1999年8月31日号(No.285)




目次

*『今週の問題』
*『NYJAは滅びるよ17』
*『VOICE』
*『今週の問題のオマケ』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

 そしてまたまた在外投票ネタである。でも今回のはなかなかシブイよ。
 例の「在外投票Tシャツ」の話だが、やはり金がかかるというのが、痛いと いうか、邪魔くさい。数百枚作るのにおそらく千ドル以上はかかるだろう。 そんな金があったら、株やったほうがおもしろいに決まっている。
 だれかが寄付してくれたりなんかしたらハッピーだけど、人の善意を待つ ほどバカらしいことはない。待つヒマがあったら、できることからやればい い。じゃあ、何ができるのか。
 紀伊國屋の前でチラシ配るとかはやりたくない。だってアナタ、つまんな いじゃない。渡そうとしても、断わられたり無視されたりして、精神衛生上 もあんましよろしくないしね。
 ここはやはり「在外投票Tシャツ」作戦の基本コンセプトである、「ノン・ ジャパニーズの方々にいろいろとご協力いただいて在外投票を宣伝しましょ か」のココロを大切にせねばなるまい。チラシを配るなどのストレートな” ガンバリ”方法ではなく、できるだけ手間をかけずに楽しくやれる技をクリ エイトするのである。
 前置きが長くなったが、私はとっくの昔にその方法をひねり出している。
 金と労力をかけず、なおかつ自己犠牲的ではない方法。それは何かと申し ますと、わたくし、「在外投票シール」を作ろうと考えておるのですね。
 シール。そう、あの貼るヤツね。それをニューヨーク中に貼りまくるの だ。
 もう少し詳しく説明しよう。
 まず私は、近日中にチャイナタウンに下だり、安くそのシールを作れると ころを探し出さねばならない。
 そういう店を見つけたら、次は値段交渉。中国人はそんなにぼったくった りしないから、結構安心だ。
 シールは白黒のシンプル・デザイン。ただ単に漢字で「在外投票」と書い たものを用意する。安く済ますために版はこちらで作る。
 それを一気に千枚ぐらいオーダーしてしまう。
 出来上がったら、そのシールを持ってニューヨーク中をさまよう。で、 貼れそうな場所を見つけたらガンガン貼ってしまう。
 停まってる車のバンパーなどにもこっそり貼りたいところだが、それは しっかり犯罪だったりするからやめておく・・・とここでは言っておく。
 紺色の郵便ポストに貼ったら、さぞかし映えるだろう。でも、それも犯罪 だから控えねばなるまい。でもでもすごい誘惑。
 つい心がゆるんで、車や郵便ポストに貼ってしまうことがあるかもしれな い。その際、自分の責任をアヤフヤにするために、このシールを10月17 日(日)にジャパン・ソサエティの前で開催される「日本の祭り」で、一般 の人たちにも配ってしまう。そしたら、人様の物や公共物に「在外投票」 シールを貼る犯罪者が続出したとしても、「いや、ボクじゃなくて、その シールを祭りのときにもらった人がやってるんじゃないですかね」と逃げる ことができる。
 「在外投票」シールをニューヨークのあちらこちらで見かけるようにな る。当然アメリカ人にはその意味がわかるわけがない。すると、「あのチャ イニーズ・キャラクターは一体なんだ」という疑問が彼らの心に芽生え始め る。
 一方、本家本元のチャイニーズの皆さんは、その意味がしっかりわかって しまうにもかかわらず、「なんでこんなもんがこんなところに貼ってあるわ けよ」と頭をひねる。ただ、彼らのすごいところは、ナニがナニやらわから なくても、とりあえず金にしてしまおうとするところだ。特に海賊版を作ら せたら彼らにかなう民族はいない。
 「このシールがこんなに貼ってあるということは、きっとアメリカ人の間 で”在外投票”という漢字が流行っているからに違いない」
 彼らがそんなふうに考えてくれれば、私はとてもラッキー。ホントにそう なったとしたら、彼らはすかさず「在外投票」という文字入りのTシャツやタ ンクトップを作り始めるだろう。そしてそれをチャイナタウンの道端とかで 売ってしまうのである(そういう彼らの生命力が、私は死ぬほどうらやまし い)。
 てなわけで、ニューヨーク中に「在外投票」の文字があふれ始める。する と、今度は地元のメディアがそれに食らいついてくる(先日の「デイリー・ ニュース」にも漢字に関する記事が漢字Tシャツの写真入りで載っていた)。
 テレビなんかに取り上げられたりしたら最高だ。「在外投票」シールをど アップで映したりするのである。ついでに、チャイニーズの皆さんが作った 「在外投票」Tシャツも取材され、その会社のボスがレポーターに「これはど ういう意味ですか。なぜこの文字をTシャツのデザインにしたんですか」とイ ンタビューされても、「さあー」と答えるだけだったりする。
 ドンドン謎が深まる。
 いろんなメディアが次から次にこのネタを取り上げる。私とこの「週刊 Nuts」の読者は、完全に知らばっくれる。私たちが口を割らなければ、これ はいつまでも謎のままである。
 「在外投票」の文字が新聞に写真入りで載ったりしたら、まわりが英語だ からして、やたらと目立つに違いない。それを見た日本人は、「あ、在外投 票だ」と思うだろう。同時に、「なんで?」となるかもしれないが、とりあ えず「在外投票」が目に入ればいいのである。
 以上のようなプロセスを経て、在外投票のことがニューヨークに住む日本 人に伝わるのだよ。う〜ん、グレイト・アイデアだな。
 「在外投票」の文字をもう少し強くアピールする方法として、ブロードウ エー沿いの歩道にチョークで「在外投票」と書き続けてしまうとか、地下鉄 の車内にカラー・スプレーで「在外投票」とシュッシュしてしまうなどの反 則技が考えられるが、それらはちょっとデンジャラス過ぎてやばい。でも、 チョークは雨が降れば流れちゃうから、勘弁してくれるかな。
 この「在外投票」シール&そこら辺に「在外投票」文字作戦について話す のは、基本的に今回が最後である。あんまし派手に宣伝したら、私がやって るってバレてしまうじゃないの。
 というわけで、上記の作戦はひそかにスタートする。その辺で「在外投 票」の文字を見つけたら、同作戦が進行中だとお考えいただいて結構だ。
 その辺の壁とか車とか郵便ポストだけでなく、あ、車と郵便ポストは一応 ナシね、いろんなところに「在外投票」が登場するはずである。
 気を抜かずに道端を歩いてほしい。
                     ひろ
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『NYJAは滅びるよ17』

