2002年1月29日号(No.384)




目次

*『パニックについて』
*『日本人観光客が消えた3』
*『NY”グサリ”シリーズ』
*『たわごとコラム』
*『今週の歌』
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『パニックについて』

 最近、「パニック」という現象についてよく考える。
 パニックにはいろいろある。仕事でパニクるとか、クマに襲われてパニク るとか。
 今回私がいろいろ考えたのは、9ー11のような状況におけるパニックに ついてだ。
 突然ですが、ここで皆さんに質問です。9月11日のテロ事件の際に ニューヨークでパニックが起きたと思いますか。たとえばツインタワー崩壊 直後、ワールドトレードセンター近辺は大騒ぎだったわけですが、そのとき 人々はパニクってたと思いますか。
 さらに質問。
 もし「イエス。パニクった」とお考えなら、その印象はどこで植え付けら れたのでしょうか。テレビの映像ですか。それともアナウンサーが「パニ クった、パニクった」と言ってましたか。
 テレビで流れた映像から判断すると、かなりの人たちが「イエス。パニ クった」と答えるのではないか。そうでしょ? 違いますか。
 ちなみに、最初の質問:「パニックが起こったと思うか」に対する私の答 えも「イエス」である。ただし「でもテレビを通して見てた人が考えてるほ どはパニクってない」というのがそのあとにつく。
 確かにあの日、だれかがどこかでパニクったと思う。空から飛行機の破片 が降ってきたとか、塵煙に追いかけられたとか、そういうことによってパ ニックになった人はいるだろう。
 しかし、である。これは結構自信を持って言えるのだが、今回の事件をメ ディアを通して見てた人が思ってるほど、人々はドタバタしなかった。少な くとも私はそう考えている。
 先週お話ししたように、ツインタワー崩壊直後に私が撮った写真には、 塵煙に追われながらも余裕カマして歩いてる人たちがたくさん写っていた。
 余裕カマし写真を撮ったのは私だけではない。今回のテロ事件の写真が掲 載された雑誌や本などに目を通すと、ときどきそういう写真に出会うことが ある。
 また、テレビなどで放映された塵煙のシーンなどをよく見ると、逃げてる 人たちが全力で走ってないのである。なんかどっかに余裕があるのよね。 はっきり言えるのは、それはパニクった走り方ではないということだ。
 ここから話がかなりズレる。
 私が今回、ひとつ思ったのは、「私たちは”パニック”と聞いたときにど ういう状況を想像するのか」ということだった。
 たとえば「パニクった走り方」。
 普通に考えると「パニクった走り方」というのは、キャーキャー叫びなが ら走るとか、両手を上げてバタバタさせながら走るとか、そういう走法のよ うに思える。
 しかし、これまで私は9ー11のような事件に遭遇したことはなく、そう いう現実のシーンをニュースで見たこともほとんどない。なのにどうして 「パニクった走り方」を知っているのか。
 答えは「映画」&「テレビ番組」だ。それらのキャーキャー走りや両手バ タバタ走りのイメージをGetしたのは、明らかに映画やテレビ番組からだっ た。
 それらのフィクション映像は、基本的にエンターテイメントだ。観客を驚 かせたり感動させたりすることを目的とした映像である。したがって、俳優 たちの演技も実際より派手になりがちだ。その結果生まれたのが、パニック の際のキャーキャー走りや両手バタバタ走りだった。
 走り方だけではなく、パニックそのもののイメージについて、私たちが最 も強く影響を受けているのも映画やテレビ番組なのである。おそらくそれは 間違いない。だって、本物のパニックシーンなんてそんな簡単に経験したり 見たりできないじゃん。
 ということは、一般の人たちが持つ「パニック」に対するイメージ自体 が、最初から間違ってるということになる。
 話を戻す。
 「私たちが持つパニックのイメージは最初から間違ってたのよ」というこ とになると、話がかなりややこしくなる。すべて振り出しに戻っちゃうのよ ね。
 たとえば、人間がパニクった際にどう行動するかについてはだれも知らな いわけで、もしかしたら「塵煙に追われながらも余裕カマして歩いていた 人」も実を言うとパニクった結果、歩いてしまったかもしれないのだ。
 つまり、「パニクった=思わず歩いちゃった」の可能性だ。
 そう言えば、私にも似たような経験がある。あれは、私が沖縄で素潜りの 漁師をしてた頃の話だ。
 私はその日も、いつものように水中銃を持って海面を泳ぎながら獲物を探 していた。すると突然目の前にサメが現われたのである。
 いや〜、ビックリしましたね。ははははは(と今は笑える)。
 そのサメ野郎は、私のまわりをグルグル回り始めた。私は水中銃をそいつ に向けてはいたが、頭の中は完全パニック。脳がジンジンした。
 そんな状態の中、ほんの数秒だけ我に返った瞬間があった。そのとき私は 愕然とした。なんと私は、サメ野郎をにらめつけながら、ニヤニヤ笑ってい たのである。
 結局、サメ野郎はしばらくしてどっかに消えた。そのおかげで現在の自分 があるわけだが、人間というのはパニクった場合に「笑う」可能性もあると いうことを私はその経験から学んだ。だったら「パニクった=思わず歩い ちゃった」もアリだわなあ。
 でも、どう考えても、余裕カマして歩いてた連中は、パニクってたように は見えなかった。先週も書いたように、私には「鈍感」としか思えなかった のである。
 この話、どこに行くんだろ。自分でもわからん。
 ま、わかるとこだけまとめますか。
 今回のテロ事件の映像を見て、映画やテレビ番組で鍛えた想像力をバリバ リに働かせた結果、「多くの人たちがキャーキャー走りとか両手バタバタ走 りをやったんだろうなあ」とか思っちゃった皆さん、そのイメージ間違って ますよ。
 ツインタワー崩壊の映像等がものすごく映画的だったがために、多くの人 たちが必要以上に想像力を働かせ過ぎたのではないか。「マンハッタン、大 パニック」てな感じで、これまでに仕入れたいろんなイメージを総動員し て、頭の中に超ドタバタ状況を作り出したのではないか。
 少なくともキャーキャー走りや両手バタバタ走りは、多くの人たちが思っ てるほどは発生しなかったと私は思う。そういうのはやっぱ、映画とかの中 だけよ。
 先週お話ししたように、メディアはできるだけセンセーショナルな映像を 流そうとする。
 一方、受け手のほうも、日頃から映画とかテレビ番組とかで鍛えてるの で、ちょっとした映像で想像力をバリバリ働かせてしまいがちだ。
 つまり、送り手にも問題があり、受け手にも問題があるわけだ。
 物事をフラットに、そしてクールに伝えること受け取ることのむずかしさ を痛感する今日この頃である。
                       ひろ
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『日本人観光客が消えた3』

