1998年9月8日号(No.235)
目次
*『円安だからこそ・・・2』
*『Nuts TV作戦2』
*『グリーンカードへの道・第50話』
*『今週の歌』
***********************
『円安だからこそ・・・2』
さて、8月18日号(NO.232)に掲載しました「円安だからこそ・・・」
の続編なのであります。
簡単に前回の「円安だからこそ・・・」の内容をご説明しますと、今から
アメリカを攻めたいなあーと考えてる日本企業を対象に、彼らの商品のマー
ケティングを行なうためのアンテナ・ショップをニューヨークにオープンし
ようでないの、というものでした。思い出しましたか。
ホントは続編の予定はなかったのですが、先日「読売アメリカ」紙上に、
「アメリカ攻め」に関するおもしろい記事が載っておりまして、それをNuts
軍団員で「ほお〜、こんな攻め方もあるんですのー」などと話していた時
に、ちょっとした弾みであるアイデアが生まれてしまったのであります。
というわけで今回は、そのアイデアの全貌をご紹介したいと思います(か
なり長いから覚悟してね)。
まずは、前記の「読売アメリカ」の記事についてお話ししましょう。
8月28日付の「読売アメリカ」によりますと、今年アメリカの自動車市
場への参入を予定している韓国の「大宇自動車」は、今回その販売促進の一
環として、アメリカの大学生2000人に同社の車を3ヵ月間無料で貸し出
し、あんたらの周りで口コミで売ってちょうだい、という作戦を発進させる
らしいのであります。
つまり、大学生に車をタダで貸し出して、彼らを車の臨時セールス・パー
ソンにしてしまうのですね。
うまく売れれば学生にもコミッションが入るらしく、成績優秀(勉強では
なく、車の売上ね)な学生には「韓国1週間招待」のプレゼント付きってい
うから驚いちゃうじゃないの。
3ヵ月が過ぎたら、そのまま車を返してもいいし、通常よりも安い値段で
引き取ってもOK。
なかなかおもしろいアイデアでしょ。
ここで私たちが注目したのはですね、大学生を車販売の起爆剤にすること
なのであります。噂によりますと、この「大宇自動車」、アメリカの若者マー
ケットを狙っているらしく、そこで大学生という若者集団を直線的に攻
めることにしたとのこと。うむ、スジが通っておりますな。
また、無料で3ヵ月間車を貸し出してしまうというのも、非常に大胆でよ
ろしいと私たちは考えるのであります。やはりこの時点でアメリカ市場に新
たに参入してくるのですから、ちょっと変わったことをやらないと目立ちま
せんからね。
この記事を読んで私たちも考えました。
「う〜ん、この攻め方は結構使えるかもしれんぞ。今からアメリカを攻め
ようと考えてる日本企業も、彼らを真似てみたらどうかのう。例え
ば・・・」
私たちがここで例として取り上げるのは、「CASIO」の「G-SHOCK」にな
ります。あのゴッツイ腕時計ですね。アメリカでも一応出回ってることは出
回ってるのですが、まだブレイクはしておらず、でもこれからやり方次第では
売れそうな商品です。
てなわけで、私たちは、「CASIO」がアメリカにおいて「G-SHOCK」を本
格的に販売すると仮定し、先の「大宇自動車」のマーケティング方法=「あ
る特定の人間集団を起爆剤とする方法」及び「無料で貸し出し、あるいは配
布する方法」を使った「G-SHOCK」の売り込み作戦を考えたのであります。
手順は以下の通りです。
1)まず、起爆剤となる人間集団ですが、この「G-SHOCK」売り込み作戦で
は、「ニューヨークのイースト・ビレッジ辺りで遊び回っている日本人若い
衆」及び「ロスで波に乗りまくっている日本人サーフィン若い衆」を対象に
します。
ここでその人選の理由を説明します。
アメリカには、「日本人というのは、なかなかこざっぱりとしたカッコし
てるし、持ち物もシャレとるではないの。彼らって、結構オシャレよね」と
