1999年4月20日号(No.266)
目次
*『Nuts TV作戦15』
*『NYJAは滅びるよ4』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第70話』
*『今週の歌』
***********************
『Nuts TV作戦15』
さて、「Nuts TV作戦」シリーズの第15弾なのであります。今回も「”
パブリック・アクセス”リポート」をお届けいたします。
ここでちょっと復習いたしますと、現在のシーンは、ひろ氏がManhattan
Neighborhood Network(MNN)にビデオカメラのクラスを受けに行って、
それが始まるのを今か今かと待っている、というものなのであります。
もう1段階復習しますと、ひろ氏がMNNにビデオカメラのクラスを受けに
行ったのは、「Nuts TV」というNuts軍団で作るテレビ番組をスタートさせ
るためでして、将来的にはMNNが持つケーブル・チャンネルでその番組を放
送することになっておるのであります。
ついでに、それらのクラスの受講や番組の放映はすべて無料なのよ、とい
うことも付け加えておきましょう。
というわけで、今週も「”パブアク”リポート」をどうぞ。
「週刊Nuts」編集部
* * * *
『”パブアク”リポート』〜怒涛のビデオカメラ4〜
例の気の弱そうなヒスパニックのおにいちゃんが、ロビーで待っている私
たちに声をかけた。
「それじゃ、3階に上がりましょうか。もう誰も来ないみたいだし」
確か3階にはミーティング・ルームがあったはずだ。前回のレクチャーも
そこだった。
私たち5人は、ヒスパニックにいちゃんを先頭に、階段をのぼり始めた。
「今、エレベーターが壊れててね」
ヒスパニックにいちゃんの声がコンクリートに響く。
3階のドアを出る。以前、オリエンテーションをやった場所だ。あの時は
10数人参加していたが、今回はたったの4人。見覚えがあるのは、太った
黒人のおばさんひとりだけだ。残りのふたりは初めて見る顔だった。
そこには大きなテーブルがひとつあり、それを10コのイスが取り囲んで
いた。
私たちは適当にバラけて座った。
テーブルの上にはすでに2台のビデオカメラが用意してあった。私が以前
からほしかったソニーのデジタル・ビデオカメラだ。ビデオカメラの場合
も”デジカメ”と呼ぶのだろうか。うむ、わからん。
そのソニーのカメラは、アメリカでは3千ドルぐらいするらしい。日本だ
と10数万円という話だ。電化製品はアメリカのほうが安いというイメージ
があるが、普通、最新のスタイルは日本のほうが先に売り出されるため、最
新の次に新しい製品は日本のほうが安い、と誰かに聞いたことがある。つま
り、アメリカじゃ最新だけど、日本では「もうフル〜い」状態で値下げされ
ちゃうのである。
そう言えば、この型のカメラを持ってるアメリカ人なんか見たことないな
あ。日本人が使ってるのはよく見るけど。
前回、ここでオリエンテーションを受けた時は、MNNにはこのソニーのビ
デオカメラは2台しかないと言っていたが、今日はその2台のご登場という
わけか。
ヒスパニックにいちゃんが私たち4人にコピーを配る。けっこうブ厚い。
表紙にそのカメラの写真が載っている。その横に英語でこう書かれている。
「VX1000 digital camcorder」
へ〜、VX1000っていうんだ。
ヒスパニックにいちゃんが何やら話し始めた。それには大してペイ・アテ
ンションせずに、私はそのコピーをペラペラめくり続けた。
それは、基本的にはそのVX1000の説明書をコピーしたものだった。中に
ところどころMNN側で書き加えたページが入っていた。
全部で52ページ。これを今日と来週の2回でやっつけるのである。
「こりゃちょっと大変あるよ」
頭の中で中国人なまりを効かせながら、私は思った。
「マイ・ネイム・イズ・・・・・」
ヒスパニックにいちゃんがそう言うのが聞こえた。が、一番大事な名前の
部分が聞き取れなかった。ファースト・ネームは、オなんとかだった。オ
マーかな。ちょっと違うな。ヒスパニックだから、てっきり”ホセ”とか”
ヘクター”とか”ペドロ”とか”マーティン”で来ると思って油断してたら
このザマである。
ま、いいか。あとで聞こ。
次に彼は出席を取り始めた。
「なんとか・かんとか」
私はとりあえず自分の名前が呼ばれるのを待つことにした。
ひろ
**************************
『NYJAは滅びるよ4』
