1998年12月22日号(No.250)




目次

*『Nutsパチパチ本紹介』
*『NY病でおま9』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第60話』
*『今週の歌』
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『Nutsパチパチ本紹介』

 「Nutsパチパチ本紹介」なのであります。
 今回は、「笑われる日本人」という本をご紹介いたします。
 ご存知の方も多いかと思いますが、以前、ニューヨークで「ジパング」と いう月刊のミニコミが発行されておりました。この「笑われる日本人」は、 その「ジパング」を作っていたジパング軍団が作ったものなのであります。
 で、その内容はと申しますと、「ニューヨーク・タイムズの偏(かた よ)った日本報道批判」という大変おカタイものになっております。
 ただ、カタイとはいいましても、これは非常に需要なテーマなのでありま す。
 ニューヨークに住む日本人の中には、ニューヨーク・タイムズが掲載した 日本に関する記事を読んでプッツンしたことのある方が少なからずいると、 私たちは思うのであります。
 一般的にそのプッツンの原因は、ニューヨーク・タイムズの「日本人って こんなに変なのよ」「日本人ってみーんなこんななのよ」的な決め付け型ス テレオタイプ報道にあるのであります。
 ニューヨーク及びアメリカにおいて、ニューヨーク・タイムズというのは かなり権威のある新聞でして、その読者の中には「ニューヨーク・タイムズ に書いてあることはすべてホントのことなのよ」などと血迷ったことを考え ながら読んでいるアメリカ人が山ほどおります。
 そんな新聞が日本に関して偏見だらけの報道をかましてしまいますと、彼 らニューヨーク・タイムズ信者たちが、「いや〜、日本っていうのはこんな 変態国家なんですなあ」なんて考えてしまいかねないのであります。
 そのニューヨーク・タイムズの偏った報道内容の詳細については、この 「笑われる日本人」を読んでいただくことにして、今回ジパング軍団は、同 書を通して、ニューヨーク・タイムズと世の中に対して、「それってちょっ とおかしいんじゃねえの」と問題提起したであります。
 それも日本語と英語で(説明するのが遅れましたが、「笑われる日本人」 は日本語と英語で書いてあります)。
 つまり、ジパング軍団は、これまでニューヨーク・タイムズの記事を読ん でプッツンしていた日本人たちの気持ちを代弁してくれたのです。
 すばらしい。パチパチパチ。
 ここでちょっと話がズレます。
 先日、ニューヨークの紀伊國屋書店で、この「笑われる日本人」に関する レクチャーが開かれまして、私たちNuts軍団もちょっくら行ってきたのであ ります。
 そのレクチャーでは、ジパング軍団の皆さんが同書の意図やアメリカ・メ ディアの日本報道などについてお話しされたのですが、そこでのお客さんと の質疑応答のやりとりを見ていて、私たちは少しばかりムムムと考えてし まったのですね。
 その「ムムム」は、ジパング軍団に対してではなく、そのレクチャーに参 加したお客さん軍団についてでした。
 質疑応答の際、お客さん側からジパング軍団にいろんな疑問や要望が出さ れました。例えば、「ニューヨーク・タイムズだけでなく、他のアメリカ・ メディアの日本報道に関してもリサーチすればよかったのではないか」など の「こうすりゃよかった、ああしてほしい」型意見などですね。
 お客さんに「こうすりゃよかった、ああしてほしい」と言われるのは、そ れだけ期待されてるからでありまして、ジパング軍団にとっても大変ありが たいことだと思います。私たちNuts軍団も「そんなこと言っちゃダメよ」な んてことは言いません。
 ただですね、全体の雰囲気として、「ジパング軍団=ニューヨーク・タイ ムズを叩く人たち」「その他の日本人=それを期待しながら眺める人たち」 という構図ができてそうな感じがして、私たちはムムムしてしまったのであ ります。
 私たちが思うに、ジパング軍団が希望するカタチというのは、「叩く人た ち」と「眺める人たち」という役割分担ではなく、「今回はわしらががん ばってやりました。これからもいろいろやってくつもりだけど、他の日本人 の皆さんも、それぞれができる範囲内でアメリカ・メディアの日本報道に関 する問題点を指摘していこうじゃないの」というものではないでしょうか (と私たちは勝手に想像している)。
 ジパング軍団は別にこれ(=ニューヨーク・タイムズを叩くこと)でメシ を食っていこうとしているわけではありません。これは彼らの「お仕事」で はないのです。彼らは、私たちと同じ、単なるニューヨークに住む日本人な のです。
 確かにそのメンバーの中には、ライターを職業とする人もいますが、でも 基本的に彼らの立つ位置は私たちと同じなのであります。つまり、特別な人 たちじゃないってことね。
 そんな私たちの「仲間」が、今回自力で本を作り(自費出版)、ある程度 の社会的インパクトを産み出すことに成功したのであります。
 要するに私たちがここで言いたいのは、ジパング軍団が作り出した「アメ リカ・メディアの偏った日本報道に文句言おうぜ」ムーブメントを、「ジパ ング軍団がやってくれる」というふうに他人事にするのではなく、「今回は 彼らがやってくれた。次はわしらやね」と自分の中に飲み込んでしまうの が、最も正しい未来への歩み方ではないかしら、ということのなのであります。
 繰り返しになりますが、それは「ジパング軍団に要望も何も言うな」とい うことではありません。ただ、そういうことを言うのと同時に、自分もジパ ング軍団と同じニューヨークに住む日本人であり、未来の行動者になりえ る、てなことも頭の中で常時考えていたほうがいいんではないかいな、とい うことなのです。
 私たちがこういうことを言う理由はと申しますと、ここニューヨークに は、「口は出すが、行動しない」という日本人が腐るほどおるからなので す。そして、そういう人間たちが、これまでいくつものグループや動きをつ ぶすのを見てきたからです。ですから、「口は出すが、行動しない」みたい な空気を少しでも感じてしまいますと、私たちは、それらに対する敵対心か ら、つい過剰反応してしまうのですね。
 というわけで、これから大切なのは、ニューヨークタイムズをはじめとす るアメリカ・メディアの偏った日本報道に対して、私たち日本人がどう行動 を起こしていくか、ということなのですが、それについては来年、「ジパン グに続け!」というコーナーを設けてじっくり語っていきたいと思います。
 なにはともあれ、まずは「笑われる日本人」を買ってみてください。日米 両方で手に入るはずです。
 「笑われる日本人」  発行:ジパング(定価1680円)  ISBN4-8123-0615-9 C0030
 では。
                「週刊Nuts」編集部
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『NY病でおま9』

