2001年9月25日号(No.370)
目次
*『いまやるべきこと』
*『在NY日本人行方不明者』
*『NY安ホテルまわり』
*『日本人被災者のために』
*『マトメとモロモロ』
*『今週の歌』
■■■■■■ 投稿募集 → nynuts@rcn.comまで ■■■■■■
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『いまやるべきこと』
今週号もシリアスな展開なのである。再びテロ事件についてだ。今回は、
ニューヨークの日本人が「いまやるべきこと」について語ってみたい。
皆さんご存知の通り、ニューヨークは事件前の落ち着きを取り戻しつつあ
る。事件現場付近や一部の交通事情を除けば、マンハッタンはほぼ通常の状
態だし、その他の地区に関しても普通に生活できる環境にある。
また、メディアの今回のテロ事件に関する熱もかなり下がってきた。そろ
そろ静かにフェードアウトしていくはずだ。
ただそれは「問題がなくなった」という意味ではない。単にメディア、
特にマスコミが報じなくなっただけなのである。
メディアのアテンションがなくなると、当然人々のアテンションも霧散す
る。だって、情報が一般の人たちに流れるルートがなくなるわけだからね。
すると、まるで物事が一件落着したみたいな雰囲気になるのである。
ところがどっこい、問題はまだまだあるのよ。というか、山はこれからな
のである。
先週から今週にかけて、私はいろんなことを考えた。それと同時に、日本
人被-者の情報を集め、トドメに古本屋「ブックオフ」に行って関西大震災
に関する本まで買っちまって、その日のうちに読み終えたのである(田中康
夫著『神戸震-日記』文庫本2ドル)。
その際、一番一生懸命考えたのは「いまやるべきこと」についてだった。
あとでやれることはいいから、とりあえずいまやるべきことをやりましょ
か。そんなら「いまやるべきこと」って何よ。たくさんはできないんだか
ら、ちゃんと絞り込んで優先順位をつけてやんないといけないわ。ふむ。
そう考えた結果、出てきたのが、これからお話しする3つの「ます」であ
る。
1)まだ報告されてない在NY日本人行方不明者を探します
2)旅行で来てた日本人がみんな無事かを確認します
3)事件のせいでこれまでのところに住めなくなった日本人を助けます
すべて対象は日本人である。それには理由がある。
まず第一に、日本人はこの街においてマイノティであり、ついでに国籍も
日本であるため、アメリカ人に比べて「大切にされ度」が低いということ。
マイノリティ・コミュニティの場合、マジョリティ・グループよりも優先順
位が低いため、見殺しにされかねない。というか、問題自体がメイン・スト
リームからは見えない可能性が高い。ならば、アメリカ人や米系の機関・組
織に期待せずに同じ日本人の手でなんとかしなければならない。自分たちの
コミュニティは自分たちで守るのである。
次に、私たち在NY日本人のパワーには限界があるということ。今回の事
件の被害者すべてを相手にすることはできないが、日本人に限ればなんとか
なるはずだ。
いま私たちニューヨークに住む日本人がやるべきことは、上記の3つだと
私は考える。
というわけで、早速その3「ます」話に突入することにしよう。
ひろ
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『在NY日本人行方不明者』
10月2日付の朝日新聞によると、外務省は、在ニューヨーク日本国総領
事館に安否の問い合わせのあった600人の全員の無事が確認されたと発表
したそうだ。
つまり、日本人の行方不明者は、現在までに確認されている23人だけと
なったわけだ。
増えなくてホッと一安心である。でも「本当か?」という思いもないわけ
ではない。
ニューヨークに住む日本人で巻き込まれた人間は、ホントにもういないの
か。ここでサーチをストップしていいのか。「もういません」と決めてし
まっていいのか。
私は、今後もサーチをしつこく続けるべきだと思う。念のためだ。いなけ
ればラッキー。でも、とりあえずは探し続ける。
だから「まだ報告されてない在NY日本人行方不明者を探します」。事件
の日以降、姿を見なくなった日本人が近くにいたら、ぜひNuts編集部までご
連絡いただきたい(nynuts@rcn.com)。いろんな手を使って探すつもり
だ。
ところで今回、在ニューヨークの日本人探しを担当したのは領事館であ
る。「領事館もすごくがんばった」という声もあるし、「やつらは何やって
たんだ」という意見もある。
また、「領事館が気にしたのは駐在員ばっかり。他の日本人は日本人じゃ
