1998年3月10日号(No.209)




目次

*『Jタウンの意味2』〜LAJJ & SFJJシリーズ3〜
*『Nuts世界観光案内・怒涛のムエタイ・キック編2』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第32話』
*『今週の歌』
*『在外投票”もうひと押し”キャンペーン』     〜今週の攻め攻め理事議員2〜
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『Jタウンの意味2』〜LAJJ & SFJJシリーズ3〜

 さて、先週に続きまして、今回も「LAJJ & SFJJ」シリーズ第3弾、「J タウンの意味」についてお話ししたいと思います。
 皆さん、LAの「リトル・トーキョー」をご存知ですか。「小さな東京」っ ていう意味ですね(だれでも分かるわ)。
 その歴史につきましては、わたくしども、まったくじぇんじぇんなーんに も知りません。
 最近の噂としましては、「治安がよくない」とか「日本人が集まらない」 などを耳にしております。
 実際、辺りの風景はあまりおしゃれなものではありません。リトル・トー キョーから数ブロック外に歩きますと、突然ココロが寒くなる空気が漂いま す。「危険」という空気です。
 でも、リトル・トーキョー内に関しては、大丈夫そうです。交番もありま すしね。
 ここには、巨大なヤオハンがあります。その巨大さを具体的な例で表現し ますと、川向こうにあるニュージャージーのヤオハンを5つ分ほど縦に重ね たぐらいの視覚的重量感があるのであります。
 また、日本語のカンバンもその辺りにやたらとありますし、何やらヤグラ のようなものもデンと立ってたりして、「小さな東京」らしさを盛り上げて おります。
 こういう類いの場所は、ニューヨークには存在しておりませんね。
 うらやましい限りです。
 SFの「ジャパン・タウン」の場合も似たような噂があります。「治安がよ くない」「日本人が集まらない」などです。
 このジャパン・タウンには、巨大な日系小売店はありません。ただ、小さ めのモールや商店街があります。そこには、日本食レストランもかなり入っ てたりして、相当密度の濃い日本的空間を作り出しております。
 Nuts軍団がこれら二つのJタウンを視察して最も印象に残ったのは、両タ ウンにある「なんとなくいかがわしそうな日系ビジネス」の存在でした。
 なんとなくいかがわしいそうな日系ビジネス。例えば、「客が入りたくな る要素を感じさせない日系バッグ屋」「外から見ても一体何を売っているの か分からない日系小売店」「”こんなもん、だれが着るんじゃ”と怒鳴りた くなる日系洋服屋」「売ってるものにまったく主旨がない日系雑貨屋」「趣 味の異常に悪い日系喫茶店」などなどです。
   これらのお店がLAとSFにはあるのです。
 皆さん、胸に手を当ててよ〜く考えてみてください。ニューヨークにその ようなバッグ屋、小売店、洋服屋、雑貨屋、喫茶店がありますか。ないで しょ。
 それらの店の存在を知るに至り、私たちNuts軍団は以下のような思いを強 くしたのであります。
 「さすがLA&SF、日本に近いんじゃのう」
 勘違いされては困りますので、ここでクリアーにご説明しますと、私たち は、LAとSFにそういう「なんとなくいかがわしいそうな日系ビジネス」があ ることをひじょーに羨ましいと思います。間違っても馬鹿にしてるわけでは ありません。
 私たちが羨ましいと思うその理由は、前記のようなワケの分からんビジネ スがやっていけるだけの客層があることなのでした。
 読者の皆さん、少しだけ記憶をさかのぼってみてください。あなたがまだ 小学生だったころ、近くのアーケードに「外から見ても一体何を売っている のか分からない日系小売店」がありませんでしたか。あなたが通っていた中 学校の近くに「売ってるものにまったく主旨がない日系雑貨屋」があって、 そのおばさんがやたらと根性悪かったりしませんでしたか。高校の頃、付き 合ってた女の子に「お願いだからあの喫茶店にだけは連れていかないで」と 泣いて頼まれた「趣味の異常に悪い日系喫茶店」が、家から自転車で10分 ぐらいのところにありませんでしたか。
 そういう意味でLAとSFの日系小売業界及びそれを取り囲むお客さん群とい うのは、日本にかなり近いものがあります。特にそのお客さん群の層の厚さ は、なかなかのムチムチ感をかもしだしておるのであります。
 まったくもって、うらやましい。
 それに、そういうお店というのは、そのいかがわしさの他に、なにやら日 本人をホッとさせる臭いのようなものを持っておりまして、それは、緊張感 から遠く離れることの喜びとでも言うんでしょうか、例えば、中年のハゲお やじが愛人のユミちゃんのアパートに行って、「やっぱりユミちゃんといる とホッとするよね」とひとこと漏らす「ホッとする」にほとんど「=」する ものなのであります・・・・・ちと違うな。まあ、いいや。
 ちなみに、Nuts取材班がSFのジャパン・タウンで侵入した「五車堂」とい う小さな雑貨屋は、相当な驚きでありました。この店は、文房具アリ、お土 産アリ、本アリと、「こ、こ、この店は一体何を売っているんだ?」と店内 で暴れ出したくなるような品揃えなのでした。
 でも、よく考えますと、日本の私たちの実家の近くにもそのようなワケの 分からんお店があったような気がするのですね。
 また、驚くべきことに、ニューヨーク、LA、SFにある大手日系書店で探し まくったけど見つからなかった本が、この五車堂の乱れに乱れた本棚の片隅 にそっと隠れていたりするから、こういう店の底力は分からんのです。
 なにはともあれ、今回の文の主旨はですね、なんとなくいかがわしそうな お店がはびこるだけの懐の深さを持つLAのリトル・トーキョーとSFのジャパ ン・タウンが限りなく羨ましい、ということなのであります。
 いつになったらニューヨークにもこういうお店たちが出現するのでしょう か。待ち遠しいところです。
 Jタウンにつきましては、そんなところです。来週は、LAとSFの日本語メ ディアについてお話ししたいと思います。
 では。
                   「週刊Nuts」編集部
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『Nuts世界観光案内・怒涛のムエタイ・キック編2』

