1999年5月4日号(No.268)
目次
*『NYJAは滅びるよ5』
*『Nuts TV作戦17』〜怒涛のビデオカメラ6〜
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第71話』
***********************
『NYJAは滅びるよ5』
さて、「NYJAは滅びるよ」話の第5弾なのであります。
前回、前々回に引き続き、今回も私たちNuts軍団が「NYJA(ニューヨーク
在住日系アメリカ人)は下手したらそのうち滅びるよ」と考えるそのココロ
をご紹介したいと思います。
3)『日本語の問題』
私たちから見ますと、日系アメリカ人は「日本語の問題」というヤツを抱
えています。これはNYJAだけではなく、他の地域の日系アメリカ人にも言え
ることです。
「日本語の問題」。つまり「日本語をあまり話せない」ということです
ね。
こういうことを言いますと、「彼らはアメリカ人なんだから当たり前じゃ
ねえか」という人がいたりするのですが、まあ聞いてください。
ある調査によりますと、日系アメリカ人はその家庭において、もともとの
言語(=日本語)を使うパーセンテージというのが、他の民族(中国系や韓
国系)に比べると異常に低いのであります。
家庭で日本語を使わないということは、子供たちに日本語を教えないとい
うことに等しく、その結果として、多くの日系アメリカ人が日本語を話さな
いのであります。
このことは、アメリカにお住まいの日本人の方ならなんとなくお気づきに
なってると思います。
私たちNuts軍団は、この「日本語の問題」というのが日系アメリカ人コ
ミュニティを維持していく上においてマイナスに働いてるわね、と考えてお
ります。
とりあえず、どのようにその問題が日系アメリカ人コミュニティの足を
引っ張ってるかの説明に入る前にですね、ちょっとばかし中国系アメリカ人
コミュニティについて語らせていただきたいと思います。
中国系アメリカ人コミュニティの特徴を簡単にまとめますと以下のように
なります。
・各地にチャイナタウンがある
・そこに中国から新しい人たちがどんどん入ってくる
・もともといる組と新しく来た組がうまく協力してビジネスなどを起こす
・その結果、中国系の勢力が拡大する
・ついでに、医者や弁護士、政治家なども生み出し、中国系の社会的な発言
力を強める
・このようなプロセス(来たばかりの移民軍団をうまく取り込みながら、中
国系全体の勢力拡大を図る)を半永久的に繰り返す。
ここで注目すべき点は、「もともといる組」と「新しく来た組」がちゃん
とコミュニケーションを取ってるということでありまして、そこでポイント
となるのが「中国語しゃべり度」なのであります。
中国系アメリカ人は日系アメリカ人に比べますと、そのもともとの言語
(=中国語)をしゃべる率が高いような気がいたします。具体的な数字はな
いのですが、おそらく間違いないでしょう。
中国から来たばかりの方々というのは、まず英語をしゃべりません。そう
いう彼らをコミュニティに引き込むためには、「もともといる組」が中国語
をしゃべる必要があります。でないと、コミュニケーションが取れませんか
らね。
読者の中には、「英語もしゃべれないヤツを仲間に入れることにどれほど
の意味があるわけ?」とお考えの方もいるかもしれませんが、私たちが注目
するのは「英語がしゃべれるか、しゃべれないか」という点ではなく、その
「数」なのであります。
はっきり申しまして、数は力なのです。構成する人間が多いコミュニティ
ほど、その持つ力(発言力とか政治力)が強かったりするのであります。
いい例は、サンフランシスコです。
あそこは、ニューヨークやロスに比べると、アジア系の人口比率がすんげ
え高く、その結果、アジア系が非常に強い発言力や政治力を持つにいたって
おるのです。
というわけで、各コミュニティにとって、新しい人材をグングンその中に
取り込み、コミュニティ全体のアタマカズを増やすということは、とっても
とっても大切なテーマなのです。
で、中国系アメリカ人コミュニティは、それをきっちり実践しておるので
あります。
また、中国の方々というのは、日本人に比べますと自分の国(=中国)に
関して自信満々だったりしまして、中国語やその文化についてもブンとした
誇りを持ってるようなのであります。
その言語をしゃべれるということは、「私は日本人よ」とか「わしは中国
人あるよ」などのような「自分が何者であるか」を知るための最も有効な手
段のひとつなのであります。つまり、自分のアイデンティティーの確認に非
