2000年1月18日号(No.305)
目次
*『今週の問題』
*『C&Kワールドの旅1』
*『やりメシ雇用倍増作戦2』
*『ピアノ・バー覆面座談会8』
*『今週の歌』
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『今週の問題』
先週の在外投票シール張り張り作戦の続き。
スパニッシュ・ハーレムの各交差点にシールをペタペタ張りながら、私は
レキシントン・アベニューを北上した。目的地は125丁目。そう、ブラッ
ク・ハーレムなのだ。ここも獲物だらけと私は見たよ。
125丁目に出て、今度は一路西へと向かう。
私の予想通り、ブラック・ハーレムも道端シールのワンダーランド。いろ
んなところにシールが張ってある。タブー無しって感じ。
それにしてもマクドナルドの外の壁にも張ってあるのには驚いたな。ここ
ではこれもアリか。お言葉に甘えて私も在外投票シールを2枚張る。
知らない間に、私の中に存在していた「道端にシール張るのって犯罪よ
ね」という罪悪感は消え失せていた。慣れたのね。手加減無しで張りまくる
私。
マクドナルドもシールだらけのブラック・ハーレムではないか。こんな漢
字シールの1枚や2枚、正確には100枚ぐらいだけど、そんなの軽いもん
よね。
と横を見るとポリスがいるんでやんの。あぶないあぶない。もう少しで見
つかるところだった。見つかったらなんて怒られるか興味がないこともない
が、ここはひとまず引くことにして早足でその場を去る。
ふと気がつくとブロードウエーに出ていた。ルート的に言うと、125丁
目から1番に乗ってワシントン・ハイツまで行くことになっている。駅で言
うと157丁目か。早速1番に乗り込む。
ワシントン・ハイツと言えば、やはりヒスパニックの皆さんですか。地下
鉄の駅から地上に出る。ここからブロードウエーを南下する予定。
シール張りの基本は、スパニッシュ・ハーレムと同じだ。各交差点をきっ
ちりおさえねばならない。
まず信号待ちの間に、横の信号機の柱にペタリ。信号が青になって向こう
側に渡りきったときに、もう一度ペタリ。
ときどきだれも私をつけて来てないか確認するために後ろを振り向く。
だれがつけるんじゃ。いや、念のためね。
150、149、148とグングン南下する。145丁目の駅も通過。
この頃には、すっかりシール張りのテクニックを極めていた私。極めても別
に何の役にも立たんテクニックだけど、いつか何かの機会に使えるかも。ど
んな機会だ。
あっという間に137丁目に到着。ここから地下鉄に乗って、次はブルッ
クリンだ。あやうく地下鉄のトークン・ブースのガラス窓に張りそうにな
る。張って逃げたらやっぱり怒るかな。試してみたい気もする。キミ、やっ
てみんかね。
ひろ
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『C&Kワールドの旅1』
これも私がやる。だれにもやらせたくない。だってこのネタ、すんげえお
もしろいんだもん。と言っても、他にやる人などいないのだが。
まず「C&Kワールド」についてだが、正確に言うとこれは「Chinese &
Koreanワールド」になる。要するにこのシリーズは、ニューヨークのチャイ
ニーズ・コミュニティとコリアン・コミュニティを旅してみようではない
か、という企画なのである。
Jワールド(ニューヨークの日本人コミュニティ)に比べると、ここのC
ワールド及びKワールドは奥が深い。それを調べるのが最初の目的だ。
次に、以前にもお話ししたように、C&Kワールドにこの「週刊Nuts」のよ
うな発行物が存在するか、という問題がある。C-Nuts及びK-Nutsってこと
ね。もしあれば、こんな楽しいことはない。一緒に遊べるからな。
さらに、このシリーズの中では、「エイジアン・アメリカンの問題」にも
踏み込んでみたい。以前、この「週刊Nuts」紙上で展開した「日系アメリカ
人の問題」と同じように、私はエイジアン・アメリカンに対しても言いたい
ことがある。特にエイジアン・アメリカンのククリの問題。クスリじゃなく
てククリね。
それぞれ文化も言葉も違うのに、無理矢理「エイジアン・アメリカン」と
いうカテゴリーに押し込んでしまう矛盾。で、カテゴリー分けしてるわりに
