1998年4月21日号(No.215)
目次
*『日系人とはオサラバね』〜「LAJJ & SFJJ」シリーズ5〜
*『在外投票秒読み態勢』
*『コミラジNuts・その2』
*『Nutsコラム』
・コラム『ミラー家のヨメ』〜イミグレ奮闘記第四話〜
*『グリーンカードへの道・第37話』
*『今週の歌』
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『日系人とはオサラバね』〜「LAJJ & SFJJ」シリーズ5〜
さて、今週は、「LAJJ & SFJJ」シリーズ第5弾、「日系人とはオサラバ
ね」についてお話ししたいと思います。
ホントはLAとSFのJA(Japanese American)の方々についていろいろと
語ってみたかったのですが、ただ単に「え〜っと、LAのJAはですね・・・」
なんて話をしてもつまんないだけですから、前々から私たちが「なんか変
じゃねえか」と思っていた「日系人」という言葉にフォーカスを置いて今回
は語ってみたいのであります。
以前にもお話ししましたように、この「日系人」という言葉は非常に曖昧
な意味を含んでおるのであります。例えばアメリカで日系人という場合は、
JAを意味する場合もありますし、こちらに長〜く住んでるJJ(Japanese
Japanese)を差していう場合もあります。
私たちNuts軍団は、個人的にと言いますか、組織的にこの言葉にウラミが
あります。それはなぜかと申しますと、日本の日本人(ここではDomestic Japanese、DJと呼ぶことにしましょう)は、グリーンカード、日本語風に言
いますと永住権(ホントはこの言葉も使いたくないのよ。だってすんげえ誤
訳だもーん)を持つ日本人を、日系人と呼びがちなのであります。
DJ側の解釈とすれば、「永住権持ってんだからアメリカに永住するってこ
とでしょ。だったらもう日本人じゃないじゃない。だからあなたたちは日系
人よ」てなことになるのでしょう。
そのせいで、私たちは在外投票運動をプッシュする際にえらい苦労したの
であります。だって向こうは「永住権を持ってるのは日系人だ」っていうイ
メージを持ってて、その日系人が「日本の投票権くれ」って騒ぎ出したもん
だから、「なんで日系人が日本の投票権なんか欲しがるんじゃ〜」とプンプ
ンしてしまったのであります。そのせいで当初の在外投票法案では、永住権
保持者は投票できんことになったおったのですね。
でもこれは、DJの皆さんが悪いんじゃありません。「日系人」と「永住
権」という2つの言葉が、彼らを勘違いさせたのであります。
で、もうひとつ気になるのが、私たち日本人は、日系人という言葉を聞く
と、「ニセ物の日本人」だとか「血が混じってる日本人」「入れ物は日本人
だけど中身は外人の日本人」「中途半端な日本人」「日本を捨てた日本人の
子孫」などのネガティブなイメージを無意識のうちに持ってしまうのではな
いでしょうか。なにやら「1ランク下の日本人」って感じがして、私たち
Nuts軍団はこの言葉がとってもイヤなのであります。
少なくともポジティブなイメージはないですよね。日系人と聞いて、「い
いなあ」「すごいなあ」「かっこいいなあ」及び「うらやましいなあ」と思
う日本人は、そう多くはないのだ、と私たちは言い切ってしまうのでありま
す。
持ってる意味も曖昧だし、イメージも暗いし、在外投票運動にとっても厄
介者だったし、そんなわけで私たちは、この日系人という言葉を抹殺したい
と考えておるのであります。
すでに「週刊Nuts」紙上においては、できるだけこの「日系人」は使わな
いようにしています(今回は別よ)。そのかわりに、「日系アメリカ人」あ
るいは「JA」などの、出所と所属ができるだけクリアーになるような呼び名
を使っています。
「日系人」と「日系アメリカ人」って、意味は同じだとしてもサウンドが
かなり違うでしょ。「アメリカ人」っていうのが付くと、なんかランクが上
がるような感じがします。なんせ多くの日本人がアメリカ人に対して劣等感
を持っておりますからね、ハッハッハ。
「JA」の場合は、なんといっても横文字ですから、英語に弱い日本人には
効果があります。国鉄がJRに替わった時のイメチェンを思い出していただけ
れば幸いです。
ところでですね、前にも書いたと思うのですが、毎年日本で「海外日系人
大会」というのが開催されております。今年も5月のあたまに行なわれる予
定です。
この「海外日系人大会」、名前から判断しますと「日系ナニナニ人」の人
たちのための大会のような感じがしますが、実を言いますと、在外日本人=
OJ(Overseas Japanese)も参加しておるのであります。
と、今回はこのくらいにして、「海外日系人大会」に関する詳しいことは
来週お話しすることにしましょう。
では。
「週刊Nuts」編集部
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『在外投票秒読み態勢』
在外投票成立までとうとう秒読み態勢に入りました。
日本からの情報によりますと、今週の木曜日にこの件に関する最後の委員
会が開かれます。予定では、その場で採決、つまり「決めちゃった」的行為