常に役立つのですね。
ほら、パーティなどで初めて会った人に、「あなたのバックグラウンド
は?」とか聞かれて、「中国系」とか「ロシア系」とか「ヒスパニック系」
なんてふうに答えたら、すかさず「それじゃ、ナニナニ語話せるの?」と聞
かれてしまった風景って見たことありません? もしかしたら、あなたもそ
んなふうに「それじゃ、ナニナニ語話せるの?」と聞いた経験がありません
か。
そうなんです。私たちは無意識のうちに「中国系=中国語を話す人たち」
「ロシア系=ロシア語を話す人たち」「ヒスパニック系=スペイン語を話す
人たち」と考えがちなのであります。
言語というものは、それほど「自分が何者であるか」ということと密接に
関係しておるのですね。
話を戻します。
なにはともあれ、中国系アメリカ人コミュニティは、中国語という道具を
使って、新しい血を吸収し、「中国系」を「中国系」として保つのに役立て
ておるのであります。
では、日系アメリカ人コミュニティの場合はどんなもんでしょうか。
先に書きましたように、多くの日系アメリカ人は日本語を話しません。と
いうことは、中国系アメリカ人コミュニティが中国語という道具をうまく
使って、自分たちのコミュテニィを維持、発展させるような荒技は、日系ア
メリカ人にはできないのであります。
日本から英語があまりしゃべれない日本人が来ても、彼らをうまく取り込
む手段がありませんし、私たちNuts軍団から見ますと、他のアジア系に比べ
て、「自分が何者であるか」というアイデンティティーが弱いのでありま
す。
新しい血が入らない。
「アイデンティティ」というある種の仲間意識が弱い。
これを企業に置き換えますと、「新しい人材が入らない」「企業内の連帯
意識が弱い」ということになりまして、そういう企業はまず潰れるはずで
す。
以上のように、私たちNuts軍団の見解によりますと、「日本語の問題」と
いうのは、日系アメリカ人コミュニティの足を引っ張りまくっておるのであ
ります。
と、一応まとめましたが、読者の中には、私たちがここでご説明したこと
について、「?」をお持ちの方もいらっしゃると思います。
例えば、「日系と中国系は一概には比べられましぇーん。だって、母国の
状況も歴史もじぇんじぇん違うんだから」とか「アメリカ人なんだから、日
系としてのアイデンティティーなんて必要ないべ」などです。
もしかしたら、「日系アメリカ人を日本語がしゃべれないからと言ってそ
んなに責めてどうすんの?」とお考えの方のいるかもしれませんが、それは
アナタ、勘違いよ。
以前から何回もお話ししてますように、別に私たちは日系アメリカ人が憎
くてあーだこーだ言ってるわけではないのであります。また、私たちは彼ら
を責めるつもりもありません(責めたってどうにもならんしね)。
読者の皆さんがお持ちの「?」の中で最大のものは、「なんで日系アメリ
カ人家庭では日本語を話さないの?」ではないでしょうか。
日系アメリカ人があまり日本語を話さないのは、その家庭で日本語を教え
ないからなのであります。
それはなぜなのか。
来週はそのことについて考えてみたいと思います。
では。
「週刊Nuts 」編集部
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『Nuts TV作戦17』
『パブアク・リポート』〜怒涛のビデオカメラ6〜
おそらく黒人のおばさん、サルマはビデオのことなんかなーんも知らんの
だろう。さっきから的はずれの質問で先生役のヒスパニックにいちゃんを困
らせている。
「そのVってどういう意味?」
「Xは?」
などのように、単なる商品名の「VX」に食らいついている。
ヒスパニックにいちゃんもちょっとイライラ気味で、答え方がだんだんと
冷たくなっていくのが私にはわかった。
でも、ヒスパニックにいちゃんはにいちゃんで、そのアクセントが強すぎ
て、何を言ってるかさっぱりわからないという事態が頻繁に発生していた。
それは私だけでなく、他の参加者も聞き取れないようだった。
「まあ、いいか」
そんな表情が私を含めた4人の顔にしばしば浮かんだ。
ビデオテープの説明が終わった。次はビデオカメラの使い方についてだ。
私たちの目の前には、ソニーのVX1000が2台ある。席の関係で、私とサ
ルマが1台、クリスとキャシーがもう1台を使うことになった。
まず最初にヒスパニックにいちゃんがいろいろと説明する。
それにしても、このにいちゃんの名前はなんなのだろう。今さら「ねえ、
