1998年12月15日号(No.249)
目次
*『Nuts TV作戦11』
*『NY病でおま8』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第59話』
*『今週の歌』
***************************
『Nuts TV作戦11』
さて、「Nuts TV作戦」話の第11弾なのであります。
今回で『”パブリック・アクセス”レポート』の「炎のオリエンテーショ
ン」シリーズは完了します。長い間お付き合いいただきありがとうございま
した。
次は、「怒涛の初クラス」シリーズに突入する予定なのですが、この初ク
ラスがいつ開かれるか、今のところわかっておりません。ですから、その初
クラスが開かれるまで、「Nuts TV作戦」話はお休みになります。
そんなわけで、最後の「炎のオリエンテーション」話です。お楽しみくだ
さい。
Nuts電電映営部
* * * *
『”パブアク”レポート』〜炎のオリエンテーション10〜
そのオリエンテーションは午後9時過ぎに完了した、といきなり話を終え
てしまうのである。
話すネタはまだいろいろあるのだが、これ以上細かい話をしてもしょーが
ないので、この辺で終わることにした。
ま、実際は、リンダのSnapple(スナップル)の飲みっぷりに見とれて
て、Manhattann Neighborhood Network(MNN)に関する説明を聞き損ね
たのだが、そんなことでクヨクヨしても仕方がないから、元気だそうぜ(誰
を励ましとんのじゃ)。
オリエンテーションに参加した人々は、その場に残ってウダウダ話すこと
もなく、トットとミーティング・ルームを出ていった。サッパリしたもんよ
ね。
私もそこに残る理由はなかったので、彼らのあとについてその部屋を出
た。
階段を下りて1階へ。外に出ると辺りは真っ暗だった。特に、59丁目の
10番と11番の間という場所柄か、明かりが少なく感じた。
59丁目を東に歩き出す。地下鉄の駅まで数ブロックである。
今回、初めて説明を受けた”パブリック・アクセス”というシステム。
確かにおもしろい。非常にアメリカらしい試みである。
一般の視聴者に無料でテレビ番組制作の場を提供するというコンセプトも
すばらしいし、施設の充実度もかなりのものである。
ただ、ひとつだけ気になるのは、そこで作られてる番組の内容について
だった。
何回もお話ししたように、今回のオリエンテーションには、数人の変態た
ちが参加していた(私もそのひとり)。彼らは、「こいつが作った番組なん
か観たかねえな」と思わせるような人物だった。
しかしながら、それは、「彼らに番組を作らせるな」という意味ではな
い。彼らには、番組を作り、それを放送する権利があるのだ。それを止める
ことは誰にもできない(あんまりヤバイ番組だとストップかかるけどね)。
でもね、現実には、皆さんご存知の通り、MNNのチャンネルで流れている
番組というのは、結構しょーもないものばかりなのである。
「ま、みんな素人だからね」。そういう解釈の仕方もある。しかし、それ
を考慮した上でも、今放送されている番組たちは、あまりにも作り手側のマ
スターベーション的及び自己陶酔的なものばかりではないだろうか。
ここから少し話がズレる。
私は常々、アメリカの変態は日本の変態とは格が違うな、と考えている。
特に、自己主張がうまくできずに変態に走った変態に関しては、アメリカの
ほうが断然無残である。
アメリカ人というのは、日本人に比べると、明らかに自己主張能力が高
い。日本人の自己主張能力が低すぎるという話もあるが、なにはともあれ、
アメリカ人は、まるで自己主張するために生まれてきたような人たちなので
ある。
しかし、この国にはそうでない人たちも当然存在する。そうでない人たち
=うまく自己主張できない人たちである。
彼らはツラい。すんごいツラい。だって、アナタ、まわりは自己主張能力
の高い人たちばっかりでしょ。そのギャップがこれまたツラいのよ。
それは、日本のうまく自己主張できない人たちのツラさとは比べものにな
らないほどツラーいものなのである。日本の場合、自己主張できない人が数
千万人の単位でおるからね。自己主張できなくても大してツラくないのであ
る。
アメリカにおける自己主張できない人たち。彼らの精神は、そのツラさに
よって想像を絶するほど屈折してしまうのである。
彼らは自己主張できる場、できる方法を必死で探し続ける。そこには何か
主張したいものがあるわけではない。とりあえず自己主張できればいいので
ある。それは自己主張できないことの反動から生まれた自己主張の場・方法
探しの旅なのよ。
そして彼らは見つけたのである。「パブリック・アクセス」を。
はははははははは。
