1999年3月20日号(No.263)




目次

*『NYJAは滅びるよ』
*『Nuts TV作戦13』〜怒涛のビデオカメラ2〜
*『VOICE』 ・投書『3月16日号(NO.261)のI.K.さんへ』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第68話』
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『NYJAは滅びるよ』

 さて、今号から「NYJAは滅びるよ」シリーズを始めたいと思うのでありま す。
 この「週刊Nuts」紙上で、よく「NYJJ」という言葉が出てまいりますね。 「NYJJ」というのは、私たちNuts軍団が作った「ニューヨーク在住日本国籍 日本人」の略語のことなのであります。
 この「NYJAは滅びるよ」シリーズのタイトルご覧になって、「あ、また NYJJ話か」とお考えになった方は、もう一度そのタイトルをよ〜く見ていた だきたいと思います。
 今回は、「NYJJ」ではなく、「NYJA」なのですね。
 「NYJA」、つまり「ニューヨーク在住日系アメリカ人」。というわけでこ のシリーズでは、「ニューヨーク在住日系アメリカ人は滅びるよ」という話 をやってみようと考えておるのであります。
 「滅びる」という言葉はちょっとセンセーショナル過ぎるかもしれません が、私たちNuts軍団は真剣に「NYJAは段々フェードアウトして、そのうち影 もカタチもなくなるわね」と読んでおります。
 ただし、この場合の「NYJA」は、昔アメリカに移民して来た日本人たちの 子孫(日系三世とか四世)をベースとした「NYJA」でありまして、最近アメ リカに引っ越して来た「新移民」と呼ばれる日本人を指したものではありま せん。そこのところ、勘違いのないようお願いいたします。
 で、1回目はですね、なんで私たちNuts軍団がこのネタを「週刊Nuts」紙 上で扱うことになったかをちょっとばかしご説明したいと思います。
 これはNuts軍団の持論なのですが、「ニューヨークに住む日本人(NYJJ) と日系アメリカ人(NYJA)の間には大きなギャップが存在する」と私たちは だいぶ昔から考えておったのであります。
 特に中国系や韓国系と比べたりしますと、その差はメチャクチャ明らかな わけでして、例えばNYJJとNYJAの間を取り持つ団体やメディアも大してあ りませんし、両者間のコミュニケーションはほとんど無に近いのが現状なの であります。
 そこで私たちは私たちなりにその原因を一生懸命考えたのであります。
 そして出た答えというのが、「これはやっぱし、NYJJ側に問題があるね。 わしらがNYJAにアプローチしないもんだから、こんな状態なんよ。向こうは きっとNYJJにアプローチしたいに違いないわ。でもどうやってNYJJにアプ ローチしていいか分かんないから、彼らと私たちはいつまでたってもコミュ ニケーションが取れないのよ。うん、きっとそうよ」というものだったので す。
 これまで私たちNuts軍団は、いろんなカタチで日系アメリカ人にアプロー チしてまいりました。日系人会あたりをウロウロして、そこに来るおじい ちゃん+おばあちゃん日系アメリカ人とお話ししたりしてたのですね。
 ただ、若い衆日系アメリカ人とはなかなか接触の機会がなく、彼らが何を 考えてるか、イマイチ読めなかったのであります。
 で、先日偶然、若い衆NYJAとドッと話す機会があり、そのときに「この人 たちって、どんなこと考えてるのかしら」的な探りを入れてみたのです。
 その結果、私たちは、彼らに対して「ねえ、悪いんだけどさ、あんたらそ のうち滅びるよ」という感想を持つに至ったのであります。
 もし、彼ら=若い衆NYJAが今と同じ状態のままなら、NYJAはおそらく滅 びます。
 これは別に感情的に言っているのではなく、理論的にそう説明できるので す。
 てなわけで、この続きは来週お話しすることにしましょう。
   では。
                   「週刊Nuts」編集部
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『Nuts TV作戦13』