は、文化的には単なる白人の真似事だったりするから腹が立つのである。
「A Magazine」というエイジアン・アメリカンの若い衆をターゲットにし
た雑誌がある。デカい本屋に行けば売っている。
作り手側の気持ちはよくわかる雑誌である。でもそれだけだ。内容的にも
つまんないし、おそらくたいして売れてもないだろう。
私から見ると、彼らはエイジアン・アメリカンのとらえ方を間違ってい
る。エイジアン・アメリカンは、みんながスペイン語を話すヒスパニック軍
団とは違うんだから。別のプレゼンの仕方が必要なのである。このシリーズ
では、そこら辺のことも考えてみたい。
てなところだ。
話が本格的に始まるのは来週からになる。まずは、「C&Kワールド」のメ
ディアの話から行くか。お楽しみに。
ひろ
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『やりメシ雇用倍増作戦2』
「やりメシ雇用倍増作戦」の第2弾である。
自分でもこの話をどこに持って行こうか悩んでいる。ネタがないわけでは
ない。ネタがありすぎて困るのである。
雇用を増やすために新しいマーケットを開拓しようという話で始めるか、
あるいは現在の雇用主と雇われ人たちの不幸な関係について語るか、それと
も「現地採用」という差別的表現にイチャモンつけるか。
やはり「新しいマーケット」話から始めるしかないな。そうしよう。
というわけで、ここニューヨークの日本人社会にいかにして新しい雇用を
産み出すか、の話から入ることにする。
いきなりだが、私は雇用を増やすのであれば、旅行業界しかないと考えて
いる。それもアメリカ人を対象とした旅行業。つまりアメリカ人を日本に送
り出すことで金をもうけ、その分の新しい雇用を日本人の中に作り出そうと
いう作戦である。
他にも可能性のある業界はあるのよ。でも、とりあえずは旅行業界から入
りたい。ニューヨークで採用された日本人の数を数えたら、おそらく同業界
がナンバーワンだろう。ニューヨーク採用度が高いわけだ。ここの日本人の
雇用を倍増させたいのであれば、こういう業界を攻めるに限る。金さえもう
かれば、自動的に雇用が増えるからだ。
ただ、日本人マーケットを対象にするだけでは限界がある。すでに限界に
来てるという話もあるし。要するに、日本人にパッケージ旅行や格安航空券
を売るだけでは、雇用は伸びないのだ。そこでアメリカ人。メリケンたち
(何歳だオレは)を日本に送るのだよ。それでガッポリもうけようではない
か。未来はバラ色。
この「アメリカ人を相手にしてガッポリもうけよか」案に関しては、多く
の方、特に当事者である旅行業界の方々から「あまいね」的意見が出そうな
気がする。いや、出るねきっと。
しかし、私も根拠なしでこんなことを言ってるわけではない。やり方さえ
しっかりやれば、アメリカ人相手に旅行商売することは可能なのだ。信じ
ろ。信じないか。
これから数回(もしかしたら十数回)に渡って、「アメリカ人日本送りビ
ジネス」について語るつもりだ。ネタ的には旅行業界の話になるが、あくま
でもこれは「やりメシ雇用倍増作戦」の一環であるということを読者の皆さ
んは覚えててほしい。あたし、忘れるかもしれないから。
旅行業界を起爆剤にして、ニューヨークの日本人雇用を倍増させる。まず
はこれで行くことにしよう。
ひろ
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『ピアノ・バー覆面座談会8』
ー:ピアノ・バーで働いてるっていうことで差別受けたことある?
女B:それはなに、ピアノ・バー以外の人に?
ー:ピアノ・バー以外の人。
女男:学校とかで?
ー:例えばね、来たお客さんに”何でこんなとこで働いてるの?”って聞か
れたりとか。それはある?
女A&B:うん。
ー:要するに、ピアノ・バーで働いてることを下に見てる人間。
女A&B:いる、いる。
ー:いる?
女A:ウジャウジャいると思う。
ー:どこで会うのそれ?
女A:お店に来るお客さんの中にもいる。
女B:そういう人って、自分で来たくて来てるわけじゃなくって、まあ来た
くて来てる人もいるけど、上司とかについてきて、自分はあんまりエンジョ
イしてなくって、話してると”なんでこんなとこにいるの?”って。
男:アメリカ人の友達は結構見下してくる。
ー:アメリカ人?
