1997年11月18日号(No.193)
Nutsの表紙です
目次
*『クールになろう』
*『Nutsコラム』
・コラム『小さな話』〜モントリオール/その2〜
・コラム『寄り道』〜イスラエル編6〜
・コラム『私のお話』〜ある日、小学校にて〜
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道』
*『今週の歌』
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『クールになろう』
さて、「クールになろう」の話なのであります。
と言いましても、別にファッションの話ではありません。むしろ非常にダ
サい分野についてのネタになります。
以下にご紹介する文章は、Nuts軍団のひとりが、ある雑誌社から依頼を受
けて書いたものです。結局、掲載されなかったのですが、この文章の中に出
てくる「クールになるための4条件」は、今後このNuts軍団がいろんなこと
を仕掛けていく上で、とっても重要、つまり、ベリー・インポテンツ、い
や、ベリー・インポータントな要素なのであります。
これまでNuts軍団がガタガタ騒いできました、「NYJJ(ニューヨーク在住
日本国籍日本人)」や「出ろ出ろニッポン作戦」、そして「在外投票権運
動」などにも、鋭く絡んでくる内容です。
というわけで、これからこの「週刊Nuts」紙上で繰り広げらける、さまざ
まな作戦の裏には、こういう意図たちが潜んでおりますので、そこんとこ、
よろしくお願いいたします、というのが、今回この文を掲載する目的なので
あります。
先日、「週刊Nuts」編集部の人間が、ニューヨークの日本食レストランに
入ったところ、隣のテーブルに国連の明石さんが座ってたそうです。
そこで彼らは、この文の中に出てくる内容を隣の明石さんに聞こえるよう
に大きな声でしゃべりました。すると、明石さんが聞き耳を立てていたらし
いのです。
まあ、ホントに明石さんが聞いてたかどうかは、ご本人に直接聞いてみな
いと分かりませんが、明石さんご自身も間接的に関係してくる部分もありま
すので、意外と「なんじゃ、こいつら、変なことしゃべっとるな」てな感じ
で聞いてらっしゃったのかもしれません。今度お会いする機会があったら、
確認してみたいと思います。
それでは、皆さん、じっくりお読みください。
「週刊Nuts」編集部
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『クールになろう』
最近、日本に行った在日コリアンの友人がこんなことを言っていた。
「知り合った女の子にさあ、”オレ、在日なんだよね”って言ったら、”
え〜、カッコイイ〜”だって。いや〜日本も変わったよなあ」
うむ〜、まったくその通りである。そしてこれは同時に、非常に喜ばしき
ことなのである。
「日本」というシステムの中のマイノリティー(少数派)たち、例えば、
ウチナンチュ(沖縄人)、在日コリアン、アイヌ、部落民、そして、在外日
本人たちが、自分たちの意見や要求を効果的に主張していくためには、なに
はともあれ、カッコよくなる、つまり「クールになる」のが一番なのであ
る。
自分たちのバックグラウンドを話す時、普通の若い女の子に「え〜、カッ
コイイ〜」と言わせるようになったら、かなりの人々が彼らの主張に対して
聞く耳を持ち始めたと言っていいだろう。
「クールになる」などと言うと、「それはただの流行にすぎないのではな
いか」という人もいる。でも、正直な話、「ただの流行」でもかまわないの
である。大切なのは、多くの人々が彼らに対して「興味を持つ」ことなの
だ。
マイノリティーたちは、その名の通り「少数派」であるからして、社会の
中では無視されがちである。となると、彼らに関する情報も巷にはなかなか
流れないということになる。
そういう状態では、彼らが何を主張しても、大部分の人たちは興味を示さ
ない。なぜなら、それに感応するだけの、彼らに関する基礎知識がないから
だ。
でも、もし彼らがクールになれば、多くの人々が少なくとも彼らに「興味
を持つ」ことになる。つまり彼らの主張を聞く準備態勢が出来上がるのであ
る。マイノリティーたちにとって、これは非常においしい。
日本のマジョリティー(多数派)の人間たちに「クール」と感じさせるた
めに必要な条件というのがある。ご紹介しよう。
1)戦うものがあること
2)固有の文化(言葉や音楽など)を持っていること
3)その文化や地域性をしっかり背負ってる著名人がいること
4)カラッとした明かるさがあること
日本のマイノリティーの中で上記の4条件をほぼ完ペキに満たしているの
が、ウチナンチュたちである。
ウチナンチュの場合、明らかに「日本」と戦っている。同時にそこには固
有の言葉や音楽もある。また、彼らは、大田知事や喜納昌吉などの郷土色の
強い著名人たちを輩出している。そしてトドメに、ウチナンチュたちには、
南方系独特のカラッとした明るさがあるのだ。
