお待ちください。
そんなところです。
では。 「週刊Nuts」編集部
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『Nutsコラム』
『Choking Victim』 =ゼラチンの誘惑=
私はチャイニーズが好きだ。
といっても人種の事ではない。食いもんである。
中でも、チープなテイクアウトの事を言っているのだ。わからない人は映
画の中で見る、紙の容器に入ったあれを想像してもらうといい。
今日も帰りに食ってきた。
飾りっけも何もない店に入ると、 ぷーんと油の匂いが漂っている。一応メ
ニューに目を通すが、頼むのは決まっている。ビーフ・アンド・ブロッコ
リ。私のお気に入りだ。
カウンターで料理を受け取り、チープなテーブルにつく。裏方で飛び交う
中国語を聞きながらフォークでブロッコリを突っついていると、コックさん
達のめしの時間が始まった。
薄汚れた白衣を着、紙の使い捨て帽子をかぶったコックさんが、何やら大
皿を持ってきた。その大皿の上には、トン足や内臓みたいな物が湯気を立
て、無造作にドカっとのせてある。
その瞬間、トン足のまわりのゼラチン質が私に向かってささやいた。
「プルプル、プルプル。」
私の心も反応した。
「プルプル、プルプル。」
「食わしてくれんかな・・・・?」メニューにすら載ってないその得体の
知れない物がどーしても食いたい!子どものような無邪気な願望が私の中で
むらむらと湧きあがってきた。
「うまそうやね!」英語で話し掛ける。・・・・何の反応もない。
肝心な事を忘れとっった!。チャイニーズのコックさんは英語が出んから
コックをしとるんじゃ!
しょーがない、中国語で話しかけよう。私の知っている中国語といえ
ば・・・
「 うぉー・ちぃー・ぱお・らー(お腹いっぱい!)」
そりゃ全く逆やんけー!うおー!
私が一人突っ込み一人ぼけをかまして悶えてる間に、彼らはその得体の知
れない料理を胃袋にすっぽり収め、何やら中国語をしゃべりながら裏に帰っ
てしまった・・・。
・・・数時間たった今、私は終わらせなければいけない勉強が手につかず
困っている。そう、私の心はそのプルプルの虜になってしまったのである!
おそるべし、中国四千年の歴史・・・。
MediaBlitz
『Art life』
20世紀を代表する作家といえば、まず第一にピカソがあげられます。その
多様な作風と同じく女性遍歴はとかく有名です。彼の愛とは……。
初めの愛人、フェルナンドとの出会いによって、暗く孤独な「青の時代」
から「バラ色の時代」へと移ります。しかし貧乏な時はよき伴侶だったふた
りが、金銭的に豊かになると同時に、破局を迎えます。
もの静かで小柄なエヴァに一目惚れをしたピカソ。彼女への愛情を表現し
ようとしながら、分析的、構成的キュビスムから総合的キュビスムへと確立
していきます。彼女がいなければ、キュビスムは違う形をとっていたでしょ
う。
最初の妻オルガの『私の顔がはっきりわかる絵を描いて』という一言で新
たな手法、新古典主義が生まれます。この絵がきかっけでピカソは世界的な
名声を手にします。
生涯で最も充実した創作活動をしていたときの愛人マリー・テレーズ。人
間の内面をあばいたミノタウロスシリーズ、彼女を描いた「夢」等を生み出
します。
マン・レイの教えを受けた写真家ドラ・マール。彼女は知的で、自立した
女性だったので、愛人の立場に甘んじませんでした。ドラがモデルの「泣く
女」は有名な作品です。
画家をめざしていたフランソワーズ・ジローは、ピカソとのデッサンの
レッスンと一緒に愛が始まります。ピカソと暮らした10年目、2人の子供ク
ロードとパロマを連れ家を出ます。後にピカソの暴露本を出し、裁判沙汰に
なります。
彼はとりわけ情熱的で激しい気性の女性を好んだといわれていますが、晩
年は献身的で孫娘のようなジャクリーヌと結婚します。家庭的な彼女との生
活は満たされた日々だったのでしょう。ピカソの創作活動を支えた彼女は今
もピカソの隣に眠っています。
「私は恋愛の情にかられて仕事をする」というピカソ。愛することが作品
を生み、作品が愛の表現なのでしょう。
NORIKO
『考える』〜インターネットについて〜
インターネットを始めて得たものとは?
