1999年6月15日号(No.274)




目次

*『今週の問題』
*『NYJJ2000作戦・その3』
*『NYJAは滅びるよ10』
*『編集後記』
*『グリーンカードへの道・第76話』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

 「A1ソースの問題」である。
 いきなりだが、A1ソースは死ぬほどまずい。ホントにまずい。ったく、 なんであんなにまずく作れるのだろう。
 先日、ニューヨークのファミリーレストランぽいところでステーキを食お うとしたときにA1ソースの野郎が現われやがったのである。
 まず第一にそんなところでステーキを食うのがそもそもの間違いなのだ が、それはとりあえず横に置いておく。
 ウエイターに「A1ソース、いりますか」と聞かれたときに「そんなもん、 死んでもいらん」と答えればよかったのだが、貧乏症の私は条件反射で「イ エス、プリーズ」と言ってしまったのだ。
 その結果、現われやがったA1ソース。
 「せっかく持ってきてくれたんだから」と自分のステーキにドボリとかけ ちゃったんだな、これが。
 ソースというのは、肉なら肉の味を引き立てるのが本来の役目だと私は信 じている。そのソースをかけることによって、本体がダメージを受けるよう ではソース失格である。
 そういう意味では、あのA1ソースって野郎はソース業界追放に値する。
 なぜ肉そのものをまずくしてしまうソースがこの世に存在するのか。あの アジ的な意味での態度のデカさはなんなのよ。
 A1ソースをかけたステーキを一口食ったとき、私は思わず日本語で「チク ショー」と叫んでしまった。
 それはすでに、A1ソースを付けたステーキではなく、ステーキを付けた A1ソースだったのである。
 私は、一度かけたA1ソースをナイフでそぎ取ろうとした。でも、すでにそ の味はステーキの奥のほうまでしみ渡っていた。まずいくせにしみだけはや たらと速い。狙った獲物は逃さないというわけか。
 私は、あのA1ソースを作ったり売ったりしてる連中に言いたい。「キミた ちには味覚というものはないのかね。ソースが自己主張してどうするのだ。 しょうゆの恥じらいをちょっとは見習いたまえ」と。
 アメリカは自己主張の国である。でも、ステーキ・ソースが自己主張する のだけは私は許せない。
 つらいかもしれないが(つらくないつらくない)、私はこれからA1ソース なしの人生を送っていくことだろう。
 さらばA1ソース。
                      ひろ
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『NYJJ2000作戦・その3』

 さて、先週の「ニューヨークでカレーライス屋はいかがか」作戦の続きな のであります。今回は、その「お値段」の話から始めることにいたしましょ う。
 ロスでジャパメシ(日本食)を食ったことのある方はよ〜くご存知かと思 いますが、向こうのジャパメシの値段というのはこちらよりもすんげえ安い のであります。おそらくニューヨークの3分の2ぐらいの値段でトンカツ定 食も冷やしうどんも食べられるはずです。
 その違いがどこから生まれるかと申しますと、マンハッタンの高い家賃に ヒーヒー言いながらサバイブしている方々を見ればわかりますように、問題 はその土地代の高さにあります。
 例えば、ニューヨークで安い家庭料理屋をやろうと考えても、その家賃な どによって、結局は家庭料理屋が高級料理屋に変身してしまったりするので あります。
 で、カレー屋なのですが、カレーライスなんてえのは数十ドルも出して食 うものではありません。まずアナタ、あのルックスが高級メシって感じじゃ ないでしょ。特にアメリカには見た目で味を決めてしまうという愚かな人間 が多いですから、カレーの濁った黄金色、別名「ウンコ色」を見て、10ド ル以上出す人間がいるとは思えないのであります。
 となりますと、残るはロスの吉野屋(牛丼のね)ノリ、つまり「安くて結 構うまい」路線で行くしかありませんね。ニューヨークで安い食い物屋を やって行くのは、上記のように家賃などの関係で大変ですが、カレーライス 屋がこの街で生き残るには、「安くて結構うまい」お店しかないのでありま す。
 ポイント(2):「吉野屋ノリのカレー屋を目指すのよ」
 ここでいきなり値段の話をしますと、できたら1皿4ドル代をキープでき たらベリー・グッドですね。5ドル代ですと、日本人にとってはまだOK範囲 なのですが、アメリカ人の食い付きというのが弱くなります。
 「3ドル代は?」という声もあるかもしれませんが、どう考えてもニュー ヨークで3ドル代は無理です。その辺の道端でやってるストリート・フェア の食い物だって、3ドルぐらいは簡単にしちゃいますからね。
 というわけで、ポイント(3):「1皿4ドル代絶対キープ」
 ニューヨークで4ドル代で座ってメシが食えるところと言えば、チャイナ タウンぐらいしか思い浮かびません。あのシンプルな店内。サッサと出来上 がってくるメシ。「トットと出てけ」とばかりの素早い皿引き。席を回転さ せることしか考えないウエイター軍団。同じニューヨークで4ドル代の食い 物屋を始めるのであれば、彼らのやり方を真似するに限ります。
 そこで私たちが考えたのが、カウンターのみのカレー屋です。日本のラー メン屋みたいな感じの店ですね。
 カウンターのみでしたら狭い土地でもできますし、店内も限りなくシンプ ルな内装で済みます。ウエイター・ウエイトレスは使わず、メシはカウン ターからホイと出します。カウンターというのは、客同士のおしゃべりには あまり適した造りをしておりませんので、客がやたらと長居することも避け られます。待ちの客を座って食べてる客の後ろにズラリと並べて、「サッサ と食い終われよ」的な圧力を与えることも可能ですね。それによって、席の 回転率をグイグイ上げてしまいましょ、という作戦です。
 1皿4ドルを考えたら、やはりこのやり方しかないでしょ。
 ポイント(4):「カウンターだけの回転イノチのカレー屋よ」
 来週は、カウンター式カレー屋のオペレーションについて考えてみたいと 思います。
 もし、読者の皆さんの中に「こういうカレー屋なら行けるんじゃないの」 というアイデアをお持ちの方がいましたら、ブリブリご提案ください。
 では。
                「週刊Nuts」編集部
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『NYJAは滅びるよ10』