ここ十数年のあいだに、日本におけるウチナンチュたちへの注目度は、格
段に高くなった。それは、彼らの「クールさ」のせいなのである。
「在日コリアン」の場合、1)「戦うもの」、2)「固有の文化」、3)
「著名人」の3条件は揃っているのだが、4)の「カラッとした明るさ」と
いうイメージをまだ強く打ち出せないでいる。それが満たされれば、おそら
く彼らは急激にクールになるだろう。
で、私たち在外日本人の場合はどうかというと、今、日本政府に対して、
「海外に住んでるオレたちにも日本の選挙権くれや」という運動や訴訟を起
こしてるから、一応、「戦うもの」はあるわけだが、他の条件に関しては、
すべてコケコケである。要するに、在外日本人は、まだまだクールじゃない
のである。
う〜ん、道は遠いのう。
ところで、日本のマジョリティーたちは、なぜ上記の4条件を「クール」
と思うのだろうか。
それは、彼らがすでに、その4つをなくしているからにほかならない。戦
うものもなく、均質化した社会に住み、自分たちを代表する人物もいず、
日々ジメーっと暗く生活している人間が、今の日本にはあまりにも多すぎる
のではないか。だから彼らは、ウチナンチュや在日コリアンに「憧れる」の
である。
「日本」というシステムの中では、今後、マジョリティーたちのマイノリ
ティー願望が強まるだろう。ウチナンチュや在日コリアンの中に、彼らが
失ったものを見つけ、それに魅かれるのだ。そのうち、アイヌや部落民に対
しても、「カッコイイ〜」「すっご〜い」などという反応が返ってくるかも
しれない。そうなったらしめたものである。マイノリティーたちにとって、
非常におもしろい時代がやって来つつあるのだよ。
自分たちの声の通りをよくするために、日本のマイノリティーたちよ、
もっともっとクールになれ。
風
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『Nutsコラム』
『小さな話』〜モントリオール/その2〜
就労ビザのスタンプを取得すべく、モントリオールの領事館へ向かった
私。申請者は思ったより少なくて、10人いるかどうか。それも、東洋系と中
近東の人ばかり。
服装もまちまちで、中国人の男性はチノパンにポロシャツ。中近東系のお
姉さんは、おしゃれなワンピース。私も含めスーツを着ていた女性が3人。こ
れがみーんな日本人でした。それも、みーんな似たような黒や紺のスーツば
かり。いわゆるリクルートスーツ。つまんないですね。
最初にお金を払った人から並んで、受け付けの窓口に申請書類を提出。だ
いたいの人はオリジナルの書類だけ持ってきて、コピーがない。領事館から
の書類にも、「コピーを用意せよ」なんて書いてない。すると、窓口のおば
さんがいちいち席を立ち、コピーマシンとの間を行ったり来たりするので
す。さすがに5人もそれが続くと不機嫌になり、「どうして誰もコピーを用意
しないのよ!」とのつぶやきが。。。
私の番になりました。書類を確認するおばさんの手がふと止まり、こちら
を怪訝な顔で見つめ、「あんた、どうしてこの書類にサインがないの?」
「???」ぎょっとしました。必要書類の一つに会社からの推薦状がありま
すが、私はこれに上司のサインをもらわずに持ってきてしまったのです。お
ばさんは冷たい視線を私に投げかけ、「はい、次の人!」。
川村 彩乃
『寄り道』〜イスラエル編6〜
朝起きるのはつらい。小さい頃、つらかった。だから布団に包まった。テ
リトリーから絶対に出ないのが「勝利」への道だった。
「学校は?」
朝7時前。アパートシェアの同居人が起こしに来た。そして、その朝もつ
らかった。
「とにかく先生が乱暴なんだよう」
「そんな先生が差別するかいな」
「私がしゃべっても無視して他の生徒ばかりあてるんや!」
「そんな幼稚園児じゃないんやから」
「ようちえんじでもなんでもいいんや!権利や!権利が無視されてるん
や!」
「ベッドにしがみつくのはやめなさい」
「あんたヘブライ語しゃべれるやろ、あんたにわたしの気持ちがわかる
か?」あたり前だ。彼はイスラエル人である。
「1ヵ月分はらったんでしょう?もったいない」”もったいない”のとこ
ろだけ日本語で言う同居人。心に染みわたる。
「先生がいや。ラマミアタ?って感じ」
”ラマミアタ”とは「おたく何様のつもりだ?」というニュアンスのヘブ
ライ語。こういうのは難無く体得するのが外国語の基本である。
「3週間もまだたってないんでしょう」
長い沈黙の後、布団の中で彼が部屋から出ていく音を確認する。「勝利の
眠り」は格別だ。なんと気持ちのいいこと。その日は夕方までぐっすり寝て
やった。
ちゃんと通うと誓ったウルパン学校。小さい頃と同じわざを使っての勝利
はなんだか後ろめたく、複雑。いや挫折感か。「朝」に負けてしまった。ま
た負けてしまいました。
でも、まさか数日後に同居人が夜間のクラスを見つけてくるとはね。「朝」
が駄目なら「夜」ですか。
もう今度はexcuseがきかない。
KOBAYASHI
