2000年6月13日号(No.320)
目次
*『今週の問題』
*『日本の問題』
*『VOICE』
・投書『NYを離れた理由』
*『編集後記』
*『たわごとコラム』
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『今週の問題』
お待たせした。待ってねえって。コンデンス・ミルクの話である。
いきなり本題に入るが、コンデの缶ってサビるのか。ボクの少年時代には
そんな思い出はないぞ。一体どうなってるんだ。最近の缶は。
その日、私が仕事から帰ってきて、台所に水を飲みに行くと、シンクの中
の鍋にたまった水が真っ白になっていた。「な、な、なんだこの白い水
は」。それはまるで水でちょっと薄めた牛乳のようだった。
その鍋をのぞき込むと、銀色に光るものがある。右手でそれを取り出す。
「あ、あ、あのビッチ・・・」。それはまぎれもなく、つい数日前に買った
コンデ缶だった。その缶が鍋に張った水の中に沈めてあったのだ。当然、中
身は水にとけ出してカラッポ。コンデ缶を逆さにすると、白い水だけがガボ
ガボと出てきた。
こんなことをするのは「あ、あ、あのビッチ・・・」ことうちのかみさ
ん。私は声を大きくしてかみさんを呼んだ。「ハニー!」
話はズレるが、こういう戦闘を仕掛ける際でも、自分のかみさんを「ハ
ニー」としか呼べないのはなかなか苦しい。前にも話したが、私は自分のか
みさんの名前をうまく発音できないのである。だからいつでもどこでもハ
ニー。ケンカしててもハニー。「それはおめえが悪いんだろ、ハニー!」
「ふざけんじゃねえよ、ハニー!」。書いててなんだかむなしくなる。
「なによ」とか言いながらハニーが入ってくる。私はコンデ缶を握り締め
ながら「なんなんだこれは」と聞いた。
「あ、それ。穴のところがサビてたのよ」「サビてただと?」「そうよ」
私がコンデ缶のコンデの出穴の部分を確認すると、ホントにサビてるじゃ
ないか。「あ、ホントだ」。すぐにおとなしくなった私。
コンデ缶がサビるとは。サビた思い出などないのだがね。「だから捨てた
の」。かみさんはそれだけ言うと去って行った。私はお辞儀をしながらその
後ろ姿を見送った。なわけねえだろ。
それにしてもサビるとは。サビるのを避けるためには、サビる前に缶を
フィニッシュさせるか、あるいは別に入れ物にコンデごと引っ越すしかな
い。さすがの私もコンデ缶を2、3日でフィニッシュさせるのは不可能だ。
ということは後者しかないのだが、でも別の入れ物に移したら例の「フー
フー」と吹き出す技が使えなくなってしまうではないか。私が子供の頃は、
こんなことはなかった。コンデ缶はサビなかった。でも・・・
私はカラッポになったコンデ缶を見つめながらプーっと屁をこいた。とな
りの部屋でかみさんが吠えた。
ひろ
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『日本の問題』
久々の「日本の問題」である。
1回目の日本行きの話が終わらないうちにまた日本に行っちゃって、つい
でに来週の日曜から再び日本に行く。これまでの恨みを晴らすかのような
ペースで日本に帰っとるな。いやね、グリーンカードの申請中は国外に出れ
なかったのよね。そのときためたものが爆発したかのようだ。刑務所出たあ
との最初のセックスという感じだろうか。でも日本に帰るとネタがごっそり
入手できるから、最近ネタ不足気味の私にとってはうれしい。
これからの「日本の問題」は、今年に入ってからの3回の帰国(3回目は
まだ行ってないけど)の中で見つけた物事をごちゃまぜにして話す予定だ。
基本となる場所は「東京」「沖縄」「熊本」になる。そこのところ、よろし
くお願いします。
渋谷でウワサのガングロ娘たちに会った。顔を黒く塗ってる人たちね。シャ
ネルズではない。古いよ。
なんのことはない、かわいいではないか。別に凶暴なわけでもないし。オ
シロイが黒くなったと思えばいいのだ。「美白」とか言って、肌を白くしよ
うというムーブメントもあるという話だし、つまりその反対のケースなわけ
よね。
日本人がそれぞれ個性的になるには相当時間がかかると思うのだが、あれ
はそのひとつのプロセスだと私は考えている。「ガングロは個性的なんか
じゃな〜い」と言ってしまう人もいるだろう。「あれも流行モノの一種だか
ら」とかいう理由で。
それはそうだが、でもあそこまで来ればもう「個性的」と呼んであげてい
いのではないだろうか。あんなにするにはそれなりに勇気もいるだろうし。
たとえば、日本人全員、要するに1億2千万人全員で記念撮影したとす
る。その中でもやっぱりガングロは目立つよ。もしかしたら、これまでの日
本人の歴史の中でもかなり目立つほうかもしれない。今まで日本に住んでた
人(原始時代から始まって2000年まで)をずらりと並べても、ガングロ