と、話を「パブリック・アクセス」に戻す。
私はね、「パブリック・アクセス」で番組作ってる人たちが、みーんなそ
ういう人たちだっていってるわけではないのよ。そこのところ、勘違いしな
いでね。
しかしながら、私はMNNで流れている番組の多くに、その「反動」や「屈
折」を感じてしまうのである。内容なんかどうでもよくて、ただただ自己主
張できればいいんだもーんという、単なる欲求不満解消方法としてのテレビ
番組作りの風景を見てしまうのだ。
でもね、私がここでいいたいのは、「パブリック・アクセスを自己主張で
きない連中の自慰行為の場にするでない」ということではないのよ。
先にもいったように、そんなことウダウダいってもしょーがないのであ
る。それに、そういう屈折した表現の中から”スゴイ”ものが生まれてくる
ことだってあるんだしね。
「このパブリック・アクセスっていうのは、意外と日本のほうが成功する
んでないの」。
私はこれをいいたいがために、ここまで書いてきたのである。
日本の場合、「パブリック・アクセス」制度を導入するだけでもかなりの
パワーを必要とするだろう。最近、日本でも非営利団体をサポートする法律
ができたが、アメリカに比べたらまだまだMNNのような団体は存在しづらい
はずだ。
でもでも、である。内容に関していうと、きっと日本のほうがいい作品が
出てくるんじゃないかしら、と私は思うのである。
日本でも、テレビ番組作りをマスターベーション手段として使おうとする
人間が必ず出てくるはずだ。でも彼らはアメリカにおけるそういう人たちに
比べると、まだまだ小物と呼ばざるを得ないだろう。なんせ精神の屈折度が
違いますからね。
確かに、”スゴイ”番組は出てこないかもしれない。バカと天才は紙一重
だからして、強力な変態がいない日本には、強力な天才が生まれる可能性も
低く、よってこの「パブリック・アクセス」に関しても、時代を揺さぶるよ
うな作品は、日本の場合、現われないような気がする。
しかし、全体的にいうと、盲目的自己主張野郎が少ない日本のほうがバラ
ンスのいい作品が生まれる可能性が高いのではないだろうか。
うん、そうだ、そうだ。そうに違いない。
「だからどうした」といわれればそれまでなのだが、私は、地下鉄の駅か
ら地上に出て、10時閉店のサンライズマートにお弁当を買うために早足で
向かいながら、そんなことを考えていたのである。
10回も連載して、この程度のまとめしかできない自分を、私はかわいい
と思う。
ひろ
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『NY病でおま8』
さて、「NY病」シリーズの第8弾なのであります。
今回は、「日本人社会とアメリカ人社会」の問題について語らせていただ
きたいと思います。
私たちは、この「日本人社会とアメリカ人社会」の問題というのも、NY病
の原因のひとつであると考えております。
アメリカにお住まいの日本人の方はすでにご存知かと思いますが、ここの
日本人コミュニティには、ある奇妙な価値観が存在しております。
それは、「アメリカ人社会の中にいる日本人=えらい」「日本人社会の中
にいる日本人=えらくない」というものです。よく、いかに自分にアメリカ
人の友達が多いかを自慢するアホな日本人を目にしますが、彼らもこの価値
観の感染者です。
何を「アメリカ人社会」と呼び、何を「日本人社会」と呼ぶかという問題
もありますが、ここではそのことには触れません。
ニューヨークにもその価値観にとらわれている日本人が山ほどおります。
で、そういう人がアメリカ人社会に入ると自分のことを「えらい」と思い、
日本人社会に入ると「えらくない」と思うのです。
後者のケースの場合、自分のことをすでに「えらくない」と思っとるわけ
ですから、精神衛生にいいわけありませんね。すっかり「歩く劣等感」にな
り下がってしまうのであります。
では、前者の場合はどうかと申しますと、ちょっとカタチは違いますが、
これもまあ似たようなものなのであります。アメリカ人社会の中に入ること
を「えらい」と考えるような人間は、ほぼ間違いなく「アメリカ人はえらい」
と信じておるわけでして、そういう人間はどうモガいてもアメリカ人に
対する劣等感からは逃れられんのですね。
つまり、彼らも結局は「歩く劣等感」なわけです。
先にもお話ししましたように、その価値観の信仰は、アメリカ各地の日本
人コミュニティで見られるのですが、ニューヨークの場合はそれが特に著し
いと私たちNuts軍団は感じておるのであります。
ロスの場合は、アメリカ人社会とか日本人社会などという次元の話ではな
く、そこはほとんど「日本」なのですね。ですから、ある意味、諦(あき
ら)めがつくといいますか、逆に開き直ることができるぐらい日本化が進ん
