1998年2月17日号(No.206)




目次

*『あんたらだれや』
*『Nutsコラム』
・コラム『日本政治の馬々虎々』〜第12回 代議士という商品〜 ・コラム『道端で哲学』〜”ダマされた!”2時間の白日夢5〜
*『グリーンカードへの道・第29話』
*『今週の歌』
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『あんたらだれや』

 さて、「LAJJ & SFJJ」シリーズの第1弾、「あんたらだれや」なのであ ります。「LAJJとSFJJの皆さんって、どんな人たちなのかしら」ということ をここで少し考えてみたいと思います。 以下にご紹介する数字は、日本領 事館から出された数値や、日系ビジネス層の厚さ、日系食料品店の数などか ら私たちNuts軍団が「このぐらいかな」と割り出した数字です。学術的根拠 はまったくありません。要するに、「Nuts見解」の数値なのであります。で すから、これらの情報をどこかで引用なさる場合は、必ず「Nutsの見解で は・・・」と付け加えていただきたいと思います。でないと大変な勘違いが 発生しますので。
 では始めましょう。
 ちなみにNYJJの場合ですと、その数約10万人、人種的には「駐在員とそ の家族(駐組)」「現地ビジネス組(現ビジ組)」「留学生」「その他大勢 (他組)」に分けられまして、比率では、「7:3のお湯割り」風に表現し ますと、駐組ベースの6:4の現ビジ組・留学生・他組連合軍割りになりま す。
 私たちが見るところによりますと、LAJJ人口はNYJJの倍の約20万人。人 種は、NYJJと同じような顔ぶれとなりますが、その比率は現ビジ組・留学 生・他組連合軍ベースの7:3の駐組割りなのであります。
 この7:3という数字を見れば分かるのですが、LAJJの場合、特に現ビジ 組がNYJJに比べるとやたらと多いのであります。やはり日本に近いというこ ともありまして、日本相手のいろんなビジネスが成立しやすいのでしょう。 それが、現ビジ組の数に現われておりますね。
 また、留学生の方々もかなり多いのではないかと考えられます。
 留学生と言えば、一時「ポルシェとかBMWを乗り回してる留学生がいやが るんだって、このバチ当たりが」という論調をいろんなところで目にした時 期がありましたが、Nuts軍団も今回初めてそういう留学生の方々にLAにて遭 遇いたしました。
 調査人の報告によりますと、その留学生風日本人若い衆4人の方々は、 BMWに乗ってある居酒屋にやってきました。前の席に男性ふたり、後ろの席 に女性ふたり。皆さんかなりお若いようでした。
 はっきり言いまして、こういう留学生の方は、ニューヨークではなかなか 見かけません。ですから、「ポルシェとかBMWを乗り回しやがって」留学生 の存在が、こちらでは理解しづらかったのであります。
 しかしながら、今回実際に彼らにお会いして、その噂、つまり「ポルシェ とかBMWを乗り回す留学生がいる」という話が本当であることを私たちは確 認できたのであります。
 すばらしい。
 一応、彼らに関する私たちNuts軍団のスタンスをご紹介しますと、「ポル シェとかBMWに乗るのはいいけど、車強盗に遭わないように気をつけてね」 というものになります。一般によく見られる「ポルシェとかBMWを乗り回し やがって」という解釈は、単なる貧乏人のヤキモチであるとわたくしたちは 考えております。
 次は、SFJJについて。
 この場合のSFというのは、単純にサンフランシスコ市内ではなく、広くサ ンノゼ地区(サンフランシスコ市内から車で1時間ぐらいかしら)まで含み ます。
 SFJJの人口は、約5万人。人種的構成は、NYJJとLAJJと同様の駐組・現 ビジ組・留学生・他組になります。
 SFJJの話をしますと、「日系人が多いんでしょ」という反応をよく受ける のですが、最近ではシリコンバレー(これもこの辺にある)絡みのJJの追い 込みが激しく、簡単に「SF=日系人の街」とは言えない状況になりつつあり ます。
 また、これはLAについても言えるのですが、「日系人」のコンセプト自体 がかなり怪しげなものでして、その言葉を使う人によって、意味する者(モ ノ)が違ってくるのであります。