男:うん。
女B:アメリカ人ってそうだよね。
女A:うん。アメリカ人はね。アジア人ってそうでもないけど。
女B:うん。
女A:アジアってそういうのけっこうあるから。
男:アメリカじゃそういうのないから、すごい言われちゃう。
ー:同じ日本人の中ではどう? 業界の外。
男:俺、言われたことある。
女B:私は直接にはないけど。友達にはお金のためにやってるって知ってる
から。でも、友達が”私、お金ないんだよね”って言ったから、私が”
じゃ、(ホステス)やってみたら?”って言うと、”えっ、いや、私
は・・・ちょっと・・・”
女A:”そんなことは出来ない”みたいな?
ー:あー、なるほどね。
女B:はっきりは言わないんだけど、たぶん裏では良く見てないんだと思
う。”私そんなにしゃべれないし”とか言われるといいけど。私もそう思っ
てたし。
男:でも、俺も馬鹿にされたことあるよ、俺がまだホストの頃ね。日本にい
た頃。”なんでホストなんてやるの?”とか。だってお金欲しいもん。で
も、俺は無茶苦茶バカにされたし。だから親にも絶対言えないし。
ー:あー、そう。みんな親には内緒でしょ?
女A:ううん。うち知ってる。だって、日本にいる時からやってたから。
ー:あー、そうか。働いてる子たちって親には内緒の子が多いの?
女A:多い。
ー:多いんだ。
男:俺、日本食レストランのウェイターしてることになってるもん。
女B:私も。
女A:そういう子多いよね。レストランにしてる子。
ー:日本に住んでる人から見ると、やっぱりNYとピアノ・バーってギャッ
プがあるじゃない?
3人:うん、うん。
女A:そんなとこがあるの?みたいな。
男:まぁ、NYにある日本だよね。
ー:それをみんな、どんな形で自分の中で消化してるの? 要するに、自分
が思ってた像とは違う状態になってるじゃない?
女B:ちょっと話が違うかもしれないけど、こないだある人と話してて、そ
の人が”ピアノ・バーで働くっていうことは、ホステスをするっていうこと
で、女を商品として出すわけだから、逆に男女平等って思って日本を出て来
てる子がいたとしたら、それは矛盾してるんじゃないか”っていう話をして
たの。私も男女平等の人だから。私が日本でOLしてた時も、女の子に対す
る扱いってすごい悪くて。でもそう思って、アメリカ来てもそれはあるんだ
けど。でもピアノ・バーって女であることを売ってるわけだし。私だって、
女であることを武器にするわけじゃん、この仕事してたら。でも、最初はそ
んなことを考えていても、慣れって恐いもので、今は何も思わない。自分を
商品化してるとも思わないし。
ー:昔は、NYに来る日本人の女の子たちって”男が上で女が下”っていう
のが嫌いで来たタイプが多かったんだけど、でも最近はそうでもない子たち
が来てるんだよね。そういう子たちって、やっぱりNYで、ピアノ・バーで
働くことに葛藤はないのかな?
女A&B:ないと思う。
女A:NYを外国と思っているのかどうかという事すらあやしい。
ー:あー、それいいね。
男:だって、これだけ日本食あって、日本のグロッサリーショップもあって
本屋さんもあったら。
ー:日本と変わんないよね。
男:うん。
女A:確かに英語しゃべんないと、外国って思わないよね。
女B:私、よく忘れる。
男:日本の本屋さんとかに入ると忘れるよね。
女A:あんまり海外旅行とか行った事ないけど、台湾によく行ってたのね。
それで今NYに住んでるでしょ。その二つで自分は外国人だと思った事はな
かったの。でもこの間スペインに行った時に初めて、”あっ、ここ外国だ。
私って外人じゃん!”って思った。
ー:俺も時々車でクィーンズ・ボロウ・ブリッジを渡る時、自分はNYにい
るんだって気づく。
3人:あー。
男:だって別に英語しゃべんないなら、しゃべんないでも生活できるじゃ
ん。
ー:うん。
女B:だから、それがNYの恐いところだよね? だって水商売はまってる
人で、英語できない人・・・
女A:一杯いるよね?
女B:一杯いるよね。だって、7、8年いて全くしゃべれない人って結局、
典型的な夕方まで寝て、そこからおじさまとご飯に行くなり、なんなりし
て、英語なんてしゃべる機会ないもんね。
女A:だからママレベルでも、(英語)出来ない人沢山いるよね。
つづく
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『今週の歌』
「間違った 漢字を刺青 してる子に
”それ違うよ”と 言う心地良さ ひろ」
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