さて、話題の「NYJAは滅びるよ」シリーズの第4弾なのであります。
前回から「NYJAは滅びるよ」のココロについてお話しし始めております。
私たちが「NYJAは将来滅びるわよ」と考える根拠のようなものをご説明しよ
うとするものなのであります。
先週は、「”リトル・トーキョー”の問題」について語らせていただきま
した。というわけで、今回は「”羅府新報”の問題」というのをやっつけて
みたいと思います。
2)「”羅府新報”の問題」
ニューヨークにお住まいの方はあまりご存知ないかもしれませんが、ロス
には「羅府新報」という日本語+英語で書かれた新聞が存在するのでありま
す。
この「羅府新報」は、昔からロスの日本人社会(LAJJ社会)+日系アメリ
カ人社会(LAJA社会)で読み継がれてきた新聞でありまして、現在でも2万
人以上の読者数を有しております。
英語でも書かれているということもあり、この「羅府新報」はLAJA社会に
しっかり根付いているようです。実際、この「羅府新報」がLAJA同士の橋渡
し役になっています。やはり英語で書いてあるというのは強いですよね。
LAJA社会のニュースやイベントもこの「羅府新報」に掲載されるわけでし
て、そういう意味でこの新聞は同コミュニティのメディアとして機能してお
るのですね。
では、ニューヨークの日系アメリカ人社会(NYJA社会)の場合はどうで
しょうか。
以前は、「ニューヨーク日米」という日本語+英語で書かれた新聞が存在
したのですが、数年前に廃刊してしまいました。それ以後は、その類いの新
聞は出ておりません。
ということは、現在NYJA用のメディアというのは存在しておらんのであり
ます。
「そんなのなくてもいいじゃん。別に死にはしないんだし」などとお考え
になってるアナタ、それは違うわよ。メディアって、とっても大事なんだか
ら。
メディアがいかに大事であるかは、ここニューヨークに5年以上お住まい
の方ならよ〜くおわかりになると思います。
皆さん(ニューヨーク5年生以上の方)、今から5年前を思い出してみて
ください。あの頃ニューヨークには、日本語の無料紙なんかほとんど存在し
ませんでした。あったのは、有料のOCSニュース、それと発刊直後の「週刊
Nuts」ぐらいでした。
ニューヨークの日本人社会(NYJJ社会)にとっては暗い時代でした。だっ
て無料紙がないから、お互いにいろんな情報をシェアすることもなかった
し、紙面上で意見を言い合うこともなかったのであります。それって、サビ
しいと思いません?
NYJJコミュニティ自体にも勢いみたいなものがなかったですね。そりゃ、
そうでしょう。人と人との触れ合いのチャンスが今よりもずーっと少なかっ
たんですから。
あの頃に比べますと、現在の状況はヘブンなのであります。どこに行って
も無料紙が山積みされており、それらを手に取ってペラペラめくれば、いろ
んな情報が簡単にGetできるのであります。
ですから、メディアというのは、コミュニティにとってはひじょーに大事
な道具なのです。
話をNYJA話に戻します。
先にも述べましたように、今現在NYJA社会には独自のメディアというのは
存在しておりません。その辺の日本食レストランに行って無料紙をペラペラ
めくれば情報Getというわけには行かんのであります。
NYJAに関する情報が簡単にGetできなければ、そこにはNYJA同士の激しい
触れ合いは決して生まれません。NYJA関係のイベントを他のNYJAに宣伝す
るにしたって、それを載せる新聞さえないんですから。
また、「このままではいかん。どうにかしてNYJA社会を変えねばならんの
う」と考えるNYJAがいたとしても、それを発表する場もありません。「なら
ば、なんとか仲間を集めて」と他のNYJAを探し始めても、どこからどう探し
ていいのやら。NYJAが集まるイベントを狙うとしても、そういうイベントが
どこでどう開かれるか、誰にもわからんのであります。
つまり、現在のNYJA社会は、5年前のNYJJ社会以下の状況なのでありま
す。それって、けっこうヒサンよね。
メディアを持たない人間集団は、最終的にはチリヂリバラバラになりま
す。なぜなら、人々が集まる力も、状況を変える力も持ち得ないからです。
私たちが「NYJAは滅びるよ」という理由のひとつは、その「NYJA社会に
はメディアがないのよ」という現実に基づいておるのであります。
それなりに説得力があると思うのですが、いかがなものでしょうか。
今回はこんなもんで。
では。
「週刊Nuts」編集部
****************************
『編集後記』