 ドンドンわけがわからなくなってる「NYJAは滅びるよ」シリーズの第10 弾なのであります。今回は、「日系アメリカ人の傷つき具合」について語っ てみたいと思います。
 これから皆さんにお話しするのは、私たちNuts軍団がこのネタのリサーチ 過程である日本人の方から聞いたネタに、私たちがちょっと脚色を加えたも のになります。ですから基本的にはこれは事実ではありません。ただ、読者 の皆さんに「日系アメリカ人の傷つき具合」をわかっていただくためには、 ひじょーにいい例だと思います。
 それでは早速始めることにいたしましょう。
     *     *     *     *
 あるところに日系アメリカ人の女性がいました。彼女は白人男性と結婚し ていて、ただ今30代前半です。
 彼女は最近自分のアイデンティティーってやつに目覚めました。「あた しって、何人なの?」。当然彼女はアメリカ人なのですが、でもそのバック グラウンドとなる「日系」=「日本」のことについては何も知らないのでし た。両親が英語しか使わなかったせいもあって、彼女は日本語が話せませ ん。
 自分のアイデンティティーに目覚めて以来、日本人や日本をとっても近く 感じてしまう彼女でした。「日本人っていうのは、どういう人たちなんだろ う?」「あたしの血が生まれた国って、どんなところなんだろう?」
 彼女は日本のことが知りたくて知りたくてしょーがありませんでした。 だって、彼女の根っ子の国なんですから。
 彼女は、できたら自分のバックグラウンドに誇りを持ちたいと願っていま した。日本の文化や習慣、そこに住む日本人という人々、そして日本という 国。それらを知ることが彼女のアイデンティティーに大きな影響を与えるの は間違いありませんでした。
 「よし。じゃあ一度日本に行ってみよう!」。
 彼女と白人のダンナは、早速日本への旅行を計画しました。
 そしてとうとうふたりは日本にやって来ました。彼女は、まるでシリコン 入れたみたいに期待に胸ふくらませていました。
 ところがです。日本で日を重ねるにつれ、奇妙な思いが心の中に生まれつ つありました。
 日本人たちは、彼女が日本人の顔を持ちながら日本語をまったく話せない ことを知ると、「おめえなんで日本語しゃべらねえんだよ」というような態 度を取るのでした。それはまるで自分たち(日本人)のニセ物を見るような 目でした。
 でも日本人は、白人のダンナにはやたらと愛想がいいのでした。チヤホヤ すると言ってもいいでしょう。どこに行っても人気者は、日本人の血を引く 彼女ではなく、日本とはなーんの関係もないダンナのほうでした。
 せっかく自分の根っ子の国までやって来たのに、そこで経験したのは冷た い歓迎ばかり。あれほどふくらませた胸もすっかりしぼみ、ほとんど胸クソ 悪い状態へと突入していました。
 彼女は、その旅行以来、日本が大嫌いになりました。彼女の期待を裏切 り、さらにその心まで傷つけたあの国が許せないのです。自分に日本の血が 流れてるかと思うとムカムカしてしまうほどです。
 彼女が日本を訪れることは、もう2度とないでしょう。
     *     *     *     *
 いかがでしたでしょうか。これは半分がホントで、もう半分がウソなので すが、いかにもありそうな話でしょ。
 彼女のような傷つき方をした日系アメリカ人は、意外に多いと聞きます。 日本に行ってから日本が嫌いになるというパターンです。
 でも、そりゃそうですよね。わざわざ日本まで行ったのに、ニセ日本人扱 いされたりしたら、誰だってプッツンしてしまいます。特に日本にまで行こ うとする日系アメリカ人というのは、期待と気合いで心がパンパンになって るわけですから、傷ついたときの心の爆発というのは計り知れないものがあ ります。
 ただこれは、アメリカに来た日本人がここの日系アメリカ人に特別なやさ しさを期待するのとひじょーに似たケースでありまして、共通して言えるの は、「アンタたち、ちょっと期待し過ぎよ」ということになります。
 確かにもっとお互いにやさしくなれればベストなのですが、物事はそんな に簡単には片付きません。ですから、両者共に、日本人と日系アメリカ人が 接触する場合の注意事項、要するに「私たちに対してやたらとビッグなやさ しさを期待するのはちょっと危険よね」てなことを相手にしっかり言ってあ げるべきだと私たちは考えるのであります。
 日本人は、前記の日系アメリカ人女性のような話をどうしても隠してしま いがちです。そうではなく、これまでに起こった傷つきケースなどを 「ちょっと恥ずかしいんですけど、こんなことがときどき日本で起きてま す」と正直に日系アメリカ人に紹介したらいいのです。
 で、そのあとに「ホントはこんなことじゃいけないんですけど、今の私た ちはそんな状態なんですよね。でも、これからは変わっていくと思います。 いえ、変えます。ですから皆さん(日系アメリカ人)も日本人とか日本に対 して何か言いたいことがあったらガンガン言ってください。私たちもあなた たちにガンガン言いますから」と付け加えます。
 前回と今回に渡って、両者(日本人と日系アメリカ人)の傷つけ合い具合 についてお話ししてきましたが、私たちNuts軍団が考えますに、それらを解 決するにはその傷つき方とか傷つく原因などについて日本人と日系アメリカ 人が素直に話し合う必要がありますね。
 日本人と日系アメリカ人の関係改善にちょっと光が見えてまいりました。
 続きは次回に。
 では。
                「週刊Nuts」編集部
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『編集後記』

