2002年4月2日号(No.390)
目次
*『CBSの9ー11番組について』
*『NY”グサリ”シリーズ4』
*『日本救出2兆円作戦19』
*『編集後記』
*『今週の歌』
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『CBSの9ー11番組について』
CBSのドキュメンタリー番組「9/11」に関する私の感想話の続きである。
私が同番組についておもしろいなと思ったのは、その内容ではなく、
「まわり」の反応だった。
「まわり」というのは、視聴者とか他のマスコミとか、そういうのをみん
な含んだ「まわり」である。
「9/11」が放送される前、ちまたに多かったのは「なんで今ごろ?」とい
う声だった。要するに「なんで6ヵ月も経ってから放送するんだよ」という
見方である。
6ヵ月を長いと見るか短いと見るかは、意見の分かれるところだが、少な
くとも放送前は、「6ヵ月は長い」=「なんで今ごろ?」派が優勢だったと
私は感じた。皆さんはどうお感じになっただろうか。
それが、である。放送後、世の中を覆ったのは「早すぎる!」という意見
だった。マスコミもそういう声ばかりを取り上げていた。
私には、ちょっと前まで「なんで今ごろ?」と言ってた連中が、急に「早
すぎる!」と言い出したようにしか見えなかった(マスコミも含めてね)。
番組を見て、意見を180度変えたのである。
ホント人間って現金よね。コロコロ変わるんだ、これが。
ま、世の中には自分の意見をコロコロ変えるヤツなんて山のようにいるわ
けで、今回の転向も驚くほどのことではない。
ただ、なぜ彼らが意見を変えたのか、そして放送後、なぜ急激に「早すぎ
る!」の声が大きくなったのか、という点については考える価値があるだろ
う。
そこで私は先日ランチタイムに、ヤキソバと鮭おにぎりをウーロン茶で流
し込みながら、そのことについて考えたのである。ついでに、自分自身の精
神がその番組にどうリスポンスしたかも分析した。
その結果、導いた結論は、以下のことだった。
「人間の”忘れる能力”っていうのは大したもんである」
私は今回、そのことを痛感した。
「9/11」放送後、人々が「早すぎる!」と騒いだのは、その映像がかなり
ショッキングだったためである。
ではなぜその映像は、人々にとってショッキングだったのか。
先週書いたように、「9/11」には、これまで一般の人たちが見たことのな
い映像が含まれていた(映像だけでなく音も)。人が地面に叩き付けられる
音は、やはりショッキングだった。
しかし番組の中の半分以上は、すでに私たちが知ってる風景だった。
それは、「同じ映像を見たことがある」という意味ではなく、ツインタ
ワーが崩れ始めて走り出す人々の絵は、これまで別の映像で何回も見たシー
ンだったである。
なのに多くの人が今回の番組にショックを受け、「早すぎる!」と怒っ
た。
なぜか。
原因はひとつ、彼らが9月11日のことをかなりの部分、忘れていたから
だった。
同番組によって眠っていた記憶が揺り起こされ、脳裏に蘇った。人々がア
プセットしたのは、眠っていた記憶を「揺り起こされ」たからである。あの
日の記憶が、その番組によって一気に戻ってきたのだ。
だから、人々にとってショッキングだったのは、今回のドキュメンタリー
番組の内容だけでなく、それによってあの日の記憶が一気に蘇ったことだっ
た。
「蘇った」ということは、つまり「忘れていた」ということでもある。先
の「人間の”忘れる能力”っていうのは大したもんである」話は、ここにつ
ながってくる。
今回の「なんで今ごろ?」&「早すぎる!」議論や自分自身のことを考え
て気づいたのは、「あの日のことを相当忘れている自分がいる」ということ
だった。
私が「9/11」を見て一番驚いたのは、自分自身についてだった。9月11
日のことを信じられないくらい忘れているオノレを見つけたのである。
その「忘れ度」はすごかった。
私自身はしっかり覚えていたつもりでも、「9/11」を見てる最中に寝てい
た記憶たちがガバッ、ガバッと起き上がってくるのを感じたのである。それ
はまるで、何百という棺の中のミイラたちが、ひとりずつ、ガバッ、ガバッ
と起き上がるかのようだった。
それと同じことが多くの人たちのココロの中で起こったのではないか。
だからこそ人々は、アプセットして「早すぎる!」という理由を付けて騒い
だのではないか。
ところで、その「早すぎる!」だが、「だったら1年後ならいいのか」と
いう話に当然なる。
1年後、私たちは9月11日のことをもっと忘れているだろう。つまり6