さて今週は、Nuts軍団の身内ネタをひとつご紹介することにいたしましょ
う。
この「週刊Nuts」の編集者のひとりである新谷哲士くんが、今度サンフラ
ンシスコで仲間と一緒に週刊の日本語スポーツ新聞を発行することになりま
した。
パチパチパチ。
ここで言うスポーツ新聞というのは、日本風のスポーツネタあり+芸能ネ
タありの”あの”スポーツ新聞なのであります。それを無料紙としてやって
いくのです。
すばらしいですね。
がんばったご褒美として、この「週刊Nuts」の姉妹紙にしてあげましょう
(断わられたりなんかして)。
今回のスポーツ紙は、ミニコミのレベルではなく、本物のスポーツ紙の破
壊力を持つ媒体になるはずです。おそらくサンフランシスコ及びシリコンバ
レーは制覇してしまうでしょう(現在あの辺りにはパワーのあるメディアは
ありません)。
そのうちニューヨークにも殴り込んでくるかもしれません。今のところ、
NYJJ社会のマジョリティである日本人駐在員軍団の欲求を満たす日本語の無
料紙は、ニューヨークには存在しておりませんので、このスポーツ紙がここ
で発行されれば、少なくとも彼らは大喜びでしょうね。
おそらくそれは、ニューヨーク最強の日本語無料紙になるはずです。ま
あ、Nutsには勝てんけどね(負け惜しみ・ここまで来れば・おめでたい)。
というわけで、サンフランシスコのスポーツ新聞軍団の健闘を祈ることに
いたしましょう。
続いては、ニューヨークの日系ビジネス界についてです。
最近、ニューヨークでいくつかの日系旅行代理店がつぶれた、という噂が
私たちのところに入ってきております。
その他にも日本語メディアで働く方から「広告が集まらん」という話もよ
く聞きます。
それらの話をみんな足して、かけたり割ったりしますと、以前から私たち
Nuts軍団がしつこく言っております「日本人マーケットの限界」というのが
とうとうやってきたのね、という感じがいたします
ニューヨークの日系ビジネス界にとっての「地獄の時代」が始まろうとし
ておるのです。
その業界で働くほぼすべての人たちが「いつか日本人マーケットには限界
が来る」ということをわかっていながら、彼らは何もその準備をしませんで
した。その結果が、今、容赦なく表われようとしております。
近々、そのことについてのシリーズを発進させる予定です。早くしない
と、ここの日系ビジネス界全体が沈没してしまいます。
お楽しみに。
では、また来週。
「週刊Nuts」編集部
***********************
『グリーンカードへの道・第70話』
終りが近づいている。
こういうことを書くと、「やっとこのストーリーも終わるのか。やれや
れ」などとほざく無礼者たちがいるから、できることならずーっと続けたい
のだが、そういうわけにもいかない。ホントに終りが近づいてるからだ。
私がパスポートにスタンプをもらったのは、98年4月のことだった。後
はグリーンカードが届くのを待つのみ。国外に出ることもできるし、かみさ
んにコビる必要もない(服従してるけど)。それは至って平和な日々だっ
た。
したがって、特にここで書くこともない。私自身、グリーンカードが来る
のを心待ちにしてるという感じではなかった。
ただ、毎日郵便箱を開ける瞬間だけは、それなりに期待した。
「今日はどうかな」
なんてことを考えながら、郵便箱のカギを回すのだが、そこにグリーン
カードの入った封筒がないことは開ける前から私にはわかっていた。
昔から私には変なカンみたいなものがあって、待ってたものがやっと来た
時などは、それが実際に届く前にそのことがわかったりするのである。
うちのかみさんに初めて会った時もそうだった。なんとなく「この女(ひ
と)と結婚するな」という感触があったのである(その時になんらかの手を
打つべきだった)。
在外投票運動を始めた時も、それが成功することを私は最初から漠然と
知っていた。わからなかったのは、「いつ法案が成立するか」ということだ
けだった。
グリーンカードはなかなか届かなかった。スタンプをもらってから、約半
年が経とうとしていた。
そして、とうとうその日がやってきたのである。
ひろ
**********************
『今週の歌』
「212 その番号への こだわりを
感じる 近々引っ越し予定 ひろ」
下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
投書、意見、感想もどうぞ
Return to Home Page