2004年5月18日号(No.451)



目次

*『今週の問題』
*『NY現実堂でおま11』
*『NYJJ構造改革16』
*『今週の歌』
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『今週の問題』

 待てど暮らせどなかなか来ないケーブル屋。ケーブル屋の部分を「電話屋」 にしても可だ。
 ニューヨークにお住まいの皆さんなら、最低一度は経験してると思う。
 自宅にケーブル回線や電話線を引くために、業者の到着を待つあなた。
 時間が過ぎても彼らは一向に現れない。その遅れ具合は、「遅刻」という生 易しい言葉では表現できないほどのブッチだったりする。
 午前中に来ると言った彼ら。それを信じた自分。時計を見ると、すでに午後 3時。一日が台無しだわ。
 怒りまくって会社に電話しても、オペレーターは「もうすぐ着くはず」とし か言わない。
 そして時刻は午後5時。一体どうなってんのよと電話すると、オペレーター が冷静に言いやがるのである。
 「今日は行けなかったみたい。明日ね」
 もし私に超能力があれば、躊躇なく、そのオペレーターの首から上を遠隔操 作で360度回してしまうだろう。クキキキとかいって。
 そうなのである。彼らは絶対、時間を守らないのだ。
 それは常識というより、法律に近いかもしれない。アメリカに入国するには 何らかのビザが必要なように、ケーブル屋や電話屋は時間通りに来ないのであ る。
 ニューヨークに10年以上住むと、「彼らはなぜいつも遅れて来るか」など とは考えない。「遅れるのが当たり前。時間通りに来るほうがおかしい」。そ れが自分の中でのケーブル屋や電話屋に対する認識となるのだ。
 私の場合も、彼らに対する「なぜ?なぜなの?」を忘れて、すでに10年以 上が経った。ケーブル屋や電話屋が遅れて来る理由など、ここ10年考えたこ ともなかった。
 ところが、である。先日のある出来事をきっかけに、その「なぜ?なぜなの ?」という問いが復活してしまったのである。
 その日、私は、会社を休んで自宅の近くをジョギングしていた。「休んで、 なんでジョギングしてんのよ?」という疑問が浮かぶかもしれないが、それは 本題とは関係ない。見逃してほしい。
 私の自宅の近くに大きなアパートがあり、ジョギングする際はそのまわりを チンタラ走ることにしている。また、同アパートの裏手には行きどまりの広い スペースがあり、車を停めて昼寝している人たちをよく見る。
 ジョギングしながら、ちょうどその行きどまり付近を通り過ぎようとしたと き、私は数台のバンが停車していることに気がついた。
 合計で6台。バンの側面に会社名が書いてある。
 「Time Warner Cable」
 ケーブル屋の皆さんだった。
 彼らはバンから降りて、円陣を組むようにしてベチャクチャおしゃべりして いた。
 「ケーブル屋か。ヒマなのかな」
 私はそんなことを考えながら、ジョギングを続けた。
 と、そのときである。
 天から突然、「ケーブル屋はなぜいつも遅れて来るか」という問いが降って きたのだ。
 私はすかさず、心の中でその問いに答えた。 
 「それは、ああやっておしゃべりしてるからで〜す」
 私はニューヨークに来てから12年間、「彼らはなぜいつも遅れて来るか」 の答えを知らずにこの街で生きてきた。
 そして、とうとう見つけたのである。彼らはおしゃべりしてたのだ。
 彼らがいつも遅れて来る理由の候補は、他にもいくつかあった。たとえば、 会社側によるアポの入れすぎとか。
 しかしケーブル会社もバカではない。午前10時のアポの次に、午前10時 15分のアポを入れるとは考えられない。スケジューリングには、それなりに 気を使ってるはずだ。
 「彼らの仕事が遅すぎる」という説もある。
 確かに彼らは仕事が遅い。日本人に比べると、アメリカ人の仕事ぶりは 「亀」である。
 ただ、彼らも一応プロフェッショナルだ。遅いと言っても、客の家に行って 昼寝はしねえだろ。ましてや、ケーブル引くのなんか簡単である。それほど時 間がかかるわけがない。
 となると、残された理由は「サボり」のみである。
 でも私は、彼らがサボっているなど、これまで考えたこともなかった。
 だって、アポが入ってんのに彼らは平然とサボるのよ。待ってる人がいるの に、女子高生みたいに輪になっておしゃべりしちゃうんだから。そして、お しゃべりしまくった結果が「今日は行けなかったみたい。明日ね」なのだ。大 した根性である。
 おそらく日本人には真似できないと思う。アメリカ人だからこそできるワザ なのだ。
 客のことなんか、知ったこっちゃない。ひとの一日を台無しにしても、罪悪 感は皆無。まるで、米軍のイラク侵攻を見るようですな。
 ここで再びジョギングのシーン。
 アパートのまわりを1周して戻ってくると、彼らはまだおしゃべりしてい た。楽しそうだった。
 私は頭の中で、彼らの首から上を360度回転させた。
 クキキキという音が聞こえたような気がした。
                      ひろ
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『NY現実堂でおま11』

