2001年12月18日号(No.379)




目次

*『やつらが学んだこと』
*『先祖返りニューヨーク』
*『おせえよ「がんばれNY」』
*『VOICE』 @投稿『星条旗のこと』
*『たわごとコラム』
*『今週の歌』
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『やつらが学んだこと』

 やつら。飛行機でいろんなところに突っ込みやがったやつら。それをたく らみやがったやつら。そう、テロリストどものことである。
 やつらにとって9月のテロ事件は大成功だったのだろう。世界を一気に混 乱に陥(おとしい)れたのだから、これ以上の収穫はないはずだ。テロリス ト業界では、今回のテロは金字塔として残るに違いない。
 では、やつらは今後、9月のテロ以上の事件は狙わないのか。もっと派手 なテロは練らないのか。
 そんなことはないだろう。もしやるならば、きっと今回以上の事件を狙っ てくるはずだ。9月のテロで学んだことを参考にしながらね。
 やつらが学んだこと。私はそのことについてちょっと考えたのである。
 9月11日の出来事。そのあと、アメリカおよび世界で起こったこと。事 件直後のニューヨーク。そして人々。おそらくやつらは、それらのことを じっと観察していたはずだ。
 その際に学んだこと。それを想像してみたい。
 まず、「メディアの使い方」。
 今後のテロは、メディアの存在なしでは考えられないだろう。メディアが そこにいて、きちんとリポートしてくれるテロ。メディアが好みそうな、ビ ジュアル的にインパクトのあるテロ。そういう考え方がこれからは基本にな るのではないか。
 「テロの騒ぎを大きくする」という点において、今回メディアが果たした 役割はとてつもなく大きかった。特にテレビが流した映像のインパクトは強 烈だった。そのせいで世界が震撼したと言っても過言ではない。
 やつらにとって、こんなにオイシイことはないわけだ。自分たちがやった ことをメディアが世界中に流してくれて、地球の裏側に住む人々をも巻き込 むことができるのである。
 「メディア好みのテロ企画」。それがやつらの今後のテーマになるはず だ。
 次は、「やっぱりニューヨーク」。
 この街に住む私たちにとっては迷惑な話なのだが、やつらはおそらく 「やっぱニューヨークを狙ってよかった」と思っているのだろう。
 これは前記の「メディアの使い方」とも深く関係している。ニューヨーク ほど世界中のメディアが集まってる街はないからだ。ここで何かが起これ ば、一瞬にして世界中にそのニュースが送られる。
 また、ニューヨークは「アメリカ」「資本主義」「西洋的価値観」などの シンボルでもある。それらを敵対する人々にとっては、こんなにありがたい 街はない。
 最後に、これが一番言いたかったのだが、「次回は連発テロ」。
 9月の事件後の数週間を思い出してほしい。あの時期って、結構ヤバくな かったか。
 「ヤバい」というのは、「今もう一発やられたら、すんげえヤバい」とい う意味での「ヤバい」である。
 テロ事件直後は、さすがのニューヨークもかなり弱っていた。それはこの 街に住む私たちも同じだった。
 あのとき、私たちは一生懸命踏ん張ろうとした。ただ同時に不安だったの も事実だ。
 事件の翌週、私は地下鉄の中でふとこんなことを考えていた。
 「今来られたら、オシマイだな」
 その週にもう一回テロられていたら、ニューヨークは大変なことになって いたと思う。観光客激減どころじゃなく、この街に住んでる人間がニュー ヨーク外に大量に流出してたはずだ。
 もしやつらの仲間がその時期にニューヨークにいたなら、「今もう一発や られたら、すんげえヤバい」ニューヨークを見ているに違いない。
 で、やつらは考えるのである。「次やるなら連発だな」と。
 私たちは今回、やつらに想像力負けした。ワールドトレードセンターに飛 行機で突っ込むなんて、考えもしなかったのだ。
 次回というか、その次回を起こさせないために、そしてやつらが今回のテ ロで学んだことを発揮させないためにも、私たちも「悪魔の想像力」を働か せる必要がある。やつらの立場で物事を考えるのである。
 少なくとも私たちは、9月11日、世の中には悪魔の心を持つ人間が存在 することを学んだのだから。
                        ひろ
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『先祖返りニューヨーク』