ないのか」という批判も出ている。『日経ビジネス』10月1日号にも同じ
主旨でニューヨークの総領事館を批判した記事が掲載されていた。
私は個人的には、いま領事館を批判する必要はないと思う。もし批判すべ
き点があるのなら、あとでじっくりやったらいいのである。今回の領事館の
対応について、気づいた点、疑問に思った点などがあったら覚えておく。そ
れをあとで新聞などに投書したらいい。
私たちは、この時点では彼らがよくやったのか、ぜんぜんダメだったか、
わからないのである。それが少し明らかになってきてから、批判しても遅く
はない。
そんなわけで、在ニューヨークの日本人行方不明者探しである。なんか
あったら連絡ください。
ひろ
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『NY安ホテルまわり』
今回のテロ事件で私が一番気になったのは、日本人の個人観光客が被害に
遭ってないかどうかだった。
日本人の団体客に関しては基本的に旅行代理店が把握していたため、すぐ
に安否が確認できたが、個人の観光客についてはだれも知りようがなかった
のである。
幸い、ワールドトレードセンター最上階の展望台は、事件が起きたときは
まだオープンしてなかった。ただそれでもビルのまわりには日本人観光客た
ちがいたはずだ。彼ら、特に個人観光客は全員無事だったのだろうか。巻き
込まれた人はいないのか。
もし巻き込まれていた場合、彼らのニューヨークにおける存在を確認する
方法は、日本の家族からの連絡ぐらいしかない。でも、家族だって、どこに
泊まっているかもわからない場合もあるし、もしかしたらニューヨークに来
てることさえ知らないかもしれない。さらに、日本の家族がアメリカの機関
に連絡して、行方不明者登録してもらうのもひと苦労だ。英語の問題等が
あって、うまく説明できないこともあるだろう。
行方不明者の登録がされてない人は、もし遺体が見つかったとしても、
だれがだれやらさっぱりわからない、ということになる。DNA検査しように
も、元のDNAがないわけだし、名前も登録もされてないんですから。
確かに、日本人の個人観光客が巻き込まれている可能性は、事件が起きた
時間--から言って少ないと思う。でも、まったくないわけではない。
一番最悪なのは、ニューヨークにひとりで旅行に来ていて、安ホテルに泊
まり、あの朝、偶然事件現場にいて、被害に遭ったというパターンである。
宿泊先がちゃんとしたホテルだったら、もし宿泊客が事件当日帰ってこな
ければ、警察や所定の機関に連絡してくれるはずだ。でも、安ホテルの場
合、管理がいい加減だったりする。ひとりふたり帰ってこなくても、
「あー、そうですかー」てなもんである。それを考えると、安ホテルはすご
く「あやしい」。あの日、ホテルに帰って来なかった客がいたとしても、
リポートしてない可能性があるということだ。
もしかしたら巻き込まれているのかもしれない日本人の個人観光客を探す
方法をいろいろ考えたのだが、結局、そういう安ホテルをひとつずつあたる
しかない、という結論に行き着いたのである。「飛行機の予約で調べる」等
の方法もあるにはあるが、効果は限りなく?だった。
安ホテルを回る方法だが、やり方は簡単。まず、紀伊國屋で『地球の歩き
方』を買ってきて、ホテルのページを開く。通常は高いホテルが先に紹介さ
れているが、いま必要なのは安ホテルのリストだからして、いきなりホテル
に関する一番最後のページまで行く。で、そこからひとつずつ潰して行くの
である。
実を言うと、その安ホテル回り作戦はすでに始めている。電話で連絡する
のではなく、実際に足で回るという方法で、これまでに10数ヵ所チェック
した。いまのところ、行方不明者は見つかっていない。
1軒1軒あたって発見したのは、ホテル側がそういう可能性、つまり「泊
まっていた客の中にあの日、帰って来なかった人がいるかもしれない」とい
う点について、驚くほど無関心というか、その可能性の存在に気づいてな
かったということだった。
そして私は思ったのである。「こりゃ、ひょっとしたらいるな」と。
自分では、そういう人(行方不明者)がもう出ないことを祈っているし、
ホテルを回る際も「いないでちょうだい」と心の中で念じている。「行方不
明者を探す」というよりは、「行方不明者がいないことを確認する」という
方が正確だろう。いないに越したことはないのだから。
ただ、その可能性は否定できない。だから、別に見つけたくはないんだけ
ど、確認するという行為はやはり必要だ。見つかってほしくないものを探す
というのも、何やら奇妙な感じだが。
安ホテルに関するチェックは、領事館がすでにやってるかもしれないが、
