2000年3月7日号(No.310)
目次
*『今週の問題』
*『日本の問題・その3』
*『やりメシ雇用倍増作戦5』
*『編集後記』
*『今週の歌』
*****************************
『今週の問題』
先月、日本に帰ったとき、私は思わず考えてしまったのである。「なぜ私
はニューヨークにいるのか」と。
いやね、話せば長いんですけどね、簡単に言うとそれは「こんないい場所
(日本)があるのに、なんでワシはニューヨークなんかに住んどるんじゃ」
的な思いなのであった。
当たり前だが、日本ではみんな日本語をしゃべる。日本人であることで差
別されることは基本的にはない。まあ別の差別はあるけどね。そしてビザの
心配もない。こんな自分にとって暮らしやすい場所があるのに、なんでなん
でニューヨーク?
特に、今回沖縄に帰ったのが大きかった。いいんだ沖縄が。忘れてました
ねあのすばらしさ。
そんなことがあって、私は漠然と「なぜ私はニューヨークにいるのか」と
考えてしまったのである。
今のニューヨーク生活に不満があるわけではない。だから、「なぜ私は
ニューヨークにいるのか」と考えたからといって、それがすぐに日本帰国に
結びつくことはない。おそらくニューヨーク生活のほうが私には合っている
はずである。ここでやりたいこともたくさんあるし。
ついでに、「なぜ私はニューヨークにいるのか」という疑問の誕生には、
数年日本に帰ってなかったという事実も深く関係している。その数年のあい
だに、私は自分の頭の中で勝手に「日本は住みづらいところ」というイメー
ジを作り上げていたのである。イメージというのは、一度できてしまえば、
あとは膨張するのみだ。だから今回の帰国直前には、そのイメージは「日本
はすんげえ住みづらいところ」ぐらいに膨らんでいた。
ところが、である。行ってみたらいいところじゃないの。そりゃ自分が生
まれた国だからね。でも、頭の中のイメージは、その正反対の位置にあった
もんだから、驚きというか、感動ってヤツがすごくて、一気に「こんなすば
らしいところがあるんじゃない。いいじゃない。いいじゃない」と日本肯定
方面に走り出したのだ。その結果、「じゃあなんでニューヨークなのよ?」
というところに着地したのである。
私の場合は、日本に帰ることはないにしても、でも今回の帰国で私の脳ミ
ソは揺れたね。これまで普通だったこと=ニューヨークに住んでることに一
時的だが、?を持ったのである。それはそれでいいことだと思う。自分が現
在立っている位置の確認のためにも。
ところで、今回私が感じた「なんでニューヨークにいるんだ?」的疑問の
出現というのは、他の人が日本に一時帰国した際にも起こりえるのではない
だろうか。皆さん、どうですか。日本に一時帰国したとき、「あたし、なん
でニューヨークで暮らしてるの?」なんて考えたことありませんか。
数人の知人に聞いたところ、その全員が「あるあるある」と答えた。やは
りそうか。一時帰国は、人々の脳ミソを揺さぶるのである。
ということはである。こんな仮説は立てられないだろうか。
今まで自分の意思で日本に引き上げた人たちは、ニューヨークを離れる数
ヵ月から1年前に日本に一時帰国していたのではないか。全員がそうだとは
言わないが、一時帰国した際に、今回私がかかった「なんでニューヨークに
いるの?」症候群に襲われ、その思いを持ちつつニューヨークに戻ってき
て、結果的に日本に帰国することを決めた、というケースが意外と多いので
はないか。
よく考えてみたら、ニューヨークに住む私たちはお互い、「なんでニュー
ヨークに来たんですか」ということについては聞き合うが、「なんでニュー
ヨークを離れたんですか」ということについてはあまり話し合う機会はな
い。ま、もういないんだから当然だが。
でも、今ニューヨークに住んでる人、あるいはこれからニューヨークに来
ようとしてる人にとっては、他の日本人の「ニューヨークに来た理由」より
も「ニューヨークを離れた理由」のほうを知りたいのではないだろうか。な
ぜなら、前者は基本的に「夢」で構成され、後者は「現実」との戦いの結
果、出てきたものだからである。
日本には、ニューヨークの「夢」に関する情報は溢れている。「ニュー
ヨークで働く」本とかテレビで見るニューヨークの生活風景だとか。でも
「現実」を直視した情報というのは意外に少ない。
ま、そりゃそうだわな。「夢」を売るのが商売だからして、本当の「現
実」を見せたら、本も売れないし、ニューヨークに行ってくれる人も少なく
なるし、そしたら商売にならんからのう。ちなみに、私たちNuts軍団は、
そういう根拠のない「夢」を売る軍団を「敵」として捉えている。
この「週刊Nuts」では、これまで「ニューヨークに来た理由」及び
「ニューヨークにいる理由」については取り上げたことがある。しかし、
