2000年7月11日号(No.323)
目次
*『今週の問題』
*『日本の問題』
*『VOICE』
・投書『コンデンス・ミルクについて』
・投書『コンデンス・ミルクについて』
・投書『「今ボク、ニューヨークに住んでるんです」問題について』
*『今週の歌』
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『今週の問題』
マインド・リーディング・ウーマン。「マリウー」。それが私が彼女につ
けた名前だった。
先週の復習をちょっとすると、私は今、新宿の紀伊國屋書店にいる。そし
て、コンピューター学校の勧誘のおねえさん=マリウーにつかまっている。
つかまるつもりはなかったのである。なぜなら私はニューヨークに住んで
て、東京のコンピューター学校の勧誘なんかされてもしょーがないからだ。
でも「さっきから何回も目が合ってますよね」というマリウーの絶妙なア
プローチをよけきれなかった私。そして私はそのまま深みにはまって行った
のである。
このままでは、いつか「でもボク、実を言うとニューヨークに住んでるん
です」と発表せねばならない。それはイヤよ。まるでニューヨークで住んで
ることを自慢してるみたいではないか。それはニューヨーク初心者がやるこ
とだ。ニューヨークに8年も住んでる私がそんなことをしてどうする。なん
とかこの状況を脱出せねばならない。
「どんなソフト使われてるんです? ワードとか、エクセルとか?」
「あ、はい」
「いろんなもの使いこなしてらっしゃるんですね」
「いや、あの〜・・・」
マリウーは次々とたたみかけてくる。プロの技だな。感心してる場合か。
でも「イヤよイヤよ、ニューヨークに住んでるなんて言えないわ」とか考
えながら、私は同時になんとも言えぬ誘惑にも襲われていた。
「このおねえさんにニューヨークに住んでることを発表したら、もしかし
たらナンパできるのではないか」
そのときの思いを翻訳したらこのようになるのだが、私は結婚してる身で
あるため、当然その直後に否定したよ。しかし、前記のような思いが私の脳
裏を駆け抜けたのは事実である。
この「もしかしたらナンパできるのではないか」感は、多くのニューヨー
ク在住日本人男性軍にご理解いただけると思う。
ニューヨークに住みたいとか、ニューヨークで働いてみたいなどの夢を持
つ娘っコたちがゴロゴロしてる日本において、「ボク、ニューヨークに住ん
でんだよね」はナンパする際の絶対的なアドバンテージである。私は自信を
持ってそう言い切る。
そんな日本にいる自分。目の前には勧誘のおねえさん。彼女は私とのカン
バセーションを欲している。私は彼女にとって単なる獲物かもしれないが、
理論上は逆のパターンもあり得る。つまり彼女が私の獲物になるというこ
と。仕留める武器は「ボク、ニューヨークに住んでんだよね」のひとこと
だ。
重ねて言うが、私はその誘惑をはっきりと否定した。だってヤバイじゃ
ん。結婚してるんだから。
ただ、その誘惑を否定しても、どこからか「言ってごらんよ」という声が
聞こえてくるのを止めることはできない。
「言えない」「言ってごらんよ」「ダメ」「そんなカタイこと言わずに」
「ダメだって」「ホントに?」「ホントにダメだって」
でも、ちょっとだけ言ってみたい気もする。ほんのちょっとだけね。向こ
うの反応がよくても何もしないから。だれに言ってんだ。
「どんなお仕事されてるんですか」
質問はだんだんと核心に迫って来ていた。
私は、「言うなよな」と「言ってごらんよ」の2つの声を聞きながら、
あらためてマリウーのルックスを冷静にチェックしていた。
このケダモノ!