あなたの名前、ナニ?」って突然言うのもなんだから、最後にこっそり聞く
ことにしよう。
電源の入れ方から始まり、ズームのやり方やテープの出し入れ、録画の仕
方などの説明を受ける。
私の場合、昔、海の中でビデオを撮る仕事をしてたおかげで、ほとんどの
ことはすんなり理解できた。問題はサルマちゃんだった。
こんなことを言ったら、おばさま方に怒られるかもしれないが、50過ぎ
のおばさんが、最新のビデオカメラの使い方を習おうとしているのである。
物事が平和に流れるわけがない。
彼女はカメラからできるだけ自分を目を離しながら(老眼入ってます)、
「え〜と、このボタンは・・・」とか言って、まったく関係のないボタンを
押し続けるのであった。
だからと言って、ここで、「どらどら、わたくしが・・・」とでしゃばる
のは失礼である。こういう時はじっと待つに限る。
ときどき、本来は開かないものをサルマちゃんが無理に開けようとしてい
るのを見て、「ひゃー」と悲鳴を上げそうにもなったが、運よく何も壊れる
こともなく、彼女は基本的な操作法を学んだようだった。
ただ、相変わらずレンズにキャップをしたまま、「何も見えないわよ」と
騒いでいる彼女を見ながら、これからの険しい道のりを真剣に考えてしまう
私なのであった。
ひろ
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『編集後記』
先週お話ししましたように、5月3日(月)午前9時半から在外投票の選
挙人名簿への登録が始まりました。
テレビに映るためにその場に参上した方はほとんどおらず、イマイチ盛り
上がりにかけたスタートでしたが、まあ、こんなもんでしょ。
登録方法等に関しては、「ぶりてんNuts」のほうでドカーンとご説明する
つもりです。
来週から「NYJJクール作戦99」シリーズが復活します。ニューヨーク在
住の4つの日本人軍団を応援しようという作戦です。
まず最初は、「American Book Jam」軍団から始めます。お楽しみに。
「ジパングに続け!」シリーズがブッ止まったままになっておりますが、
同シリーズもそろそろ終わらせねばなりません。
アメリカのマスコミの偏った日本報道に対して、ここに住む日本人として
何ができるか。これまで具体案としては、「抗議の手紙やハガキを書く」程
度のことしか言っておりませんが、あと2つぐらい付け加えてからこのシ
リーズともおさらばすることにいたしましょう。
今週はこんなもんで。
では、また来週。
「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第71話』
その日の午後、私は仕事の関係で紀伊國屋に立ち寄った。
それは正確には、98年の10月16日だった。
パスポートにスタンプをもらったのが4月中旬だから、あれからすでに半
年が経っていた。
その間、イミグレからはなんの連絡もなく、自分も自分で「まあ、そのう
ち来るやろ」と別に心配もせずに待っていた。
「グリーンカードへの道」話も相変わらずズルズルと続いていた。なかな
か結論が出ない、つまりグリーンカード自体が送られて来ないのだから仕方
がないのだが、「週刊Nuts」の読者からは「あのストーリー、まだ終わんな
いんですか」などのコメントを頻繁にいただいていた。
友人たちからも、会うたびに「グリーンカードの件、どうなったの?」と
聞かれた。
「まだだよ」
「あ、そう。大変よね」
「でも、ここまで来たらもう大丈夫だけどね」
「グリーンカードが来る前に離婚しちゃうんじゃないかと思って心配した
わよ」
「・・・・・。ありがとう」
その日、紀伊國屋で偶然会った彼女ともその話になった。
私たちは数年前、同じ大学に通っていた。彼女自身、アメリカ人と結婚し
ていて、立場上は私と同じ「結婚してグリーンカードもらっちゃった」組の
ひとりだった。
そのせいもあってか、この「グリーンカードへの道」話もしっかり読んで
た様子で、「結局どうなったのかしら」と心配してたと言っていた。
「いや、例の必殺技を使ったおかげで、スタンプはなんとか取れたんだけ
どね」
「でも、いつ申請したんだっけ?」
「96年の11月」
そう、あれからもう2年が経とうとしているのであった。
ひろ
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『今週の歌』
「最近は 吹き出物まで 結婚の
せいにされてる 3度目の春 ひろ」
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