いう見方が存在します。
「え〜?! そんなことな〜い!」と言ってるアナタ。別にアナタのこと
をオシャレだと言ってるわけではありませんのでご心配なく。
アメリカにおける日本人のそういうグッドなイメージ作りに一番貢献した
のは、在米日本人のマジョリティーである日本人駐在員及びその家族や、私
たちのようなミニコミをシコシコ作ってる変態たちではなく、ちまたで遊び
回ってる日本人若い衆なのであります。
彼らは、はっきり言ってオシャレです。カッコイイとかクールだとかはと
りあえず置いといて、彼らの着てる物、持ってる物はかなりシャレてるので
はないかしらと私たちは思いますし、アメリカ人も私たちと同じように感じ
ているはずです。
これで、なぜ今回私たちが「ニューヨークのイースト・ビレッジ辺りで遊
び回っている日本人若い衆」と「ロスで波に乗りまくっている日本人サー
フィン若い衆」を選んだか、おわかりになったと思います。
カッコや持ち物には定評のある彼ら日本人若い衆が「G-SHOCK」を付けて
歩くことによって、「おい、あの日本人が付けてる時計見てみろよ。クール
だよなあ」「ねえ、それどこで買ったの? へえ〜、CASIOのG-SHOCKって
いうんだ。オレも買おーっと」「ちょっとこれ見てよ。この前買ったんだ。
その辺にいる日本人みーんな持ってるぜ」「ホントかよ。じゃあオレも買お
うかなー」的現象をアメリカ人の間で巻き起こそうという読みなのでありま
す。
「最初からアメリカ人の小僧たちに配ったらいいジャン」という声もある
かもしれませんが、それだと対象が広がりすぎてしまうのであります。ま
た、アメリカ人だと「G-SHOCKをアメリカでブレイクさせてみようじゃない
の」という目的意識が持ち得ないのです。ついでに信用の問題もありますか
らね(信用に関しては、世界の中でも日本人はピカイチ)。
てなわけで、この作戦での起爆剤は、「ニューヨークのイースト・ビレッ
ジ辺りで遊び回っている日本人若い衆」及び「ロスで波に乗りまくっている
日本人サーフィン若い衆」になります。
2)次に、ニューヨークのイースト・ビレッジ及びロスのサーファーたちが
うろうろする辺りの時計屋、スポーツ用品店、大型スーパー、ディスカウン
ト・ストアーなどに「G-SHOCK」売り込みます(店に置いてもらうという
意味です)。
実際は、全米中に営業できたらベストなのですが、最初はその2ヵ所をカ
ンペキに押さえます。
売り込みがある程度成功したら、その「G-SHOCK」販売店をニューヨーク
とロスに分けてリストアップします。
3)そこまで準備ができたら、それぞれの地区で日本人若い衆を200名ず
つ選びます。その時のポイントは、実際に会って選ぶということです(服装
とか雰囲気を見る必要がありますからね)。そして彼らに「G-SHOCK」を3
ヵ月間無料で貸し出します。
3ヵ月後は、そのまま返してもいいですし、定価より安く買い取ることも
できます。
貸し出す際に、それぞれの地区の「G-SHOCK」販売店のリストの載ったビ
ジネスカード状のものを全員に配布します。それは、各選ばれし日本人若い
衆がアメリカ人に対してセールスする時に「ここに売ってる店が載ってるか
ら、これ持ってったらいいよ」と手渡すためのものでして、同時にそれを
持って行ったら5%とか10%割引にします。
ついでに、そのカードには担当者の名前を書き込めるようにしておいて、
各販売店でもそのカードをキープしてもらい、最終的にCASIO側が回収し、
最も数の多かった担当者数人に「日本1週間招待」をプレゼントします(こ
の辺は完全に「大宇自動車」の真似ですな)。
ただ、「G-SHOCK」の場合はコミッションはナシにします(車に比べて単
価が安すぎるからです)。その代わりに「G-SHOCKをアメリカでブレイクさ
せてみようじゃないの」というゴールを設定します。つまり一種のイベント
