2001年8月21日号(No.367)




目次

*『今週の問題』
*『この夏の心構え7』 @投書『”冷蔵庫のように見られている”日本人男性の諸君へ』 @投書『日本人男性アピール大作戦』
*『編集後記』
*『たわごとコラム』
*『今週の歌』
■■■■■■ 投稿募集 → nynuts@rcn.comまで ■■■■■■
********************************

『今週の問題』

 この前、クイーンズにあるミュージアム「PS1」(ピーエスワン)に行っ た。日本のポップアートの展覧会をやってたからだ。
 今回は、そのときに私が感じたことについてちょっと語ってみたい。
 東京のアートはニューヨークを越えたね。いきなりだが。
 以前からお話ししているように、私のニューヨーク&東京に対する考え方 は、「いまはニューヨークより東京のほうがスゴイ」である。
 パワーが違う。人の数が違う。デカさが違う。クリエイティビティでは ニューヨークがまだ勝っているが、もしかしたら近々追い付くかもしれな い。それが同イシューに関する私のオピニオンだ。
 そして今回「PS1」を訪れ、その展示会を見て、私は上記の考えを一層強 固にした。勝ってるよ東京。余裕で。
 アートのことはよくわからんし、これまでも大して興味があったわけでは ない。でも、その「PS1」で日本の物に遭遇した際、皮膚で「こりゃ日本の ほうがスゲえや」と感じたのである。
 なんちゅうか、文化が知らん間に発酵してたって感じだ。
 「PS1」の窓から快晴のクイーンズの空をながめながら、私はそのことに ついてしばし(かみさんがトイレに行ってる間)考えたのである。
 いかにして文化が発酵したのか・・・・・・・・
 近頃日本では、90年代のことを「失われた10年」と呼んでるみたいで ある。新聞や雑誌を見ても「失われた10年」のオンパレード。ただ、ホン トに日本人は失っただけなのだろうか。
 確かにバカな金の使い方もしたし、旧システムにも手をつけなかった。 でも、あんだけ大騒ぎしたんだから、それなりに得たものもあったと私は考 えている。
 それが前記の「文化の発酵」である。
 パターンとすれば江戸時代の文化発酵に近いと思う。
 鎖国政策のため、外との接触を遮断された中で生み出された浮世絵などの アート。今回「PS1」で見た日本のポップアートは、その浮世絵と同じ波長 を持っていた。独特なものを最終的に練り出した迫力というか、「どうだ、 真似できんだろ」という感覚が一緒なのである。
 ただ90年代は、日本は鎖国なんかしてなかったわけで、その点について は鋭いツッコミが繰り出されるかとは思う。でもよく考えたら、精神的には 日本はまだ鎖国状態よね。あんだけ海外に出ても、国際性だとか違うものの 存在を認める心意気とかがまったく身につかないんだから。日本人は。
 海外の不動産を買いまくったり、外国に行きまくったんだけど、所詮それ は自分の国に対するうぬぼれの表われで、精神はあくまでも井の中の蛙。視 線も超ドメスティック。つまり鎖国はまだ終わってなかったってわけよ。
 その中で文化というか、アートはひそかに発酵してたのである。まるで江 戸時代の浮世絵のように。
 てなふうに考えてたときにかみさんがトイレから戻ってきた。結構長かっ たからウンコだったのだろう。
 結局私が言いたいのは:
1)東京のアートはニューヨークを越えたわ。
2)「失われた10年」とか言うけど得たものもあったんじゃない。
3)それはアート。発酵しましたって感じで浮世絵に近いわね。
4)どっちも「鎖国」っていうのがミソかしら。物理的と精神的っていう違 いはあるけど。
 ということである。
 最後にもうひとつ。
 日本人によく見られるのは「ニューヨークはスゴイ」信仰だ。
 ニューヨークには確かにスゴイところもある。でもそれは絶対的なスゴさ ではない。いまの東京なら手を伸ばせば届くぐらいのスゴさだ。反対に東京 のほうがスゴいことだってあるのである。
 ニューヨークのアートを見る際も、「ニューヨークはスゴイ」と決めつけ て見る日本人が多い。もっと冷静に見ろよと言いたくなる。
 また、日本のミュージシャンが新聞等のインタビューで「ニューヨークで 感じたものを音にした」とか言ってるのをよく目にする。本気かと思う。そ ういうのって頭ん中で勝手に作ったニューヨーク像に踊らされてるだけなの ではないだろうか。ちょっとこっちに住んで、ジャパニーズレストランとか でアルバイトして、ワサビが山のように入った醤油にヒラメの薄づくりをド ボドボ浸して「今日のハマチはうまい!」とか言ってるアメリカ人を毎日毎 日目にしたら、ニューヨークで感じたものもヘッタクレもないはずだ。
 というわけで:
5)「ニューヨークはスゴイ」信仰はもうやめようね。
 日本人の鎖国根性と「ニューヨークはスゴイ」信仰は、パッケージになっ てるところがちょっと厄介なのよね。でも、その鎖国根性のおかげで日本の ポップアートが熟成したんだから、まあ、たまにはいいこともあるのであ る。
                        ひろ
*******************************
 