 今回は「ニューヨーク=裸の王様」論について語ってみたい。
 ちなみにその「ニューヨーク=裸の王様」論だが、私が考えた。思いついた のは先月かな。アイデア自体は前からあったのだが、正式に名前をつけたのが 先月というわけだ。正式というのもなんだが。
 結構ゴージャスなネーミングだが、要するに「ニューヨークって、“裸の王 様”状態じゃない?」ということだ。
 世の中、特に日本では、いまでもニューヨーク信仰みたいなものがある。 「ニューヨークはなんでもすごい」というイメージというか思い込みという か、そういうものが多くの人のアタマの中に存在している。
 別に「ニューヨークはなんでもすごい」といつも考えてるってことじゃない のよ。自分が気づかないレベルで、無意識のうちにそう考えてしまってるので ある。
 「いや、ボクは違うね」という人もいるだろう。ただ、私はこれまで、 ニューヨーク信仰の呪縛から完全にフリーな日本人というのに会ったことがな いのである。
 チャイニーズ系&コリアン系の人たちの中には、完全フリーなタイプが大勢 いる。でも、日本人にはいない。
 冷静に考えればわかるのだが、「ニューヨークはなんでもすごい」というの は明らかに嘘っぱちである。そんなことはない。ニューヨークにもしょーもな いところはたくさんある。
 しかし日本人はニューヨークを、まるで王様を見るような目で見がちだ。つ まり崇(あが)めてしまうわけですな。勝手に。
 ニューヨークにお住まいの皆さんはよ〜くおわかりだと思うが、実際の ニューヨークは「王様」と呼べる街ではない。食い物はマズいし、サービスも よくない。観れる映画だって限られてるし、東京に比べたら街自体も圧倒的に 小さい。確かにすごい部分もあるが、全体的にはそれほどでもないのである。
 でも日本人は、実際には大したことないニューヨークを過剰に評価しがち だ。
 ニューヨークにあるものであれば、なんでもかんでもヨシとする。マズいレ ストランもシケた繁華街も、みんなラブリー。また、日本で「ニューヨークに 住んでます」とでも言おうものなら、即座に「すごいですね」のリスポンス。 一体何がすごいんだろう?
 最近の日本人若い衆の中には、ニューヨーク信仰の呪縛からフリーな人も結 構いたりする。でも、日本人全体で言ったらまだまだよね。だって日本では、 メディアがニューヨーク信仰の宣教師みたいな状態なんかだから。
 その宣教師たちが裸の王様を指差しながら言うのである。「ほら、あれが王 様だよ。すごいだろ、あんなゴージャスな服着ちゃって」と。すると、言われ てるほうも「ああ、そうなんだな。すごいなあ」ということになるのだ。
 ホントは、裸なのにね。
 ニューヨークに観光に来た日本人の中には、「大したことないじゃん」と 思った人も大勢いるはずだ。
 でも、高い金払ってきたニューヨーク。それを言ったら自分がみじめにな る。だから「王様は裸だ」なんて言わないし、言えない。日本に戻ってからも 家族や友達に「いや〜ニューヨーク、よかったよ」と強がってみせたりなんか して。それがまた次の悲劇を引き起こすのである。一種のネズミ講みたいなも のだ。
 「ニューヨーク=裸の王様」の構造は、これまでそうやって維持されてきた のである。コワいですね。
 続きは次回に。
                    ひろ
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『NYJJ構造改革16』

 先週のチャイニーズ系&コリアン系カフェ話の続きである。
 さて、ニューヨークでは、そろそろスターバックスも飽和状態になりつつあ る。
 まだ出店するとは思う。でも、昔のような勢いはもうない。
 問題は「次」である。ニューヨークのカフェ業界で、次に何が起こるのか。 それを読むことができれば、カフェビジネスで成功することも可能だ。ポイン トは、ニューヨークのカフェが進化する方向である。
 スタバの出現は、ニューヨークにとって革命だった。要するに、スタバ以前 はその程度のレベルだったってことね。
 日本でもスタバはブレイクしたが、業態としてはすでにドトールがあったわ けだ。そういう意味では、日本のほうが進化が早いと言っていいだろう。
 私が考えるに、スタバの次に来るのは「食い物がそれなりにうまくて気軽に 入れるカフェ」になるはずである。つまり「食いものがうまいスタバ」であ る。
 スタバの食いものはマズい。そしてこれからもマズいままだと思う。
 ブルックリンにあるスタバの中は、人気レストラン「Cheesecake Factory」 のケーキを出してる店もある。ただ、あくまでも一部の店のみだ。
 「食いものがうまいスタバ」。チャイニーズ&コリアン軍団が目指すカフェ とは、それなんじゃないかしら、と私は考えるのである。彼らは「次」を狙っ てるわけですね。
 資本力ではスタバにかなわないことをチャイニーズ&コリアン軍団はよく 知っている。正面から勝負しても勝ち目はない。同じスタイルでは、確実に負 けるからだ。
 そこで彼らは「次」を狙うことにした。スタバより1ステップ先のカフェ業 態である。
 「食いものの充実」。彼らはそこに賭けるのだと思う。
 店内は、スタバと同じようにクリーンですっきり型。コーヒーもそれなりに うまいものを出す。そしてトドメが食いものである。チャイニーズ&コリアン 軍団なら、うまいものを出せるに違いない。
 悲しいことにスタバは、うまい食いものに関しては真似できないと私は思 う。そしたら、チャイニーズ&コリアン軍団にも勝機は十分ある。がんばって ほしいですな。
 ここで日本人の話。
 なぜ私たち日本人は、チャイニーズ&コリアン軍団のような作戦が仕掛けら れないのだろうか。時代について行くのではなく、自分たちで作るという姿勢 ね。そこが彼らとは決定的に違うのである。
 たとえば、「食いものがうまいスタバ」であれば日本人でもやれるはずだ。 というか、おそらく日本人のほうがチャイニーズ&コリアン軍団よりうまくや れるだろう。
 なのにやらない私たち。困ったもんである。
 どうするよ。ホント。
                   ひろ
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『今週の歌』

「仕事ない ビザも出ないし 未来もない
       だったら帰ろう また来る日まで ひろ」
        


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