1999年10月5日号(No.290)




目次

*『今週の問題』
*『VOICE』 ・投書『骨髄バンクに登録しよう』 ・投書『NY訪問客について』 ・投書『にわか絶対音感』
*『たわごとコラム』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

 今週も「ピアノ・バーの問題」である。
 前回お話ししたように、この問題はさまざまな要素がからみ合って成立し ている。
 ピアノ・バーという商売の否定・肯定から始まって、その業界で働く人た ちに対する見下だし感とか、ニューヨークという入れ物との不一致とか、 「ここまで来てなんで日本人オヤジの相手しなくちゃいけないワケ?」的矛 盾感とか、同業界が持つアリ地獄的性格などなどである。
 今回のシリーズの中でそれらのひとつひとつを分析して行きたいのだが、 とりあえずまず最初に、私がこの「ピアノ・バーの問題」に踏み込む理由と いうのをご説明しておかねばならんだろう。
 で、いきなり「駐妻(日本人駐在員の妻)」の話である。
 ちょっと遠回りになるが、「駐妻」から入ったほうが読者の皆さんにとっ て最終着地点を見つけやすいと私はにらんだのだ。だから「駐妻」話。
 近々Nuts軍団では、「駐妻Nuts」というミニコミを立ち上げる予定だ。別 名「駐妻のための駐妻によるサイバー・ミニコミ」。書き手は当然、駐妻あ るいは元駐妻になる。
 「駐妻Nuts」の企画の意図は、ひとことで言うと、駐妻の皆さんに対する 「もったいない」という思いだった。
 私は、駐妻軍団というのは巨大な人材バンクだと考えている。働き盛りの 日本人女性がウジャウジャいるんだから、誰の目から見ても理論上はその通 りだろう。
 ただ、その人材バンクが、現在は未使用のままなのである。そのことにつ いて、私は「もったいない」と言っているわけだ。
 実を言うと、それと似たような思いを、私はピアノ・バー軍団に対しても 持っているのである。
 ピアノ・バーにも働き盛りの日本人女性が山ほどいる。しかし、その業界 が持つ暗いイメージや、前記のアリ地獄的性格のために、彼女たちの活躍の 場&ヤル気等が削り取られていると私は思うのである。
 それらの詳細については、そのうちお話しすることにして、要するに彼女 たちに関しても、私は「もったいないなあ」と考えているのだ。
 勘違いのないように言っておくが、それは「駐妻であること」や「ピア ノ・バーで働いていること」を否定する意味での「もったいない」ではな い。「あんなに才能のある人が、駐妻やってるなんて、もったいないよね」 「あなたみたいな人が、ピアノ・バーなんかで働いて、もったいないわ よ」。私が言いたいのはそういうことではないのだ。
 駐妻は駐妻でいいし、ビアノ・バー・ガールズはビアノ・バー・ガールズ でいいのである。ただ、やり方次第では解決可能な、各業界のマイナス要素 によって、彼女たちのパワーや可能性が削られちゃうのがもったいないわ ね、というのが、私が言わんとするところなのである。
 「パワーや可能性が削られるのなら、その業界から足を洗えばいいじゃな い」という話もある。でも私はそちらには歩まない。あくまでも彼女たちが 今いるところに軸足を置いたまま、もっとおもしろおかしい人生が送れるよ うにするにはどうしたらよかんべな、そうそう、業界そのものを変えたらい いだべや、というのが私の主張なのだよ。
 そのノリで始まりそうなのが「駐妻Nuts」であり、今回「ピアノ・バーの 問題」を取り上げたのも、そういう狙いがあったのである。
 ピアノ・バー業界が持つ負の部分を直視しつつ、どうやったらそれを変え られるか&どうやったらそれに流されずにハッピー・ニューヨーク・ライフ を送れるか。それがこのシリーズの目的なのである。
 来週は、ちょっと横道にそれて、「ニューヨークの駐妻軍団とピアノ・ バー軍団は似ている」という話をしたいと思う。「まあ失礼な。あんな人た ちと一緒にしないでよ!」と怒り出す駐妻さんもいるかもしれないが、そう いう人に「何が失礼なんですか」と聞いてみるのもおもしろいかもしれな い。怒りたい人は怒っていただけたら幸いだ。
                       ひろ
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『VOICE』

