2000年8月22日号(No.328)




目次

*『今週の問題』
*『”帰れ”シリーズ2』
*『日本の問題』
*『編集後記』
*『たわごとコラム』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

   私たちNuts軍団は、とうとうここまで来た。「日本救出2兆円作戦」であ る。
 「日本救出2兆円作戦」。見ていただければわかるように、2兆円で日本 を救出しようという作戦である。
 2兆円。そう2兆円。数字のみで表わすと2,000,000,000,000円とな る。それを私たちはどっかから持ってこようとしている。
 この2兆円というのは、根拠のない数字ではない。「1億にしようかな。 それとも10億。一気に100億がいいかな。こうなったら1000億。面 倒だから1兆。もう一声で倍にして2兆円にしようっと」という感じで決 まった数字ではないのである。
 狙って2兆円。計算して2兆円なのである。
 それではそろそろ本題に入ることにしよう。
 皆さんご存知のように日本は今、不景気だ。今だけでなく、ずいぶんと長 いこと不景気状態にある。
 当然、日本政府もいろんな不景気対策案を打ち出しているのだが、どれも パッとしない。経済学者たちもメディアを通してなんだかんだと言ってはい るが、こちらもイマイチである。
 ぶっちゃけた話、ロクなアイデアがないのだ。
 インターネットなどの情報産業が日本を救うという案もあるが、ホント か?と思う。情報産業が40歳以上の失業対策になり得るだろうか。
 道路とか橋とかの公共事業をバンバン発注して景気をよくしましょう、な んてことを言ってる連中もいるが、鹿とかタヌキしか歩かないようなところ に道作って、どうして景気がよくなるのか。
 私も経済のことはよくわからんのだが、今、日本で出回っている不景気対 策案がちょっとピンボケであることぐらいはわかる。だってどれもスキッと しないんですもの。
 そこで私は考えた。何かいい方法はないかしら、と。
 私がとりあえず考えたのは、現在の失業問題をどうするかである。
 今、日本には仕事のない人たちがたくさんいる。彼らになぜ仕事がないか というと、彼らの給料分の金が世の中にないからである。
 したがって彼らに仕事を与えるためには、その金をどっかから持ってこな くてはならない。
 持ってくる方法は2つ。日本の中でその金を作るか、あるいは日本の外か らその金を持ってくるかである。だんだん核心に近づきつつありますな。
 日本の中で金を作ることが可能ならだれも苦労はしない。それがむずかし いから、日本は今、もがいているのである。
 だったら外から金を持ってこよか。
 私は、日本の失業問題をやっつけるには、日本の外から金を持ってくるし かないと考えたのである。
 さて、「外からの金の持ってき方」だが、もっとも典型的なのは「日本の 商品を海外で売ることによって儲かった金を日本に持ち帰る」という方法だ ろう。簡単に言うと「輸出」である。
 でも、この時代、何を輸出します?
 今さら「車」っていうわけにはいかんでしょう。「ウォークマン」でもな いし。物作ったら中国のほうがずーっと安しね。
 というわけで、「輸出」はペケである。
 では、他にどんな方法があるのか。
 要するに海外から日本にお金を持ってくればいいのである。ならば、実際 に外国人の皆さんにお金を持ってきてもらおうではないか。
 すんげえ中途半端だけど、続きは来週に。
                        ひろ
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『”帰れ”シリーズ2』