が行なわれ、その後の本会議(とりあえずここでは「委員会よりももっと大
きな会議で、参議院の議員さんたちがみーんなで集まって何かを決めちゃう
ところ」と解釈しててください)で可決、ということになっているのです
が、いやはやどうなりますやら。
もし、なんの波乱も起こらずにすべてが順調に行った場合、今週の金曜日
に「在外投票バンザイ!」してしまう可能性もあります。ただ、世の中何が
起こるかわかりませんからね。油断は禁物です。
それにしても、衆議院、参議院と続けてやった「もうひと押しキャンペー
ン」は、結構効果的だったようです。プッシュ先の議員さんからもお手紙を
数通いただきましたし、参議院担当委員会のまるで寿司職人のようなシャキ
シャキした対応を見ておりますと、私たちの「ひと押し」を無視せずにしっ
かり受け止めていただいてるような気がするのであります。
プッシュしていただいた方と、それをしっかり受け止めてくださった議員
の皆さんにこの場を借りてお礼申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
日本語だけではなんですから、「サンキュー」「謝々」「グラシアス」と
3ヵ国語の「ありがとう」を付け加えされていただきます。
まだ法案が成立してないのにこんな話をするのも何ですが、在外投票のド
タバタにケリがついたら、これまでの在外投票ムーブメントの反省と今後の
展開について語り始めねばならんでしょう。
特に在外投票ムーブメントに関しては、自省の意味も込めてしっかり振り
返って見る必要があります。
基本的にNuts軍団は、永田町の皆さんをどちらかというと「敵」として捉
らえてきましたが、先日ある方とお話ししましたところ、永田町の中にも在
外投票シンパがかなりいたことが判明したのであります。
そりゃそうですよね。でないと法案が成立するわけないのであります。
この運動は、一見「市民対政治家+官僚」的イベントに見えるのですが、
でもよ〜く調べてみると、「市民+政治家+官僚」型の法案らしいのです。
そういう意味では、先日、日本で成立したNPO(非営利組織)法案に近いも
のがあります。「みんなで作ったワーイワーイ」というのが、それらのキー
ワードですね。
そういう意味で、この在外投票法案というのは、日本の政治史上において
もなかなかのヒット作ではないかと私たちは考えております。
「市民+政治家+官僚」のカタチや選挙権のない人たちが政治を動かした
という点、そしてインターネットを縦横無尽に使った運動形態など、その成
立プロセスには、21世紀を感じさせるものがあります。
まあ、そう感じてるのは私たちだけかもしれませんが、それはそれでよろ
しいじゃないの。ハッハッハ。
ホントに21世紀を感じさせるものであるかどうかは、法案成立後にでも
じっくり考えてみたいと思います。
今週は、「もうひと押し」議員宛名ラベルは掲載しませんでした。もう必
要ないでしょ。
それでは皆さん、今週の金曜日にご注目ください。
では。
Nuts在外投票部
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『コミラジNuts・その2』
先週お話ししました「コミラジNuts」の続きなのであります。今週はその
内容をご紹介したいと思います。
一応、私たちは週1回の30分番組を予定しています。できれば月曜日の
夜9時半とか10時がいいのですが、これはラジオ・ステーション側の空き
時間との絡みがありますので、今のところはなんとも言えません。
タイプ的には「トーク・ラジオ」になります。音楽は基本的に一切流しま
せん。番組の最初と最後にはBGMみたいなものを持ってこようかなーと考え
てますが、番組の最中に最近の曲紹介などをやるつもりはまったくありませ
ん。時間がもったいないのですね。
私たちがやろうとしているのは30分番組でありまして、その中で2分ぐ
らいの曲を3つ流したとしたら合計6分、つまり番組の5分の1は音楽に
なってしまうのであります。
曲というのはただただ流すだけでして、もっとおもしろくするために私た
ちがその内容に手を加えることは完全に不可能なのであります。要するに番
組全体の5分の1は、私たちにコントロールできないものによって支配され
てしまうのですね。
これは、はっきり言ってイタイです。
先週も書きましたように、ニューヨークには以前にも日本の曲を紹介する
ラジオ番組がありましたし、今放送されている「Jam Jam」も毎回結構な数
の曲を流しています。
私たちは、それらを観て「曲紹介番組は危険だ」と思うのであります。突
き抜けるような「おもしろさ」を感じないのですね。
昔、私たちが聴いていた「オールナイト・ニッポン」を思い出してみれば
よく分かるのですが、「おもしろいラジオ番組」の中において、曲というの
は基本的にしゃべりの「付け足し」あるいは「休憩」に過ぎないのでありま
す。
それは、しゃべりがおもしろいからこそ生きるものでありまして、曲自体
が主役になってはいけないのであります。
「曲紹介のラジオ番組」という切り口もあると思います。ただそれは「お
もしろいラジオ番組」ではないですね。
私たちも当初「番組中に日本の曲を紹介しよか」と考えてた時期がありま