『私のお話』〜ある日、小学校にて〜
今、私はとても気持ちいい。教育学の授業の一環で週1回教えに行ってい
る Kelly Schoolからさっき帰ってきた。スパニッシュ人口の多い地区にあ
り、クラスの3分の2が南米出身者で、残りが白人の生徒たちである。ここ
の小学3年生は実にかわいい。今回で2回目なのだが、みんな「ミス・ユリ
(Ms. Yuri)」といってなついてくれる。
今日はリーディングの時間に日本の昔話を読んだ。登場人物の名前は
「Hikoichi」。いかにも昔話に出てきそな名前だ。始めるや否や質問が集中
する。「日本ってどんな国?」「日本語って難しい?」「ミス・ユリはおは
しを使って食べるの?」「日本の学校は宿題多いの?」「日本語で僕の名前
何て言うの?」「日本ってどのくらい遠いの?」「ミス・ユリは空手できる
の?」などなど。リーディングそっちのけで”日本の文化を学ぶ時間”に
なってしまった。
地図で日本の地理を教えたり、漢字とひらがな・かたかなの違いを説明し
たり、日本の小学校の様子を話したり・・・。私は必死に思い出しながら
語っていた。みんなも興味津々で、70分はあっという間に経ってしまった。
異国の文化を教えることはとても大事だと思う。自国の文化との比較をし
ながら様々な価値観や考え方が存在することを知り、それらを受け入れられ
る人格が育つのだと思う。
普段おとなしい子供や集中力に欠ける子供が、目を大きく開いてどんどん
質問してきたり、私の話に身を乗り出して聞いていた姿は、これからの未来
へ希望を持たせてくれる。
来週は日本の写真や本を持って行き、何を教えようかなーと考えあぐねて
いる夕飯前である。
ボストンの女の子 石坂有里子
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『編集後記』
Nutsライターの皆さんへ。そろそろ編集部側が、皆さんの文に関してガタ
ガタ言い始めます。「ここをこうしたら良くなりますね。では、書き直しま
しょうか」というような要求を出させていただきます。そこのところ、よろ
しくお願いします。
では、また来週。
「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第19話』
誰だって面倒なことは、サッサと終わらせたいものである。特にビザの手
続きのように、その国における自分の存在を危うくさせうるものに関して
は、できるだけ早くケリをつけたいと思うのが普通だ。
いくら私に、凶暴な妻を喜んで持つような自虐性があるといっても、グ
リーンカードの問題を必要以上に引き延ばし、郵便物の中に移民局からの手
紙がないのを確認するたびに、「アフ〜ン」などとウメキ声をあげるほど、
私は変態ではない。
なのに、神は私たちに対して、「アッカンベー」したのである。
面接官が言った。
「あなたの指紋についてだけど、実を言うと、先月FBIに送ったの。普通、
確認に4ヵ月はかかるから、結果が出るのは11月ぐらいじゃないかしら。そ
したら、また連絡するから、自分のパスポートを持って、もう一度ここ(移
民局)に来てちょうだい。スタンプを押すのはその時になるわね」
勘違いのないように言っておくが、グリーンカードのインタビューが終
わったからといって、その場で「ほれ。」とカードをくれるわけではない。
何も問題がなく、インタビューが無事に済んだ場合は、とりあえず、当人
のパスポートに「こいつにクリーンカードをくれてやるよ」スタンプが押さ
れる。別にスタンプにそう書いてあるわけではないのだが、移民局で働く
人々に多く見られる「ふてくされた就労態度」を考えると、なんとなくそん
な感じがするのである。移民局と戦ったことのある同志たちなら、そのスタ
ンプのネーミングの意味がよ〜く分かるはずだ。
面接官の話のあと、私たちは、そのままの状態でしばらく気絶していた。
「わたし待つわ」の数ヵ月間に耐え、このインタビューでの緊張感に耐え、
そして、かみさんに対するイカリにも耐え抜いた私の肩にのしかかってきた
のものは、もう数ヵ月の「落ち着かぬ」時間の重みであった。
私は、移民局のビル中に響き渡るように叫びたかった。
「待てるかぁぁぁー、ボォォォーケェェェー」と。
一方のかみさんは、おそろしいほど静かだった。でも、私には、それが嵐
の前の静けさであることがよく分かっていた。そして、その嵐は、面接官に
ではなく、私に向かって一直線に近づきつつあった。
遠くでカミナリの音が聞こえた・・・。
ひろ
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『今週の歌』
「ひっぱられ ひっぱり返して 夜が更ける
激しさを増す 毛布戦争 ひろ」
下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
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