1999年2月23日号(No.259)
目次
*『血の歴史の問題』
*『VOICE』
・投書「2000年の迎え方」
・投書「カッコ悪いニッポン人」
*『グリーンカードへの道・第64話』
*『今週の歌』
**********************************
『血の歴史の問題』
さて、「血の歴史の問題」なのであります。
いきなり「血の歴史」などと申しましても、読者の皆さんは「なんのこっ
ちゃ」状態だと思いますが、具体的な例を出してご説明いたしますと、これ
は「図書館にいるとウンコしたくなる」という子供の頃からの永遠の謎に迫
る問題なのであります。
皆さんご存知の通り、図書館あるいは本屋さんにいますと、時々ムズムズ
とした便意に襲われてしまいます。
アツいものが下腹部でうねり、腰の力がフニャフニャと抜けいく感覚。
「なぜ急に? やはり本が原因か」と自問自答しながら、トイレに駆け出す
のです。でも、便座に腰掛けた時には、その疑問はすでに失せ、「今日の夕
メシはカレーにしようかなー」なんてことをトイレで考えてしまう(ホント
に考えるんか)。私たちはそういう悲しい過去を背負って、今を生きている
のであります。
てなわけで、今回私たちNuts軍団は、その「図書館と便意の危険な関係」
の謎に対して、「血の記憶」という切り口でアプローチしてみようと思うの
であります。
私たちの説はこうです。
今から数千年前、私たち日本人のご先祖さんたちは、洞窟に住んでおりま
した。つまり「ハジメ人間ギャートルズ」みたいな生活をしておったのであ
ります。
しかしながら、トイレに関しては、洞窟の中で用を足しますとウンコと添
い寝することになりますので、洞窟の外で処理することになっておりまし
た。
幸い日本は緑が豊かな土地でありまして、そこら中に樹木が繁っておった
のであります。そういう環境において、人間がどこで用を足そうとするか、
皆さんおわかりですね。そう、やっぱり木陰なのであります。あの何とも言
えぬ安心感。野糞を経験した方は、おそらくこの文を読んで深くうなずかれ
ていることでしょう。
というわけで、日本人のご先祖さんたちは、そういう「ウンコ=木陰」
「ウンコ=木陰」「ウンコ=木陰」というプロセスを数千年も繰り返して
おったのであります。
私たちが言わんとしていることは、すでにクリアーだと思います。「ウン
コ=木陰」関係の数千年の歴史が私たちの血の中に残ってるために、現代の
日本人が図書館あるいは本屋などの木の匂いが漂う場所にいると、その「血
の歴史」が刺激され、それによっていたたまれない便意をもよおしてしまう
のであります。
通常ですと、DNAだとか遺伝子などのコムズカしい単語が出てきて、それ
に記憶が刷り込まれている、なんていう結論になるのですが、私たちの説で
は、その記憶が刷り込まれる先を「血」ということにしました。そのほうが
わかりやすいと思ったのであります。
私たちの説で行きますと、昔から砂漠に住んでる民族の場合は、サボテン
の匂いを嗅ぐと便意をもよおすのではないかしら、という仮説も成り立ちま
すね。
砂漠の民族がいつもサボテンに寄り添ってウンコしてたかどうかは定かで
はありませんが、砂漠の中でサボテンがポツンと生えてたら、やっぱりその
近くでウンコしたいと思うのが、人間ゴコロではないでしょうか。
つまり彼らの場合は、「ウンコ=サボテン」という「血の歴史」が確立し
てしまうのであります(これを間違って「サボテン・ウンコ」と表現しない
ようにしてください。サボテンみたいなウンコがホントにありそうで、ドキ
ドキした気分になりますので)。
皆さんの近くにいる砂漠国出身者の鼻にサボテンを近づけてみてくださ
い。相手が突然奇妙な顔をし始めたら、おそらく上記の仮説は正しいことに
なります。ただ、それは単に相手が「おめえ、何やってんだよ」と怒ってる
だけだったりしますので、その際は相手にサボテンを投げ付けて逃げること
にしましょう。
他には「ウンコ=ガラガラヘビ」という仮説もありそうな気がいたしま
す。ガラガラヘビがウロウロしてそうな土地に長いこと住んできた民族の場
合、ウンコしてる時にガラガラヘビに遭遇することぐらい恐いことはありま
せん。なんせ動けませんからね。
その恐怖感をイマイチ理解できない人は、自分がそうなった時のことを想
像してみてください。
ちょうどウンコしてると、目の前にガラガラヘビがいるじゃないですか。
慌てて後ろを向いて逃げようとしても、そのケツに噛みつかれてしまうかも
しれませんし、今出てるウンコをブンブン振り回すことにもなります。
かと言って、その体勢で後ろにジリジリ下がるというのもかなりのテク
ニックが必要ですし、間違って尻餅をついた日には、それは想像を絶する事
態になります。また、それらの動きに刺激されて、ガラガラヘビの野郎が股