でおるのであります。
アメリカでのヨソ者式サバイバルに関して、「打倒・中国人コミュニ
ティ」を掲げる私たちは、その状況をすばらしいと思います。在米日本人
は、そうやってドンドン力をつければいいのです。
ロスとは逆にサンフランシスコの場合は、日本人の数が少なすぎて、日本
人社会と呼べるほどのものがないのであります。
そして、ニューヨークは、諦めがつくぐらい日本人社会が大きいわけでも
なく、でも日本人がしっかり10万人ぐらいいちゃって、日本人社会なるも
のも存在するという、両者のちょうど中間ぐらいに位置しておるのでありま
す。
だからヤバイのですね。
ということで、今回の問題の解決方法は、単純にその価値観を潰しちゃえ
ばいいわけですから、なんとなく私たちにもできそうな気がいたします。
やっと光が見えてまいりました。
今回はこんなもんで。
では。
「週刊Nuts」編集部
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『編集後記』
先週もお話ししましたように、Nuts軍団では、12月22日(火)に
「1998年度打ち上げパーティ」を開催します。
日時:12月22日(火)6pm-9pm
場所:なとりレストラン
58 St.Marks Place (bet. 1st & 2ndAve.)
会費:20ドル
どなたでも参加できます。参加ご希望の方は、事前に編集部(TEL:212-
982-3348)までご連絡ください。
てなわけで、今月の「Nuts井戸端会議」はお休みします。
では、また来週。
「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第59話』
タフな妻を持つことは、基本的にはツラい。ツラいなら結婚しなければい
いのだが、そのツラさが結構快感だったりするから、またまたツラい。
ふむ。
(今週号はやたらと「ツラい」が多いなあ。人生に疲れてるのかなあ、
ボク)。
しかし、である。そのタフさが、夫婦間ではなく、外に向けられた場合
は、これほど心強い味方はいないのである。
私たちが住む地区から選出されたコングレスマンであるJerrold Nadler氏
のオフィスに電話して、約1週間が経とうとしていた。そろそろ結果が出て
きていい頃だったが、向こうからはまだ何の連絡もなかった。
こういう場合は、やはりこちらから連絡すべきだろう。
そこで私は、うちのかみさんに再びNadler氏のオフィスに電話するように
頼んだ。
「いいわよ。今日職場から電話しとくわ」
それがやけにいい返事で、私は少しだけ不吉なものを感じた。
「いつもと違うぞ。一体どうしたっていうんだい」
おそらくかみさんは、Nadler氏のオフィスに電話することが楽しみで楽し
みでしょーがないのである。イエス、そうに違いない。
話がそれるが、うちのかみさんは消費者の鏡のような人間である。サービ
スや商品にちょっとでも変なところがあれば、「すねる・ごねる・どなる」
のテクニックを使って、相手側を散々困らせ、自分にとって最大の利益
(ディスカウントやおまけ)を引き出そうとする。ある意味、そういう駆け
引きをゲームとして楽しんでる気配さえあるのだ。
今回の場合も、かみさんは、相手にとって有権者サマサマである。たとえ
こちらからお願い事があっても、その程度のことで遠慮するかみさんではな
い。
かみさんが私の依頼を2つ返事で引き受けた裏には、そういう原因が潜ん
でいると、夫として思いますね。つまり、ゲームを楽しみたいのである。
コングレスマン・オフィス側でこの件を担当しているエレンさんが少しあ
われではあるが、いたし方あるまい。イケニエになっていただくことにしよ
う。
おそらくかみさんは、相手側にウダウダと文句をいい、ケツを叩き、いつ
いつまでに結果を出せと要求するだろう。そして相手もそれにしぶしぶ従う
に違いない。
となると、近日中に私の指紋の行方が判明することになる。もし指紋の結
果、つまり私に犯罪歴がないことの証明がすでにイミグレに返ってきてるな
ら、再びイミグレに行って、「すべて完了。あとはグリーンカードが送られ
てくるだけよ」スタンプをもらわねばならない。
もしまだ戻ってきてない場合は・・・
う〜ん、考えるだけでむなしくなる。でも、その時はその時である。
今はただ、かみさんの日頃の破壊力に期待する、他力本願な私なのであっ
た。
ひろ
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『今週の歌』
「日曜の 夜中に流す ハマショーの
曲聴きながら 足の爪切る ひろ」
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