『この夏の心構え7』

 今回は、「この夏の心構え」問題に寄せられた女性軍のご意見にお答えし ようと思っていたのだが、偶然同件に関する投書が2通送られてきた。
 というわけで、今週はラクしてその2通をご紹介するだけにしておく。
                       ひろ
     *     *     *     *
@投書『”冷蔵庫のように見られている”日本人男性の諸君へ』
 その気持ち、よくわかります。経験しましたもん。冷蔵庫どころか、その 存在さえも認識してもらえなくて「あたしゃ、透明人間か?」ってなぐらい ツライ毎日を過ごしたことがあるんです、ワタシ。
 それはおゲイ様のメッカ、チェルシーに住んでいたときのことです。引っ 越した当初はそんなに感じなかったんだけど、それから数年、あれよあれよ という間に、ゲイの皆さんがウェストビレッジから北上してきて、気が付い たらご近所中にレインボーフラッグがはためいていたというわけです。いつ の間にかそこら辺が歌舞伎町2丁目になっていたっていう衝撃!
 それまでは「この辺もけっこう小洒落たレストランやギフトショップが増 えてきたナー」なんて喜んでたけど「ホモセクシャル御用達」的な場所がど んどん増えて、けっこう居づらかったです。「ビッグカップ」なんて、ただ のコーヒーショップだと思ってテイクアウトのラテ注文しに入ったら、カウ ンターのお兄さんに完全無視されるわ、ルームメイトといつものバーに入っ てビールを注文して「あれ?ここ、内装変えた?」と思ったら、オーナーが 代わってゲイバーになっていた、なんてことも。
 これじゃ近所のスーパーに行ってもストレートな男との出逢いなんて期待 できないと気づいた時から、パジャマ代わりの穴開きTシャツ着て、寝ぐせ のついた髪のまま出かけちゃいましたもん。きっとスッポンポンの裸のまま 歩いてても、誰も見てくれなかったかも知れないな。それより「まぁ、イヤ ね。キタナイものさらしちゃって」って嫌がられていたかも。
 リキ入れた勝負メイクしてたって、おニューのトッカのワンピ着てたって 「check out」する男性の視線がまったく感じられなくて、「女」やってるこ とに自信を失っていたある日...。お昼時に工事現場を通りかかったら、蛍光オ レンジのチョッキ着たムサイおにーさんたちが「ヒュウヒュウ!」って。そ れまでだったら「ったく、失礼しちゃうわね。これってセクハラだわ!」と 怒っていただろうワタシが、思わず「気づいてくれてアリガトー!」と投げ キッスしたくなったぐらいだから。
 決めのセリフはHi, gorgeous!とか、Hello, beautiful!とか、How are you today, my pretty?とかがいいんじゃないですかね?  Hotとか sexyだと嫌がる子もいるけど、ゴージャスって言われて嬉しくない女はいな いよ。表向きは「んま、失礼な!」なんてリアクションしてても、ぜーった い心ん中じゃ嬉しいんだから。
 ホントは、ハゲ、メガネ、チビの駐在オヤジ3人組がミッドタウンでこれ を言っている姿を想像すると、サムイものがあるんだけど、ま、「冷蔵庫脱 却計画」のためだと思って今回は許そう。
                       りんがる
@投書『日本人男性アピール大作戦』
 こんにちは。
 アメリカ人女性のハンティング対象になりえる男になる、というコンセプ トは大賛成です。
 私、東洋人って唇がセクシーな人が多いと思います。やっぱ仏像の唇の美 しさというか。
 だから、キスもちゃんと練習して、ここぞという時にキメて頂きたい。
 でも、道端で「ええケツしてるやんけ」はちょっと違うでしょう。そんな の誉め言葉と思う女っていないです。人種関係なく。品もクソもないです。 せめて「キレイ・魅力的・キュート・ゴージャス」あたりでいかがでしょう か。普通過ぎるかもしれないけど、ヤダと思う女の数はぐっと減ります。
 大体、道端でやんや声だけかけてくるのはストリート系ブラック兄ちゃん かヒスパニック系が多いです。日本人の女の子はSweet!だから気に留めたり するけど、アメリカ人女(特に白人)はそーゆーのってinsultと取るみたい ですよ。
 一番変えるべきは視線だと思います。目が細いからってのは言い訳になり ません。日本人でもたまに視線が明かに違う男の人っていますけど、彼等は 大体自分のスケベさを恥ずかしがらない人たち。堂々とエッチだよ、という 感じですがすがしいです。そのすがすがしさが欲しいですね。目が「あな たって魅力的でちょっとヤリたい系だよ」っていうのを30%くらい、あくま でさわやかに語っていればかなり受けるはずです。あと、堂々と笑顔! 相 手の目をちゃんと見てフレンドリー笑顔! これができない駐在員のおじさ んが意外と多いですね。フェロモンを不健康に抑えようとしてるから、普段 出ないで、ピアノバーで全開しちゃうのかな。
 私、決して日本人男性に男としての魅力がないとは思いません。群れて歩 いてると魅力半減しちゃうけど、なぜか。猫背をやめて、エッチ30%目線& まぶしい笑顔、これがまず第一歩!がんばれエッチ日本人!
                      美紀子
********************************