一応Nutsでもこのままやり続けるつもりだ。ちょっと時期が遅すぎたかもし
れないが、とりあえずベストを尽くすしかないだろう。
てなわけで、「もしかしたら巻き込まれているのかもしれない日本人の個
人観光客」の問題は、前記の作戦で対応する。以上。
ひろ
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『日本人被災者のために』
今回のような大きな事件が起きた後は、人々のアテンションは亡くなった
方たちに集中するのが普通だ。何人亡くなったとか、どうやって亡くなった
とか。
ただ、被害をこうむったのは亡くなった方たちばかりではない。事件のせ
いで住まいをなくしたという人もいるのである。
でも彼らは後回しになることが多い。今回も実際、そうなっている。
ニュースを見ても基本的には亡くなった人たちの話ばかりで、住む場所をな
くした人たちの話はなかなかカバーされないのが現状だ。
皆さんご存知のように、現場近くはまだ住めるような状態ではない。市か
ら許可が出て、自分の住んでいた場所に戻れるとしても、戻りたいかどうか
という問題もある。あの近くに住んでた方で「もう戻りたくない」という人
を私は何人も知っている。環境の問題というよりも、精神的な理由で戻れな
い人が多いようだ。
そういう戻れなくなった人たちは一体どうしているのか。話によると、友
達の家を転々としたり、テンポラリーでアパートを借りたりしているらし
い。
「事件のせいでこれまでのところに住めなくなった日本人を助けます」
は、そこから出てきたアイデアだ。身体ひとつで逃げ出した彼らをなんとか
サポートしたいと思う。
アメリカ人の場合、家族がニューヨークにいたり、友達がたくさんいたり
してなんとかなるかもしれないが、日本人は基本的にヨソ者である。英語の
情報もアメリカ人ほどは入ってこない。ハンディが多すぎるのだ。
同じ日本人として、彼らをなんとか助けたい。
私たちにできるのは、まずお金だ。お金さえあれば、とりあえず必要な物
が買える。では、どこに寄付すればいいのか。
被害に遭った日本人に対して直接的な支援をしている団体は、ニューヨー
ク日系人会である。レッドクロス等のデカイ団体に寄付しても、そういう
困っている日本人のところまで回ってくる可能性は低い。だから私たちは日
系人会を通して、困っている日本人を直接支援すべきだ。
日系人会への募金の詳細は以下の通りだ。
【JAA Sept. 11 Relief Fund】
◇チェックの宛先:JAA
*Memo欄に「JAA Sept. 11 Relief Fund」と記入
◇送り先:JAA or the Japanese American Association of New
York, Inc.
15 West 44th Street, 11th Floor
New York, NY 10036
◇電話:212ー840ー6942
ご協力、よろしくお願いします。
ひろ
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『マトメとモロモロ』
私自身も今回のような事件に遭遇するのは初めてだった。当たり前だが。
だから最初は何をしていいのかさっぱりわからなかった。
で、いろいろ考えたり、本読んだりして、「やるべきこと」のツボを探し
た。その際に一番役に立ったのは、先に書いた田中康夫著『神戸震災日記』
だった。というか、ニューヨークの日系書店を回った結果、関西大震災に関
する本はその本しか見つからなかったのだ。
なにはともあれ、田中さんの本から学ぶことは多かった。以下にそのいく
つかをご紹介しよう。
1)とりあえず現場に出て、困ってる人たちのニーズを吸い上げる
2)メディアが伝える情報がすべてではない
3)死者に目が行きがちだが、困ってる人は他にもいる
4)ボランティアは個々がやれる範囲内でベストを尽くす
5)人に言われるのを待つのではなく、自分で動く
6)目の前の問題と格闘しつつ、次に起きたときの対応策も同時に考える
7)継続は力
8)TVの画は嘘をつく可能性がある
9)ボランティアは自分に何ができるかを自分で考える
10)募金の使い方は不明な場合が多いから、できるだけ目的が明確な募金
に協力する
てな感じである。
お話ししたいことは、まだ山ほどあるのだが、スペースがなくなった。
続きはまた来週。
ひろ
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『今週の歌』
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