2000年8月15日号(No.327)




目次

*『今週の問題』
*『日本の問題』
*『VOICE』
*『編集後記』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

 今度、紙版「ぶりてんNuts」のほうでも派手にやる予定の「帰れ」シリー ズについて語り始めてみたい。
 帰れ。
 「帰れ!」と「!」をつける場合もあるが、ここではつけない。冷静に 「帰れ」。帰る先は、当然日本である。
 問題はだれに向かって「帰れ」と言ってるかだが、数年前までアメリカの 日本語情報誌等の投書欄に載ってた「アメリカで遊んでる日本人留学生(遊 学生という言い方もありましたな)は帰れ!」の「帰れ!」とは違うから気 をつけてほしい。
 イースト・ビレッジあたりでぷらぷらしているチンタラ若い衆の皆さん、 帰る必要はないぞ。思う存分、遊びなさい。一部の在ニューヨークの日本人 ジジイ・ババアたちがウダウダ言ったりするかもしれないが、そんなのは完 全無視。好きなことをしたらいい。ただ自分の責任でね。
 というわけで、ここでの「帰れ」は、彼らチンタラ若い衆に対するもので はない。
 私が「帰れ」と言いたいのは、日本に帰るタイミングをなくしている人た ち、あるいは、日本に帰るのがコワくて、なかなかニューヨーク脱出の踏ん 切りがつかない人たちに対してである。
 そういう人たちがニューヨークには意外とたくさんいる。彼らに対して、 私はあえて「帰れ」と言いたい。「余計なお世話だ!」と言われるに決まっ ているのだが、それでもとりあえず「帰れ」と言うつもりである。
 この「週刊Nuts」を6年半前に発行して以来、ニューヨーク在住の日本人 に向けてさまざまなことをボザいてきたが、「帰れ」と言ったことはなかっ た。なのに2000年を記念するかのように、急に「帰れ」。どうしたん だ。機嫌が悪いのか。かみさんとケンカしたのか。しょっちゅうです。
 いやね、最近よく聞くんですよ。「日本に帰ってよかった」って話を。
 この件に関して、私はこれまで6年以上ウォッチしてきた。「この件」と いうのは、「ニューヨークから日本に帰った日本人の日本での幸せ度」につ いてだ。
 以前は不幸せなコメントをよく聞いた。「日本になんか帰ってくるんじゃ なかった」「日本にいると息がつまりそうになる」などなど。しかし最近聞 くのは、それとは反対の「やっぱり日本がいい」「戻ってきてよかった」な どのポジティブ・コメントなのであった。
 確かに今でも「日本に帰って不幸せ」コメントは聞くが、でも明らかに以 前よりは減ってるような気がする。そう思わんかねみんな。
 帰国組が不幸せでなくなった理由。それには2つの原因があると私は見て いる。ひとつは、ニューヨークに住む日本人の質が変わってきたこと。もう ひとつは、ニューヨークで日本人が生きていくことの実情が少しずつ認知さ れ始めたということである。
 今回の「帰れ」シリーズに直接関係があるのは後者のほうだが、いい機会 だからここでは前者、つまり「ニューヨークに住む日本人の質が変わってき たせいで、日本帰国後に不幸せになる人間が減った」についても語ってみた いと思う。
 ニューヨークに住む日本人の質が変わってきたせいで、日本帰国後に不幸 せになる人間が減った・・・。
 ちょっと繋ぎ目がわかりづらいかもしれないが、「ニューヨークに住む日 本人の質が変わってきた」ことと「日本帰国後に不幸せになる人間が減っ た」ことはしっかりコネクトしているのである。
 ここで言う「ニューヨークに住む日本人の質」というのは、アメリカに対 する思い入れ度のことである。要するに数年前と最近では、ニューヨークに 住む日本人が持つアメリカへの思い入れの強さが違うのだ。
 以前は、アメリカン・ドリームなんてのを背負ってニューヨークにやって くる日本人がいた。まあアメドリは持たないにしても、ニューヨークあるい はアメリカにそれなりの強い思い入れを持ってくる人が多かったのである。
 ところが最近は、気軽にニューヨークに来る人が明らかに増えている。ま るで渋谷に行くかのようにニューヨークに来るのである。アメリカやニュー ヨーク、またはアメドリに対してもそんなに強い思い入れがあるわけでもな い。
 この両者、つまり「アメドリ派」&「非アメドリ派」を比べるとき、皆さ んはどちらが日本に社会復帰しやすいとお考えになるだろうか。
 アメリカ、ニューヨーク、そしてアメドリを崇拝するタイプが日本に帰る 場合と、かる〜い気持ちでニューヨークに来た人が日本に帰る場合とでは、 どちらのほうが日本において不幸せになる確率が高いだろうか。
 それはもちろん前者である。夢破れ度が違うからね。
 皆さんご存知のように、人間というのは期待度が高いほど、それが失敗し た場合のダメージも大きい。
 昔、と言っても数年前だが、その頃までのニューヨーク発日本帰国組に は、そういう夢破れ派が多かった。
 日本に帰ると、彼らは何かイヤなことがある度に「アメリカではこうだ」 「アメリカではこうする」なんてことをホザきがちだった。
 日本の読者にお聞きしたいのだが、もし日本で「アメリカはこうだああ だ」言う人間に会ったら、どういう態度をとりますか。
 「へえ〜」と感心しますか。それとも無視?
 私がその立場だったら、ひとこと、「だったらアメリカに帰れ」と言う ね。ついでにそんなヤツは自分の交遊関係から抹殺する。後ろ向きの人間に 付き合ってる時間などないのである。
 そんなわけで、夢破れ派は、ただでさえアメドリ失敗のダメージが大きい のに、それに加えて日本での仕打ちにも耐えねばならないのである。そんな 人間が幸せになれるだろうか。答えは「うんにゃ(熊本弁の”いいえ”)」 である。
 しかし、近頃はそういう夢破れ派が減り、「なんとなくニューヨーク」派 が増えたせいもあって、帰国後のダメージが平均的に以前よりもかなり軽く なっている。「アメリカではこうだ」などと言う人間も減っているはずだ。
 となると当然、帰国後不幸せになる人も減るわけである。その結果が「日 本に帰ってよかった」派の増加に表われていると私は見ている。
 「ニューヨークに住む日本人の質が変わってきたせいで、日本帰国後に不 幸せになる人間が減った」は、このような方程式の上に成立しているのであ る。おわかりになっただろうか。
 帰国組が不幸せでなくなった理由としての「ニューヨークで日本人が生き ていくことの実情が少しずつ認知され始めた」に関しては来週お話しするこ とにしよう。
                        ひろ
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『日本の問題』

