1999年11月16日号(No.296)




目次

*『今週の問題』
*『L.I.C.ジャパン・タウン化作戦5』
*『VOICE』 ・投書『grief or nothing』
*『編集後記』
*『たわごとコラム』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

 先週の在外投票話の続きなのだが、一応ご報告しておくと、やっと「ピア ノ・バー」覆面座談会が終わったのである。いや〜、おもしろかったなあ。 久々のヒットだな。それもジャスト・ミートという感じ。ハマったよ、おじ さんは。その座談会の模様は、来週から数回に分けて掲載する。ご期待いた だきたい。
 「ピアノ・バー」座談会があまりにもおもしろ過ぎて、在外投票のことな んか、もうどうでもよくなったのだが、とりあえず話だけは完了させねばな るまい。
 前回お話ししたように、私は今、ロックフェラー・センターにあるNBCの スタジオに「在外投票」と漢字で書いたボードを持って登場しようと考えて いる。
 NBCの朝の番組は、確か7時ぐらいから始まる。その生放送中のガラス張 りのスタジオの外で、田舎者たちに混じって「在外投票」ボードを振るので ある。朝っぱらから。
 「朝も早くからロックフェラー・センターで、”在外投票”と書いたボー ドを振る私。こんなところで何やってんだ」。そんなことを考えたら、自分 が壊れちゃうので、できるだけ考えないようにする。
 この計画をまわりの人間に話したところ、「でも漢字のボードなんか、 映してくれるかなあ」という指摘を受けた。
 確かにその心配はある。なんでもかんでも映すわけがない。中にはアブナ イことを書いて来るヤツもきっといるだろうし。
 もしかしたら、先にボード・チェックとかがあったりするかもしれない。 各田舎者が持つボードを番組関係者があらかじめチェックして、その審査を 通過した田舎者だけがカメラに映る位置に立てるとか。
 そういうときのために、私はオモテ・ウラ両方使えるボードを用意しよう と考えている。とりあえずオモテには、「I Love You, (かみさんの名前)」 とでも書くか。そしてウラに「在外投票」。
 審査の際はオモテだけを見せる。当然、余裕で通過できる。で、カメラに 映る位置に立ったら、おもむろにボードをターンさせて、「在外投票」の文 字をカメラに向けて押し出す。
 今カメラがどの位置を映しているかは、携帯電話でかみさんと連絡を取り ながら確認する。
 うちのテレビの前で、おそらくパジャマ姿のままのかみさん(朝早いから ね)が、私に「右に行け」「次は左だ」と指示を出す。
 右に動いた私にかみさんが言う。「そっちは左だろうが」「右だろ」「右 だよ」「だから右に動いてんじゃねえか」「だからそっちは左だろ」「もし かしておめえから見た右か」「当たり前じゃねえか」「ったく」「なんだ、 その態度は。ブチッ」。と電話を切られる。
 う〜ん、その光景が目に浮かぶようだ。
 そんなことを週1回ぐらいのペースで続ける。毎日やるとあまりにも目立 ち過ぎて、「なんだあの奇妙なサインは」ということになりかねないからで ある。
 その番組を日本人が観れば、まずビビるな。いきなり「在外投票」だし。 「だれがあんなもん持ってんだ」と、その犯人の正体を画面で確認しようと する人間もいるかもしれないが、私はいろんな事情があって、「Nutsに書い てるひろ」として公共の場にこのデカい顔をさらすことができない。デカい 顔とはなんだ。水曜の夜にひとりツッコミ。
 だから、顔がテレビに出るのはヤバイ。かぶり物でもつけるか。化粧はど うだ。もっと目立つか。
 1日ワンショットにして、1回映ったら走って逃げることにしよう。そし たら犯人探し軍団に画面上で捕まることもない。映った次の瞬間には、どこ を観てもそんなヤツはいない。で、1週間後に再び現われる「在外投票」 ボード。また探す。でもいない。まるでモグラ叩き。
 そんな感じで地道にやって行きたいと思う。
 とりあえずは、そのNBCの番組におけるカメラ回しの研究から始めねばな るまい。朝、実際にその場に行くことも必要だ。
 もうすぐ師走。充実した年末になりそうだ。ホントか。
                       ひろ
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『L.I.C.ジャパン・タウン化作戦5』

