1997年12月23日号(No.198)
目次
*『NYJJクール作戦5』
*『ミスターチェンの問題』
*『Nutsコラム』
・コラム『Choking Victim』〜くりすます〜
・コラム『日本政治の馬々虎々』〜第8回 「 国と家」〜
*『編集後記』
*『今週の歌』
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『NYJJクール作戦5』
さて、「NYJJクール作戦」の第5弾、「具体案:カラッとした明かるさを
持つ」なのであります。
ここでちょっと復習しますと、この作戦の目的は、「日本のマイノリ
ティーはもっとクール(カッコよく)ならんといかんから、その一員である
わしらニューヨークに住む日本人もがんばってクールになろか」というもの
でして、その「クールになる」ための具体案のひとつが、今回の「カラッと
した明かるさを持つ」なのであります。
付け加えますと、この場合の「クールさ」というのは、日本のマジョリ
ティーが憧れる「クールさ」という意味でして、要するに、彼らに「いや〜
ん、クールじゃ〜ん」と思わせるほどクールになるのが、この作戦のココロ
なのですね。
それでは、「具体案:カラッとした明かるさを持つ」の話を始めましょ
う。
今現在、「在外日本人」という言葉はあまりにもクラいイメージを持ちす
ぎています。
これにはいろんな原因が考えられるのですが、もっとも大きな理由は、こ
れまで日本で取り上げられた在外日本人像というのが、非常にネガティブな
ものばかりだということです。
「イエローキャブ」「日系人の苦労」「新興宗教に走る在外日本人」「リ
マ人質事件」などなど。
これらは確かに事実なのですが、そういうイメージのみが日本に伝えられ
ているというのは、海外に住む日本人にとってはあんまりプラスにならんの
です。
また、『「在外」日本人』という中身の濃いしっかりしたノンフィクショ
ンが出ているのですが、これがまたそのクラ〜いイメージに油を注いでおる
のですね。
はっきり申しまして、海外に住む日本人というのは、日本の皆さんに比べ
ると、かなり明かるいのではないかと私たちは考えるのであります。
異文化の中で生活するには、ある程度の脳天気性というのを必要としま
す。周りを違うモノでビッチリかためられ、やり方も考え方もまったく異な
る環境の中で暮らしていくためには、クヨクヨ型の性格ではやって行けませ
ん。海外で生活するには「あら、違うじゃない。ハッハッハ」的なノリが必
要とされるのです。
そう考えますと、私たちNYJJ及びその他の海外組は、日本の人々よりは明
らかに脳天気に違いないのですね。
というわけで、「わしらは、こんなに明かるいんだぞー」とその脳天気な
部分も日本の皆さんに伝えて、「明かるさ:クラさ」のバランスを良くし、
なおかつ日本の皆さんが憧れるくらいの「カラッとした明かるさ」を持とう
ではないか、というのがとりあえずの作戦なのであります。
日本に私たちの明かるさを伝える手段としましては、「週刊Nuts日本にバ
ラ撒き作戦」や「Nuts本作戦」、「NYウエイター物語作戦」などが現在進行
中ですので、心配はいりません。問題は、いかにして私たちNYJJが今以上の
「カラッとした明かるさ」を手に入れるかという点なのであります。
新たに行動を起こす場合、何事も足下から始めるのが基本ですね。そこ
で、最初は、ニューヨークでもっともクラいエレベーターと言われる、東京
ビデオとJBCブックストアーが入っているビルのエレベーターの雰囲気から明
かるくするというのはいかがなものでしょうか(このチョイスに深い意味ナ
シ)。
まずそこで会う人には必ず挨拶するようにします。「おはようございま
す」「こんにちは」「What's Up」。なんでもよろしいです。
で、先に乗った人は後からきた人に何階に行くかを尋ねます。「あ、それ
なら4階お願いします」と言われたら、「4階ですね。4階参りま〜す」と
復唱後、「それではドアしまりま〜す」と言ってクローズのボタンを押しま
す。
ここでポイントになるのが、エレベーター上昇中、あるいは下降中のカン
バセーションです。黙っててはいけません。まずは気軽にお天気の話から始
めましょう。
その場合のコツは、「今日寒いですね」などの言葉の後に決して「そうで
すね」という殺会話語を持ってこないことです。「今日寒いですね」「そう
ですね」「・・・・」「・・・・」。カンバセーションまで凍り付いてしま
います。
例えば、「でも、昨日はそんなに寒くなかったですよね」というセリフで
繋ぐのです。その切り返しの場合も「そうですね」は禁句です。「いや〜、
去年の冬は楽勝だったんですけどね」「でも、96年のブリザードはひど
かったですね」「あの時、私、セントラルパークでスキーしましてね」とい
う感じで話が転がればバッチリなのですが、中には「ほお〜、あなたもス
キーをおやりになる。私もスキーが大スキーで・・・」というふうにその場
を寒くなさる方もいますから要注意です。
思わず話が弾んでしまったら、斜め前の「オウボンパン」でも角曲がった
とこの「山崎パン」でも行って、言葉のキャッチボールを楽しんでくださ
い。
もしかしたら、恋が生まれる可能性もあるかもしれません。ただ、気合入
れ過ぎて、いきなり「あなたのそのコート、素敵ですね」などという言葉で
始めますと、ただちにガードマンのじいさんを呼ばれてしまうというケース
も考えられます。「つかみ」の言葉の選択には十分気をつけてください。
というわけで、私たちNYJJが今以上の「カラッとした明かるさ」を持つた
めには、まず第一に、あの東京ビデオ&JBCエレベーターをなんとかせねばな