 先週からスタートした「帰れ」シリーズの第2弾である。今週も前回の続 きの「日本帰国組が不幸せでなくなった理由」について語ってみたいと思 う。
 以前は、ニューヨークから日本に帰った帰国組から、日本での生活につい て「帰ってくるんじゃなかった」なんて声をよく聞いた。でも、最近は反対 に「日本に帰ってきてよかった」という人が多い。
 その理由として私が考えたのは、「ニューヨークに住む日本人の質が変 わってきたこと」と「ニューヨークで日本人が生きていくことの実情が少し ずつ認知され始めたということ」の2つだった。
 前者については先週お話しした。今回は後者の「ニューヨークで日本人が 生きていくことの実情が少しずつ認知され始めたということ」についてご説 明することにしよう。
 まず最初に「ニューヨークで日本人が生きていくことの実情」というの は、一体どんな実情なのだろうか。
 簡単に言うと、「ニューヨークで日本人がやりたいことでメシを食うのは 異常にむずかしい」ということである。
 こちらの大学を卒業しても、ニューヨークにはロクな就職口がない。就職 できたとしても、大しておもしろい仕事ではない。就職してグリーンカード が取れるかと思えば、そんなに簡単な問題ではなかったりする。気がついて みたら、ニューヨークにきた頃持ってた夢を忘れて、なんとなく現実に流さ れてる自分がいる・・・・・
 これはちょっと極端な例だが、一方で事実であることは間違いないと私は 断言する。そういう要素、つまり「就職口がない」「大しておもしろい仕事 がない」「ビザの問題」「現実に流されてる自分」は実際にここの日本人社 会に存在するのである。
 ここ数年、ニューヨークの日本人たちはそのこと=「ニューヨークで日本 人が生きていくことの実情」に気づき始めたのである。ニューヨークの現実 を直視できるようになったのだ。
 昔は「ニューヨークで働いてる」と言えば、それだけでカッコよかった。 でも今は違う。人々はその仕事の内容が結構しょーもないことを知ってい る。たとえそれが「ニューヨークの米系企業で働いている」でも最近は通じ なくなってきた。いまだに日本のマスコミは「ニューヨークの米系企業で働 いている」日本人たちをありがたがってよく取り上げるが、実際は米系で働 いてても、つまんない仕事をしてる日本人は山ほどいる。確かに「米系企業 で働いている」と言えばサウンド・グッドだが、この頃はその神通力も昔ほ どではなくなっているのだ。
 日本人がニューヨークで暮らすことの現実が理解され始めた結果、人々は 泥沼にはまる前にニューヨークを脱出するようになった。早い時点で「この ままニューヨークにいてもしゃーないじゃん」とケリをつけることができる ようになったのである。
 一度ケリをつけた人間というのは日本に帰ってからが強い。いつまでも未 練がましく「ニューヨークでは・・・」「ニューヨークだったら・・・」な んてことは言わずに、日本での物事に前向きに対処することができるからで ある。
 そして彼らは言うのである。「あ〜、日本に帰ってきてよかった」と。
 以上が、「ニューヨークで日本人が生きていくことの実情が少しずつ認知 され始めたということ」がいかに日本帰国組の不幸度の低下に寄与している かの説明である。
 来週はニューヨーク→日本帰国組にとっての最近の「日本」についてお話 ししたいと思う。
                         ひろ
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『日本の問題』

 前回の続きである。
 うちのかみさんが日本で驚いたこと、その2。それは日本の女性誌の ファッションに関する充実度だった。
 かみさんがアメリカと日本の女性誌の違いに気がついたのは、正確には日 本行きの飛行機の中だった。
 そのとき私たちが乗ったのは日系の航空会社で、機内には日本の女性誌も 置いてあった。それをヒマつぶしに読んでたかみさんが、突然言った。
 「ディス・イズ・グッド」
 かみさんが「グッド」と言ったのは、日本の女性誌のファッションのペー ジについてだった。
 かみさんの説明によると、アメリカの女性誌の場合、ファッションのペー ジに出てくるのはスーパーモデルと超高級ファッションばかりで、一般の人 たちには大して関係のない情報が多いとのことだった。
 そう言われてみればそうだ。どの雑誌を見てもすんげえ細いおねえさんが すんげえ高そうな洋服着てるもんな。人口の半分が肥満体であるこの国で、 一般の女性たちにとってそのモデルたちがファッションの参考になるとは到 底考えられない。
 ところが、日本の女性誌はそれとはかなり違うらしい。何が違うかって、 日本の女性誌には一般の女性たちが実際に使えるファッションがたくさん紹 介してあるのだ。かみさんに「ほれ」と見せられた女性誌にも、道端でつか まった人の写真とか、その人たちが持っていた小物の紹介などが山ほど載っ ていた。
 「アメリカにもこういう雑誌がほしいわね」
 その雑誌を食い入るように読みながら、かみさんが言った。
 確かに、一般の女性たちにとって役立ちそうなファッション系女性誌をア メリカで出してみるのもおもしろいかもしれない。正直な話、結構ウケると 思う。
 しかし一方で、アメリカの女性たちには日本の女性たちのようにファッ ションに必要以上に気合を入れてほしくないわね、という気持ちもある。
 いつも日本に帰ると思うのだが、日本の女性軍はファッションとかに ちょっと気と時間と金を使い過ぎではないだろうか。
 みんな小奇麗なカッコして、男とすれば喜ばしいかぎりなのだが、でも私 の場合は「他にやることないんかい」などと思ってしまうのである。申し訳 ないけど。
 「人間、中身だからね」などと言うつもりはないが、どう考えても外見の ことにエネルギーを使い過ぎのように見える。それって結構大変じゃないで す? 自分の外見をキープアップするのって。やめたらいいのに。
 ただ、こんなことを私ごときが言っても、多くの日本人男性どもは女性軍 に小奇麗であることを要求してるんだろうなあ〜。だったらしゃーないかな あ〜。
 というわけで、確かに日本風の女性誌をアメリカで出すというのもなかな かおもしろいアイデアだが、私はアメリカの女性たちに日本の女性軍のよう にファッション等に気と時間と金を使ってほしくないから、そのアイデアに はアゲンストだ。
 ま、もしそういう雑誌が出たとしても、日本のようにはならんと思うけど ね。
                       ひろ
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『編集後記』