 今週も投書をご紹介しよう。
 では、どうぞ。
     *     *     *     *
 初めまして! いーーーーーつも楽しく読ませて頂いてます!
 私は、去年のお盆休みに「急に」思い立って、NYに行き、そこで すーーーかり「虜」となって、この年末年始も行ってきたものです。という 訳で、私の知る範囲で投稿させていただきます。
1)テロ後、ジュリアーニ前市長らが訴えていた「ニューヨークを訪れるこ とによるサポート」案は日本に届いていたのか。
 ぜんぜん!!!届いていません。暮れにNYに行って、あっちのチャンネ ルで盛んに「I LOVE NewYork」とか、NYで消費しましょう〜!ってコ マーシャルががんがんがんがん流れているのを見て、「え!? まだやって るんだ!」って結構驚きました。というのは、その手のCMが出来ましたと いうのは、テロ後しばらくしてマスコミやワイドショーで取り上げられたも のの、CMができた当初のみで、その後はいっさい触れられるコトは無かっ たからです。てっきり、「復興しよう!」という気運の盛り上がっている時 のみのCMだとばっかり思ってました。
2)もし届いていないのなら、なぜ日本のマスコミはそのことを伝えなかっ たのか。
 これは、本当に不思議です。あのCMを暮れに見ながら「なんで日本でこ のCMを流さないの?」と言うか、NYで流すより、NYじゃない所でもっ と流すべきじゃないの?と疑問だらけでした。まぁ、アメリカの他の州では 流れているのかもしれませんが・・・。
3)届いていたとしたら、なぜ日本人観光客はニューヨークに戻ってこな かったのか。どうして日本人だけにそれが起こったのか(他の国の観光客は 戻ってきた)。それは国民性のせいなのか。
 確かに、夏に行った時よりも格段に日本人を見かけるコトは無かったです ね。行き帰りの飛行機も同じ会社を使い、夏も冬も一番混む時期だったにも かかわらず、冬は日本人よりもアメリカ人の搭乗客の方が多かったです。
 日本では、確かに「おせ〜よ!」的な時期に「がんばれNY」特集をやる 番組もありました。しかし、そこで取り上げられるのは、「頑張ってるNY の人」などが主で、「いかにも日本人観光客が行きそうな」観光地に関する 「復興情報」は少なかった気がします。テレビ局としては、隠れたNY・が んばってるNYにスポットを当てたかったんでしょうが、観光客はやっぱり 「自由の女神」やら「エンパイア」やら「ブロードウェイ」に行きたい訳で すよね(私はあんまり行きませんでしたが・・・)。そういう所が、まだ通 常営業になってないのか、交通の便がどれだけ回復しているのか、などの情 報は、私も行くまで判りませんでした。「おせ〜よ!」の上に「ポイントズ レてるよ!」だったんじゃないでしょうか?あくまで「お金を落とす典型的 日本人観光客」向きの番組にすべきではなかったのかなぁ?と思います が・・・(私はあんまり日本人が居なかったおかげで、かえって満喫できま したが)。
 というような感じです・・・。
 思いつくまま書き殴りましたので、乱文、お許しください!!
                      I.S.      *     *     *     *
 投書ありがとうございました。感謝感謝でございます。
 というわけで、日本にお住まいの皆さんからの投書をまだ募集中。私のほ うからお聞きしたいのは以下の3点だ。
1)テロ後、ジュリアーニ前市長らが訴えていた「ニューヨークを訪れるこ とによるサポート」案は日本に届いていたのか。
2)もし届いていないのなら、なぜ日本のマスコミはそのことを伝えなかっ たのか。
3)届いていたとしたら、なぜ日本人観光客はニューヨークに戻ってこな かったのか。どうして日本人だけにそれが起こったのか(他の国の観光客は 戻ってきた)。それは国民性のせいなのか。
 送り先はnynuts@rcn.com。投書お待ちしてます。
                       ひろ
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『NY”グサリ”シリーズ』

