1998年11月17日号(No.245)




目次

*『Nutsパチパチ本紹介』
*『NY病でおま5』
*『Nuts TV作戦9』
*『編集後記』
*『今週の歌』
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『Nutsパチパチ本紹介』

 さて、久々の「Nutsパチパチ本紹介」なのであります。
 今回は、今年の9月に日本で出版されたある小説をご紹介いたしましょ う。
 そう、あれは今年の8月の話です。「週刊Nuts」編集部の留守番電話に日 本からメッセージが入っておったのであります。
 それは以前、この「週刊Nuts」紙上でNutsライターのひとりとして 「ニューヨーク衣心(ころもごころ)」というコラムを書いていた森本真理 子さんという方からのメッセージでした。
 実を言いますと、この森本さんとはしばらく連絡が取れなくなっておりま して、「週刊Nuts」編集部では「いや〜、どうしたのかしら。日本に帰った のかなあ」などと話しておったのであります。
 そのメッセージの内容はこんな感じでした。
 「お久しぶりです。お元気ですかあ。あの〜、私、今日本にいるんですけ ど・・・で、今度小説出すことになったんです」
 な、な、なんと。メッセージは続きます。
 「タイトルは”ニューヨークごっこ”っていいます。”ちょうえい しゃ”っていう小さな出版社から出るんですけど、できたらNutsでも宣伝し ていただけないかと思って・・・。よろしくお願いします。また電話しま す」
 私たち、思いましたね。「ちくしょー、先にやられちまったぜ。ったく、 最近の若い連中というのは礼儀を知らんからな」というのは冗談で、「Nuts ライターの中から、とうとう小説家が出ましたか」とです。
 その後、彼女と電話でも話したのですが、いや〜、結構大変だったみたい です。でも、実際に小説として出しちゃったんですから、大したものです。
 Nutsに書いてる頃から、”書く力”だけはやたらとある方でした。書く内 容もかなりおもしろかったのですが、なによりもまず、身体の中から書きた いことがムクムク湧き出てきて、それをコンピューターのキーボードに叩き 付けるって感じで書いてましたね。
 その時は、時間がなくてあまり話せなかったのですが、私たちは、彼女に Nuts紙上で宣伝してあげることを約束し、その代わり「あとがき」にNutsの ことを書いてくれるよう要求したのであります(してない、してない)。
 でも、彼女の証言によりますと、ホントにNutsのことを「あとがき」に書 いたらしいのであります。ありがたいですね。
 で、9月に入って、彼女からFAXが送られてきました。
 ここにそのFAXの全文を転載いたします。
    *     *     *     *
 お元気ですか。
 NYにいる時は、そこで生きていく為のタフネスが私にはないのではないか と感じ、日本を恋しく思い、日本に戻ってくればNYのエネルギーを恋しく感 じる私は一体何なのでしょう・・・
 さて、今回、私の処女作となる「ニューヨークごっこ」は最初にあとがき を読んでもらいたいぐらいです。
 この小説を書いて半年以上が経った今、私の心境は失敗したの一言です。
 帯の見出しは、”私が欲しいのは真実の愛か、それともグリーンカード か。もう二度と傷つきたくない、でももう一度誰かを愛したい。そんな男と 女が出会ったのがニューヨークという街だった”です。
 こう言えば聞こえはいいのかもしれませんが、私が失敗したと思う最大の 原因は構成ですね。私は今まで小説などを書いたことがないので、これは はっきり言って自己満足小説で、世に出すべきではなかったと今、大後悔し てます。
 まあこれは、あくまでも私の年代の女性をターゲットにしたので、NYに長 くいる日本人や男性には「なにこれー」みたいな感じですが、ごめんなさ い。
 ライタービザを取る為の私の涙々の手段と受け取って下さい。
 9月末に日本の書店に並びますが、何しろ初版が少ないので、海を渡るに はNYの皆さんに紀伊國屋に”今から”注文してもらうのがいいのです。
 「ニューヨークごっこ」(鳥影社)
 著者名は森本真理子でーす。
 NYで1000冊ぐらい売って下さい(インターネットでも宣伝してくださ い!)。
 NYに又行くのは来年ぐらいになると思いますが、いやこの本が思わず売れ てしまったらもっと早くなるかもしれませんが、まあそんなこともないで しょう。やはり直木賞ぐらいとる程の作家にならないとダメですね。ハハ ハ。
 これはあくまでもフィクションで美弥子という日本人女性の青春小説で す。その過程にNYがあり、グリーンカードに翻弄されて、ちょっと痛い目に 遭うという感じの話です。
 前半部分は日本にいる私の年代をターゲットにしたので、あんまり面白く ないけれど、目をつむって下さい。
 Nutsの皆さん、ぜひ、あとがきを最初に読んで下さい。
            平成10年9月8日 森本真理子より
    *     *     *     *
 皆さん、いかがでしたでしょうか。
 というわけで買ってください。
 たくさんの人が紀伊國屋さんにオーダーすれば、お店のほうでも「じゃ あ、多めに注文して店頭にも置くか」とか思うかもしれないじゃないです か。そしたら、その風景を見たOCSブックストアーさんや旭屋書店さんも、 「ほな、わしらのとこも置こか」てなことになる可能性もあります。
 ちまたには、日本の著名人たちがこの街をチョロっとのぞいて書いた本が 溢れております。ニューヨークの表面だけをナメたような本です。
 そういう観光客の感想本は、もうよろしいのではないでしょうか。それよ りも、この街にガチリと関係していこうとする人の視点から書かれた本、 つまり森本さんの「ニューヨークごっこ」のような本が、もっともっと出版さ れてほしいしわね、と私たちNuts軍団は思うのであります。
 と同時に、彼女のような書き手をこれからもズンズン育てにゃいかんので あります。
 でもその前にNuts本を早く出さんとね。
 以上です。
 では。
                  「週刊Nuts」編集部
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『NY病でおま5』