@投書『骨髄バンクに登録しよう』
 はじめまして。NJ州に住む有友です。全米骨髄バンク(National Marrow Donor Program)のボランティアをしています。
●米国では毎年新たに3万人の人が、白血病、再生不良性貧血などの血液難病 と診断されています。このうち多くの患者にとって、生き続ける唯一のチャ ンスが骨髄移植なのです。
●骨髄移植には患者と「型」の合う、健康なドナーが必要です。「型」の合 うドナーを個人で探すのは不可能です。この骨髄の「型」は遺伝の法則によ り同胞間で4分の1の確率で合いますが、他人だと数千人〜数百万人に一人と いう割合になります。
●全米骨髄バンク(National Marrow Donor Program)は、骨髄移植を希 望する患者たちのために、ボランティアのドナーを募り、その「型」を登録 し、骨髄提供までの調整を行う、非営利の機関です。現在では毎月100例以 上の移植が、NMDPを通して行われています。NMDPに登録しているボラン ティアドナーは、300万人を超えました。
●しかしながら、アジア系のドナーが不足しています。このため、アジア系 の患者さんの約半数が、毎日ドナーを待ちつづけています(骨髄の「型」は 同じ人種間であるほうが合いやすいのです)。
●ドナーの登録は、その地域のドナーセンター、またはドライブ(ドナー登録 会場)にて腕からの少量の採血で済みます。18歳〜60歳までの健康な方なら どなたでもできます。体重制限はありません。
●ドナーの「型」と患者の「型」が完全に一致すると、ドナーへの説明会、 精密な健康診断が行われます。
●実際の提供は麻酔下で行う「骨髄提供」と、成分献血の要領で行う「造血 幹細胞提供」のうち、どちらかの方法で行います。入院はほとんどの場合、 必要ありません。費用もかかりません。
●あなたの勇気とやさしさが、多くの患者の命を救います。
☆来る10月10日(日)、下記の2会場において、骨髄バンクのドナードライ ブ(ドナー登録会場)が開催されます。
・KOREAN FESTIVAL(Meadow Park、Flushing)10AM-6PM
・True Light Lutheran Church Manhattan (China Town, 195 Worth Street NYC) 11AM-4PM
◆先日の日系食品スーパー、ヤオハンで行ったドナードライブでは、35人の 登録がありました。その中の一つのエピソード:
 日本人ご夫婦と7歳、5歳位の姉妹のご家族が来られ、ご主人のみ登録して 行かれました。ご主人が「妻は移植をして元気になりました。今度は私が誰 かのお役に立てれば」とおっしゃいました。
 4年前、ある日突然、白血病と診断されましたが、幸い姉から骨髄移植をす ることができ、その後も順調で、今は薬の服用もしなくてもいい・・・。こ う、嬉しそうにやさしく話してくださった奥様は、とてもお元気そうでし た。2人の屈託の無いお子さんを見て、私も胸がいっぱいになりました。
 ドナーの有無が、患者さんの人生を全く変えてしまいます。
★詳しくは、下記の連絡先へ。日本語資料あり。
・Cammy Lee Leukemia Foundation 1-800-77−CAMMY FAX:212- 460-5971
・New York Blood Center(NY,NJ,CONN.,PA州の一部地域のドナーセン ター) 1-800-NY-BLOOD ext.2(310 East 67 Street, NY, NY 10021)
 平日、月〜木(8:30−5:30)、電話予約の上、ドナー登録できます。 「Initial Typing request」とお伝え下さい。
・National Marrow Donor Program 1-800-MARROW- 2(通訳あり) http://www.marrow.org
 ご質問等日本語で下記までどうぞ。
 有友 朝子:E-mail: aritomo@ginga.net
@投書『NY訪問客について』
 NY訪問客の被害、わたしにも覚えがあります。
 知り合いAは、「NYのホテル代が高いの。泊めてー」と来る前は夜中の2 時3時にばんばん電話をかけてきて、さらにAの友達B(他人)も連れて来て うちに泊まったにもかかわらず、帰国後はAからもBからも音沙汰なし。
 しかもBは挨拶すらろくにできず、帰るときには「なんかあ、ありがとね」 で終わり。わたしの方は、「なんかあ、すっごく損した気分」。うちはFree Hotelか?こんなアパートでもレントは高いんだぞ。
 わたしもかつて海外旅行に行ったときに、駐在員をはじめ、現地に住んで いる友人の友人、などに食事や観光などをご一緒してもらったことが多々あ ります。その時は、お礼に、と食事代はこちらがもったり、帰ってから電話 なり、写真とともに礼状なりを送ったものでした。
 そして彼らからはそのうちの一つもない、とぷりぷりするわたしは、相手 になにかしてあげたら見返りを求める人間であり、そんなこと言ってるここ ろの狭いやつであるうちは、さして仲良くない友人、さらにその友人の面倒 を引き受けるべきではなかったのですね。
   つまりはこういう結論です。
 よほど仲のいい友人以外、訪問の世話をしない。
 仲のいい友人ならば、そもそも損得勘定が発生しない。それどころか、仲 のいい友人のほうがこちらに気を遣ってくれ、「いい訪問客」であるのです ね。
 この件では、世の中自分の思っている常識・礼儀が通らない人たちがいる というのが改めてよくわかりました。
 自分もうわべだけの親切心を発揮しないよう、気をつけます。
                   ばんば ばんこ子
@投書『にわか絶対音感』
 ヤマっ気があって事業を起こしては借金を増やしていくオヤジの様に、 いっこうにうまくならない私の趣味の一つにギターがある。いい先生につい て習っているのだが実際に弾けるコードは大変少ない。家でギターを弾く時 は、習った全てのテクニックをふっとばしニルヴァーナのカヴァーをやった りするものだから当然ただの騒音である。一度お向かいさんから苦情が来 た。”おねがいだから夜12時にギターーを弾くのはやめてくれないかし ら。”こちらが日本人なせいか、御丁寧にも両手を合わせておがんできたの で、さすがに真夜中のSmell's like a teen's spirit はやめた。でも夜10 時までは性懲りもなくかき鳴らしている。
 このように曲のカヴァーはパンクで、酔っぱらって弾いている時はチュー ニングが狂っていても一向に気付かない私に絶対音感なんてある訳ないのだ が、一度不思議な体験をしたことがある。私はマークリボーというギタリス トのファンで、彼が参加しているBar Kofbaというバンドを観にTONICとい う所へ行った時のことだ。曲のタイプはジャズに中近東風な音を混ぜあわせ たようなバイオリンも参加しているのでクラシカルな趣きもある不思議な ジャンルの音楽で、彼等は終始会場にはりつめた雰囲気をみなぎらせた演奏 をして、こんな音を聴いた事がなかった私は呆然とそのライブが終わった後 も立ち尽くしていた。
 そのライブの帰り、どこかで一杯飲んでから帰ろうと思って家の近所の ジャズバーの前まで来た時、その店から聴こえてきた演奏で私の足が止まっ た。
”あれ、、、狂ってる、、、音が全部おかしい、、、”
 スタンダードジャズを女性ヴォーカリストが歌っていたのだけれど、決し て下手ではない筈の普段ならきっと楽しめたその演奏が、その時の私の耳は 受け付けなかったのだ。あんな事は初めてだった。まるでクラシック音楽の 英才教育を受けた子供の様な気分だった。結局その日の晩はバーへは寄ら ず、良い音楽を聴いた耳のままでいようと思って家へそのまま帰った。
 その後私はジャズしか聴かなくなった、、、というのはウソで、ついこな いだもロリンズバンドを観に行き爆音のせいで頭のなかでセミが鳴いている 状態になっているのだけれど、あの体験を思い出すにつれ、音楽は追求して もしきれん底なし沼でそこでしのぎを削っているミュージシャンは大変だな あとちょっとだけ沼の淵をのぞいた気がした私はその深さに背筋が寒くな る。さぶっ。
                       修
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『たわごとコラム』