ヵ月後よりも多くのミイラが寝てるってことね。
ということは、「9/11」を見ることによって、今回よりももっと多くのミ
イラたちが起き上がる可能性があるわけだ。それはそれでかなり痛いそうで
ある。下手したら、6ヵ月後よりショックかもしれない。
反対に6ヵ月より前に放送してたらどうなったのだろう。起き上がるミイ
ラの数も限られてるし、その点については人々のアプセット度も低かったと
思うが、一方で眠ろうとしているミイラたちを起こしっぱなしにしてしまっ
たかもしれない。要するに、記憶が眠ろうとしてるときに刺激を与えたせい
で、眠らすことができないのである。それもツラそうだなあ。
そんなわけで、「なんで今ごろ?」&「早すぎる!」議論はナンセンスと
いうのが、私の結論なのである。どっちにしろ痛い部分が出るからだ。
最後に「忘れる能力」に関してもう少しお話ししたい。
人間の「忘れる能力」は偉大だと思う。これナシには人間はサバイブでき
ない。
ヤな思い出はだれにだってある。それらを毎日ココロに抱えて生きるのは
ツラい。だから、奥のほうの引き出しに入れおく。それを「忘れる」とい
う。
特に9月11日を目の前で見た人間にとって、「忘れる能力」は重要であ
る。あんなシーンを毎日頭の中で反すうしてたら、気がおかしくなってしま
う。
個人的な話になるが、私はよく人に「悩み事ってあります?」と聞かれ
る。まわりから見てると、悩み事がなさそうに見えるらしい。
実際、悩み事はそんなにない。というか、「ふむ〜」ということがあって
も、すぐ忘れてしまうのである。
その原因は、昔、素潜りの漁師をやってたからだ。
漁師時代、息ごらえをし過ぎたため、脳味噌の細胞が酸欠でかなり死んで
しまったのである。それが使ってない脳細胞だったらよかったのだが、アン
ラッキーなことに使ってるヤツが死んだ。その結果、記憶力というのが急激
に落ちたのである。
記憶力の低下は、イコール「忘れる能力の強化」でもある。
それ以降、ただでさえ脳天気だった性格がさらにパワーアップされること
になった。スーパーサイヤ人並みの脳天気の誕生である。
話がズレた。
今回のCBSの「9/11」だが、本当にいろんなことを考えさせてくれた。
見てよかったと思う。まだ見てない人がいたら、ぜひおすすめする。
見てる最中、棺の中のミイラたちが起き上がってくるのを感じるだろう。
結構アンカンファタブルだけど、死にはしない。それで自分自身の「忘れ
度」がわかるはずだ。
試してみてほしい。
ひろ
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『NY”グサリ”シリーズ4』
先週、アストリアに新しくできた日系コンビニのことを書いたら、今度は
ミッドタウンに日本のカフェがオープンした。喫茶店ではない。オープンカ
フェって感じの店だ。
場所は41丁目の5とマディソンの間。ブックオフの並びである。
日本風のパンが売ってあって、それをイートインできる。
噂によると、その他にも近々日系グロッサリーがあの辺りに出てくるらし
い。それと、23丁目の東側にも同じような店ができるという話を聞いた。
なんか一気に来てる感じ。
日系の店舗がいっぱい出るのは、日本人にとっては嬉しいことである。ど
んどんやってほしいですね。
日本食自体はすでにニューヨークに浸透しているが、今回の出店ラッシュ
はその周辺食、つまり日本のパンやお菓子とか、これまでアメリカ人にはあ
まり知られてなかった「日本の食べ物」が、ニューヨークでもかなりポピュ
ラーになってきたということを証明している。
クソ甘いパンや着色料ギンギンのお菓子が溢れるここアメリカにおいて、
「繊細」という言葉がピッタリの日本のパンやお菓子が商品として登場する
ことは、ニューヨーカーにとってグッドニュースだ。これで一部ニューヨー
カーの太り過ぎが止まることを私は祈っている。
日系食料品店や日本風パン屋さんの登場は喜ばしいことだが、それと同時
に彼らの進出を可能にしてくれた先駆者たちにも感謝すべきだろう。
大吉寿司、サンライズマート、PANYA、やぐら。彼らの「さきがけ」とし
ての活躍がなければ、今回のブレイクはなかったと私は考えている。
これまで日本人だけの食い物だった日本風のパンやお菓子を、ニューヨー
カーたちに紹介したのは彼らだ。そこを忘れてはいけない。
ところで、過去に日本食ブームは何回かあったが、それらは基本的に日本
食レストランを中心に展開された。SushiでもSakeでも、そのコアは日本食