間部分に噛みつき攻撃を仕掛けてくるかもしれませんしね。
このように考えますと、ウンコしてる最中にガラガラヘビに遭遇するとい
うことは、大変恐ろしいことなのであります。
実際にウンコしてる時にガラガラヘビに忍び寄られてしまった場合は、そ
の恐怖感が血に刷り込まれますし、たとえ経験したことがなくてもウンコす
る際はその恐怖感が付きまとうのであります。
そういう「ウンコ=ガラガラヘビ」的環境の中に数千年も住みますと、ガ
ラガラヘビを見たり、そのガラガラを聞くとウンコをもよおすという現象も
当然起こり得るのですね。
皆さんのまわりにガラガラヘビ地域あるいは国出身者はいませんか。もし
いましたら、彼らにガラガラヘビを近づけてみてください。その際はぐれぐ
れも自分が噛まれないように。パクリと噛まれて大騒ぎになっちゃって、ポ
リスで事情聴取されたりなんかしたら、「なぜガラガラヘビなんか持ってる
ワケ?」という質問に答えるのにやたらと苦労するはずですからね。「あの
〜、実を言うと”ウンコ=ガラガラヘビ”っていう学説があって・・・」な
どという説明をしても相手はほとんど理解してくれないでしょう。
本物のガラガラヘビが手に入らない場合は、写真を代用する方法もありま
す。
まず、あなたの家あるいはアパートのリビングルームの壁にガラガラヘビ
の写真を張ります。そしてガラガラヘビ地域あるいは国出身者を自宅に招待
します。
リビングルームでお茶でも飲みながら世間話でもします。その時です。招
待した彼あるいは彼女の目が壁の写真に釘付けになります。彼あるいは彼女
がボソリと言います。
「ガラガラヘビ・・・」
再び世間話に戻るのですが、何やらその人物に落ち着きがなくなってしま
いました。特に下半身をモジモジし始めます。まるで何かが体内を急激に降
下しているかのようです。
そしてそのうち彼あるいは彼女は額に汗を浮かばせながら言うのです。
「ちょ、ちょっとトイレ借りていいかな」
慌てて席を立つ彼あるいは彼女の後ろ姿を見つめながら、あなたはつぶや
きます。
「やはり”ウンコ=ガラガラヘビ”説は正しかったんだ。ふふふふふ」
以上のような展開で話が進めばラッキーなのですが、相手がガラガラヘビ
の写真に対してなーんにも反応しなかった場合は結構無残なことになりま
す。
あなたは「リビングルームにガラガラヘビの写真を飾ってる変なヤツ」と
いうことになり、その後の友人関係にも多大な影響を与えるかもしれませ
ん。もし「友達を失ってもいい」という方がいましたら、一度実験してみて
ください。
てなわけで、私たちNuts軍団は、図書館や本屋でもよおすあの便意の原因
は、私たちの「血の歴史」にあると宣言してしまうのであります。
他に仮説がありましたら、是非とも「週刊Nuts」紙上で掲載したいと思い
ます。投書お待ちしております。
では。
「週刊Nuts」編集部
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『VOICE』
投書「2000年の迎え方」
「2000年の正月は飛行機にのるな」という言葉が、アメリカでは合言
葉のようになっています。2000年バグのせいで、管制塔の指令がうまく
いかなくなって、飛行機が衝突するかもしれないから、だそうです。
しかし、2000年の正月に飛行機にのらないと、一生に一度だけの大
チャンスを逃すことになります。それは、「2000年になる瞬間を2度祝
う」こと。
つまりどういうことかというと、まず日本で2000年の瞬間を祝いま
す。
そしてすぐさま飛行機にのり、サンフランシスコへ飛ぶ。着くのに12時
間かかったとしても、日本とサンフラの時差は17時間、12マイナス17
で出発の5時間前にサンフランシスコに着きます。
ただ問題は、日本を出発するのは2000年になった直後でないといけな
い、ということ。真夜中に飛行機は出ないから、おそらく12時半あたりの
出発になるでしょう。
年越しそばは、空港のそば屋ですましてください。お祝いも、まわりの人
の邪魔にならぬよう控えめに。
そんなのはイヤだと言う人へ、もっと手軽な方法を。ただし、日本ではで
きません。それは、「時間変更線(?)」のすぐ東にある町で、まず200
0年の瞬間を祝うというものです。
あとは、時間変更線へ向かってダッシュ。一時間以内にその西側へ移動し
ましょう。
この方法には、前者ほどのロマンはないような気がします。
最後にとっておきの方法。この方法を使うと、2回どころか、24回も
2000年の瞬間を祝うことができます。
方法はいたって簡単。まず、ちょっと寒いところへ出かけるので、暖かい
格好をしてください。
それから、北極点か南極点へ行って下さい。そしてその真上で寝てくださ
い。大の字で寝ころぶのがベストでしょう。