 ちまたには、「日系人」を「日系アメリカ人」という意味で使う人もいま すし、「日系アメリカ人+この国にながーく住んでる日本国籍日本人」とい う意味で使う人もいます。
 後者のいい例が、日本国政府です。彼らが毎年開催している「海外日系人 大会」というイベントは、「日系よその国人+その国にながーく住んでる日 本国籍日本人」を対象としたものになっております。
 この「海外日系人大会」に関しては、Nuts軍団としましても言いたいこと が山ほどあるのですが、それはまた別の機会にでもご紹介することにしま しょう。
 とりあえずNutsでは、「日系人」という表現はできるだけ使わないように します。訳が分からんようになりますからね。その代わりに、私たちは 「Japanese American(JA)=日系アメリカ人」「Japanese Japanese (JJ)=日本国籍日本人」という名称を使います。この方がクリアーでしょ う。
 で、SFJJの各人種の比率ですが、駐組VS現ビジ組・留学生・他組連合軍の 1:1、ハーフ・アンド・ハーフってことね、そんな感じになるのではない かと読んでおります。
 以上です。
 これらの比率、特にそれぞれの都市での現ビジ組が占める割合というの は、そのコミュニティのまとまり度に正比例するのですが、その件につきま しては、別の稿にてお話しします。
 また、今週は、『Nuts世界観光案内・怒涛のムエタイキック編」はお休み です。著者から「もう記憶があやふやで、紀伊國屋さんに行って”地球の歩 き方・タイ編”でも読まないと思い出せないのよ。だからちょっと待って ね」というコメントが入っております。
 気長に待つことにしましょう。
 では、また来週。
                           「週刊Nuts」編集部
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『Nutsコラム』

『日本政治の馬々虎々』〜第12回 代議士という商品〜
 資本主義が最もピュアに発達したと言われるアメリカ。この国では、何で もマーケットの論理で説明する傾向が強いようです。例えば政治を考える場 合にも、「政治家」を「商品」に、「選挙」を「市場」に、「票」を「金」 にたとえていくのです。そこでは、いわば選挙というのは政治家という商品 を陳列するショーウィンドウであり、そこで財布のかわりに一人一票を握っ た投票者(お客さん)が投票(買い物)をする、というわけです。
 こうした観点から日米の政治風景を見渡してみると、なかなか興味深いも のがあります。例えば、選挙運動というのは、上記の喩えでいえば広告・宣 伝活動に当たるわけですが、日本ではとても厳しい規制がかけられていて、 これまで政治家という商品に関する情報がほとんど消費者に提供されてきま せんでした。その典型があの地味で創意工夫の余地がまったくない政見放送 なわけですが。一方、アメリカでは、TVコマーシャルで自分の政策を訴え、 対立候補の政策及びその私生活を暴きたてます。
 まあ、アメリカのやり方も、ちょっと「ここまでやるかなぁ」という感じ がしますが、やはり日本の場合には、代議士という商品をめぐる規制が強す ぎるように思います。商品に関する情報が制約されていると何が起こるかと 言えば、自然に「どの商品を選んでも一緒よね」症候群がはびこってしまい ます。このことは、ちょうど、これまで生命保険などの金融商品に関する情 報が大蔵省の規制で著しく制限されていたために、多くの日本人が驚くほど 無頓着に生命保険に加入し、毎月大金をつぎ込んできたのと同じ現象なので あります。
 この頃やっと金融商品に関しては、「どの商品も一緒」症候群は少しずつ 快方に向かっているようですが、代議士という商品に関しては一向に治る気 配がありません。結構大きな買い物だと思うのですが。
*今回のまとめの詩(うた)
 「商品の インフォーメーション もう少し
         ないと買い物 できやしないよ 勝人」
『道端で哲学』〜”ダマされた!”2時間の白日夢5〜
 「秘密」と何と言われようと、誰かから現金を借りるしか手段はなかっ た。要は、彼女たちにそのことがバレなければいいのだ。
