1997年10月28日号(No.190)
Nutsの表紙です
目次
*『楽しい文章講座』
*『Nutsコラム』
・コラム『Can you stand the rain 』
・コラム『おさるさんがゆく』〜60兆の細胞の歓喜〜
・コラム『寄り道』〜イスラエル編5〜
・コラム『日本政治の馬々虎々』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第16話』
*『今週の歌』
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『楽しい文章講座』
さて、「Nuts楽しい文章講座」のお知らせなのであります。
来る11月6日(木)午後6時半より日系人会(15 West 44th St.
11Fl.)にて、「Nuts井戸端会議」の変形企画、「Nuts楽しい文章講座」を
華々しく開きます。
毎月行なっております「Nuts井戸端会議」を今月はお休みしまして、「そ
んなら11月に2回やろか。でも、両方同じことやってもしゃーないねえ」
と深く考え、「だったら、文章講座でも1発やりましょ」ということに落ち
着いたのであります。
対象は、Nutsライターの皆さん及びこの講座に興味のある方。内容は、
Nuts紙上で文を書く場合の「基礎的文章力の強化」と「読者の脳ミソに刺さ
る切り口の発見」になります。
文章講座などと言いますと、「小説の書き方教えてください」だとか
「ジャーナリステックな文章を学びたいんですけど」などという話を持って
来ようとする方もいるかもしれませんが、冗談はよしてください。そんなも
ん、わしらに分かるわけないでないの。
今回の文章講座では、あくまでもこの「週刊Nuts」というニューヨークの
チッポケなミニコミ紙上で750字のコラムを書く場合のコツのようなもの
をNutsライター及び他の参加者の方々に提供し、同時に各自の文章における
得意技確立のお手伝いができればなあーなどと考えております。
これまで、Nutsライターの皆さんには、電話あるいはEメールにてアドバイ
スを差し上げてきたのですが、たまには実際に会って、細かいことまでお話
ししてみたいのであります。
まあ、あんまりカタいことは話しません。ざっくばらんに文の作りとか切
り口について、みんなでグダグダ語ってみよじゃないの、というスタンスで
参りたいと思います。
Nutsライターの皆さんには是非とも参加していただきたいですね。その
他、なんとなく興味のある方もおひまでしたらどうぞ。
そんなところです。
では。 「週刊Nuts」編集部
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『Nutsコラム』
『Can you stand the rain 』
「日本に帰る事になったよ。」
夕食というには少し早めの食事を共にしながらあの人はそう言った。その
日のマンハッタンの天気は素晴らしい秋空で、しかもインディアン・サマーの
心地良さがまだ残る穏やかな午後のことだった。その日は冴子の授業がある
ということを知っていながらも半ば強引に、
「ちょっと用事があるから、いいかな?」
と誘われた。その時の声のトーンに何か普通とは違うものを感じた。何か行
きたくないな、と思った。ぎりぎりまですっぽかそうか、どうしようか迷っ
た挙げ句、結局来てしまった。ああ、来なきゃよかったな、とこの瞬間冴子
はおもった。そして、同時に来るべきものが来ただけだとも思った。特別な
感情は湧かなかった。ただ頭で考えるより先に口から言葉が漏れた。
「そっか〜。んじゃあ、これから色々たいへんだねぇ。もう荷作りとかは
始めたの〜?」
冴子にはよく分かっていた、それが相手が待っている答えではないこと
が。それは冴子の無言の返事だった、少なくとも相手はそうとるだろうと
思った。お互いの感情の露出を言葉に置き換えるのは冴子のやり方ではな
かった。そういうことを口に出して言うほど未練を持っている事を相手に感
じてほしくなかったし、またそういうことを言える程冴子自身強くもなかっ
た。自分の感情を言葉に出さない、それはとりもなおさず自分を救う方法で
もあった。すべてを相手に託してしまわない、どこかで自分と相手の間に一
線をおく、それが冴子の人への接し方だった。それは裏切りに遭った時に被
害を最小にとどめることのできる接し方だった。
しかし近頃そういう自分をもう一人の自分が哀れに思っているような気が
してならなかった、この人生で自分はもう誰も信用できなくなってしまうの
ではないかというような気がしだしていた。そんな時にこれだ、まったく。
音がしたのでふとそとを見ると夕立と共に雷が鳴り出していた……。
♪〜Sunny Days / Everybody Loves Them / Tell Me / Can You Stand
The Rain / Storms Will Come / This We Know For Sure / Can You
Stand The Rain 〜 〜 ♪
Missy
『おさるさんがゆく』〜60兆の細胞の歓喜〜
セックスーこれほど人によって考え方の違うものも珍しいと思います。大