 日本におけるうちのかみさんの反応をお話しするのを忘れていた。ここで 簡単なものをいくつか紹介したい。
 ちなみにうちのかみさんが日本に行ったのは、この5月が初めてである。 日本人男と結婚して4年弱。アジア方面に飛んだのも今回が初めてだった。
 これまたちなみに、うちのかみさんはヒスパニック系アメリカ人である。 つまりラテン系の熱い人種なわけだ。そしてあのヤバイことで有名なブルッ クリンのイースト・ニューヨーク育ち。そんな人間が日本を訪れたときに何 が起こるか。読者の皆さんには是非、その部分に注目していただきたい。
 まずかみさんが驚いたのは、なんと言っても和式トイレだった。
 この件に関しては私にも罪がある。事前にまったくノーティスしていな かったからだ。
 「日本のトイレにはこんなカタチのものもあるんよ」
 そんなふうに予告しておけば、被害もそれほど大きくはなかったと思う が、実際はその和式トイレの中で大変な修羅場が展開されたらしい。
 デーテイルに関してはかみさんもきちんと証言しないのだが、話によると 「どちら向きに座るか」ということについて自分の中でかなりの葛藤があっ たらしかった。
 金隠しをフロントにして座るのか、あるいはそれをバックにして座るの か。
 かみさんは思い悩んだ末に、結局金隠しをバックにして座ったらしい。 つまり本来の使用方法とは反対のスタイルである。
 通常、和式トイレでは、入ってそのまま正面を向いて座るのがほとんど だ。金隠しは当然、正面奥の壁側にある。
 反対に洋式トイレでは、人々は普通ドアを向いて座る。
 この違いを考えれば、うちのかみさんが和式トイレで金隠しにケツを向け て座ったことも納得がいくというものだ。要するに、洋式トイレ風にドアの ほうを向いて座ったのである。
 まあどっちを向いたかはいいとして、やはりアメリカ人のかみさんにとっ ては、和式トイレにおいてその使用者が強制される「ウンコ座り」はかなり センセーショナルだったらしい。
   アジアでは結構ポピュラーなスタイルだが、欧米ではまだまだ未知のトイ レ・ポーズだ。
 和式トイレにおける「しゃがみ」行為は、洋式の「座り」に比べて罪が重 いような気もする。なんというか、そのカッコがね。露骨って感じ。
 洋式の「座り」に関しては、通常のイスに座る行為に限りなく近いため、 そんなに違和感なく行なえる。しかし、和式の「しゃがみ」はあくまでも特 殊な行為であり、一日のうちでその行為を行なうのは基本的には和式トイレ の中だけである。一部、ヤンキーのニイちゃんネエちゃんたちが道端で使用 する場合もあるが、それも日頃の「ウンコ・ポーズ」としての基礎ができて いるからだ。
 また、和式トイレの場合は、洋式に比べると、ハイセツ物との近さがまっ たく違う。洋式は完全に腰かけているため、結果がどのような状況になって いるかはすぐにはわからない。でも、和式の場合は結果がモロ眼下にあるわ けだ。その臭いも艶も手に取るようにわかる。つまり「ウンコしたな」「オ シッコしたな」感が明らかに強いのである。
 和式トイレにおけるポーズといい、そのハイセツ物との近さといい、うち のかみさんにとって、和式トイレはかなりのカルチャー・ショックだったら しい。かみさんがアメリカ人の知り合いに日本の話をする際、その「和式ト イレという文化」話は必需品となりつつある。
 ひとつ心残りなのは、ポッチャン便所を経験させられなかったことだ。水 洗ではなく、くみ取り式のポッチャン便所。あの穴に落ちそうな恐怖感をぜ ひうちのかみさんにも味わってほしかった。まあそれは次回の日本行きの楽 しみにすることにしよう。
 かみさんのカルチャー・ショック話は来週も続く。
                        ひろ
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『VOICE』