 さて、今回は「日本人コミュニティの問題」についてお話しすることにし ましょう。
 私たちが考えますに、この「日本人コミュニティの問題」というのも、NY 病にかなり力強く関与しておるのであります。
 このNutsを始めて5年弱の間、私たちはじーっとニューヨークの日本人コ ミュニティを観察してまいりました。そんな私たちの感想では、ここ数年、 ニューヨークの日本人コミュニティも少しずつ良くなってきておりますね。
 昔(数年前だけど)までは、「日本人だけで集まること=悪」みたいな物 の見方が横行しておったのですが、最近はそれもだいぶ減りましたし、実際 日本人同士がお互いに協力したり、助け合ったりする動きもしっかり育ちつ つあります。
 ただですね、ここの日本人コミュニティも基本的には日本と同じでありま して、「出る杭は打たれる」「お互いの足を引っ張り合う」的な部分は、い まだに大切に温存しておるようなのであります。
 人間というのはおもしろいもので、自分が上(地位や年齢)の人間から打 たれたり、足を引っ張られたりしますと、それと同じことを無意識のうちに 自分よりも下の人間に対してやってしまいがちなのであります。
 そのような癖を持つ民族というのは、概して暗いですね。ついでに精神も 腐りがちになります。
 そりゃそうでしょ。立ち上がろうとする度に、頭を叩かれたり、足を引っ 張られたりしたら、誰だって心が歪(ゆが)んでしまいますよね。そしてそ れを代々やり続けておるわけですから、その集団全体が精神病院の様相を呈 していくのは当たり前田のクラッカーなのであります。
 ニューヨークの日本人コミュニティは、現在、その悪循環の中にたたずん でおるのであります。
 私たちがここで言うコミュニティというのは、同じ民族や人種がお互いに 協力しながら生活する共同体のはずなのですが、この街の日本人コミュニ ティの場合はどちらかと言うと、心の歪んだ者を産み出す精神異常者養成所 的な役割を担っておるようです。
 確かに他のコミュニティ(中国人や韓国人)にも「出る杭は打たれる」 「お互いの足を引っ張り合う」的な部分は存在するとは思います。ただ彼ら の場合は「基本的には協力していこうやないか」という暗黙の了解が、その コミュニティに属する人々の心の中にとうとうと流れておるような気がする のであります。
 というわけで、私たちニューヨークに住む日本人がこの「代々出る杭打ち 及び足引っ張り」状態から脱出するためには、どこかの世代でその伝統をス トップさせねばならんのであります。
 だったら、今、つまり1998年の年末現在、ニューヨークでワイワイガ ヤガヤやってる私たち世代(この世代は年齢の世代ではなく、時代の世代で す)から、その自己破壊的伝統を変えてしまおうではないですか。
 う〜ん、よかよか。
 NY病の原因として、もうひとつ、「仕事及び日本人マーケットの問題」が 挙げられますが、それについては年が明けてからお話ししようと思います。
 では。
                「週刊Nuts」編集部
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『編集後記』