きく分けて2つの考え方があります。1つは”不浄行為”とする考え方。もう
1つは、”心身の浄化運動”と言う考え方です。
では、なぜ”不浄行為”なのか?快感(私はセックスエネルギーと呼びま
す)に対して十分な解明がなされていませんでした。つまり、人類にとって
正体不明のエネルギーだったわけです。だから遠ざけて封印するか、積極的
に利用するかに別れてきました。
しかし、”不浄行為”なんてとんでもない。ハサミとセックスは使いよう
なのです。味方となるか敵となるか、薬となるか毒となるかは、あなた次第
です。
けれど近頃の人はそこらへんが分かっていないようです。よいセックス=
強いセックス、と思っている人が少なくありません。男性生殖器vs女性生殖
器の異種格闘技戦になっています(たまにそういうこともありますが)。そ
んなものは、単なる”不浄行為”です。
インド密教によれば、さとりの心は気が生殖器を通じて上に昇り、脳に達
したときに完成される、と言われています。「亀頭から始まり前立腺で終了
する」ような男では、とてもその境地には到れません。「たかが射精、され
ど射精」レベルでは、「宇宙創造の大楽」と称され、「黄金色の清らか情
熱」と表現されたエクスタシーには遠く及びません。
地上の他の生物よりも、一生を通じてスキンシップと快感を楽しめるの
が、人間の大きな魅力です。格闘技セックスから脱し、2つの生物が触れあう
ことの素晴しさを楽しむのが一番大事なことです。
K
『寄り道』〜イスラエル編5〜
後で振り返るとそんな紙の切れ端のような証明で延長許可をもらえると疑
いもしなかった自分は結構かわいい奴だったなぁと、おもわずにはいられな
い。
その日はイスラエル滞在VISA延長の申込なんやらで、8時前にはその
古くさい建物の前列に並んでいた。リュックサックの中にはウルパン学校の
授業料領収書がはいっていた。
番号札受け取ったあと、前日に用意しておいたパスポートサイズの写真と
申請書なるものを手に待合ホールのいすに座った。電光掲示板に出てる番号
は自分のもらった番号とは程遠かった。
ぞっとした。
と言うのは大げさで、本音は今朝のウルパン学校をさぼれて内心うきうき
していた。(いやはや、極楽極楽)
と、深く椅子に腰掛けた私はその後深い眠りにつくことになる。
1時間程たって目が覚めトイレに行く。
ホールに戻って今度は長いソファーに横になる。
だいぶ混みだしてきた待合室でまわりの視線も少し気になったが、少しし
か気にならなかったので遠慮なくドンと眠りモードにはいる。
「ウルパン学校でヘブライ語勉強してるってかぁ?」
やっとお呼びがかかりその小さな部屋にはいる。
「アズ.マ?」
これは「So What?」というニュアンス。
「ちょっとおたく3時間以上待たせといて3分はないっしょっ?」
怒りと動揺でまくしたてる私。
「そんな紙の切れ端で延長申告?夢見てんのあんた?」
ハスキーボイスの彼女はもっと強かった。
建物を出たときはもう12時近く。全てはその3分間で終わった。いや終
わらされたのだ。
「いやはや現実はそう甘くない。」
いつもなら通り過ぎるだけの道路の大道芸人に力なく拍手をおくりなが
ら、「いや、もうちっと甘くてもいいんじゃないすか?」と頭をかしげた。
マフィアならともかくあたしゃ単なる善良な外人なんだから。
KOBAYASHI
『日本政治の馬々虎々』
〜第4回 選挙制度改革という「気休め」〜
新しい小選挙区比例代表並立制の下で初めて衆院選が行われてから、今月
二十日で丸1年経ったという。その1周年によせて読売新聞が、自民党加藤
幹事長のこんな発言を引用していた。
「一度当選した議員は、同じ制度が次の選挙でも自分に有利と考える議員心
理」が強く働いている上、多数を制する自民党にとっては現行制度が「党利
党略的にはよい」。
この発言は、佐藤孝行前総務庁長官の辞任問題を協議した先月末の与党三
党首会談で新選挙制度の再度の見直し意見が出たことに関連したものらしい
が、なるほど、「ご尤も!」と肯いてしまった。特に前半は、現行の議員た
ちが「自分たちを国会議員にした選挙制度」を大きく改革するはずがない、
と言っている訳で、なかなか正直な物言いだ。
しかし、この「法則」、先に行われた選挙制度改革にこそ当てはまること
を忘れてはなるまい。つまり、ザクッと言えば、中選挙区制が小選挙区比例
代表並立制に代わっても、小選挙区制と比例代表制の中間に中選挙区制が位
置するために、前者を足して2で割れば、選挙結果はほとんど変わらないこ
とになる。つまり、
「小選挙区制」+「比例代表制」
−−−−−−−−−−−−−−−−− =「中選挙区制」
2
という訳だ。本当に政治家のオジサンたちはよく考えている。なんか選挙制
度が大きく変わったように見せ掛けておいて、実は、同じ政治家がちゃんと
再選されるようにできていたのだ。
だから覚えておこう。「大きく見せて小さく変える」、これが政治の鉄則
なのだ。これは当然、今話題の「行政改革」にも当てはまる。政治家のする
ことの多くは、結局、僕ら国民への「気休め」なのかもしれない。むしろ、
世の中が本当に変わるのは、「国民」自身が大きく変わっていった時なのだ
ろう。そうであれば、その「時」というものは、国民自身が創っていくしか