@投書『ナンパについて』
 こんにちは。
 ニューヨークに住んでいることでナンパできるか?というコラムに関し て。
 あまり関係ないかもしれませんが、以前、原宿でこんなナンパに会いまし た(その人がナンパ目的で声をかけたのは私の友人ですが)。
 男:「ワッチュドューイン?」(What are you doing?)
 私たち:「は?」
 男:「なにやってんの?いま、ヒマ?」
 友人:「下手な英語、使わないほうがいいよ。うちらニューヨークに住ん でるから」
 男:「え、まじ〜?」
 なんてかんじでしたね。英語で声をかけるのがかっこいいとでも思ってい るのでしょうか。でもあきらかに下手な英語で笑えましたね。日本の女の子 だと、「英語しゃべれんの?かっこいいー」とでも反応するのでしょうか? 彼は自信満々に発音してましたけど。成功確率は高かったのか気になりま す。
 それから私はこんな経験をしました。いつかどこかの就職説明会で女の子 と話をしていて、ニューヨークの大学に行っていると何か言いづらくて、最 後まで大学の話題を出せませんでした。なんか面倒くさいんですよね。みん なと違っているということを知らせるのが、なぜかいやなのです。
 先日もあるセミナーで、留学経験のある方は挙手してくださいといわれた けど、挙げませんでした。別に公に知らせなくてもいいことだと思いまし た。
 と、いうことで。また機会があれば投稿します。
                     ジュリ
@投書『「・・・を買ってきてください.」の問題』
 こんにちは。いつも楽しみに読んでいます。  さてニューヨークに来てから4ヶ月になるのですが、ちょっと困ったことが あります。それは日本人の友達からメールとかで「・・・を買ってきてくだ さい.」と頼まれることです。
 「安いものだから」とか書いていますが、いくら安くてもそれだけのため に探しに行く手間を考えれば高いと思います(もっとも高いものだと「高い から」といって断れるのですが)。「お金は払うから」と言いますが、お金 の問題ではありません。
 久しぶりのメールだと思うとこういうものがおおいです。こういうことで 困っていらっしゃる方いらっしゃいますか。
                      匿名希望
    @投書『NY帰り』
 こんばんは!
 かつてNYに四年住み、帰国した私。飲み屋でNYに住んでいたともらす とかなり高い確率で男性にこう言われたものだ。
 「へえ〜、じゃアメリカ男とやっちゃったの?」
 う〜む、これって女にはない発想だ。
 フランス帰りの男に「ねね、フランス女ってやっぱフレンチキッスがうま いわけ〜?」とか、イタリア帰りの男に「あのさ〜、イタリアの女ってあの 最中うるさかったりしない?」なんてネバー聞かないよ〜。
 こっちとしてはセクハラまがいの質問に「ナンノブユア・ファッキンビジ ネス!」と言いたいところだったが、どうせ通じないから「さあ」と日本的 に曖昧に答えるに止めたものだった。
                    サンドレディ
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『編集後記』

 事後報告になりましたが、先週号は夏休みでお休みしました。では、また 来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『今週の歌』

「3回を 過ぎるとやっぱり 投げやりに
        なってきている アニバーサリー ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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