1998年10月13日号(No.240)
目次
*『Nutsパチパチ本紹介』
*『Nuts TV作戦6』
*『英語Nutsの可能性6』
*『Nutsコラム』
*『今週の歌』
**************************
『Nutsパチパチ本紹介』
さて、「Nutsパチパチ本紹介」なのであります。
このコーナーは正確には「Nutsパチパチもの紹介」でありまして、私たち
Nuts軍団が「これはすばらしい。パチパチパチパチ」と感じたものを紙面上
で紹介するという企画なのであります。
ちなみに「パチパチ本紹介」の他にも、「パチパチ作戦紹介」「パチパチ
人物紹介」「パチパチ軍団紹介」などをやってみたいと考えております。
では、最初の「パチパチもの紹介」です。
『今回のパチパチ本』
「地球の歩き方”ニューヨーク個人旅行マニュアル”」
本体1540円+税(ダイヤモンド社)
皆さんもお世話になったことがあるかと思いますが、日本ではニューヨー
クに関するガイドブックが山のように出版されておりますね。
ただ、はっきり申しまして、くだらん本がほとんどです。
初めてニューヨークに来る人たちにとっては、それなりに使えるのかもし
れませんが、リピーターたちのニューヨークに対する欲望を満たしてくれる
本は、ほぼ皆無に近かったのであります。
その理由をひとことで表現しますと、「日本の出版業界はアホばかり」と
いうことになります。ガイド本業界の場合ですと、本来「ニューヨーク」と
「読者」の仲介をすべき出版社側の人間たち(編集者)が、そのどちらにつ
いても大してわかっとらん、という無残な状況が続いておるのであります。
いや〜、困ったもんだ。
ところがですね、最近、ニューヨークのリピーターたちだけでなく、この
街に住む私たちも「おっ、なかなかいいんでないの」と思ってしまうガイド
本が出版されたのであります。
それが上記の「地球の歩き方”ニューヨーク個人旅行マニュアル”」なの
ですね。
その内容をちょっとご説明しますと、巻頭の「マンハッタン読書紀行」と
いうコーナーでは、ニューヨークの本屋やニューヨークを舞台にした本(英
語)などをサクッと紹介しております。
また、「ニューヨーカーになろう」コーナーでは、「ニューヨーカーが愛
を告白する場所」「ニューヨーカーで別れを告げる場所」などを紹介してた
りして、これまでのガイド本にない展開となっておりますし、その他にも
「ニューヨークと世界の歩み」インデックスや「裏セントラルパークの楽し
み方」などのシブめのネタを集めております。
こういう本に遭遇しますと、「はー、まだ日本にも物事のわかる編集者が
いたのね」と少しホッといたします。
それに、在ニューヨークの日本人ライターたちにとっても、定番の「今一
番ホットなスポット」のような、しょーもないネバー・エンディング・ス
トーリーを追うよりは、この本にある「読者」も「書き手」も楽しめるネタ
を扱うほうが、ずーっと幸せだと思うのであります。
ですから、こういう本はしっかり売れてもらわねば困るのであります。も
し売れなかったら、他のアホ編集者たちに「ほーら見たことか。やっぱりわ
しらの路線が正しかったんじゃー。がっはっは」と笑われてしまい、再び彼
らがくだらんガイド本を大量生産するのを許してしまうことになるのです。
役に立つニューヨークのガイド本がこの世に存在するために、日本の「読
者」とニューヨークの「情報発信者」が協力して、両者の真ん中に立つアホ
=編集者をコントロールし、同時に物事の本質がわかってる一部の編集者を
しっかり育てるのです。でないと、「読者」はいつまでもハナクソなガイド
本を読まされ続けることになりますし、「情報発信者」もワケのわからんネ
タを嘘と誇張をまじえて日本に送り続けることになるのであります。
そんなわけで、今回はこの本を「パチパチパチパチ」。
では。
「週刊Nuts」編集部
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『Nuts TV作戦6』
「Nuts TV」作戦の第6弾なのであります。
今週も「”パブリック・アクセス”リポート」をお届けします。
Nuts電電映営部
* * * *
『”パブアク”リポート』〜炎のオリエンテーション5〜
時計の針は午後8時を差そうとしていた。
リックが言った。
「ボクからの説明はこのくらいかな。あとの説明はリンダから聞くことに
なるんだけど、その前に10分ぐらい休憩しようか。あ、それから、みんな
身分証明書持ってきたかな。それをちょっと見せてもらいたいんだけど」
このManhattann Neighborhood Network(MNN)で自分が作った番組を
流したり、クラスを受けたり、設備を使えたりするのは、基本的にマンハッ
タンの住人に限られている。で、リックは、私たちがホントにマンハッタン
の住人であるかどうかを確認するために「身分証明書見せてちょ」と言って
いるのであった。
人々は立ち上がってリックのところに集まった。私は座ってその風景を見
ていた。
私の隣りのヒスパニック系の男性も私と同様、まだ座ったままだった。彼
は爪の手入れをしているようだった。それにしてもその爪の長いこと長いこ
と。
彼の顔をよ〜く見ると、なにやら日頃から化粧を塗りまくってるような荒
れた肌をしている。