 ムエタイの修行に行ったからといって、毎日サンドバッグをバコバコ蹴っ ていたわけではない。その日は、バンコク市内にある「タイ大丸」にちょっ くら行ってみることにした。
 この「大丸」というのは、あの日本にあるデパートの「大丸」のバンコク 支店のことである。
 余談だが、今、本屋に出ている「地球の歩き方・タイ編」にはこの大丸は 載っていない。しかしながら、私がバンコクにいた1988年には、確かに その店はあったはずだ。
 クーラーもなにもついてないバスに乗って、大丸へと向かう。運賃は2 バーツ。その頃、1バーツがおよそ10円だったから、20円ということに なる。
 それは、私にとって初めての海外旅行で訪れた初めての日系デパートだっ た。よそ様の国に日本のデパートがあることが奇妙に心地よかった。一種の 侵略意識とでもいうのだろうか。大丸の存在が自国の進出のように感じられ て、私の心は瞬間的に右に大きく傾いたような気がした。
 一番上の階には、日本食レストランがあった。
 「こんな国に日本料理食う人間なんているのかな」
 ガラスケースの中に並べられた偽物のカツ丼を眺めながら、私はそんなこ とを考えていた。
 「キミ、日本人?」
 急に後から声をかけられた。振り向くと、そこには背の高い中年の日本人 男性が立っていた。
 「あ、はい」
 私は少し驚きながら、そう答えた。
 この国に来て初めて見る背広姿の日本人だった。それまで見てきた日本人 は旅行者ばかりで、みんなTシャツに短パン、あるいはジーンズ姿だった。そ こにいたのは、明らかに彼らとは違う人種の日本人だった。
 「旅行しに来てるの?」
 「そうですけど・・・」
 よく話してみると、彼はその日本食レストランのマネージャーだった。
 海外で働く日本人に会ったのは、それが最初だった。私はその人を見つめ ながら、彼のバンコクでの生活を思い浮かべようとした。しかし、海外で働 くという事実をその時の私の脳味噌はまだ受け付けることができなかった。
 「ねえ、誰かここのレストランで働きそうな日本人知らないかなあ?」
 突然彼が言った。
 「ここで働くんですか? そんなこと出来るんですか?」
 「簡単、簡単。誰だって出来るよ。いやさあ、うちのキッチン、タイ人を 使ってんだけど、あいつらに任すと味がドンドン辛くなるんだよ。タイ人っ て辛いのが大好きだからね。だから、キッチンに日本人をひとり入れたくて ね、今探してるってわけ」
 それまで私は「海外で働く」ということを考えたこともなかった。私に とっての海外は、あくまでも「余暇」の場だった。でも、自分の前にある現 実は、日本人が海外で「生活」できることを証明していた。
 「もし、よさそうな子がいたら紹介して。ね? よろしく」
 そう言って、彼はレストランの中に入っていった。
 エスカレーターに向かいながら、私は自分があのレストランで働いている 風景を想像した。「ここに職場があって、アパートがあって、毎日出勤し て・・・・」
 「そんなことって、あるわけねえよな」
 私はその想像を否定するかのように心の中でそうつぶやいた。
 しかし、生きる場としての「海外」が、自分の人生の選択肢の中に無意識 のうちに加わっていたことに、その時の私はまだ気がついていなかった。
                         Hiro
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『編集後記』