 今月の「Nuts井戸端会議」のお知らせです。
 詳細は以下の通りです。
 「6月のNuts井戸端会議」
 日時:6月24日(木)午後6時半より
 場所:おいかわレストラン     805 Third Ave.(50丁目とサードの角の2階)
 別にメシを食いながらペチャクチャやるわけではありませんので、その点 はご心配なく。参加ご希望の方は、「週刊Nuts」編集部(TEL:212-982- 3348)までご連絡ください。
 今週はこんなもんで。
 では、また来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『グリーンカードへの道・第76話』

 私たちのアパートがある5階にたどり着くと、かみさんがドアをちょっと だけ開けてこちらを見ていた。
 「ヘイ、ベイビー」
 いつものように私はかみさんにそう声をかけた。そしてかみさんはいつも のように舌打ちしながら、「おせえよ」と言った。
 まず「おかえり」の接吻。
 そのあと、ドアをロックしながら私が言った。
 「サプライズがあるぜ」
 「へえー」
 かみさんはそう言い残して、奥のテレビのある部屋へとズンズン歩いて いった。
 「ホントにサプライズなんだぞー」
 「カツ丼買っといたわよ」
 かみさんが奥から叫んだ。
 おそらくテレビで何かやってるに違いない。
 私は、とりあえずバッグを置いて、上着を脱ぎ、ネクタイをゆるめた。 それから右手にその白い封筒を持って奥の部屋へ行った。
 「ほら、これ」
 私は、床に座ってテレビを見ているかみさんにその封筒を差し出した。 かみさんはテレビを見つめたまま、左手でそれを受け取った。
 「何よ、これ?」
 「いいから、中見てみろよ」
 「あとで見るわ」
 かみさんはそう言って、封筒を床に置いた。
 「だからサプライズだって言ってんだろ」
 「静かにしてよ、今いいとこなんだから。CMまで待ちなさいよ」
 「はい」
 ボクのグリーンカードは、床に寝そべったまま、CMが来るのを静かに待つ ことになったのである。
                    ひろ
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『今週の歌』

「毎朝の ホットコーヒー 知らぬ間に
          アイスに変わって 夏はすぐそこ ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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