そのままぐっすり眠ってもいいです。もう、24すべての時間圏に存在し
ているわけですから。「あ、今、右手が2000年」とか一人でつぶやいて
祝ってください。
このプラン、どうでしょうか。実行したいという人はいませんか。
「これから一年で、北極へ旅行するほどの体力はつかないよ。」という
人。そんなあなたに朗報。
2000年の瞬間はミスっても、その1年後また、21世紀になる瞬間が
やってきます。
その日のために、体を鍛えましょう。
雅章
投書「カッコ悪いニッポン人」
あたしはろうあでフリーターで、お腹には6ヵ月になるベイビーを持つ
28歳ですべ。ベイビーパパはDくん、もちろんブロンクス出身のブラザーだ
ぴょ。
んで、Dくんがイビキをかき始めスッポンポンのケツ丸出しで寝ているその
そばで、この原稿を書きますね。
テーマは「カッコ悪いニッポン人」の通り、NYで見かけた、恥ずかしい日
本人のことを書きます。人を見て我ふり直せたら・・・と思いを込めて。う
ふ。
1月中旬のある日、42丁目近くにあるバー&レストラン「FRIDAY」でD
くんとディナーをした時じゃった。テーブルの近くには、東京からやって来
たようなサラリーマン2人と地味なOL2人が居たん。日本人ばかりなので、
Dくんも私もちょくちょく目をやってしまう。気になりますよな、井戸端会議
みたいになったり、時には合コンみたいになったりするんで・・・。フハハ
ハ。
「FRIDAY」は一皿平均的に10ドル位の「すかいらーく」的なところ。
あら、こんな所に6つぐらいの黒人の男の子が、「m&m」の菓子を箱に入
れて売り歩いているんではないか。その子が日本人4人のテーブルに来る。
テクテクと。
その時である。私は見たぞ。地味めの女が「NO!」と叫んで手のひらを返
すような手振りで”あっち行け!シッシッ”。相手はまだ小さい男の子だ
よ。「NO!」という声に他の白人の男性客がびっくりしていましたよ。そ
う、白人の男性客はあなたのした事をカバーすべく、小さな男の子に「m&
m」を2ドルで買ってくれたんだよ。日本人4人はテクテクと歩いて出ていく
黒人の男の子を後ろからにらみつけてました。それを見た私は、胸クソ悪く
なり、「同じ日本人としてなさけない!」と思ってしまいました。ホンマ
に。
あなた、「NO!」と叫ぶんじゃなくて、「No Thank you」と優しく断わ
ることが出来ないのかのう?それとも1、2ドルがないの?私の父が小さ
かった頃、地元で干し柿を売り歩いていたんだよ。あの小さな黒人も家の為
に「m&m」を売り歩いているのでしょう。黒人だから、と冷たくするな。周
囲はあなた達日本人のマナーをちゃんと見ています。「日本人はえばりす
ぎ」とたたかれないようにして欲しいものです。見た目がエリートに見えて
も振舞いがこれじゃあね。ぷぷ。
豹
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『グリーンカードへの道・第64話』
私は金属探知器をくぐり、持ち物検査を済ませて、イミグレ・ビル内に
入った。私が向かうのはこのビルの8階。そこにはグリーンカードのインタ
ビューのための待合室がある。
「ある」と言えるのは、約8ヵ月前、私もそこでかみさんと一緒にインタ
ビューの番が来るのを待ってたからだ。でも今回は私ひとり。ついでにスタ
ンプもらうだけだから気も楽だし、これはひとつ、まわりの状況というのを
じっくり観察せねばならんだろう。
エレベーターに乗り、8階で降りる。降りたのは私だけだった。
右手に待合室のドアが見える。コツコツという靴音を立てながら、私はそ
ちらに歩いて行く。
部屋に入ると、そこには数組のカップルとカップル+ロイヤー(弁護士)
トリオがいた。私が入ったのが一番後ろにあるドアだったため、彼らの後ろ
姿しか見えない。みんなイスに座って自分の番が来るのを待っている。
正面に受付がある。そこのボックスにアポイントメントの紙をドロップす
ることになっている。
受付に向かって歩きながら、私は一番前の列に中近東系の男性がひとりで
座っているのに気がついた。彼は私と同じようにひとりだった。かみさんも
ロイヤーも見当たらない。
「彼もスタンプ組か・・・」
しかし、それにしては余裕がなさ過ぎる。かえってまわりのインタビュー
組のほうが落ち着いて見えた。
私はボックスにその紙を入れ、部屋全体が見えるように後ろ側の席に着い
た。
彼はまだ落ち着きなくキョロキョロしていた。
ひろ
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『今週の歌』
「”Nutsって おもしろくない” そう言われ
ひきつり笑顔で ”あ、そう”と答える ひろ」
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