 さて、「NY病でおま」シリーズの第5弾なのであります。
 今週は、先週お話しした、NY病の原因となる問題の第1号、「挑戦都市・ ニューヨーク」についてお話ししたいと思います。
 「週刊Nuts」10月27日号(NO.242)紙上で”ひであき”さんも書いて おりましたように、ニューヨークに住む人たちというのは、「みんな何かに 挑んでいる」ような気配を持っておるのであります。
 正確に言いますと「みんな」ではありません。この街にもチンタラチンタ ラ人生を送っている人たちはいます。
 ただ、一般の認識とすれば、やはりこの街は「挑戦都市」でありまして、 特に日本からニューヨークにチンタラしに来る人はまだまだ少ないのが現実 です。
 通常、日本から来る人たちの大部分は、ニューヨークで何かをやりたい、 あるいは何かになりたい、と考えてこの街に住みつきます。それは、日本人 だけでなく、アメリカ人にも他の国の人たちにも言えます。つまり、ニュー ヨークには世界中から挑戦者たちが集まって来るのです。
 となりますと、当然競争も激しくなります。
 日本人の中にも優れた人は存在します。でも、英語やビザのハンディ キャップがありますから、アメリカ人に比べると戦いづらい土俵であること は間違いありません。その結果、敗者が生まれることになります。
 負けても挑戦し続ければいいのですが、一度自分の限界みたいなものを認 識してしまうと、挑戦心もいつの間にかしぼんでしまいがちです。要するに ニューヨークに来た理由、いる理由が消滅してしまうのですね。
 その状態でこの街に住み続けますと、心の中に矛盾が発生します。なぜな ら、「挑戦都市・ニューヨーク」でがんばってるはずの自分、挑戦し続けな ければならない自分と、実際には挑戦することをやめた自分がいるからで す。
 まわりは相変わらず挑戦者たちで一杯です。日本にいる家族や友達は自分 がまだニューヨークでがんばってると思っています。その期待に応えたい。 でも、この街に来て自分の限界が見えてしまった・・・
 心の中に上記の「挑戦都市・ニューヨークでがんばってる自分」及び「挑 戦することをやめた自分」という矛盾する2つの思いを同時に所持します と、精神的炎症が起こる場合があります。心が腫れてしまうのです。
 そういう状態の時に、人に「ニューヨークで何やってるんですか」「将来 ここでどんなことをしたいんですか」などの腫れた心を突(つつ)くような 質問をされますと、痛くて痛くて過剰反応してしまうことがあります。
 NY病における「いかに自分がニューヨークでがんばっているかを必要以上 に他の人に強く訴えるようになる」という症状ですね。
 そういう体験、皆さんにはありませんか。
 この心の腫れ状態というのは、その他にも「”なぜ自分は今ニューヨーク にいるのか”ということを考えられなくなる、あるいは、考えるのを避ける ようになる」「ニューヨークにおける自分の可能性を直視できなくなる」 「聞かれてもいないのに、ニューヨークにいることを必死で理由づけしよう とするようになる」などの症状に関連してくるのであります。
 う〜ん、困りました。
 もし、ニューヨークに「チンタラ都市」に変身してもらえるのなら、この ような問題は発生しないのですが、そしたら私たちがこの街に来る理由もな くなるわけですから、その議論はナンセンスですね。
 では、どうするか。
 要するに日本人が「挑戦都市・ニューヨーク」に精神的に健康な状態で住 み続けるためには、挑戦することをやめなければいいのであります。でも、 実際には可能性が見えなくなって立ち止まってしまう人たちがいます。
 そしたら、彼らが可能性を見つめ続けることができるような態勢をここに 住む日本人の手で作ったらいいのです。
 確かに個々の日本人ががんばり続けるというのが基本ですが、それはこれ までもやってきたのであります。この辺でちょっと別の方法を試してみま しょうよ。
 てなわけで、今回の「挑戦都市・ニューヨーク」話は、明確に「こういう 具体的解決方法がある」とは言わずに、ホワ〜ンとした感じで終わらせてし まいます。
 あんまり最初からビシバシ行くと、話がカタカタカタくなっちゃいますか らね。
 来週は、「日本人気質」の問題についてお話しします。
 では。
                 「週刊Nuts」編集部
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『Nuts TV作戦9』