   私は今、もしかしたらすごく苦労しているのかもしれない。
 先日、クイーンズ・ボロー・ブリッジの真ん中辺で渋滞に巻き込まれたと きの話。会社の車を運転しながら、私はふとバックミラーに映る自分のデカ 顔を見たのである。
 「おや?」
 鼻の両穴に何か白いものが詰まっているではないか。鼻クソにしては白過 ぎるし、鼻紙がそんな奥まで紛れ込んだとは思えない。
 幸いその車には、私ひとりしか乗ってなかった。顔をバックミラーにグイ と近づけ、鼻の穴を全開にする。すさまじい形相がバックミラーに映る。
 「ゲッ! これはシラガ鼻毛ではないか」
 シラガ鼻毛。つまりそれは、真っ白になった鼻毛たちだったのである。
 1本や2本ではなかった。私の鼻の中には、シラガ鼻毛がごっそり生えて いたのだ。
 慌てて頭の毛を見る。別にシラガは見当たらない。再び鼻の中をのぞき込 む。そこにはシラガ鼻毛の森があった。
 「どうやって染めたらいいのだろう・・・」
 一瞬、そんな思いが私の脳裏を駆け巡る。
 「アナタ、最近シラガが増えたんじゃない?」「そうかな」「ほら、シラ ガ染め、買ってきたわよ」「もうオレもそんな年か」「まあ、アナタった ら」「ははははは」
 という風景は、頭のシラガには似合う。でも、シラガ鼻毛には似合わな い。
 「アナタ、最近シラガ鼻毛が増えたんじゃない?」「そうかな」「ほら、 シラガ鼻毛染め、買ってきたわよ」「これって、どうやって使うんだ?」 「鼻からドクドク入れるのよ」「目に逆流してきたぞ!」「その調子、その 調子」「飲んじゃったじゃないか!」「意外に身体にいいかもよ」「助けて 〜!」「まあ、アナタったら」「ギエ〜!」
 その日、私はうちに帰り、電動鼻毛切り機でシラガ鼻毛を刈りまくった。 やり過ぎで、鼻がスースーした。
 一体、原因は何なのか。仕事か。あるいは引っ越しか。それとも・・・敵 か。
 鼻に栄養が回ってないのだろか。例の鼻折り事件の後遺症かもしれんぞ。 うむ。
 私の鼻の中には、今でもシラガ鼻毛のサバンナが広がっている。そして、 そのサバンナにさびしく風が吹くのである。
 鼻息だけど。
                     ひろ
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『今週の歌』

「ケダモノを 見るような目で 人々が
             半ソデ姿の 私を見つめる  ひろ」
                        

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