 さて、「Nuts TV作戦」シリーズの第13弾なのであります。今週も 「”パブアク”リポート〜怒涛のビデオカメラ〜」の続編をお届けします。
 では。
                 「週刊Nuts」編集部
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『”パブアク”レポート』〜怒涛のビデオカメラ2〜
 その日、私は根性で6時に仕事を終わらせ、サブウェイ・ステーションへ と走ったのである。
 ウエスト・サイド行きFトレインに乗り込んでロックフェラー・センターま で。そこでBトレインに乗り換えてコロンバス・サークルで降りる。
 Manhattan Neighborhood Network(MNN)は59丁目の11アベと 12アベの間にある。人気のない道をテクテクと西に向かって歩く。
 そのブロックにさしかかると、向こうに「MNN」と書いてある看板が見え た。
 「あんな看板あったっけ?」
 前回ここに来たときは、気づかなかったぞ。
 うむ。
 最後にMNNに来たのは、今から半年以上も前のことだった。確かバリバリ 夏だったな。ということは、6時過ぎでもまだ十分明かるかったはずだし、 だからこの看板にも気づかなかったってわけか。
 「光陰、火のごとし・・・なんか違うな。火じゃなかったような気がす る。ときは、火の手のようにすばやく燃え移る・・・やはり違う。そうだ、 矢だ矢だ。光陰、矢のごとし、じゃないの。海外生活が長いとこれだから 困っちゃうよね」
 そういうくだらないことを考えながら、私はMNNのドアを開けた。
 ロビーにはやたらと人が集まっていた。
 「キミたちは、私と同じビデオカメラのクラスを取るためにここでブラブ ラしているのかね。20人以上はいるではないか。ちょっとそこをどきたま え。おめえだよ、おめえ。手を振り回してしゃべるんじゃない。だから危な いって言ってんだろ」
 私は手をブンブン振り回しながらしゃべっている白人の兄ちゃんの横を抜 けて建物の奥へと歩いていった。
 う〜ん、全部で30人はいるぞ。これだけの人間が一度にクラスを受ける なんて信じられん。そんなスペースはここにはないのだ。
 私は近くにいた黒人のおっさんに聞いてみることにした。
 「ねえねえ、今日は何のクラス受けるの?」
 「ん? ああ、スタジオのクラスだよ」
 「スタジオ?」
 「そう、このスタジオの使い方のクラスさ」
 彼は私たちの目の前のドアを指差しながらそう言った。
 「サンキュー」
 というわけで、彼らは、おそらくそのスタジオのクラスとやらを受けるた めにここで待っているのだろう。
 でも、私が受けるのはビデオカメラのクラスだし、キミたちと一緒に行動 するわけにはいかない。別に行動したくはないだろけど。
 「イクスキューズ・ミー。スタジオのクラスを受ける人はここのスタジオ に入ってくれるかな」
 どこからか突如として現われた白人のおっさんが、そう言いながら私の目 の前にあるスタジオのドアを開けた。
 約30人の人間のカタマリが動き出した。ゾロゾロと人々がそのスタジオ の中に入っていく。
 あれよあれよという間に、そこには2、3人が残るのみとなった。
 私は空いたイスに座って「ビデオカメラのクラス、しゅーごー」と声がか かるのを待つことにした。
 そのロビーにはテレビが1台備え付けてあって、4つあるMNN所有のケー ブル・チャンネルのひとつが流れていた。それは、私にとってはまったく魅 力のない番組だった。しばらく眺めてみようかな、とさえ思えない内容だっ た。
 私はイスに置いてあった英語の新聞を読み始めた。まだ新聞を読んでるほ うがマシだった。まわりにいる連中も、誰ひとりとしてその番組を観ようと はしかなった。
 テレビの音が悲しくロビーに響いていた。
                     ひろ
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『VOICE』