「ニューヨークを離れた理由」はなかったわね。油断したわ。
「週刊Nuts」読者の半分以上は、日本に住んでいる。インターネットで読
んでるわけね。その中には昔ニューヨークに住んでいた人もいるはずだ。
そこで、その方々にお尋ねしたい。
質問1:ニューヨークを離れる数ヵ月から1年前までの間に、日本に一時
帰国しましたか。結局それが「ニューヨークに住んでいる」という事実を揺
さぶる原因になったのではないですか。
質問2:なぜニューヨークを離れたのですか。具体的な理由があったら教
えてください。
投書の送り先は、Nuts編集部(hiro@interport.net)まで。シリーズ名は
「NYを離れた理由」で行くか。
皆さんの投書、お待ちしております。
ひろ
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『日本の問題・その3』
今回の私の東京での宿は、青山にある「アジア会館」というホテルだっ
た。
なかなかシブいチョイスだと自負している。みんな知らんだろアジア会
館。1泊7500円。連れ込みホテルではない。
なぜこんなシブいチョイスになったのかという問題だが、今回私は、日本
帰国に関して、「アメリカ人になった気持ちで日本に行ってみよ」と決めて
いたのである。だから、髪も金髪に染めたし、ブルーのコンタクトレンズも
買った。なワケねえだろ。
でも、アメリカ人になった気持ちで帰国したのは事実である。ほら、「や
りメシ雇用倍増作戦」で「アメリカ人観光客を日本に送ろう」とかやってる
じゃない。あの絡みね。せっかく日本に帰るんだから、日本がアメリカ人に
とってどのくらい旅行しやすいところなのか、あるいは旅行しづらいところ
なのかを調べてみようと思ったわけだ。
というわけで、私は、アメリカ人の手に入る情報内で宿泊先を決め、英語
のガイドブックを持って成田に降り立ったのである。
アメリカ人となったミー(Me)の日本に関する情報源は、ガイドブックと
インターネット、そしてロックフェラー・センターにある日本の国際観光振
興会(JNTO)でくれた資料だった。
在米のある日系新聞社がアメリカ人対象に行なったアンケートによると、
「日本へ旅行する場合、どのような手段で情報を集めますか?」という質問
に対して、約60%近くの人が「インターネット」と答えている。
今の時代、やはりインターネットだわな。ということで、私もインター
ネットを中心に(でもオンリー英語ワールド)日本での宿泊先やその他の情
報をリサーチしたのである。
これは日本でもできるから、Nuts読者の皆さんにも是非お試しいただきた
いのだが、はっきり言ってロクな情報ないよ。Yahooの英語版とかに飛んで調
べてみたらいい。旅行専門のウェブページでもいいぞ。日本の宿泊先に関す
るいい情報なんてほとんど載ってないんだから。
日本語が読めるのであれば、そこそこの情報はGetできる。でも、英語しか
読めないアメリカ人の場合はかなり苦しい。高いホテルの情報などは、確か
に英語でも入手できるのだが、でも1泊2万、3万だぞ。アメリカから出張
に来た人間であれば、どうせ会社が払ってくれるんだから痛くも痒くもない
だろうが、個人旅行者の場合は2万、3万はやはりキツい。できれば1万円
以下がベスト。
そういうホテルが東京にないかと言えば、そうでもない。あることはある
のである。でも、そういうホテルの英語の情報というのはインターネット上
ではほとんど見つけることができないのだ。もし、そういうホテルが英語の
ホームページを持っていたとしても、それがYahoo等に登録されてなければ、
アメリカ人が見つけるのはほぼ不可能である。
1万円以下のホテルについての情報は、ガイドブックにも国際観光振興会
からもらった情報にもほとんど載ってなかった。困ったよボクは。
日本語で探したら見つけることができたかもしれない。でも私はその誘惑
に耐えた。Yahooの日本語版に飛びそうになる自分に「ダメよダメ」と言い聞
かせながら、私は東京1泊1万円以下の情報を探し続けたのである。
そしてとうとう見つけましたよワタクシは。私が買った『Fodor's』という
ガイドブックの「東京の宿泊先」の中に「Asia Center of Japan」というホ
テルを発見したのである。
その名を見た瞬間にピンと来ましたね。「これだ」って感じ。いかにも外
人用宿泊施設的な名称だし、場所もいい(六本木の交差点まで歩いて15
分)。先に書いたようにお値段は1泊7500円。
なにやらマリファナの煙がホテル中に充満してるような雰囲気もなきにし
もあらずだが、一方でそのいかがわしさに魅力を感じるのも事実である。
殺人事件とかありそうだし。ないよ。
私はそこにステイすることを決め、ニューヨークから電話で予約を入れ
た。
「はい、アジア会館です」。そう電話に出られて、私は初めて「Asia