らんのう、とNuts軍団では考えるのでありました。
今回は、ひじょーに具体的な話ができて、大変サクセスフルな気分であり
ます。
以上が、「NYJJクール作戦」の全貌となります。
ま、この作戦は来年度の行動計画の軸のひとつになりますので、年が明け
てから、またボチボチお話しします。
そんなところです。
では。 「週刊Nuts」編集部
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『ミスターチェンの問題』
今回は、先週の『今週の歌』に関連するテーマについて、ちょっとばかり
考えてみたいと思うのであります。
「”ミスターチェン” ”ミスターチェン”と 我を呼ぶ
ウエイター連れ出し 説教かました ひろ」
この歌の意味が、皆さん、お分かりになりましたでしょうか。
これは、Nuts軍団の一員である「ひ氏」がですね、あるイタリアン・レス
トランで食事した際に、そこのウエイターに何の根拠もなく「ミスターチェ
ン」「ミスターチェン」と何度も呼ばれたためにプッツンし、そのウエイ
ターを呼び出し、説教をかましたという事実に基づいた歌なのであります。
ひ氏の証言によりますと、そのウエイターは約3回、彼を「ミスターチェ
ン」と呼んだそうです。
最初呼ばれた時、てっきりウエイター氏の品のないジョークだと思ったひ
氏は、後ろを振り返ってキョロキョロするというボケをかまし、一応、その
ジョーク合戦にケリを付けたと判断したのですが、敵はその後、2度も彼を
「ミスターチェン」と喜々とした声で呼び、一緒にいた人々も「何か言わな
いとまた呼ばれるわよ」「なんで”ミスターチェンなんだ”って聞いてやれ
よ」と次第に怒り始め、そう言われるとそんな気がしてきて、温厚なひ氏も
とうとうプッツン状態に突入し、中学校時代の校舎の影的に「ちょっと顔貸
しな」とそのウエイターをバーのところまで呼び出し、口調的には「おめえ
よお、なんでオレのこと”ミスターチェン”って呼ぶんだよ、え〜」と語尾
を力強く上げ、「てめえの名前はなんていうんだ。え〜、聞こえねえよ」と
完全にチンピラ言葉になり、その間相手をにらみ続け、相手の目が適度にウ
ルみ始めた頃に「オレの名前は”ミスターチェン”じゃねえんだよ。よ〜く
覚えときな」と捨てゼリフを残し、テーブルに戻ってその愛妻に事の一部始
終を報告したところ、「よくやった。最近やっと教育の成果が出てきたわ
ね。それじゃ、トドメに私がマネージャーに説教かまして・・・」と立ち上
がろうとする彼女をまわりの人々が慌てて止める、というのがこの「”ミス
ターチェン”と呼ばれた私」事件のすべてなのであります。
この事件のポイントは、2つあります。
ひとつは「なぜそのウエイターは、ひ氏のことを”ミスターチェン”と呼
んだのか」。もうひとつは「なぜひ氏は、”ミスターチェン”と呼ばれたこ
とによってプッツンしたのか」というものです。
日本人の女性にお聞きしたいのですが、例えばニューヨークの非ジャパ
ニーズ・レストランで食事した際に、「ミス・チェン」とか「ミス・ウー」
などと呼ばれたことがありますか。
日本人男性の場合は、たまーに「ミスターチェン」などと呼ばれることが
あります。これは、要するに「おめえはアジア人だな。ワシはそのことを
しっかり了解してるから、そこんとこヨロシク」ということを言わんとする
ための暗号みたいなものでありまして、アジア系の顔を見たら、パブロフの
犬的条件反射で「ミスターチェン」と口走ってしまう接客業従事者が実際に
存在するのであります。
ここでインポータントになりますのが、彼らがどういうつもりで「ミス
ターチェン」という呼び名を持ち出してくるのか、という点なのでありま
す。
そこには、アジア人に対するリスペクト(敬意)が潜んでいるのか、それ
とも蔑視した思いが隠れているのか、あるいは特別な意味などまったくな
く、ただ単にアジア人はみーんな「ミスターチェン」だと脳天気に考えてい
るのか。
いや〜、なかなか深いものがあります。
まあ、いろんなケースが考えられるのですが、今回の事件の場合ですと、
犯人はおそらく悪意派の確信犯ではないかというのがNuts軍団全体の読みで
す。
つまり「何事も笑ってすませるアジア人」というステレオタイプに甘えて
ですね、ちょっとオチョくってみたところ、相手が牙むいたもんだから、お
じちゃんもビックリ、というのが実情ではないかと私たちは思うのでありま
す。
ひ氏によりますと、かなりの手ごたえがあったらしく、「あのウルんだ目
はホンモノでしたね。限りなく反省したと私は見ています」というコメント
を残しておりました。
この「なぜそのウエイターは、ひ氏のことを”ミスターチェン”と呼んだ
のか」に関して、読者の皆さんのご意見も聞いてみたいと思います。また、
もうひとつの「なぜひ氏は、”ミスターチェン”と呼ばれたことによって
プッツンしたのか」につきましても、皆さんの思うところをご紹介いただけ
たら幸いです。よろしくお願いいたします。
話の途中ですが、続きは来週に。
では。 「週刊Nuts」編集部
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『Nutsコラム』
『Choking Victim』〜くりすます〜
ロックフェラーセンターに巨大なツリーがデコレートされ、世の中が「ク
リスマスに向かってまっしぐら」となりはじめた先日、日本の友達から電話
がかかってきた。
「ああ、もうクリスマスだというのに、今私彼氏いないの」
ふーん、前の人とはもう別れたんやっけ。ま、ええんじゃないの、シング
ル生活をもう少し楽しめば。
「うん、それはそれで楽しいんだけど、やっぱりこの時期一人だとねえ」
なんか不都合でも?