娘たちのインパクトはその辺の室町時代とか江戸時代の人間たちには簡単に
勝つだろ。私たち現代の日本人は、知らない間にそんなところまで来てし
まったのである。
「茶髪」「ガングロ」と時代は流れてきたわけだが、私はこのふたつを
「夜明け前のコケコッコー」だと考えている。日本個性的時代の朝が明けよ
うとしているのだ。「個性的になんなくっちゃ」の波はもうそこまで押し寄
せてる。沸騰寸前。もう行っちゃう状態(最近エッチ表現多し)。
「個性的って言っても外見だけじゃね」とか言う人もきっといるはずだ
が、まあ何はともあれ、その辺から始めよや。
数十年後に日本の歴史を振り返ったとき、「ガングロ娘の出現」というの
は時代のひとつの変わり目として残るだろう。
「それほどの存在なんだよ。キミたちは」と渋谷のガングロ娘たちに言い
たかったけど、「ナニ、このオヤジ」とか言われたら傷つくからやめた。そ
のかわり、駅前にたむろしてる彼女たちに向かって念を飛ばした。飛ばして
どうする。
彼女たちはそんな私の思いも知らずに携帯をピコピコやってた。「将来、
いい子を産んでほしい」。私はそう思いましたね。
ひろ
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『VOICE』
『投書』〜NYを離れた理由〜
*誰も投書しないので書いてみました。
Nuts編集部様
ご無沙汰しておりますが、覚えていらっしゃるでしょーか?一昨年のNuts
忘年会に日本から参加したM.M.です。あのころは失業しておりましたので、
NYにも遊びに行けましたが、その後再び働き始め(といっても派遣なのです
が)今ではすっかりびんぼーヒマなしに….。おかげでロングアイランド在住
のボーイフレンドにもあれ以来ずっと会ってません(これって果たして「付
き合ってる」といえるのでしょーか?単に「別れてない」だけのような気が
する)。
さて、「NYを離れた理由」シリーズですが、3ヶ月も前に呼びかけている
にもかかわらず、一通の投書も載らないというのは、もしかして反応ゼロっ
てことですか(それとも採用基準がイジョーに高いとか)?しょうがない、
私が一肌脱ぎましょう。せっかくHPの目次項目をクリックしても、呼びかけ
の文しか載ってないというのはカナシイですからね。「NYを離れた理由」、
これはいろいろありますよ、私の場合。
まず“質問1:ニューヨークを離れる数ヵ月から1年前までの間に、日本
に一時帰国しましたか。結局それが「ニューヨークに住んでいる」という事
実を揺さぶる原因になったのではないですか”について。一時帰国はしまし
た。が、数ヶ月から一年前というよりは、私の場合結構休みのたびに帰って
たような気がするので、その一時帰国がNYを離れる決定的な引き金になった
という気はしませんね。
で、“質問2:なぜニューヨークを離れたのですか。具体的な理由があっ
たら教えてください”。これについては当時ハゲるほど考えましたよ、一
応。私の場合何かを検討する時はPro-Conのリストを作成して比較するんで
すけどね。今でもその時の記録が残ってるくらいです。
私の場合理由はおおざっぱにいって3種類ありました。以下列挙します。
1) 私は筋金入りの日本趣味である。
2)私にとっての日常生活の楽しみのうち、日本でしかできないことが半分
以上を占める。
3)頭を下げてまでアメリカに置いてもらうのはプライドが許さない。
それぞれについて少し説明すると、まず私は日本人でなかったら、アヤシ
イ東洋趣味のガイジンになっていたのではないかと自分で思うくらい、所謂
“日本的なもの”が好きなんですね。日本趣味の追求は、ある意味私にとっ
てのライフワークといってもいいくらいなので、やはり海外に長くいるとそ
ういったものが恋しくなってしまうのです。
2については、1とも少し関係するのですが、私にとっての楽しみって
(これは日常生活における些細な楽しみを指すんですが)結構日本でなくて
はできないorやりにくいことが多かったんです。ということに気付いたのは
実はNYで働いてる時だったんですが、学生の時と違ってイザ働き出してみる
と、そういう日常生活のちょっとした楽しみって生活の上ですっごく大事
じゃないですか?ほんと身に沁みて感じましたけど。ま、私の場合、それは
日本のファッション誌を読むとか、歌舞伎を見るとか、コンビニに行くと
か、温泉に行くとかいったことだったんですけどね、よく考えてみるとこ
れってみんなNYじゃやれないorやりにくいことばっかりだったんですねー。
雑誌や本はもちろん手に入るけど、すっごく高いじゃないですか?古本屋も
あるけど、なんか五木寛之や10年以上前のミステリーばっか何十冊も並ん
でてもね〜、っていう品揃えだし、NYの方がいい!(しつこいようですが、
私にとってですよ)って言えるのは美術館の充実度と行きやすさ(入館料も