Center of Japan」の日本語名が「アジア会館」であることを知った。
成田に着いたあと、私は京成スカイライナーの中から、ニューヨークで借
りてきた携帯電話(このケイタイについてはまた別の機会にお話しすること
にしよう)を使って、アジア会館に予約確認のために電話した。
「はい、確かにいただいております」。よし。
青山のアジア会館。一体それはどんなとこ。
私は上野に向うスカイライナーの中で、上野から青山への行き方がわから
ずにもがいていた。
ひろ
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『やりメシ雇用倍増作戦5』
前回お話しした「アメリカ人観光客が日本に行かない理由」の続きであ
る。
今回の話は、アメリカ人が「行かない理由」と言うよりは、「行けない理
由」と言ったほうがいいかもしれない。
アメリカ人観光客が日本に行けない理由。それは、「日本行きの情報が足
らない」からである。
たとえば日本では、アメリカ本土行きの旅行の情報などは、そこらへんに
あふれている。「ニューヨーク5泊7日の旅」だとか「ロス往復5万円」だ
とか。その結果、1998年度には約250万人の日本人がアメリカ本土を
訪れている。
反対にアメリカにおいては、「そのへんで日本行きの情報見つけちゃっ
た」なんてことはあまりない。現実にはほとんど見当たらない。そのサムい
状況の中、98年度においては約70万人のアメリカ人が日本に行ってい
る。
ちなみに、これらの数字は観光客だけでなくビジネスでの出張等も含んで
いる。
ここでのポイントは、「だからアメリカでは日本行きの情報があまり流れ
ていないのよ」なのだが、少し別のポイントからながめると、意外な事実が
わかる。
「アメリカ行きの情報があふれている日本から約250万人:日本行きの
情報がほとんどないアメリカから約70万」なのだが、この250万:70
万という対比を「やっぱり日本から行く人間のほうが断然多いよなあ」と簡
単に片付けてはいけない。私から見れば、「こんなに日本行きの情報が少な
いアメリカから70万人もの人が日本に行ってるワケ?」という驚きのほう
が強いのである。そう思わんかねみんな。
この70万人のうち、どのくらいが観光客かは私は知らない。でも70
万。こんなに日本のこと宣伝してなくて70万。一方、日本は、あんなに宣
伝してるのに250万。
話を戻そう。
なにはともあれ、アメリカでは日本行きの情報をあまり見ないのである。
では、なぜ見ないのか。
理由はいくつか考えられる。「商品供給側(旅行代理店や航空会社)が宣
伝してない」「宣伝してもお客さんが来ないから宣伝しない」「最初から商
品を供給するつもりがない」などなど。そしてその裏には、「マーケットが
デカ過ぎて手におえない」「マーケットのことがわからない」などの原因も
潜んでいる。次回はそこらへんのことを探ってみたい。
ひろ
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『編集後記』
先日行ないました「Nuts井戸端会議」の参加者は1名でした。でも1名っ
ていうのもなかなかいいのであります。嫌味じゃなくてね。
じっくり話せると言いますか、メシも食わず酒も飲まずにお互いに話すこ
とのみが目的の時間なんて、仕事以外ではあんまし持てないじゃないです
か。参加者が多すぎると、しゃべる人と聞く人の役割分担ができて、おもし
ろくなかったりしますから、かえって少ないほうがいいのです。でもこれは
「だからできるだけ参加しないで」という意味ではありませんので、勘違い
のないようにお願いいたします。
最近、「週刊Nuts」の発行が遅れております。本来火曜日に発行すべきも
のが、金曜日とか土曜日に出る状態です。今号も土曜日に出しました。
反省しております。せめて水曜日あるいは木曜日に出せるようにしたいの
ですが、猫に小判。どういう意味だか自分でもよくわかりませんが、とりあ
えず努力します。
一方で、紙版「ぶりてんNuts」のほうは、3月号からきっちり出始めまし
た。まだ改造中ですが、少なくとも発行だけは遅れないようにするつもりで
す。
去年の後半ぐらいから、Nuts軍団はボロボロになってしまいました。忙し
かったのであります。やるべきこともやれなかったし。
この辺で立て直すことにいたしましょう。
今週はこんなもんで。
では、また来週。
「週刊Nuts」編集部
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『今週の歌』〜すんげえ字余り〜
「ボロクソに 言われても別に 英語だし
気にならないのは 不幸中のさいわい ひろ」
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