って聞かれたらどう答えますか?そりゃまあ、人それぞれだと思う。知識
が増えた、Hな写真が沢山見れるようになった、友達/彼女/彼氏/結婚相手が
見つかったなど。たしかに僕の場合でもこの中に当てはまる。けど、イン
ターネットを通して、もっとすごいモノを得た。モノというより場所だ。
それは自分の意見や考えを、世界/世間に主張できる場所というモノだ。
通常一度に、1つのこと−意見でも新製品にしろ−を大人数に発表するとな
ると、それなりの、発表の場が必要だった。新聞広告なり、コマーシャルな
りと。意見するなら、国会議員、有名人になるとか。とにかく沢山の金と、
ある程度の苦労が必要だ。そのおかげで、ごくかぎられた一部の人達がそう
いう場所をとっていった。そして一部の人達はその特権を利用してた。国会
議員なんかいい例だ。
そこでインターネットの登場だ。約20万円程度の投資(コンピュー
ター)、毎月5000円程度のプロバイダーとの契約料と、簡単なHTMLの知
識さえあれば、世界中の人々が見ている場所を自分で作れる。世の中の理不
尽さにコメントしてもよし。日本の国会議員はなぜハゲが多いのかについて
コメントしてもいい。
インターネットはごく普通の生活を送ってるにサラリーマン、ルーズソッ
クスを履く女子高生、浪人生や年金生活のじいちゃんばあちゃんに意見でき
る場所を与えた。今Nutsの作成者のひろさんが関わってる在外投票問題も、
インターネットというツタをえて多くの人の伝わっていった。
こんなふうに、やろうと思えば可能にしてしまうのがインターネット。情
報/意見を取り入れるだけじゃなくて、出してみるのもいいもんだ。世間が見
てるよ。
大樹
『優柔不断』
買物はブロードウェイのShowよりもおもしろい。そう確信したある日の昼
下がりの話である。
昼食の後、何の気無しにフリーマーケットに行った。なかなか上物のGジャ
ンを見つけ、その店の黒人のおじさんと交渉を開始した。
「おじさん、これいくら?」「60ドル」「50にならない?」「No!
60ドルがベスト」とおじさんは眉毛ひとつ動かさずにそう言いはなった。
普通ならどう考えてもこれ以下になる。しかし、おじさんの目の奥には本気
(マジ)の二文字がくっきりとあり、もう60ドル以下には下がらないと思
いあきらめて買ってしまった。もう本当にクールな商売人であった。
その足でチャイナタウンへ行った。そこで出会ったのは、中国系のおじさ
んだ。彼がまた、名役者であった。
「これいくら?」「3つで10ドル」「5ドルにまけてよ」。
ここから彼の名演技が光り始める。おもいきり顔をしかめ、今時、吉本新
喜劇でもしない大きなアクションを入れつつ、「にいちゃん、他の店いって
も同じ値段よ」と、本当に困った顔とオーバーアクション。
かれこれ15分くらいのやり取りをする。その間も野田秀樹的演技が続
く。そしていよいよ値段の折り合いがつく頃、おもむろに電卓を取り出し、
計算を始める。何を計算しているのか、まったくの不明、そしていきなり
「本当に今日だけのサービスよ」「にーちゃんにはまいったね」と言ったか
言わないか分からないが、そんな顔とアクションで袋に入れる。
人との出会いは、本当におもしろい。この日も対照的な2人に出会った
が、どちらもどのくらいボラれているか分からないが、それ以上に出会った
事に価値がある様な気がする。
ブロードウェイのShowも良いが、生身の人間との出会いが最高のShowで
あると思う。そのShow見たさに、また足がフリーマーケットやチャイナタウ
ンに向いてしまう今日この頃だ。
mee
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『グリーンカードへの道・第15話』
最近、この話に関する苦情が、私のところに多く寄せられている。その内
容をひとことで言うと、
「数分の出来事で一体何ヵ月持たせますの?」
ということなのである。
確かにその通りである。ただ、この「濃縮ジュースの薄め飲み」型ストー
リーをニガニガしく思ってる方々というのは、その「薄め」行為が気に入ら
ないのではなく、「サッサと結果を教えろ」というのが、本当のところらし
い。
そうなると、私としても考え方を改めねばなるまい。
・・・・・・・・・もっと薄めよ。
というわけで、「そろそろ終わらせよかな」と考えていたこの話は、まだ
まだ続くのである。少なくとも20話ぐらいは行くだろう。
こんなことを書くと、「じゃあ、第20話まで寝てよ」と毎週読むのを怠
(おこた)る人が必ずいる。
よろしいかね、私は「第20話まで行く」とは言ったが、「それまで結果
は話さないわ」と約束したわけではないのだよ。もしかしたら、来週の文の
最後に、「あっ、それでさあ、結果はね・・・」などと発表されるかもしれ
ないのだ。
ところで、今、我々はどこまで来ているのだろうか。Nutsのバックナン
バーを読んでみると・・・なるほど、うちのかみさんの英語の問題で終わっ
ておる。一応、インタビューの際の事務的な手続きは、ほぼ完了しているよ
うだ。時間は、8月6日の午後2時過ぎ。
そうか、あれはもう2ヵ月半も前の出来事なのだ。いやいや、その間にい
ろんな事があったのう。散髪にも2回ほど行ったし、歯医者の定期検査に
も・・・・、ナニ、「そんな話、聞きたくない!」とな。これは失敬、失
敬。
そんなわけで、8月6日の午後2時過ぎの出来事なのだが・・・原爆が落
ちた日っていつだったっけ・・・。ほほ〜、「知ったことか!」とは恐れ
いったわい。
だから、私の腕時計が2時過ぎを伝えた時、面接官が私たちに向かっ
て・・・実を言うと、私はこの時計が結構気に入っているのだが・・・
待ちなさい。Nutsをゴミ箱に捨てたり、コンピュータの電源を切るのは、
まだ早い。
分かった。今度こそ本題に入ろう。
というわけで、面接官は私たちに向かって・・・・、おっ、スペースがな
くなってしまった。いや〜、残念残念。誠に申し訳ないが、続きはまた来週
である。
でも、最後に、読者の皆さんにこれだけは伝えておきたい。
私の腕時計のライトは、ブルーなのだよ。
ひろ
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『今週の歌』
「ナットウの 値段がちがうと 店内で
大暴れする 妻を持つこと ひろ」
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