 どういう展開になるかわからんが、とりあえず始めてみようと思う。 『NY”グサリ”シリーズ』である。
 「グサリ」というのは、ナイフなどの刃物が刺さるときの「グサリ」ね。 要するに「刺さる」ってことを言いたいわけよ。
 ニューヨークに住む日本人がいかにしてこの街に刺さるか。それをいろい と考えるコーナーである。
 今年の一番初めの号に、私は『表面ナメナメNYJJ』という文を書いた。内 容は「ニューヨークの日本人は観光客に毛が生えたぐらいのもんで、じぇん じぇんこの街に突き刺さってないよね」というものだった。
 また、私はその文の中で「遠足気分」という言葉を使っている。
 ここの日本人コミュニティは、ニューヨークという肉体の一部にはまだ なってない、というのが私の意見だ。この街の表面をナメてるだけ。だから 『表面ナメナメNYJJ』なのである。
 「表面をナメてるだけじゃ悪いわけ?」という声もあると思う。
 悪いよ。話になんないよ。
 ほら、テロ事件のあとみたいに、日本人観光客が急にニューヨークに来な くなったりすることもあるわけじゃない。そういうときに市とかにコネク ションがあれば、いろいろと手が打てるでしょ。
 他には、日本人を対象にした悪質な犯罪が多発したときに、NYPDとなんら かのつながりがあれば、防止できるかもしれないわけよ(これは現在やり 中)。
 表面をナメてるだけでは、そういうネットワークはできないのである。
 だから『NY”グサリ”シリーズ』なのである。
 てなことでスタートしたこのコーナーだが、ただ前記の2つの例は『NYJJ 基礎体力作り』のほうでやることになっている。よってここでは、『NYJJ基 礎体力作り』でカバーできないネタや、「グサリ」するのに邪魔なものなど を取り上げていくつもりだ。
 よろしく。
 とりあえず今回は、意気込みだけご紹介して終わることにしよう。
                        ひろ
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『たわごとコラム』

 クリスマスカードを送ることが嫌がらせになる。そんな年が、これまで あっただろうか。
 去年の年末、私はその誘惑に必死に耐えていた。「嫌いなヤツにニュー ヨークからクリスマスカードを送る」。特に日本を対象とする場合に絶大な る効果を発揮するだろうと私は読んでいた。
 白い粉を入れてしまうのはやはりルール違反。クリスマスカード1本で攻 めるべきだろう。さて、だれにしようかな・・・とか考えてる間にクリスマ スも正月も終わってしまった。
 こんなチャンス、もう二度とないのに。無念。
                        ひろ
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『今週の歌』

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