『編集後記』

 「今週の問題」でお話しした「PS1」ですが、そこで夏の間、毎週土曜日 にダンスパーティが開かれていることを皆さんご存知でしょうか。
 「PS1」の中庭で行なわれるこのダンスパーティは、午後3時スタート、 午後9時フィニッシュの「明かるい」ダンスパーティとなっております。
 入場料5ドル。
 その5ドルで例の日本のポップアートも見れてしまうという豪華さ。すば らしいではありませんか。
 また、その中庭の雰囲気というのがなんともたまらんわけでして、置いて ある折り畳み式のイスに腰掛けて、青空見上げながらビールとか飲むわけで すよ。真っ昼間から。
 ダンスパーティと言っても、踊るエリアとまったりするエリアはきれいに 分かれておりまして、どちらにとっても幸せな環境が用意されています。
 客層ですが、平均年齢は結構高いようです。それとクールな人が多い。 イーストビレッジ・キッズとも違うし、ウエストサイド・ゲイ軍団とも少し 違います。
 で、そのダンパですが、9月1日(土)が今年最後となります。時間は、 先に書いた通り午後3時〜9時。2時ぐらいに行かないとイスがないはずで す。行きついでに展覧会ものぞいてみてください。
 では、また来週。
                         ひろ
********************************

『たわごとコラム』

 最後にすき焼きを食ったのはいつだろう。アメリカに来て9年になるが、 こっちで食った覚えはないし、日本に帰るときも寿司・ラーメン・かつ丼・ カレーライスはおさえるが、すき焼きまでは普通行かない。
 アメリカの前は東京ひとり暮らし。そのときも食べた覚えはない。沖縄に いた頃も同じだ。となると、最後は実家の熊本か。
 うちのすき焼きは、砂糖もしょうゆもたっぷり入れて、生卵で食うスタイ ル。それを私は18年間食い続けた。よって私にとってのすき焼きは、「濃 味」+「生卵」だ。
 この前、ニューヨークに住むイトコ(日系アメリカ人)の家に遊びに行っ たとき、彼のかみさん(韓国系アメリカ人)がすき焼きを作ってくれた。 ちょっと薄味だったが、純日本風のすき焼きだった。
 ただ、生卵はなかった。
 「生卵ちょうだい」と言おうかと思ったが、「え?」と驚かれるのもナン だし、こっちの生卵はちょっと恐いので一応我慢した。それに薄味のすき焼 きには、生卵はあまり必要なかった。「濃味」+「生卵」。すき焼きを生卵 で食うにはその組み合わせがどうしても必要だ。
 でもよく考えたら、生卵で食うスタイルって、それだけでも結構エグいよ ね。
 アメリカの料理で、肉や野菜を生卵にディップしてそのまま食うもんなん かないし、他の料理でもあまり聞かない。
 中国とか韓国にはありそうな気もするが、生卵を何かに混ぜるのではな く、それだけが独立して皿にあって、そこにじゃぼじゃぼつけて食うという のは少ないに違いない。
 アメリカ人に「すき焼きっていうのはこうやって食うんだよ」と生卵式を 教えたら、きっちり食うのだろうか。あの生卵のヌルリとした感じに彼らは 耐えられるのか。それとも、「生卵」という時点で拒絶反応を示すのか。
 イトコのかみさんが作ってくれたすき焼きはなかなかの出来で、今回が初 めてのすき焼き体験だったうちのかみさんも喜んでパクパク食っていた。
 今度、かみさんで生卵の件、実験してみようと思う。でも、おそらく「拒 絶反応」され、「そんなデンジャラスなことをさせようとするなんて一体ど ういうつもりだ」とすかさず詰問。最終的には保険金目当ての妻殺し未遂ぐ らいに落ち着くはずだ。
 やっぱりかみさんはやめときます。
                      ひろ
*********************************

『今週の歌』

「この夏は サメに噛まれた 食われたの
            話が多く 弱気な海辺 ひろ」
        

下のアドレスを押すとメイルが送れまっせ
投書、意見、感想もどうぞ

「週刊Nuts」編集部


Return to Home Page