 さて今週も「”パブリック・アクセス”リポート」の続編をお届けしま す。
 なかなか”パブアク”の内容についての話は出てきませんが、まあ気長に お付き合いください(でも今回はその内容の話よ)。
 では。
                 Nuts電電映営部
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『”パブアク”レポート』〜炎のオリエンテーション8〜
 リンダは、Manhattan Neighborhood Netwrok(MNN)での施設や器材 を使用する際のルールについて話し始めた。
 「その7ページ目を見て欲しいんだけど、そこに”MNN dollars”って書 いてあるでしょ」
 MNN dollars、つまりMNNドル。直線的に解釈すると、MNN内で使う通貨 (ドル)ということになる。
 「ここで番組枠を持つ人には、四半期ごとに80MNNドルが支給されま す。で、施設や器材を使う度に、その80MNNドルの中からそれらの使用料 が引かれていくわけ。次のページにそれぞれのポイントが書いてあるんだけ ど・・・」
 PRICES
 Editing 1.00 point per hour  Dubbing Suite 0.50 points per hour  Prime Time Studio 3.62 points per hour
 カメラやその他の器材に関しても、それぞれのポイント数(MNNドル料 金)が明記してあった。
 例えば、その表によると、エディテング・ルームを1時間使用するのに は、1MNNドルかかるのである。要するに、それを頭に入れながら、その 80MNNドルで1四半期をやりくりしていかねばならないのだ。
 リンダが言う。
 「こういうふうなシステムにしたのは、一部の人間が施設や器材を使いま くらないようにする意味もあるんだけど、本来は、あなたたちひとり一人に コスト意識を持ってもらいたいっていう意図からなの。だから、基本的にそ の80MNNドルを使い切ったなら、その四半期の間はもう番組は作れないわ けね」
 「そのMNNドルを”ドル”で買うことはできないんですか」
 誰かが言った。
 「できないわ」
 リンダが例のアイスな冷たい口調で答えた。
 シーン。
 そして彼女は、目の前に置いたSnappleのアイスティのボトルをつかみ、 それを口へと運んだ。
 ミーティング・ルームはシーンとしたままだった。
                      ひろ
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『編集後記』

 再び今月の井戸端会議のお知らせです。
「Nuts井戸端会議」
 日時:11月24日(火)午後6時半より  場所:Olympic Tower1階のパブリック・スペース     51丁目の5番街とマディソンの間(5番寄り)
 参加ご希望の方は、編集部(TEL:212-982-3348)までご連絡ください。 どんな話をしたいのか、あるいは聞きたいのか、あらかじめお聞きできれば と思います。
 今週は、『英語Nutsの可能性』と『グリーンカードへの道』はお休みしま した。
 では、また来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『今週の歌』

「かみさんが ”家を買おう!”と 言いだした
              イラク爆撃 回避の日曜 ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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