 最近のニューヨークを見てると、私がここに初めて来たときのことを思い 出す。
 私がこの街に来たのは、92年2月。今よりも治安は悪く、景気もよくな かった。ホームレスも結構いた。
 テロ事件後、ニューヨークの空気がなんとなくその頃に似てきているよう な気がするのである。「昔の感じ」が再び登場し始めているのだ。
 この10年、ニューヨークはベターになる一方だった。街自体がどんどん きれいに、安全に、そして裕福になった。
 日本の著名人がときどき、最近のニューヨークについて「いかがわしい部 分がなくなった」と嘆いたりするが、そんなのはヨソモノのたわごとでしか ない。この街に住む人間にとっては、やっぱりきれいで安全なほうがいいの だ。
 そんなニューヨークが突然コケた。原因は9月のテロ事件。本当にスッ コーンとコケたのである。
 10年間積み上げてきたものを一気に崩された。まさにそんな感じだっ た。それはニューヨークという街だけでなく、ここの日本人コミュニティに ついても言えるが、後者についてはまた別の機会にお話しする。
 「昔の感じ」が戻ってきてるのは、ここ1ヵ月ぐらいの犯罪件数やホーム レスの増加を見れば明らかだ。この前なんか、25時間のあいだに8件の殺 人事件が発生した。場所はマンハッタンの上のほうとブルックリン。最近結 構安全にはなったが、昔はヤバかったところである。その辺から再び危なく なり始めている。
 もうひとつ、「昔の感じ」を蘇らせるのが、日本の日本人のニューヨーク に来ることに対する反応だ。
 「あんな危ないところ、行けないわよ」。今回は理由がちょっと違うが、 10年前もニューヨークに対してはそんな反応が多かった。みんなもう忘れ ちゃったかもしれないけど、そんな時代もあったのよ。
 最近ニューヨークに来た日本人から「命がけで来ました」とか「親に泣い て止められました」などの話を聞くたびに、私は昔を思い出すのである。お そらく私よりももっと前にこの街に来た人たちのほうが、「日本人がニュー ヨークを危ないと思っていた時代」のことをよくご存知だろう。
 私が知ってる限りでは、この10年で日本人のニューヨーク観はかなり変 わった。アブナイ度が減り、航空券も大幅に値下がりし、ものすごく来やす い街に変身したのである。
 それが今回の事件でオジャン。見事に先祖返りした。
 はっはっは。
 というわけで、また振り出しに戻ったのである。日本人観光客が安心して 訪れることのできる街作りを再スタートしなければならない。
 いつまでもウダウダしてるつもりはないけど、なんかなあ。やってられん よね。
 憎きテロリストの腐れウンコども。どうしてくれようか。ちくしょー。
                       ひろ
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『おせえよ「がんばれNY」』

 日本のテレビ局が新年に向けて「がんばれNY」的な特別番組をこぞって制 作中という噂を最近聞いた。
 ありがたいことである。ニューヨークのことを日本でいろいろ宣伝してく れるのだろう。感謝の気持ちでいっぱいだ。
 ただ、ひとことだけ言わせてほしい。
 おせえよ。
 ついでに、もうふたことみこと言わせてほしい。
 なんで3ヵ月遅れで「がんばれNY」なんかやってんだよ。今ごろがんばっ たっておせえんだよ。おめえらがチンタラしてる間にみんな仕事なくなっ ちゃったじゃねえか。会社やめたとこもあんだぞ。ったく。
 失礼しました。
 日本のメディアが「がんばれNY」的な方向に動いてくれるのは非常に喜ば しきことである。でも、遅いのだ。なんで今ごろ? この3ヵ月間、もしか したら寝てたわけ?
 ニューヨークは、テロ事件直後からがんばっていた。他の国々もそれをい ろんな面で応援してくれた。特にヨーロッパ諸国には感謝している。観光客 をガンガン送ってきたからな。
 それらのことを日本のメディアが日本で報道したかどうかは、私は知らな い。ジュリアーニ市長の「ニューヨークに来てちょうだい」メッセージが日 本に届いてたかどうかも未確認だ。
 でも、ひとつだけ明らかなのは、「がんばれNY」モードが日本では3ヵ月 遅れで登場したということだ。
 喪に服していたのか。それとも先に書いたように寝てたのか。
 日本のNuts読者からのメールには「がんばれNY」的なテンションが十分感 じられた。つまり一般の人たちの中には「がんばれNY」モードは存在したの である。
 なのに今ごろ「がんばれNY」。3ヵ月遅れで「がんばれNY」。なぜだ。
 ニューヨークを訪れる観光客の中で、いまだに戻ってきてないのは日本人 だけである。それと3ヵ月遅れの「がんばれNY」は深く関係している。要す るに「がんばれNY」するのが遅いから、日本人観光客が戻らなかったのであ る。
 日本のテレビ局の皆さんには、「がんばれNY」企画をぜひ成功させてほし いと思う。今からでも遅くはない。3ヵ月遅いけど。でも、やらないよりは やるほうがずーっといい。そんなわけでよろしくお願いします。
 しかし、3ヵ月遅れの謎は静かに残るのである。これは研究に値するね。
 日本のメディアの報道姿勢が問題なのか。それとも日本人の国民性に原因 があるのか。ちょっと考えてみたい。
                        ひろ
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『VOICE』