含めて)くらいだったんですよね。で、こういう楽しみが簡単に得られない
毎日にだんだんストレスが溜まってきたと。
それから本質的な意味でかなり重要だったのが第3の点。アメリカって学
生として行くにはまだいいけど(最近はそれも厳しくなってきてるという話
も聞きますが)、イザ働こうとすると、ほんとーにタイヘンですよね。要す
るにビザの件ですが。たぶんNYにいる方は皆身に沁みて感じてらっしゃると
思うので、これ以上は書きませんが、とにかく頭を下げてまでアメリカに置
いてもらわなきゃいけないのがいいかげん我慢ならなくなってきたのです。
どーしてこんなに卑屈にならなきゃいけないのかと思ったし、だんだんそこ
までしてアメリカに置いてもらわなくてもいいわい!って気になってきたん
ですね。相手(=アメリカ)は私を何とかして居させないようにしてるわけ
でしょ、それなのにこっちが一生懸命「お願いだからここに置いてくださ〜
い」って相手に取り縋って涙ながらに訴えるってのもナサケナイじゃないで
すか。真面目な話、今度アメリカに住む時は、アメリカの方から私に頭を下
げて「頼むから来てくれ」と言ってきた時だ!と思ってます。
というのがメインの理由なのですが、おわかりいただけましたでしょう
か?というわけで、私自身日本に帰国したことには何の後悔もないのです
が、やっぱりNYは好きなので、時々行って刺激を受けられたらいいな、とは
思ってます。この「NYが好き」って気持ちも、むしろ帰国した後の方が強く
なってきてるようなので、これからもNYとなんらかの縁を保ちたい気持ちは
ありますね。
では、とりあえずこんなところです。またご連絡いたしますのでよろし
く。
M.M.
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『編集後記』
ここんとこ、お休み続きですな。他人事みたいに言ってますけど。
先週の民主党の政策説明会なのだが、その日は1日中雨だったにもかかわ
らず、人は思ったより来たね。50人くらいか。質疑応答も結構白熱して、
なかなかおもしろいイベントだった。
そんなもんだから、他の党にも「オタクもやりません?」というメールを
出したが、ほぼ全滅だった。でも次回の選挙のときには、他の党にもぜひ
やってもらいたいものだ。
ところで皆さん、もう投票用紙着きましたか。私は昨日Getしたよ。郵便ポ
ストに「エクスプレスのメールが届いてますから、郵便局まで取りに来てく
ださい」っていう紙が入ってて、「だれがそんなもん送ってくるんだろ」と
か思いながら取りに行ったら、それが投票用紙だったのである。
というわけで、とうとう投票ですか。
では、また来週。
ひろ
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『たわごとコラム』
今週の日曜、「ヤマダ一家の辛抱」(たしかそんなタイトルだったと思
う)という日本のテレビドラマのビデオを第1話から最終回まで一気に見
た。午後2時にスタートしてフィニッシュしたのが午前1時。途中でヤキソ
バを作って食ったが、基本的にはずーーーっとビデオを見ていた。
私は日本のビデオはあまり見ない人間である。別にそういうポリシーがあ
るわけでなく、単に見る時間がないのだ。でも今回は、この「ヤマダ一家の
辛抱」に私の日曜日を捧げてみた。
でもあれよね、日本のビデオ見てると、自分がアメリカにいるってこと忘
れるね。特に私の場合、最近日本に帰ったばっかりだから、日本のビデオを
10時間以上ぶっ続けで見て、ついでにCMまでしっかり見た日には、心は
完全に日本だ。
そう言えば、その「ヤマダ一家の辛抱」全10回に至るまでの過程にもか
なりヘビーなものがあった。
前日の夜にビートたけしの「ソナチネ」を見た。そのまま寝て、朝起きて
会社の野球の練習。参加者はすべて日本人。練習が終わって、木陰で乾杯。
キリンのラガー。おつまみは柿の種。ほぼ日本だな。
それからトドメに日本のビデオをたっぷり見たもんだから、自分がニュー
ヨークにいることなんかすっかり忘れちゃったのである。
でも一時的に精神が日本にワープする感じってなかなかおもしろい。これ
まであまり日本のビデオを見る機会はなかったが、今後は多用しようと思
う。日本的感覚に浸(ひた)りたいときは、前準備をしっかりやって(ブッ
クオフで立ち読みするとか、カフェ一茶でカレー食うとか)、日本のビデオ
を思う存分見るつもりだ。
しょーもない話でスイマセン。
ひろ
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『今週の歌』
「”ニッポンに住みたい” というかみさんの
狙いはひとつ 100円ショップ ひろ」
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