私は自分の頭の中で、その細身で坊主頭の彼に化粧をし、カツラをかぶ
せ、ドレスを着せてみた。そして思ったのである。
「ははー、ゲイの方ですか」
彼がまとうオーラから判断して、彼がゲイであることは間違いなかった。
それも女装を得意技とする「ゲイ・バー」タイプのゲイのようだった。
「やはりこういう人は、それ系=女装ゲイ系の番組を作ろうとしてるのか
しら。う〜ん、それだったら結構おもしろいかもしれん。是非とも観てみた
いもんじゃのう」
私は、ヒゲ剃りのあとがうっすらと残る彼の横顔を見ながら、心の中で
「キミ、がんばるのよ」と静かに彼を励ました。
私と彼以外の参加者のほとんどが、自分がマンハッタンの住人であること
の証明を終えようとしていた。そろそろ私も動かねばなるまい。
私は席を立ってリックのところに歩み寄った。
自分のドライバーズ・ライセンスを彼に差し出す。
リックは「サンキュー」と言ってそれを受け取った。
アドレスを確認してるリックに、私はひとつ聞き忘れていたことを質問し
た。
「あの〜、日本語だけで番組作るのってOKですよね。英語でないとダメと
かないですよね」
リックは、私にドライバーズ・ライセンスを返しながら言った。
「ノー・プロブレム。どんな言語でもいいんだよ」
さすがアメリカ、太っ腹。
向こうの席を見ると、「ゲイ・バー」タイプの彼は立ち上がる気配も見せ
ずに、まだ爪の手入れをしていた。
ひろ
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『英語Nutsの可能性6』
さて、「英語Nutsの可能性」話の第6弾なのであります。
先週と同様、今週も「英語媒体がなくて困ってる人たち」についてお話し
することにしましょう。
前回は、アメリカ市場に攻め込もうとしている日本の食品メーカー、例え
ばアサヒ・ビール、カルビー、味の素などが、アメリカで広告を打とうとす
る際にぶつかる「困った困った」現象についてご説明しました。
要するに、私たちがここで言いたいのは、「現在、アメリカ市場に攻め込
もうとしとる日本の食品メーカーは、適当な宣伝メディアがなくて困ってる
わけよ」ということなのです。
ただ、こういうことを言いますとですね、次のように反論なさる方がいる
のであります。
「そんなことないんじゃない。だって、ソニーにしたってトヨタにしたっ
て、既存のメディアを使ってうまく宣伝してここまで大きくなったんだか
ら、食品メーカーだってやってやれないことはないわよ」
理屈的にはそうなのですが、私たちが考えますに、ソニー・トヨタ軍団と
今回のアサヒ・カルビー・味の素軍団とでは、そのアメリカへの攻め方は当
然変わってくるはずなのであります。つまり、「物」を売り込むのと「食い
物・飲み物」を売り込むのは違うのよ、ということです。
ではここで、車とビールを例に取ってご説明することにしましょう
(ちょっと複雑なことをおしゃべりします。覚悟してください)。
お客さんに商品を売り込む場合は、そのセールスポイントというのがベ
リー・インポータントになりますね。
車ですと、「値段」や「安全性」、そして「性能」などが挙げられます。
ビールの場合も「値段」などの要素はありますが、最も重要なのはその「う
まさ」でしょう。
ところがですね、この「うまさ」というのがなかなか厄介なのでありま
す。
車の「性能」などは、「これこれこういうふうに性能がいいのよ」と説明
可能です。例えば「100キロで走れる」だとか「10人乗れる」てな具合
にです。
でも、ビールの「うまさ」というのは、そういうわけにはいきません。ま
ず第一に「うまさ」というのは計れないのであります。
となりますと、両者の宣伝方法というのも、オフコース違ってまいりま
す。
車の場合ですと、その「値段」や「安全性」「性能」などを広告を使って
ガンガンアピールすればよろしいですね。だってそれらの要素って説明可能
ですし、お客さんに対しても説得力がありますからね。
でも、ビールの場合は、ただただ「うまいうまいうまい」と言ってても
じぇんじぇん説得力がないのであります。やはりやり方とすれば、実際お客
さんに飲んでもらって、その「うまさ」を確認してもらうべきです。でない
と「うまさ」というのは説明できませんからね。
というわけで、ビールの売り込みには、それなりのプロセスが必要となる
のであります。どちらかというとジワジワ型の攻め込みになります。車みた
いにドッカーンと宣伝するだけじゃノー・グッドなのですね。
私たちが「ソニー・トヨタ軍団と今回のアサヒ・カルビー・味の素軍団と
では、そのアメリカへの攻め方は当然変わってくるはずなのであります」と
考える理由、皆さん、おわかりいただけましたでしょうか。
そして、日本食レストランに行くようなアメリカ人を対象にしたメディア
がないために、今現在日本の食品メーカーが自社商品の売り込みに必要なジ
ワジワ型「プロセス」に踏み込めずにいることもご理解いただけましたで
しょうか。
ちとばかし複雑な話になって誠に申し訳ありません。
ま、ひとことで言いますと、「日本食レストランに行くようなアメリカ人
を対象にした英語の無料紙ができたら、アサヒ・カルビー・味の素軍団は喜
んで広告載せるんじゃないの」ということなのであります。
どうです、Nutsが英語版出す前にアナタがやりませんか?