にしてしまうのです。
4)以上の準備ができたら、その2ヵ所で「G-SHOCK」が口コミで流行り出
すのをじっと待ちます。うまく行けば新聞や雑誌が取り上げてくれるはずで
す。
通常の広告は一切打ちません。じっと静かに待つのみです。
日本の企業やアーティスト、ミュージシャンがニューヨークに進出する際
によく見られるのが、最初にドッカーンと広告を打ち過ぎて、それで体力を
消耗し尽くし、そのまま知らない間に消え去ってしまうというパターンで
す。
広告のレベルと量ならおそらく世界一のここニューヨークで、広告費を数
億円使ったからといってすぐ物が売れるわけがありません。それはある意
味、戦車に竹ヤリで突っ込んでいくようなものです。
私たちが思いますに、そういう竹ヤリ軍団の方々というのは、こちらの広
告代理店にうまくダマされておるのではないでしょうか。「いや〜、ここは
ニューヨークですからね。広告費もやっぱりニューヨーク料金になりますよ」
てなことを言われて、広告打つためにわんさかわんさか金を注ぎ込むの
です。
体力のない企業や個人が巨大なマーケットに攻め込む時に最も有効な方法
はゲリラ戦法なのであります。ある1点をピンポイント攻撃しながら、でき
るだけ他力本願、要するにマスコミの力を活用するのです。これしかありま
せん。
話を戻しますと、その2ヵ所において「G-SHOCK」が本格的にブレイクす
るまでは広告は打ちません。これは広告費を抑さえるのと同時に、口コミで
流行ってるという状況を演出するという意味もあります。
で、マスコミが「G-SHOCK」のことを本格的に取り上げ始め、その2ヵ所
における「G-SHOCK」ブームが頂点に差しかかりかけた時に、大々的な広告
活動を全米向けに開始します。
イースト・ビレッジ小僧とロスのサーフィン小僧たちの間でブレイクした
ものであれば、おそらく何もしなくても全米中の小僧たちの間に広がるはず
です。ただ、それ以外の人たちにも説得力を持たせるためには、きちっとし
た広告活動が必要です。
そして、最終的に「G-SHOCK」がアメリカにおいてその地位を確立する。
以上が、私たちが考えた「G-SHOCK」売り込み作戦になります。
いかがなものでしょうか。世の中そんなにうまく行くとは思えませんが、
まあ可能性とすればなにきにもあらずでしょう。
なにはともあれ、ただ今バリバリ元気のない日本企業の皆さん、「大宇自
動車」を見習って、アメリカ市場にゲリラ的に殴り込みをかけてみたらどう
でしょうか。私たちもできる限り応援しますよ。
そんなとこです。
では。
Nuts電電映営部
**********************
『Nuts TV作戦2』
さて、「Nuts TV」作戦の第2弾なのであります。
先々週お話ししましたように、Nuts軍団のひとりが例の「パブリック・ア
クセス」のオリエンテーションに参加したのであります。
参加したのは、『グリーンカードへの道』の執筆者であるひろ氏。それで
は、早速ひろ氏にそのオリエンテーションの模様を報告してもらいましょ
う。
Nuts電電映営部
* * * *
『”パブアク”レポート』〜炎のオリエンテーション1〜
去る8月24日(月)、私は「パブリック・アクセス」のオリエンテー
ションに参加した。
午後6時過ぎに仕事場から抜け出し、電車に乗っていざ59丁目と10&
11番街の間へ。マンハッタン地区の「パブリック・アクセス」チャンネル
を管理・制作する「Manhattan Neighborhood Network(略称:MNN)」
に着いたのは、6時半を少し過ぎた頃だった。
意外にきれいな施設だった。ロビーには今日のオリエンテーションに参加
する人々が静かに座っていた。白人あり黒人ありヒスパニック系ありアジア
系ありの、いかにもニューヨークらしいメンバーであった。年齢的には、上
は50代、下は20そこそこ。
しかしながら、みな一様に変態的オーラを発していた。いわゆる「オタ