ない。あせらずに、ゆっくりと、自分の身近なところから。
*今回のまとめの詩(うた)
「政治には あまり多くを 期待せず
もっと足元 固めていこうよ 勝人」
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『編集後記』
最近、「週刊Nuts」紙上での編集部軍団の書く量が明らかに減っておりま
す。
「ひまになってええじゃないの」という声もありますが、これまで毎週山
のように書いてきた習慣上、書く量が減った現在でもネタだけはガンガン頭
の中に浮かんでくるのであります。しかし、それらのネタたちは、日の目を
見ることなく、私たちの脳ミソの中で腐っていくのでありました。
これはいけません。
そこでですね、去る10月15日から、インターネット上の「ぶりてん
Nuts」ホームページにて、毎日更新のコラム、「今日のぶりてんコラム」と
いうのを始めました。毎日新しいコラムを読者の皆さんに提供しようという
試みなのですね。
なんて馬鹿なことを始めたのかと思われる方もいることでしょう。そうな
んです。わたくしどもも最近やっとそれに気づきました。
でも、少なくともネタたちが脳ミソの中で死んでいくのだけは避けられま
すから、精神衛生にはいいわけです。
マイクロソフト・ネットワークが運営しているホームページに「パワーコ
ラム」というコーナーがありまして、十数名のコラムニストたちが毎日交代
ばんこに結構カタいことをそれなりの切り口で書いておるのですが、これが
なかなかおもしろく、「ニューヨーク発でこんなことやれたらよかね」など
と考えまして、そんなこんなで、今回このようなバカなことを始めてしまっ
たのであります。
また、現在、ニューヨークから毎日発信されるコラムっていうのは、私た
ちが知る限りではありませんので、それはそれなりに意味のあることではな
いかと、自分たちに言い聞かせてながら、日々襲ってくる締め切りに耐えと
るのであります。
いや〜、まいった、まいった。
というわけで、毎日更新の「今日のぶりてんコラム」は、今のところ、一
度もつまずくことなく、掲載を続けているのです。そのうち、紙にも落とし
たいと思うのですが、おそらくだいぶ先の話になりますのう。
ちなみに、そのアドレスは、「http://www.nyct.net/~nuts/」。
そんなわけで、この「週刊Nuts」同様、「今日のぶりてんコラム」の方も
お楽しみください。
今週はこんなもんです。
では、また来週。 「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第16話』
世の中、何が起こるか分からない。だから、インタビューの際、私は決し
て油断しまいと思っていた。
私たちが書類を面接官に渡し、彼女がサインする。それを何度も繰り返し
た。
物事はサクサクと流れていた。それでも私は油断しなかった。
途中、かみさんにプッツンしそうになったが、それはまた別の問題であ
る。怒りのためにココロがこちこちぱきぱきになることはあっても、ぷるぷ
るゆるゆるになることはなかった。
この「油断しなかった」という言葉は、「期待しなかった」と言い換える
こともできる。つまり、私は最初から「このインタビューはうまく行くわけがない」と考えていたのである。
期待し過ぎると、うまく行かなかった場合にグサリと傷つくことになる。
でも、最初から「絶対、何かあるぞー」という意気込みでのぞめば、うまく
行かなくても「やっぱりのう」で済むし、もしうまく行ったら「悲観度」の
2倍分の喜びに襲われるのである。
うちのかみさんは人に対してこれと似たようなことをする。
かみさんにとって、他人は「悪人」である。「歩く性悪説」と呼んでいた
だければ幸いだ。
であるからして、初めて会う人はすべて悪人である。
ただ、今回の私が取った「期待しない」方法と決定的に違うのは、会った
人がホントに悪人だった場合、「な〜んだ、やっぱりそうか〜」とホッとす
るのではなく、「この悪人野郎、実は極悪人じゃねえか」と悪意が強化され
るところである。
また、その人が比較的いい人でも、それは単に悪人が「フツーの人」に
なったに過ぎないのだ。
そういう意味で、かみさんのココロにあるのは、あくまでも「足し算・引
き算」なのである。
話を戻す。
持って来た書類のすべては、面接官の手にあった。ひとつの問題もなかっ
た。でも私は、まだ油断しなかった。
彼女は、書類を持って、机の上でトントンと端を揃え、それを自分の前に
キッチリ置いた。
私は、自分のココロがジワリと和らぐのを感じていた。「このまま行くの
かもしれない」という思いが、ゆっくりと立ち上がりつつあった。
そして、面接官が言った。
「ところで・・・・・」
慌てて戻ろうとしたが、すでに遅かった。そこには、期待に胸脹らませた
無防備な自分が立っていた。
鼻の奥がツーンとし始めていた。
ひろ
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『今週の歌』
「いい歌が 浮かばぬ印刷 2時間前
う〜ん やっぱり 無理だわ ゴメン ひろ」
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