 誰かが貸してくれるだろうと、相変わらず気楽に考えていた。2ヵ月分の 生活費とは一般的にいくらぐらいなのだろうか。できるだけ少なく借りて済 ませたいものだ。
 「いちおう銀行で残高照会して、預金を確認してみたら?」
 そう促され、地元の銀行にとりあえず行ってみることにする。もしかした ら先日頼んだ仕送りがもう入っているかもしれない。
 しかし画面に現われたのは、変化がないままの寂しい数字であった。当然 である。自分だって生活費が必要になったから頼んだのに、そんなときに余 りがあるはずなんてないのだ。
 わざわざ銀行内までつき合ってくれた大柄な人とともに車に戻り、そのこ とを正直に話すと同時に、ひそかに練っていた案をさりげなく進めてみる。
 「自分の部屋に金があると思うから、取りに行くよ。」
 この言葉の本当の意図はもちろん、ルームメイトに会って一時の借金を申 し込むためだ。それからこんな騒動に巻き込まれていることだって、さっき から誰かに話したくて仕方がない。
 さっそくアパートに向かってくれた彼女たちも、ひと安心した様子であ る。さっきから自分のために一生懸命になってくれて、とても親切だ。まあ お互いに秘密を共有している立場だから、と納得する。
 バスルームを借して欲しいと言う、大柄と痩せ気味の2人がアパートの中 までついて来る。ルームメイトと話しているのを見られてはいけないだろうか、 と少し危惧するが断わる理由もなかった。
 とりあえず自室で存在するはずのない金を探すふりをする。後ろでじっと 見守る2人の視線を背中に感じていた。
 「ちょっと向こうの部屋も見て来るよ。」
 さりげなくルームメイトの部屋に向かおうとしたとき、痩せ気味の人が疑 わしそうに聞いてきた。
 「向こうにはルームメイトがいるの?」
 「多分。」
 「そう。でも、もう行きましょう。お金のことはどうにかなるわよ。私、 あまり時間がないの。」
 強引にそう言われ、他に方法があるなら、と部屋を出る。金のことを頼む のに躊躇していたので好都合でもあった。しかし他にどんな手段があるとい うのだろう。
 車に戻ると、3人は何事か話し合っているようである。自分の計画があま りにもわざとらしくてバレたのか?
 「本当はルームメイトにお金を借りるつもりだったのね。どうして正直に 言わないの。あなたのこと信用したくてもできなくなるじゃないの。」
 はたして大柄の人は思っていた通りのことを言い出した。確かに嘘をつい たことは反省する。でもそこまで思ってくれているのなら、彼女たちが受け 取った金を貸してくれてもよさそうなものだ。
 「あなたの高価な宝石を現金の代わりに見せれば、それでもいいかもよ。 持っていないのなら今クレジットで買えるでしょ。」
 突然とんでもないことをメガネの人が言う。冗談じゃない。そんなことし たら貰える金の意味がない。
 「証明に使ったあとに返品すればいいのよ。」
 ・・・なんだか、何もかもが面倒になってきていた。もうどうにもできな いし、2200ドルのことはなかったものと思えばあきらめもつく。こんな ことなら友人との約束を守っておけばよかったと、今更後悔する。
 「仕方がないから私がお金を貸してあげるわ。そのかわりあなたの今の持 ち金を全部私に預けてから、あなたの分の分け前を取りに行って欲しいの。 お金を貸すかわりの保証金よ。もちろん戻ってきたらすぐ返すから。」
 自分の心境の変化を察したのか、とうとう諦めたといった様子の痩せ気味 の人はこう言った。大金が手に入るのなら少しの金くらい預けて行ってもい いか。貸す金のことが気になるのだろう。
 「ボスには私の名前を言えば判かるわ。ここに車を止めて待ってるから、 行ってらっしゃい。よかったわね!もうすぐあのお金はあなたのものよ!」
 何か釈然としないものが色々あるけど、とりあえず金は受け取れるらし い。よかったよかった。すごく長く感じた2時間だったなあ。
 自分ひとりそのオフィスに入り、事務員らしい女性にそこのボスに会いた い旨を伝える。しかし彼女の返事は、まったく予想だにしないものであっ た。
 「彼なら去年亡くなられましたが、何か御用ですか?」
 亡くなったってどういうこと・・・?