てなとこです。
では。
「週刊Nuts」編集部
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『Nutsコラム』
『道端で哲学』〜きっかけをくれたひと〜
「書く」という行為は私にとって、話すよりも好きな表現の仕方だ。口で
はなんとでも言えてしまう物事が、書き留めてみるともっと重要な意味合い
を持つようになるし、それについて後でゆっくりと考え直してみることも出
来る。紙やコンピュータ上に書いたものを上手く保存すれば半永久的にそれ
を手元に残せて、それでまったく同じことを繰り返し自分または他人に伝え
られたりもする。
なんで「書く」ことが好きになったんだっけ・・・とふと考えてみて、そ
のきっかけを私に与えてくれたひとが3人いることに気がついた。意識して
思い出そうとするまで、この人たちが私の人生にどんなに大きく影響を与え
たかというのを忘れかけていた。もしこの3人に出会わなかったら自分が別
の道を歩んでいたかも知れないと思うと、人との出会いとはなんて“すご
い”ものだろうと改めて感じたりもする。
そのうちの2人とは連絡を取らなくなって何年も経つが、今思えば当時の
私にとってその人たちは「どこか他と違った」存在であり、私は彼らのその
特別な何かに惹かれていた。そしてそのひとりは私が9歳のときに行った北
海道旅行で、同じツアーの参加者だったおじさんだった。人なつっこいその
人に私はすっかりなついてしまい、旅行後はしょっちゅう手紙を書いてい
た。私が書く様々な日々の出来事などにその人はいちいち反応し、すぐに返
事をくれた。小学生のたわごとによく付き合ってくれていたものだが、「自
分が書いたものについて他人が感想を述べてくれる」という喜びと楽しさを
知ったのはこのときだと思う。
もうひとりは私が“悪友”と呼んでいた小学校高学年時代の女友達で、将
来の夢に「天皇陛下の友達になる」と書くような人だった。多分やたら大人
びた考えをしていたその人は、小学生の目から見て奇想天外なことばかりし
ていたが、なぜか私は仲が良かった。私が本好きになったのはミステリー小
説が好きだったこの人のおかげだと言える。中学が別々になってしまってか
らは、どれだけ長く面白い手紙を書けるかという競争などしていた。何十枚
という手紙を面白く書くことはまるで創作活動で、かなりの時間と労力を
使ったのを覚えている。
つまり私が書くことを始めたきっかけは「手紙」だったのだ。簡単な答え
だったが今まで思いつきもしなかった。好きなことを書いてその感想を楽し
んだり苦労して書いたもので笑わそうとしてみたりしたことが、こんな形で
影響しているなんて不思議だ。もちろんそうすることを教えてくれたりそれ
に付き合ったりしてくれた人々には感謝しなければならない。それから、た
まには過去をじっくり振り返ってみるのも発見が多くていいものだ。
ところで「書く」きっかけをくれた3人目の人物についてだが、私は今もそ
の人が書く文章のファンでありそして永遠の読者でもある。その人の文章は
いつも「自分の意見も述べたい!」と思わせるもので、すごいなあ、いいな
あ、と羨んだり悔しんだりしながら楽しみつつ読んでいる。
さと いつき
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『今週の歌』
「ひさびさに 掟やぶりの 午前さま
ここまできたら ビールおかわり ひろ」
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