   さて、久々の「L.I.C.ジャパン・タウン化作戦」話なのであります。長いこ とお休みしましたなあ。
 というのもですね、この話、あんましおもしろくないのですね。だから 「めんどくせえ」としばらく書かなかったのであります。街を作るって言っ たって、私たちNuts軍団は街作りのプロではないわけでして、「こうやって こうやってこうやったら街ができる」なんていう詳細もさっぱりわからんの であります。
 そんなこんなで、この「L.I.C.ジャパン・タウン化作戦」に興味をなくして しまったのです。勝手に始めといて無責任な話ですが、ま、イヤイヤ書いた 文章というのは、読者の方々にとってもおもしろくないに決まっておりま す。それは単に紙面の無駄。てなわけでお休みしてたのです。
 そのお休みの間、私たちが何をしてたかと言いますと、第2のチャイナタ ウンと呼ばれるフラッシングのタイワニーズ(台湾人)・エリアとコリア ン・エリアをブラブラしておったのであります。別に何かを探しに行ったわ けではなく、ただその辺りをブラブラしたくなったのです。
 フラッシングには、でかいコリアン・スーパー・マーケットが2軒ありま す。私たちはその2軒にも行ってみました。
 そこには、日本の市場(いちば)の匂いがありました。小汚ない定食屋。 威勢のいい売り子のにいちゃん・ねえちゃん。無雑作な陳列。ワイワイガヤ ガヤした空気。なんだか懐かしかったですね。
 そのとき、私たちは思ったのです。「これだ」と。
 以前、この「週刊Nuts」紙上で「NYJJ2000作戦」というコーナーを連載 しておりました。内容は、「ニューヨークにこんな日本人のビジネスがあっ たらおもしろいのに」というものでした。
 その感覚を今回の話に持ち込みたいと思います。「L.I.C.ジャパン・タウン 化作戦」と「NYJJ2000作戦」の合体です。その名も・・・・・いいネーミ ングが思い浮かばないので、とりあえず「L.I.C.ジャパン・タウン化作戦」で 行くことにしましょう。
 いやね、簡単にご説明すると、日本的な”市場”の雰囲気を持つ食料品店 を起爆剤にして、L.I.C.にジャパン・タウンを作ろうじゃないの、ということ なのであります。
 詳しいことは次回お話しいたします。
 では。
                「週刊Nuts」編集部
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『VOICE』

@投書『grief or nothing』
  「私の人生はジェットコースターやけど、あんたの人生はメリーゴーランド やな。」
 NYに在住して同じく6年の友人は私に言う。確かにそうだ。彼女は6年の 間にアメリカ人と結婚して家庭を築き、仕事もキャリアアップの為奔走して いるが、私はこれといって変わった所がない。”趣味は散歩”という程淡々 とした日々を送るおよそ野心という言葉からほど遠い人間だ。
 メリーゴーランドは本当に好きで、乗るのも好きだが(いい年こいている ので1人で乗るのは相当勇気がいる、、、)”ライ麦畑でつかまえて”の永 遠のティーンネージャーのヒーロー、ホールデン君が雨の中彼の妹がメリー ゴーランドに乗っているのを眺めているシーンのように、いつまでも好きな 人々がメリーゴーランドに乗って座って見ている私に笑いかけてくれれば幸 せなのになあと思う。とはいえ、ホールデン君は家出少年で彼の人生は充分 ジェットコースターなんだが。
 NYに住んでいる人々はきっと何もない事と悲嘆を選ぶとしたら悲嘆の方を 選ぶのだろう。弱気で怠惰な所もある私はそれをしない事をよしとして傷付 かない様にしてきた。けれども最近何もせんよりゃ悲嘆を選ぶのも悪くはな いなと思う。というのも、日系の書店でたまたま立ち読みしていた東京と作 家達をテーマにした写真集の白黒の写真の中の太宰治の文章が胸に刺さって 店の中だというのにどうにも涙が止まらなくなったからだ。
 ”どんな大きな悲哀がその為に後からやって来てもよい。荒っぽいほどの 大きな歓びを生涯に一度でいい。”
 10代に”人間失格”を読んだ時は下剤の名称ヘノモチンで大笑いしてい ただけだったけれど、うだつのあがらないマンガ家の男が17才の女の子と 起死回生をかけて結婚する様が自称”傍観者”の30才手前の私にはひどく こたえたのだ。何がこたえたかって、その、何かを求めてやまないところが だ。
 相も変わらず何者でもない私だが、これからは生涯に一度あるかないかの 荒っぽい歓びを求めてみたい。
 何もないより、ましだろう。
                        修
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『編集後記』

 先週開催しました「Nuts井戸端会議」の参加者は2名でした。ちなみに5 年前の「Nuts井戸端会議」第1回の参加者も2名だったような気がします。 5年かけて原点に戻って来たわけです。時代の流れを感じます(ぜんぜん流 れとらんやないか)。
 ところで、「Census2000」というのを皆さんご存知でしょうか。日本語 に訳すと、「米国国勢調査2000」。つまりアメリカの国勢調査のことなので あります。
 今、Nuts軍団はこのネタを追いかけております。結構どころか、すんげえ おもしろいんだ、これが。間違いなく在外投票ネタよりもおもしろいのであ ります。
 でも今さら在外投票ネタを捨てるわけにも行かんしなあ。だから、これか らNuts軍団では、その両方のネタを扱って行きます。ちょっとカタいネタた ちですけど、できるだけおもしろく書きますのでお付き合いください。
 今週はこんなもんで。
 では、また来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『たわごとコラム』