 きっと最初から不可解で不自然だったこと、だけど何なのか解からなかっ たその謎が、今やっと解け始めていた。
 外に出たら、そこに広がる現実の風景が想像できる。信じたくない。信じ られないと思う。でも、きっと考えている通りになる。イヤでもつきつけら れる、認めざるを得ない事実。そう、そこに彼女たちの乗った車が待ってい るハズがないのだ。
 やられた、ダマされた!!!
                      Itsuki Sato
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『グリーンカードへの道・第29話』

 うちのかみさんは、私にとって簡単に発音できない名前を持っている。
 それは、変わった名前、例えば、ドドレンチョコミタとかムグァミレスキ ヨネという未知との遭遇的名前ではなく、アメリカではときどき耳にするも のなのだが、日本人であり、なおかつ英語発音に不自由な舌を持つ私にとっ ては、ひじょーにディフィカルトな舌の動きを要求する名前なのである。
 そこで、通常、私はかみさんのことを「ハニー」と呼ぶことにしている。
 ハニー・・・
 そう呼び続けて早6年が経とうとしている。
 確かに、こっぱずかしいという気持ちは今でもある。しかしながら、他に 具体的なスベがないのであるからして、現在も「ハニー」を愛用せざるを得 ないのである。まあ、発音しやすいしね。
 ただ、この呼び名にも弱点がある。
 かみさんの買い物に付き合って、女性の下着売り場まで行って、そこのエ リアには入らずに、外堀の部分で待ちに入っている際に、どうしてもかみさ んの名を呼ばねばならぬ状況に追い込まれた場合などは、その最高の例であ ろう。
 「ハニー!」などと大声で呼ぼうものなら、売り場中の女性が自分の方を 振り向くことになる。
 やはりそういう時は「ゲッ!」という気持ちになり、今度は音量を落とし ながら、しかしあくまでも「呼び」の感じで、「ハーーーニーーー」と呼ぶ のだが、結果はまったく同じことなのである。
 余談だが、これは、日本のお風呂屋さんで、おっさんが壁越しに「お〜 い」とか、おばちゃんが「おとうさ〜ん」とか呼び合うのにかなり近いもの があるかもしれない。
 呼び名「ハニー」のもうひとつ困った点というのが、ケンカの際に気合が 入らないということである。
 「おめえが悪いんだろ! ハニー」
 「ハニー、聞いてんのかよ!」
 これでは、敵にナメられるだけである。
 しかし、下手にかみさんの名前を呼んで、その発音がうまく行かなかった 場合、「自分のワイフの名前も発音できないのかよ、ケッ!」というふうに 逆襲を食らってしまう可能性もあるのだ。油断はできない。
 その時、つまりグリーンカードのインタビューが終わった後、ラファエッ ト・ストリートをお互いにプンプンイライラしながら北に歩く最中に、私が 発した言葉というのも、相当マヌケなものだったに違いない。
 「結局、昼メシなに食うんだよ! ハニー」
 「オレ、仕事なくすかもしれないんだぞ! ハニー」
 自分でもなんとかせねばならんと思っている。
 いい発音の学校があったら教えてください。
                             ひろ
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『今週の歌』

「なんとなく ココロの奥に しまってた
             ここにいる意味 考えること ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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