 久々の編集後記なのであります。
 まずは事務連絡をひとつ。
 国際結婚軍団「アップル・カップルズ」が、来る3月20日(金)午後6 時半より日系人会(15 W. 44th St. 11th Fl.)にて日本人だけのミーティン グを行ないます。会費は8ドル程度。興味のある方は(212)682-7919 斎藤 さんまでご連絡ください。
 この国際結婚に絡みまして、つい先日、「グリーンカード申請中の人たち のためのサポートグループがあったらいいですね」というお手紙をいただき ました。
 まったくその通りなのであります。
 もし、そういうグループを作りたいという方がいましたら、「週刊Nuts」 は全面的にサポートします。できれば私たちの方から積極的に動き出したい ところなのですが、なんせやっつけなくちゃいけないことが他に山ほどある のですね。
 この話は、また別の機会にでもじっくりお話しします。
 トドメは、53丁目の5番と6番の間にある市立図書館の日本語の本につ いて。
 以前にもお話ししましたように、この図書館には日本語の本が約3500 冊ほどありまして、ついでに「週刊Nuts」の表紙を担当しているひろ氏が図 書館側からの依頼により、1年に4回、約2千ドル分ずつ新しく買い足して おります。
 先日も単行本を70冊、文庫本を60冊ほど買ったようなのですが、ちな みにこれらの単行本が本棚に並ぶのには半年以上かかります。ところが、文 庫本の場合は、約1週間ほどで本棚デビューするのであります。
 ですから、コツとしては、「週刊Nuts」2月24日号の表紙の絵のような 「本を買った」という情報が出ましたら、とりあえず単行本のことは置いと いて、文庫本の方を積極的に漁ったほうがベターではないかと思われます。
 文庫本に関しては、今回は、伊丹十三、景山民夫、星新一など、最近亡く なった方々の作品を中心に買い付けしたという話です。その他に村上龍を ごっそり、カタいところでは戦後の代表的名著である武田泰淳著「司馬 遷」、竹内好著「魯迅」なども納品されております。
 日本語の本を借りる人が増えれば増えるほど、その買い付けのための予算 もスカイロケット、つまりドンドン上昇いたします。
 みんなで借りまくりましょう。
 今週はこんなもんです。
 では、また来週。
                                    「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第32話』

 今週はスペースがあんまりない。
 だから、ストーリーを前にグイグイ進めることは不可能である。
 といっても、普段からそんな「グイグイ」などやってもいないから、ま あ、同じことなのかもしれない。
 あっという間に第32話である。ホントは、20話ぐらいで終わるつもり だったのが、ズルズルと長くなっている。この分では、1年間、54話は行 くだろう。
 たった数日の出来事を1年かけて語る喜び。皆さんにご理解いただけるだ ろうか(分かりたくもないわね。ごめんなちゃーい)。
 江戸時代に「ノコギリ引きの刑」というのがあった。罪人を頭だけ出して 地中に埋め、その罪人の首に当てられたノコギリをそこを通り過ぎる人々に 一引きずつさせるのである。
 罪人にしてみれば、「さっさと斬り落としやがれ」と言いたいところだろ うが、そうはいかない。一引き、そして一引き。意地悪してちょっと戻した りなんかして。
 この「グリーンカードへの道」の読者の方々の苦しみは、それに近いもの があるかもしれない。
 ぐふっ。
 とりあえず、今回のこの文は、その首からノコギリが左右にニョキリと生 えている罪人に対して、「ねえ、痛い?」と聞いているようなものである。
 我ながら悪趣味だと思う。いやいやいや。
 ねえ、痛い?
                         ひろ
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『今週の歌』

「3週間 休みをとれと 言うキミに
            できぬ理由を 語るわびしさ  ひろ」
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『在外投票"もうひと押し"キャンペーン』

   〜今週の攻め攻め理事議員2〜
   〒100 千代田区永田町2ー2ー1    衆議院第一議員会館 641号室    林 幹雄衆議院議員様(自民)    FAX (03)3502-5016    JAPAN
皆さんの”もうひと押し”、よろしくお願いいたします。

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「週刊Nuts」編集部


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