レストランだった。
ただ、今度起こるかもしれない日本食ブームは、過去のものとはちょっと
違ったものになるかもしれない。最近の日系食料品店やカフェの出具合を見
ていると、次回の日本食ブームの中心は彼らになる気がするのである。
日本食ではなく、その周辺食。レストランで食べるものではなく、店で
買ってうちで食べる日本の食べ物がブレイクするのではないか。私は「す
る」と見ている。
ニューヨークでブレイクするということは、この街に”グサリ”と刺さっ
たという意味だ。ナイスである。
日系の出店ラッシュ。それがこれからどういう展開を見せるのか、楽しみ
である。
ひろ
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『日本救出2兆円作戦19』
「訪日観光を日本で盛り上がらせるにはどうしたらいいのかしら・・・」
先週末、私はうちのトイレを掃除しながらそんなことを考えていた。
ポイントはやはり政治だろう。政治を動かさなければ、社会はなかなか動
かないからだ。
ところが、日本の政治は鈍感ときている。また同時にモノ分かりがかなり
悪い。
そんな彼らに対して地道な説得作業を続けることも大事だが、作戦とすれ
ば、たまに彼らに見えるように打ち上げ花火を上げることも大切だ。
それは通常、イベントであったりデモであったり署名運動であったりする
わけだが、ただ、この訪日観光は扱いが結構むずかしい。デモとか署名とか
するもんでもないしね。
過去の在外投票のドタバタでは、こういうとき、新聞とか雑誌への投稿を
多用した。イベントもデモも署名もやっちゃった、あるいはやる予定がない
場合、マスコミへの投稿というのはヒマ潰しにもピッタリだし、何よりも政
治への明確なメッセージとなるのである。
「そうね、そんじゃ投稿でもしようかな」
きれいにしたトイレで最初のウンコをしながら、私はそういう結論にウン
チついた、いや、落ち着いたのである。
失礼しました。
投稿するのであれば、やはり新聞が一番である。読んでる人の数が違うか
らね。それに毎日出てるから載る可能性も高い。
まずは投書欄に出しといて、それがうまく掲載されたら次は、もう少し長
い文をオピニオン欄に投稿。ポイントは、投書欄に出したあと、しばらく時
間を置くことだ。続けてはノーグッド。じっくり攻めるべきだろう。
できれば朝日と読売をおさえたい。この2紙に載ればバッチリだ。
在外投票の際もこの方法を使った。効果はそれなりにあったし、投書欄に
載ったらバスタオルをもらえるっていうのが嬉しかった。ちょっとポイント
が違いますが・・・
世の中に対して何か仕掛けたいという人には、まず最初にこの「マスコミ
への投稿」という方法をおすすめする。最近はEメールでの投稿もできるし楽
なもんである。5、6年前までは手紙かFAXだけだったもんなあ。
また、投書を出すのにもいいタイミングというものがある。
たとえば、「失業率が5%を越えた」とかいう記事が載った翌日に、具体
的な雇用創出案などを投書すると載る確率が高くなる。私もその方法で一度
載ったことがあるから確かだ。
訪日観光推進ネタを投書するなら、この4、5月しかない。なんとしても
ワールドカップの前に出さんとね。
バスタオルGetのためにも、早速執筆に取りかかることにしよう。
ひろ
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『編集後記』
最近、「週刊Nuts」の発行が再び遅れ始めました。ごめんなさいね。いろ
いろと忙しくて。
それと月刊の「ぶりてんNuts」も休眠中で申し訳ないです。近々復活しま
すのでよろしく。
「週刊Nuts」とか「ぶりてんNuts」は結構ボロボロなんですが、i-mode
用サイト「i love NY」(http://www.nynuts/i)で書き始めた日記は、比
較的まじめに続いています。
日記って、やるとハマりますね。なんか習慣になる感じ。
でも反対に、手で書くほうの日記は、1回書いただけで終わってるんで
す。不思議ですよね。
日記だけじゃなく、「週刊Nuts」と「ぶりてんNuts」も手抜きせずにがん
ばります。はい。
では、また来週。
ひろ
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『今週の歌』
「日が暮れる 時刻が少し ズレてきて
ちょっと得した 気分の午後5時 ひろ」
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