 何回も言っておりますが、Nuts軍団のサイバー基地「nynuts.com」 (www.nynuts.com)上の写真コーナー、「その辺のニューヨーク」がいい 感じです。そこそこ更新しておりますし、同時にアクセス数もやたらと上 がっております。かなり手を抜いてるコーナーなのですが、おもしろい現象 です。
 友人から、ある日本人女性向けサイトの中で、一番人気があるページは、 写真付き編集後記だという話を聞いたことがあります。それと同じようなこ とかもしれません。
 では、また来週。
                 「週刊Nuts」編集部
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『たわごとコラム』

 ある日曜日の朝、私はいつものように近くのデリに朝飯を買いに行った。
 レジにいたアラブ系のおじさんに、まず「ティーウィズミルクノーシュガー」 と頼む。
 「イエス」と言って作り始めるおじさん。
 できた「ティーウィズミルクノーシュガー」を袋に入れようとしているお じさんに、今度はレジの横にあるオールド・ファッション・ドーナツを指差 して、「キャナイハブディス」と言う。
 「ディス?」とおじさん。「イエス」と私。
 「ア〜ディスイズノーグッド」
 おじさんがそう言った。
 「ワッ?(=What?)」
 「ディスドーナッツイズノーグッド」
 このドーナツはよくない。おじさんはそう言っているのであった。
 「イッツオールド」
 古いんだそうな。
 「ビコーズイッツオールドファッションドーナッツ?」
 そう言って笑いを取ろうとする自分をおさえる。
 「ノーグッド」
 おじさんが首を振りながら言った。
 ふたりの間に一瞬の沈黙が流れた。
 買おうとしたドーナツが「ノーグッド」だと止められてしまった私。でも 目の前に並んでるんだなこれが。だったら捨てればいいのに。
 私の心の中では、すでにその日の朝飯は「ティーウィズミルクノーシュ ガー」と「オールドファッションドーナッツ」ということになっていた。両 方とも目の前にあるのに、「ディスドーナッツイズノーグッド」とは。
 「ダッツオッケー」
 私は言った。
 「ダッツオッケー」の「オッケー」は、「古くてもオッケー」の「オッ ケー」だった。
 「キャンユーディスカウント?」
 朝から古いドーナツを値切ろうとしてる私なのであった。
 「ワンダァーラー」
   「ワンダァーラー? オッケー」
 通常1ドル20セントが1ドル。勝ったのか負けたのかよくわからない結 果であった。
 おじさんはそのドーナツを取り、「ティーウィズミルクノーシュガー」が 入った袋にそれを入れた。
 「サンキュー」
 「サンキュー」
 1ドル札をおじさんに渡し、袋を持って店の外に出る。
 道を歩きながら、袋に手を突っ込んで、ドーナツをちょっとつまんで口に 入れた。
 確かに古かったが、そんなに悪くはなかった。
 正直なアラブのおやじ。値切った20セント。そしてそんなに悪くない 「オールドファッションドーナッツ」。
 いい日曜日になりそうだった。
                      ひろ
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『今週の歌』

「キッチンに ネズミが出てきて チューチューチュー
     かみさんそれ見て ギャーギャーやかまし ひろ」

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「週刊Nuts」編集部


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