@投書『3月16日号(NO.261)のI.K.さんへ』
Dear I. K.
  I cannot agree with you more. Those who don't care about their ethnic identity disgust me a great deal. Cultural diversity is one of the greatest characteristics of this nation, and the only way to preserve that is to adhere strictly to our roots. In my opinion, the Japanese should always wear kimonos no matter where we are, even in the middle of Times Square.
  Let me tell you something about my girlfriend Gretchen. Actually her name wasn't Gretchen when I first met her. When I found out that this gorgeous blonde was from Amsterdam and her name was Lourdes, I talked her into changing it. Could you believe a Teutonic girl with a Latin name? Neither can I.
  When I started dating her, I immediately noticed that she always wore Italian stilettos. She didn't seem to own any other kinds of shoes. So I explained to her what was terribly wrong, and now she wears her traditional sabots exclusively. She still complains form time to time how painful it is to walk around Manhattan in bulky sabots. But she is Dutch; she should be happy with and proud of what her ancestors have passed on to her.
  She is a quite accomplished pianist and I just love to listen to her own renditions of Van Halen greatest hits. She used to play music by composers like Ravel, Falla, and Stravinsky as well, until I pointed out that they were not Dutch. We had a big book-burning party, which destroyed most of her sheet music along with piles of foreign novels. We almost burned the piano, too, except that it was German-made and someone at the party convinced us that "Dutch" and "Deutsch" were cognates.
  Although we love each other very much, we never engaged in any type of sexual activities beyond casual kissing, since I believe that her vagina should only be poked by a Dutch penis and that miscegenation is the ultimate sin. But one time she almost tricked me into having sex with her; she told me that the idea of platonic love originated in ancient Greece! So we decided to give it a try--I only snapped out of it when I saw the package of the condom she handed me, which read "made in Mexico."
                  Mr. Fukuda
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『編集後記』

 まずはお詫びを。
 遅くなりましたが、今月(3月)の「Nuts井戸端会議」はお休みです。ホ ントは開きたかったのですが、なんだかんだとやってる間に3月が終わって しまいました。
 ゴメンナサイ。
 というわけで、4月は早めにやろうと考えております。来週号でお知らせ して、再来週にでも井戸端バタバタしちゃいたいと思います。
 参加ご希望の方は、来週号をお見逃しなく。
 え? 「なんで今週号でお知らせしないんだ」ですって? 
 そりゃアナタ、まだ場所の予約を取ってないからザマスよ。はははははは (段取りが悪いだけだったりして)。
 なにはともあれ、4月の「Nuts井戸端会議」は再来週に開催します。
 では、また来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第68話』

 彼はスタンプを再びバシリと私のパスポートに押して、その上になにやら 書き込み始めた。
 そして彼はペンを置いた。
 「これですべて完了。国外にも出れるよ。日本にでも帰る?」
 「いや、今は金がないからまだだね」
 「そうか。まあ、いつでも出れるわけだから焦る必要もないか。と、もう ひとつ、もうすぐキミのところに送られてくるグリーンカードが切れる3ヵ 月前にこの書類をイミグレに送ってほしいんだ。これは次のグリーンカード の申請書になるからね」
 「次のグリーンカードね・・・」
 私はその書類を受け取って、内容にサッと目を通した。
 「今回発行されるグリーンカードは、あくまでもテンポラリーのものだか らね。有効期間はオンリー2年間。そのグリーンカードが切れる前に次のグ リーンカードの申請をやらなくっちゃいけないわけさ。詳しいことはそれに 書いてあるから。あ、ちょっともう1回その紙貸してくれるかな」
 そう言って彼は私からその書類を受け取ると、一番上の部分に2つの日付 を書き込んだ。
 ひとつは「3/01/00」。その下にもうひとつ、「6/01/00」。
 「この期間内に申請すれば大丈夫だから。忘れないようにね」
 「OK」
 また申請である。一体何回やればいいのかしら。
 「そんなもんかな。何か質問ある?」
 私は思わず、「なんでアナタはそんなにナイスなんですか」と聞きそうに なったが、その後に「他の人たちは死ぬほど無愛想なのに」なんてことを 言っちゃいそうだったから、それらを飲み込んで、とりあえず「ないね」と だけ答えた。
 「そうか。じゃあ、これがキミのパスポートで・・・」
 私は彼が差し出したパスポートを受け取った。
 「ザッツ・オール」
 彼が立ち上がりながら言った。
 私は「サンキュー・ベリー・マッチ」と言いながら彼と握手した。彼はそ の手を握り返しながら「ユー・アー・ウエルカム」と言ってニコリと笑っ た。
 いい面接官というのもいるところにはいるのよね。
                      ひろ
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『今週の歌』

「今回も 発行遅れて ゴメンチャイ
       ヤル気はあるけど 時間がないの ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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