 みんな、今その辺に置いてある「えんジョ〜い」(11・12月号)読んだ か。読んでないなら、トットと取って来て読んでほしい。48ページだ。そ こに載ってる「生活シェアー:読者投稿欄」の投書がすごいことになってい る。
 私も知人から通報を受けるまで気がつかなかった。もともと「えんジョ〜 い」って、駐妻(日本人駐在員妻)を対象にしてる雑誌だし、個人的にはあ んまり読まないのだが、日本食レストランに行ったときとかに、一応手に 取ってペラペラめくるようにしている。でも今回のヤツは見逃した。
 投書のタイトルは、「かけがいのないもの」。まずは、その導入部分を紹 介しよう。
 『1991年夏、ひとりの少女が日本からNYへ引っ越してきた。少女の越 してきた町は、他の日本人の家族が住んでいなかった。英語の話せない少女 にとって話し相手のいない生活は寂しかった』
 その少女とは、この投書の著者自身のことである。「当時は、ひとりぼっ ちの時間が多くて、孤独というものを毎日、嫌というほどあじわっていた」 彼女。
 そんな彼女の誕生日に両親が1匹の子犬をプレゼントしてくれた。
 『家に届いたのは、手のひらにおさまるような小さな小さな白い犬だっ た。子犬の寂しそうな目をひとめ見たとき、自分のことを思った。お互いに 新しいところへ連れて来られて心細く、孤独を感じていたのだ』
 彼女は、この子犬を「千美(チビ)」と名付けた。そして千美との生活が 始まった。
 著者にとって、千美は親友だった。その千美のおかげでアメリカ人の友達 もできた。
 『もうあれから8年がたった。時が経つのは、本当に速い。私はもうすぐ 高校3年になる』
 著者はなんと今、高校3年生。文うまくないか。
 『私は、今でもかならず家に帰るのが待ちどおしい。なぜなら、玄関を開 けるとそこには、いつもしっぽをちぎれそうなほど激しく振る千美が、満面 の笑顔で私を迎えてくれるからだ』
 うつくしい。人間と犬の友情。まるで「フランダースの犬」。死んでない か。失礼しました。
 「私は、千美のいない生活なんて考えられない」という著者。千美は、彼 女にとってベリー・インポータントというわけだ。その気持ち、おじさんに もわかるよ。おじさんも実家が魚屋で、魚と一緒に大きくなったせいで今で も魚料理が大好き。魚料理ナシの人生なんて考えられないんだから。
 ちょっと例えが違ったかな。再び失礼しました。
 そして文は、クライマックスを迎える。
 『何かを大切にすることも、何かに夢中になることも、生きるためには欠 かせないものだ。そして何よりも私はこの小さな犬、いや、私の親友か ら、”やらしさ”という最も大切なものをプレゼントされた』
 や、や、や、「やらしさ」。本気か。もしかしてそれって「やさしさ」の こと? 「ら」と「さ」の違いだけど、その差はかぎりなくデカいぞ。ホン トに「やらしさ」か。
 そのあとの「”ありがとう千美、これからもお世話になります”」という 一文でこの投書は完了する。
 それにしてもすべては「やらしさ」。前半戦の展開を考えると、間違いな くこの投書は「感動」型投書である。ひとりぼっちだった少女と、ひとり ぼっちで彼女の家にやって来た子犬の物語。笑いが入るスキはない。
 それなのに「やらしさ」。そう落として来るとは。どう考えても高校3年 生のワザではないな。
 おそらく単純な入力ミスなのだろう。もし「えんジョ〜い」編集部側のミ スだとすれば、その罪は重い。感動的投書の最後の最後で「やさしさ」を 「やらしさ」。それも””付きで。
 「いや、投書にそう書いてあった」という可能性もあるかもしれない。 でもいくらなんでも校正するときに気づくだろ。「やらしさ」には。
 その投書を書いたSちゃんは、今どんな気持ちでいるのだろう。「せっかく 千美のこと書いたのに、”やらしさ”なんて・・・」。その気持ち、おじさ んにもよくわかる。おじさんも実家が魚屋で・・・というボケはこれくらい にして、Sちゃん、そんなに落ち込むことはないんだよ。あなたの千美に対す る愛情は、おじさんにもしっかり伝わってるからね。ドンマイ、ドンマイ (よく考えたら、この「ドンマイ、ドンマイ」っていうのは「ドンド・マイ ンド」の略だったんだなあとシミジミ)。
 でも、意外とSちゃん、「いえ、知ってて”やらしさ”にしたんです」とか 言っちゃったりして。高校生にしてそのテクニック。おじさん完敗。そのと きは弟子入りさせてください。
                       ひろ
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『今週の歌』

「最近の 脂肪の付きかた おかしくて
        みるみるうちに 肉ベルトの図 ひろ」
   

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「週刊Nuts」編集部


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