ひろ
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『日本の問題』
先週は、日本に向かう飛行機のトイレの中で、三角折りされたトイレッ
ト・ペーパーを見つけたところで話を終えたと思う。例の「日本に帰る際、
一体どの地点で”日本”を最初に感じるか」話である。
そうなのである。私にとっては、その三角折りを見た瞬間こそが「あー、
日本に帰ってきたんだなあー」的モーメントだった。
でも実際は、そのあとにも「これこそ日本だわ」と感じた瞬間はあったの
である。それは成田空港のトイレでの出来事だった。
トイレと言っても、私がここでお話しするのは、成田空港に到着したあ
と、荷物をよっこらせとピックアップする場所の出口に向かって一番左の奥
にあるトイレのことである。
私は、日本に行くときはいつもそのトイレを使うようにしている。荷物を
ピックアップしたら、まずそのトイレで用を足す。私の「成田ルール」とい
うやつである。
でも、そういうのってないか。成田でどうしてもやってしまう行為。私の
場合は、その他にも「アメリカに帰る際にゴマ大福をお土産に買う」という
習慣を持ち合わせている。意外だが、成田で売ってるセット詰めのゴマ大福
はうまい。日本にお住まいの方は、あまり食うチャンスがないかもしれない
が、一度チャレンジしてほしいアイテムだ。
そんなことはどうでもいいのである。成田のトイレの話ね。
そのトイレでは、私は目的が「小」であろうとも「大」用を使うように心
がけている。またその際は、向かって一番左の小部屋を使うことになってい
る。なっているというか、自分でそう決めてるわけね。
今回帰ったときも、私は当然、エスカレーター降りて一番左奥のトイレ
の、これまた一番左端の「大」用トイレに入ったのである。
荷物を適当に置き、ベルトをゆるめ、便座にケツを下ろす。
そのときである。例の三角折りを見つけたときと同じ衝撃が私の頭を駆け
抜けたのだ。
それはなんとも言えぬ「密閉感」だった。簡単に言うと「ドアがキチキチ
に閉まってる〜」という感覚である。
アメリカに来たことのない方はご存知ないかもしれないが、アメリカのト
イレは開放感でいっぱいである。トイレのドアの下の部分が、大きく空いて
いるのである。当然、外からは大便中人物の足が丸見え。密閉感の強い日本
とは大違いだ。でも、アメリカ人はそれをいいことにウンコしながら隣同士
でしゃべったりしやがるからな。あれは真似できんね。
私はそのトイレの中でアメリカと日本のトイレの違いについてあらためて
気がついた。そしてしみじみと感じたのである。「アイ・アム・イン・ジャ
パン」と。
それにしても日本のトイレの密閉感はすごいな。プライバシーって感じ。
息がつまりそうな感覚に襲われる。ただでさえクサイことやってんのに、臭
いさえ逃しそうにないこの箱のような作りは、一体どういう意図があって完
成されたのだろう。通気が悪いだろうに。まあ、人のウンコの臭いをトイレ
の外でシェアすんのもなんだがね。
というわけで、私は成田のトイレでも「あー、日本に帰ってきたんだな
あー」感を味わってしまったのである。
飛行機の中のトイレと成田のトイレ。なぜどちらもトイレなのか。
私が思うに、トイレというのは一種の治外法権区で、外界のしがらみから
一瞬の間、距離を置くことができる空間なのである。そこでは脳味噌も瞬間
的に空白になったりする。
トイレの中で用を足してると、それまでわかんなかったことがポッとわ
かったりしないか。私はする。それはまるで、首の上に乗せてたグチャグ
チャの頭をトイレの外に忘れてきたようなクリアーな感覚だ。トイレにはそ
ういう効果があると私は信じている。
そう考えると、今回のトイレにおける2つの発見もうなずける。考え過ぎ
てた頭を外に置いてきたからこその「三角折り」であり、「密閉感」なんだ
と思う。
トイレにそういう効果があるとすると、多くの一時帰国者たちが私と同じ
ように、最初の「日本」をトイレで踏ん張りながら感じている可能性もあ
る。
なかなか深い話になってきたな。「どこで最初に日本を感じるか」ネタに
関して自説を持つ方はドシドシ投書ください。
来週は、同ネタを離れて、アメリカと日本のトイレの違いのナゾについて
考えてみたいと思う。
ひろ
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『VOICE』
@投書『コンデンス・ミルクについて』
こんにちは、いつも”Nuts”を楽しく読ませて頂いてます。
つい最近までNJに住んでいたんですが、3ヶ月前からSan Diegoに住ん
でます。
そんなことはどうでもいいんですが、コンデンスミルクの缶についてです
が、実は私もやってましたよ。ついでに私の家族もやってました。
最初は父がやってるのを見て「きったなーい、私もう食べたくない」とか
言ってましたが、大きな穴を開けたにも関わらず糸のように細くしか出てこ
ないコンデンスミルクを眺めているのにつかれてつい私もやってしましまし
た。
そしたらなんと出て来る出て来る、大きくてぶっといミルクがたっぷり
と。それ以来必ずと言っていいほどミルクをかけるときは吹いてました。
本当に誰もやったことないって言ってました?恥ずかしくて自分もやって
たって言えなかったんじゃないでしょうか?チューブのコンデンスミルクが
出た時は「なんて素晴らしいアイデアなんだ」と思いましたがいざ買ってみ
るとなんか物足りない気がしました。
あの細くてちょろちょろと出て来るミルクをじれったいと思いながら眺め
たり、ミルクを注ぎおわった後、缶に垂れてるミルクを指で拭ってなめたり
という一連の行為が無いことを非常に寂しく思いました。
私はひろさんの実家の熊本から近い大牟田で育ちました。その地方独特の
技法なのでしょうか?