ク・オーラ」である。「この中には必ず趣味が昆虫採集とか切手収集なんて
野郎がいるに違いない」と私は確信を持ってそう思った(根拠はないけ
ど)。
でも、ここでテレビ番組を作ろうとしてる自分も十分オタッキーなわけ
で、これ以上彼らのオタク性を攻めても目クソ鼻クソになるだけだった。ナ
イス・テゥー・ミーチュー・エブリバディ。
いきなりオリエンテーションが始まった。最初はMNN内の設備を引率者付
きでみんなで見て歩く。
まったく大したもんである。オープン・スタジオにクローズド・スタジオ。
その他、コントロール・ルームにエディテング・ルーム。これらをすべて無
料で使わせてくれるのである。
人が集まってワイワイガヤガヤやれるリビング・ルームもある。引率者が
言う。「ここは単に自分の番組を作るための場所ではなく、いろんな人たち
との出会いを提供する空間でもあります」。私はその言葉に熱く感動し、
「ぬお〜」っと心の中で叫んだりする。もしかしたらラブリーな出会いも期
待できるかもしれない・・・と思ったが、今回参加してるメンバーを見て、
「否(いな)」と自分に言い聞かせる。それにしても、おめえらホントにオ
タクっぽいなあ。
そして私たちは、3階のミーティング・ルームへと場所を移したのであ
る。
ひろ
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『グリーンカードへの道・第50話』
受話器の向こうの面接官は、明らかにご機嫌ナナメだった。
こうなったら用件だけ聞いて、トットと電話を切るしかない。私は「I'm
sorry」を繰り返しながら、そこにスッと「By the way」を滑り込ませた。
「今日電話したのはボクの指紋の件なんですけど、結果のほうはまだ戻っ
てきてませんか? 最初の話だと3、4ヵ月後には返ってくるって聞いたん
ですけど・・・」
「まだよ。みーんなあなたと同じように待ってんだから、もう少し待って
ちょうだい。結果が出たらすぐ連絡するから」
「あ、そうですか。じゃあ、とりあえず待てばいいんですね」
「そうね」
そして私は例の件を詫びて受話器を置いたのである。
収穫ナシ。私の指紋は未だにテキサスのFBIに置き去りにされたままのよう
であった。
「やはり待つしかないのかのう・・・」
私は、イスに座ったまま、両手を頭の後ろで組んで、「ふんがー」と大き
く背を反らした。
その夜、指紋の件をかみさんに報告した。ついでに「パーソナル」の件
も。
かみさんは、「パーソナル」の話に関しては、「まあ、おめえがやりそう
な間違いだわな」的に「ケッ」と笑っただけだった。しかし、指紋の件に関
しては怒りをあらわにしてこう言った。
「ったく、だからイミグレとかFBIとか信用できないのよね。人の税金で
食ってるくせに」
その時、バカな私はツルッと口をすべらせてしまったのである。
「でも、あんたもパブリック・ライブラリーで働いてるんだから、同じと
言えば同じじゃないの?」
「何、その態度? あ、そういう態度取るワケ? ディボース!(離
婚)」
「カモーン、ハニー。カモーン」
「カモーンじゃないわよ、あんた。カモーンみたいな英語ばっかり使って
るから”パーソナル”の意味もわかんないのよ。もっとボキャブラリー増や
したら」
「て、て、て、てめえ・・・」
そうやって真冬の夜はふけていくのだった。
ひろ
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『今週の歌』
「”I wouldn't”と いった私に かみさんが
冷たくひとこと ”Udonか?”という ひろ」
下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
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