した。でも、現在の「Jam Jam」の苦戦ぶりを見ますと、「こりゃ無理や
ね」と思うのであります。
ここニューヨークで日本語ラジオ放送というものをビシッと確立するため
には、それは徹底的に「おもしろいラジオ番組」でなければなりません。そ
の1分1分が非常に内容の濃いラジオ番組です。
その際に曲というのは邪魔になります。先にも書きましたように、それ自
体に手を加えることは不可能だからです。ついでに、曲というのは聴くもの
であって、おもしろがるものではありません。
息抜きにはとってもいいんですよ。でも、息抜きが主役になってしまいま
すと、番組全体に緊張感といいますか、張りのようなものがなくなってしま
うのであります。
そういう張りのないラジオ番組というのは、「さあ、今からラジオ文化を
NYJJ社会に根付かせるぞ」という段階においては、使えないのであります。
その辺の詳細については、また来週お話しします。
では。
Nuts電電映営部
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『Nutsコラム』
『ミラー家のヨメ』〜イミグレ奮闘記第四話〜
「来る、来ない、来る・・・・・」。イミグレからの連絡を待ち続けて六
ヵ月が経とうとしていた。
「うあーあぁぁん! 九月までもうすぐなのに、これじゃー強制送還させ
られちゃうよおお!!」。蒸し暑い部屋の中で「NY1」を見ていた私はパニ
クッていた。レポーターが「現在永住権申請中の人も国外退去の可能性があ
る」と伝えていたからだ。画面に向かって「もっともっと情報をくれー!!」
と叫ぶ私の声はとどくはずもなく、ニュースはどんどん流れて
いった。私の目は画面を見つめていたが、頭の中では屈強な男達に取り囲ま
れて、飛行機に押し込められる映像がリフレインしていた。
最後の指紋を出した時に「こっちから連絡するから!」という面接官の言
葉を忠実に守った事を後悔しながら、フリーペーパーの移民法アップデート
を握り締める毎日が続いて、とうとう私と夫の忍耐力が尽きた。「こうなっ
たらこっちから攻めるしかない!」「もう面接官に会いに行ってもいい頃だ
よ!」
三日後、移民局内に忍び込んだ私たちは思いっきりブチのめされた。
「何?」。面接官の横柄モードはパワーアップしていた。「一月に出した指
紋、どうなってるんでしょーか?」「知るわけないでしょ」「あのっ! 私
達住所変更したんで、コレです」。面接官は私が持参した紙を一瞥して最後
の一撃を放った。「我がままもいい加減にしたら? 指紋、待ってるのアン
タだけじゃないんだから!」。彼女は体を揺さぶりながら私達の前から消え
た。
友達が会った面接官の中には職業熱心な人や、フレンドリーな人もいたよ
うだが、私達の担当は不親切、不熱心なタイプだった。そんな彼女に「ワガ
ママ」の烙印を押された私と彼は移民局と対決する意志を固めた。
香月 葵
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『グリーンカードへの道・第37話』
「いいからちょっと貸しなさいよ!」
そう言ってかみさんは私から受話器を奪い取った。
「ハロー」
「ハーイ。どうだった? 今、ヒロと話したんだけど、指紋がまだ返って
きてなかったみたいね。でも、Don't worry。他の人もみんなそうなんだか
ら」
「あ、そう。でもあの面接官、最悪だったわよ。だって私に”ところでア
ンタはどこの国から来たの?”なんて聞くんだから。”おめえこそナニモン
じゃ”って言ってやろうかって思ったわよ。でね・・・」
ここでインポータントなのは、かみさんが面接官に憤慨したなどの感情的
な問題ではなく、このまま行くとパスポートにスタンプが押される前に切れ
てしまう私のプラクティカル・トレーニング・ビザのことなのであった。
私は、FAX付き電話機の横に突っ立ったままつまらん話をウダウダしてるか
みさんに向かって言った。
「おめえ、人が働けるか働けないかの大事な時に、面接官の態度が悪いの
どうのこうのなんて言ってる場合か! 早く替われっちゅうのに・・・」
私は受話器を奪い取るためにイスから立ち上がろうとした。そのデカイ顔
をかみさんは上から手のひらで押し返した。
「ちょっと待ってなさいよ! だから・・・」
「話させろー! アンタ、これって大事なことなんだから、その受話器を
貸かしなさいって!」
「わかったわよ! うちの移民野郎がうるさいから替わるわね。じゃあ
ね」
かみさんは私に受話器を渡し、横に置いてあったベーグルを持ち、「ケッ!」
という顔をしながらキッチンへと歩いて行った。
嵐は去った。
「もしもし、オレだけど」
「彼女、面接官の件でだいぶアプセットしてるみたいね」
「いや、本来アプセットすべきなのはオレなわけでね、そんなことはどう
でもいいんだけど、労働許可書の話なんだけどさー・・・」
やっと話が本題に入ろうとしていた。
ひろ
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『今週の歌』
「ビザなしじゃ 何もできない こんな国
捨ててトットと 日本に帰ろう ひろ」
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