とりあえず私はこのネタを読んで子供の頃、牛乳のなかでいちごを潰して
砂糖を入れて食べる「いちごミルク」や練乳いちごのことを懐かしく思い出
しました。
きっとアメリカのシャキシャキしたいちごではいちごミルクは難しいで
しょうねぇ。
AKIKO
@投書『コンデンス・ミルクについて』
こんにちわ。毎回週刊Nuts楽しく拝見させていただいております。
私は横浜に住む25才会社員でございますが、ひろさんがどうも最近気に
なっていらっしゃるコンデンスミルクは幼い頃の私のfavorite foodsでござ
いました。
私の実家では、四季を問わず、大活躍した代物でございまして、春はイチ
ゴに夏はカキ氷に、その他の季節はパンにかけて食べていたんですね。
今話題のスノーブランドのコンデだったことをよく覚えています。そし
て、我が家では缶を使用しておりました。
新しいコンデ缶が祖母の買い物袋から出されると、兄弟争奪の末、缶に穴
を空ける権利を得ることができるのです。
缶切りの後ろについている、3角の穴あけを使って1つぷしぅっと穴をあけ
ると待ってました!とばかりに缶に詰められていたコンデがでろでろでろ
〜っと出てきて、すばやく対角上にもうひとつ穴をあけると、流れ出ていた
コンデがぴろろろ〜っと止まるのを見るのが好きでした。
そして、缶を開ける権利を得たものは、その後缶にひっついたコンデを舐
めることができたという、まことに今考えるとあさましく、小汚い権利を得
ていたんですね〜。
そんな幼児期の至極の経験を忘れてしまうなんて、みなさんどうかして
らっしゃるのかもしれません。
それでは、ひとつご報告まで。また週刊Nuts楽しみにしております。
Kumi
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@投書『「今ボク、ニューヨークに住んでるんです」問題について』
私も来週日本に里帰りするため、これはただならぬ問題ですので早速投書
をします。
躊躇しますよね。いま私ニューヨークに住んでいるんです発言。
まあ帰国の際知らない人にあうことはあんまりないのでわざわざ言うこと
もないんですが。でもこのお題できょーれつな体験を思いだしました。
去年帰国していたある日のこと、私と姉は近くの銭湯へ行きました。そこ
は健康ランドがかっていて設備もいいのに安い!ので、私はうひうひしなが
らいろんなお湯やサウナを楽しんでおりました。
屋外温水プール(池?)もあって、で涼んでいると近所のおばさん風な人
がやってきたので、「暑いですね」などの挨拶を交わしていました。
するとおばさんはいきなり「独身の方ですか?」と聞いてきました。はい
と答えると、仕事は?と聞いてくる。私が「いまちょっと休みを取って実家
に里帰りしているんです〜」となんてなんでこんなの事聞いて来るんだおば
ば、とおもっていると…。
○○大学を卒業して仕事をしている知り合いの息子が、結婚したら両親の
持ち家の敷地内に家を建ててやるといわれていると。その息子の嫁を探して
いてるぞと。
「ひえええ〜!」と内心叫んでしまいました。銭湯でナンパ!いやちがっ
た見合い話!しかも知らない人から。はじめて見たマッチメイカー!元々
マッチメイカーってマッチを作るひとだと思ってた事もある私!
おばばは「家付きよ、家付き!」と何度もアピールしていた・・・。
あなた私の全裸を見たからって嫁入り話を勧めているんじゃないでしょう
ね・・・。
「いえー住んでいるところはとおいですからー」とやんわり断ろうとする
と、「どこなの?」としつこく食い下がる。「あのー海外なんですー」
その瞬間やった!と思いましたね。あ、お題のニューヨークは言わなかっ
たんですけどね。しかしまあそんなことは後にも先にも一回きりですけど。
そんなことを思いだしましたよ。
お=た
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『今週の歌』
「中古車を 買って名前を つけようと
決めたその名は ”グリーンマシーン”」
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