 さて、「NYJAは滅びるよ」話の第17弾なのであります。
 前フリなしで、いきなり本題に入ります。
 前回お話ししましたように、私たちNuts軍団は、ニューヨークの日系旧移 民コミュニティはすでに滅んでいると考えております。この「NYJAは滅びる よ」シリーズを始めたのは、同コミュニティをできれば「再生」させたい わ、という意志が私たちにあったからでありまして、しかしながら、現実に ズゴンと直面した結果、私たちはこの作戦からの撤退を決意したのでありま す。
 ま、簡単に言えば、「こりゃダメだ」とあきらめたわけですね。
 とりあえず彼らの「滅び」に関しては、タッチしないことにしたのです が、一方で彼らについての「記録」というものにはまだ興味があります。
 こういう言い方をしたら失礼かもしれませんが、戦後苦労した日系旧移民 一世・二世の方々の多くが、今、棺桶に向かって歩いています。要するに亡 くなってるということです。
 彼らは、棺桶に入る際、自分たちの「記憶」も一緒に持って行きます。楽 しかったこと、おもしろかったこと、つらかったこと、などなど。これらの 「記憶」は、おそらく次世代には引き継がれていません。
 ちまたには、彼らの悲しい「記憶」ばかりを刈って歩く「悲しみ探検隊」 が結構ウヨウヨいますので、彼らの苦しみに関しては、映画とか本のカタチ でそれなりに残るものがあるかもしれませんが、全体のパッケージとしては ひじょーに貧弱な状態です。
 ニューヨークの日系旧移民の皆さんの子孫、つまり三世・四世たちの中で その「貧弱さ」に気がついているのは、私たちが見るところではごく少数で す。もしかしたら、ほとんどいないかもしれません。なぜなら、いろんな理 由があるにしろ、根本的には彼らがボンクラだからです。ちなみにそのボン クラを作ったのは、旧移民一世・二世たちであり、彼らのことなど考えずに 第二次世界大戦に突入したその頃の日本人たちであり、その子孫である私た ちなのであります。
 でも、三世・四世たちがボンクラであることにはかわりはありませんけど ね。
 ここの日系新移民二世たちの中には、その「貧弱さ」に気がついてる人間 がいます。でも、彼らは日系旧移民たちの子供ではなく、昔の人々の「記 憶」を背負う義務は基本的にはないのであります。だから、彼らに対して 「同じ日系アメリカ人なんだから、おめえらがやれよ」というのは、かなり 筋違いなのであります。
 旧移民三世・四世たちには期待できず、なおかつ新移民二世にはちょっと 荷が重すぎる。となったら、やっぱりわしらがやらんといかんでしょう。
 やることは、ニューヨークの日系旧移民一世・二世たちの「記録」を残す こと。暗い系の「記録」は、「悲しみ探検隊」の皆さんがシコシコ集めてく れますので、そっちはほっとくとして、私たちは「楽しかったこと」「おも しろかったこと」を掘り出してみたいですね。
 それをどうやるか。
 その方法については次回お話しいたします。
 では。
                  「週刊Nuts」編集部
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『VOICE』