 さて、「週刊Nuts」250号、いかがでしたでしょうか。
 「いつもとかわらんやんけ」というご意見もあるかと思いますが、まさに その通りで、特別なことはなんにもしとらんのであります。
 私たちって、あんまりそういうこと(200号とか5周年とか)気にしな いから。
 はっはっは。
 250号と言いますと、約5年になりますね。ただ、物事というのは、 10年ぐらい続けないと本物にはなりません。私たちはやっとその半分に達 しただけなのであります。
 ですから、この「週刊Nuts」もまだまだ鼻タレ小僧なのですね。
 でも、読者数に関して言えば、発刊当初の100から、現在は1万2千と 120倍の伸びを見せております。
 ありがたいことです。
 一部に「5年も続けてるのなら、外見ももっとゴージャスにしたらいいの に」という意見もありますが、私たちにはそういう気はまったくなく、おそ らく永遠にこの1枚の紙切れスタイルを維持し続けるわね、と確信しておる のであります。
 これからもシコシコと書きたいことだけを書いていく所存です。これから もご支援、ご批判(特に批判ね)のほどよろしくお願いいたします。
 今年最後の「週刊Nuts」になる来週号では、「1998年の反省」と題し て、今年予定していた諸作戦の結果報告を掲載したいと思います。
 お楽しみに。
 では、また来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第60話』

 やはりかみさんはエレンさんにキツいことを言ったらしかった。
 アパートに帰るなり、私はかみさんにコングレスマン・オフィスへの電話 の詳細を聞いた。
 「向こう、”まだわからない”って言うのよ。だからあたし、”何やって んの、いつまで待たせんのよ!”って言ってやったの」
 いや〜、さすがですなあ。
 「そしたら、”いろいろと忙しい”とか言うからさあ、また文句言って やったわけ。で、結局、明後日までになんとかするってことになったの」
 パチパチパチパチ。でも、あんまり強く言ったらエレンさんがかわいそう だよ。別に彼女に罪はないんだしさ。
 「いいのよ。あのくらい言わないとわかんないのよ。それよりサッサとメ シ作ってよ」
 え? 今日はオレの番だったっけ?
 「そうよ。ナニ、何にも買ってこなかったの? だったらピザかなんか 買ってきてよ」
 お金は?
 「何言ってんの。あんた、寝ぼけてんじゃないの」
 じゃ、ちょっと行ってきます。
 「プレーンよ。ガーリックかけるの忘れないでよ。それとナプキンもね」
 小さいビザ(6ピース)、9ドル。それを買いに、私はセント・マークス とファースト・アベニューの角に走ったのである。
 そして翌日、私の職場に突然かみさんから電話が入った。
 かみさんは「明後日までになんとかする」というエレンさんの言葉を無視 して、再び彼女に電話したらしかった。
 「グッド・ニュースよ」
 かみさんが言った。
 「指紋が見つかったらしいわ」
 なんと。
   「何にも問題なかったんだって。だからあとは、あんたのパスポートにス タンプ押すだけよ」
 イエス!!
 「なんかイミグレから私たちのところに手紙が来るらしいんだけど、その 前にFAXするとかなんとか言ってたわよ」
 あ、そう。
 「詳しいことは、家に帰ってから話すわ」
 サンキュー・ベリー・マッチ、ハニー。アイ・ラブ・ユー。
 「”アイ・ラブ・ユー”じゃなくて。”アイ・ラブ・グリーンカード”で しょ」
 イエス。
 「まったく。じゃあ、切るわよ」
 バイ。
 と今年で終わるはずだったこの物語は、見事に来年までズレ込んでしまう のでした。
                    ひろ
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『今週の歌』

「”早よせんば 死ぬぞ”という父 孫の顔
          見たくて電話で 脅しをかける ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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