「やっぱクリスマスは恋人とデート、って相場が決まってるじゃない。二
人で食事をしながらワイングラスを傾けたりして」
それならいつでもできるやろ。クリスチャンでもそんな事せんし、それを
クリスマスにせんといけん理由でもあるの?
「クリスマスとか外国的な物ってなんかロマンティックじゃない」
ふーん。じゃ、別にクリスマスでなくても、ユダヤ教のハヌカーでもええ
やろ。
「ハヌケ?そんなマヌケな日にロマンティックなデートできるわけないで
しょ」
・・・・・・。
じゃさ、日本は仏教徒が多いから、仏陀の生まれた花祭りの日は?
「田舎の太郎と花子じゃないんだから、そんな日に神社の境内でセックス
できないわよ」
いや、別に神社の境内でセックスしろって言ってるわけじゃないんですけ
ど・・・。
「ともかく、クリスマスといえばデートなのよ。まわりはみんなしてる
し。私だけ独りでさみしく過ごすわけにはいかないわ」
あっそ。
この時、私はジーザスが不憫でならなかった。「あんまりエッチな事し
ちゃだめよ」といっている彼の誕生日に、喘ぎ声が響き渡るのである。
くりすますの日に、彼はこう叫ぶに違いない。
おー・まい・がーっ! MediaBlitz
『日本政治の馬々虎々』〜第8回 「 国と家」〜
日本では、state あるいは nation のことを「国家」と書くのでまぎらわ
しいのですが、「国家」と「家庭」とはまったく違うものなんだ・・・と、
今回はそういうお話です。なんだか当たり前のことと思われるかもしれませ
んが、よく安易に両者をアナロジャイズするのを見かけることがあります。
例えば経済。先月末に成立した財政構造改革法は、国の財布がお寒いので
しっかりその紐を締め直しましょう、というわけですが、そういう考え方
は、お金のない時には出費を抑えましょうという「家庭」の財布の考え方と
同じで、一見、至極まっとうな考え方です。
しかし、「国」の経済ということになると話は全く違ってきます。景気が
悪く税収が落ち込んでいる時こそお金を使って景気を建て直し、その結果と
して税収の増加を期待するというのが経済の基本です。やっと橋本政権もそ
のことに気がついて、所得税減税などの政策を打ち始めていますが、少し遅
きに失した感が否めません。
こうした誤りは、経済だけに見られるものでなく、政治、特に軍備にから
んで持ち出されます。家庭でも泥棒から身を守るのは最終的には自分たちの
責任なのだから、国もしっかり必要な軍備を整えて、外敵から自国を守ろ
う!っていうような論調ですね。
しかし、ここにも大きな落とし穴があって、国が軍事力を持つということ
は、どういう形でその軍事力を暴走しないように市民が管理していくかとい
う、家庭にはない問題が発生するのです。残念ながら、日本は歴史上、強大
な軍を文民統制した経験がほとんどないので、そうした違いに無頓着である
と、やはりナイーブに過ぎると言わざるを得ません。
人間というものは単純で、「我が家」で正しいことが「国家」でも正しい
と思いがちですが、国の経済、国の軍事力を市民がどう操縦していくか、賢
明に考えていかねばならない課題です。
*今回のまとめの詩(うた)
「国と家 おなじ論理で アナロジー
分かり易さに ひそむ危うさ 勝人」
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『編集後記』
今週は、「グリーンカードへの道」はお休みです。
それでは皆さん、メリークリスマス。
「週刊Nuts」編集部
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『今週の歌』
「クリスマス客で賑わう Kマート
我はひとりで テレビを観てた ひろ」
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