『投書』〜よかったね。〜
 あまりに天気がいいとふと仕事を辞めたくなる。私は日銭稼ぎなので毎日 その誘惑と戦っているが、ま〜背に腹はかえられず、空の青さを恨めしく思 いながら店に行く。そんな時、私は同僚だったむ〜さんを思い出す。
 む〜さんはふらっとNYにやって来た。そのままふらっとどこかに行っちゃ うのかと思ったらうちのレストランで永住権の申請を始めた。申請料プラス 税金も払わなければならないのでいきおい彼は朝晩働き始めた。
 それから彼のあだ名は「チクショーのむ〜さん」になった。誰にともなく 彼は「チクショー!」と叫ぶ様になったからだ。その響きは半分お笑いが 入っていて、皆で「あーまた言ってるよお」と言えたけれど、私が辛かった のは、昼寝をしていたむ〜さんに「その日のお天気」を聞かれる事だった。
「シュウちゃん、今日さあ、外って天気いいの?」
「あ、良かったですよ。暑くもないし、丁度いいぐらい」
「そうかあ」
 休み時間にちょっと外へ出ればそれで済むのだけれど、体力勝負で働いて いるとその余裕も無くなってしまうのだ。
 む〜さんは都合3年居た。3年目は体力というより気力で続けていたと思 う。ある時彼はCDコレクターのバーテンさんにこう尋ねた。
「元気の出る曲って知ってます?」
「なんでそんな事聞くの?」
「いやあ、朝家を出る時かったるいんでよし!って思えるような音楽がない かなあと思って」
「”威風堂々”はどう?クラシック。元気が出るよ」
「英語の題名なんて言うんですか?」
「知らない、、、そんな事言うんならお嫁さん貰えば?いってらっしゃ〜 いって言って貰ってさ」
「はあ、、、あはは」
 彼が朝家を出る時何を聴いていたのかは知らないけれど、3年目にして永 住権を取った彼は、今は他の所で働いている。こないだ道で出会った時は元 気そうだった。きっと昔より空を見上げる時間が多くなったんだろう。
 よかったね。む〜さん。
                      修
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『今週の問題のオマケ』

 8月26日付読売新聞第1面の『編集手帳』欄で、在外投票ネタが取り上 げられた。話のポイントは、在外投票の選挙人名簿への登録者がやたらと少 ないということだった。
 文中では、「これまで登録者数は約1万2千人にとどまっている」とした あと、「制度化には海外在住の人々の署名運動も力となっただけに、意外な 感はある」とツッコミを入れているが、元在外投票運動関係者のひとりとし て言わせていただきますと、そのツッコミはちょっと的はずれである。
 在外投票に関する署名運動で集まった署名の数は、最終的には約1万7千 ほどだった。
 1年半の署名運動でたったの1万7千なのである。で、この5月に始まっ た選挙人名簿への登録がこれまでのところ1万2千。私は正直言って、結構 うまく行ってるなと思う。
 在外投票について、日本には大きな勘違いが存在する。それは、「海外に 住む日本人の大部分は、日本の選挙に投票したいと考えている」ということ だ。
 はっきり言おう。それはウソである。そして、在外投票運動時代、「あの ね、海外に住んでる日本人って日本のことがとっても気になるから、みんな 投票したがってるんですよ」と日本に対してウソをつき続けた大バカ野郎 が、この私なのである。
 海外に出ると日本のことがよく見える。だから、ニューヨークにも日本は こーなるべきだとかあーなるべきだなどと吠える人間が山ほどいる。
 ところが、それを実際に行動に移そうとする人はそんなに多くはない。日 本がよ〜く見えるのにもかかわらず、何もしないのだ。彼らはある意味、日 本の日本人よりも病んでいる。
 そんなことを正直に日本に伝えたら、在外投票制度なんていつまで経って もできない。だから私は、在外投票を実現するためにウソをついた。「みん な投票したがってますよ」って。
 その読売新聞の記事の最後の部分にも、そして別の日に朝日新聞に掲載さ れた記事にも、「登録者が増えないのは、日本の政治や政党に魅力がないか らだ」的なことが書いてあった。
 でもそれは違う。登録者が増えないのは、基本的に海外に住む日本人が登 録に行かないからだ。つまり原因は私たちの中に存在するのである。日本の 政党がウンヌンというのは、あくまでも枝葉の話だ。
 であるからして、ツンツンつつくべきなのは日本の政党ではなく、私たち 海外に住む日本人ということになる。大ウソをついたお詫びに、これからは 日本の政党やお役所だけでなく、身内も真剣につついてみたい。
 ちなみにこれはウソではない。
                        ひろ
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『今週の歌』

「”屋上から 夕日が見える”と ネイバーが
           教えてくれた 夕やけこやけ ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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