@投稿『星条旗のこと』
 まさこさんの投稿を読んで、ふと思いました。日本人って、アメリカの人 より、Latinoの人より、冷静なんじゃないか?って。
 実は、私もずっとまさこさんと同じように考えていました。「なぜ、私た ち日本人は日本人であることに誇りをもっていないように感じるのだろ う?」と。
 それは、「日本人のここが悪い」みたいなことを喧伝するメディアのせい なのか、とか、でも、「日本人は偉いんだ。素晴らしいんだ」みたいにヒス テリックに叫ぶ人たちにもピンとこなくて、居心地の悪さを感じていまし た。
 まさこさんの投稿を読んで気づいたのは、こういうことです。
 つまり、日本人の多くは、自分たちの政府がやっていることが欺瞞に満ち ていること、国家としての日本がそれほど誇りに思えることをやっていると は思えないことを、冷静に知っているのです(それなりに、、、ね)。なぜな らば、20世紀の前半に、政府の暴走によって、ひどい目に遭ったから。
 かつて、軍事教育とメディア操作によって、日本人は熱狂しました。すご いパワーを感じていたと思う。それに乗れなかった人たちは、無力感を感じ ながら、戦禍に巻き込まれていった。そういった全てのことが、終戦で、憑 き物が取れたように、ストンと無くなった。
 この辺の高揚感と虚無感のギャップを味わった世代がいるのは、日本の特 徴なのかもしれないと思いました(ドイツとかもそうなのかな?)。だから、 わりと「愛国主義」に乗らないんだと思います。
 でも、そのことと、自分の生まれ故郷に愛着を感じるのは別だと思いま す。ただ、いろいろといわくのある、戦争時代から続く国家や国旗に、無防 備な愛着を感じたり、表現したりする人が少ないのだと思います。
 う〜ん、そう考えると、国家や国旗を変えちゃって、「さぁさぁ、みなさ ん、どんどん愛国心を国家や国旗で表現しましょうねぇ〜」とやったほう が、「愛国主義者(?)」の思うつぼだと思うのですが、ねぇ、、、(笑)
                        あや
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『たわごとコラム』

 先日、JFK空港のターミナル4に行ったときの話である。
 キューバからニューヨークに遊びに来ていたかみさんのおばさんを見送る ために、私はかみさんと義父母と共にターミナル4にいた。
 このターミナル4だが、かなり新品でそこら中がピカピカしていた。つい 最近改装したばかりなのだろう。
 そこのトイレもすべておニューだった。私は小のために新品の男性用便器 の前に立った。
 ジッパーを下ろしながら、ふと便器の中を見ると、ボトムから15センチ ぐらいのところに、なんとハエがとまってるではないか。
 私は慌てて大切なものをパンツの中から取り出した。「急げ急げ逃げられ るぞ」。心の中でそうつぶやきながら。
 そして発射。見事に命中した。まだ腕は落ちてなかった。なんの腕だ。
 かわいそうなハエさん。でも相手が悪かったのよ。
 そんなことを考えながら便器の中を見ると、ハエさん、しぶとく残ってる じゃないの。いかんいかんと、放水量を最大限までアップ。思わず尿道に痛 みを感じる。
 それでも耐えるハエ野郎。不死身バエだ。てなことを考えてる間にこっち の弾が切れる。なんなんだこのハエは。
 よく見ると、それは便器に直接描かれたハエの絵だった。隣の便器にもそ の隣の便器にもハエがいた。
 ワナだったのだ。そのワナにはまって、危うく尿道を傷つけそうになった 私。デンジャラスな午後だった。
                     ひろ
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『今週の歌』

「飲み会が 続くこの時期 私には
           地雷原を 歩くかのよう ひろ」
 

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「週刊Nuts」編集部


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