2005年2月1日号(No.471)
目次
*『今週の問題』
*『ピラミッドのど真ん中』
*『不動産買え買え作戦4』
*『NYのマスオさん6』
*『今週の歌』
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『今週の問題』
2月2日付けの朝日新聞に「パリ症候群」に関するデカい記事が掲載され
た。
「パリ症候群」というのは、パリに住む日本人がよくかかる一種の精神病と
いうか、うつ病みたいなものである。
同記事から転載する。
<パリ症候群:あこがれを抱いてパリに住む日本人を襲う適応障害の一種。
日常生活のストレスが高じ、妄想や幻覚、自律神経の失調や抑うつ症状を招
く。パリで多発するのは@もともと過度の思い入れ(花の都幻想)を持ち、目
的意識があいまいで、経済力が弱い滞在者が多いA言葉の壁や現地社会の「不
親切さ」――などが背景とされる。問題が生じてもなかなか帰国せず、トラブ
ル後に帰国しても戻って来ることが多い>
要するに、ニューヨークの「ニューヨーク病」みたいなものよ。
私が「パリ症候群」に出会ったのは、いまから約10年前。『「在外」日本
人』という本の中で読んだのが最初だった。
私の本、『NYに住んでも幸せになれない』の中でもその「パリ症候群」に少
しだけ触れている。
で、わたくし、今回の記事にいくつか文句があるんですね。
まず、同記事を書くことになったキッカケっていうのが、フランスの『リベ
ラシオン』という新聞に載った記事らしいのである。
海外の新聞に載った日本人ネタを日本の新聞が追いかけるという構造。ニュー
ヨークでも昔、似たようなことがあった。
日本人観光客がカーネギーホールでカラオケ大会をやったんですね。そのこ
とを約1年後にニューヨークの地元紙が批判。すると、日本の新聞も追随して
批判しやがったのである。カラオケ大会直後はなにもせずに、地元紙が批判し
てやっと重い腰を上げたってことね。
パリ症候群もカーネギーのカラオケ大会も、日本人ネタである。だったら、
日本のメディアが最初に書けって。
「パリ症候群」という言葉自体は、10数年前から存在してたのである。
ちょっと気づくのが遅くないですか。
また同記事は、パリ症候群の原因に関するツッコミも弱い。
先のパリ症候群の説明の中にもあるように、「過度の思い入れ」や「言葉の
壁」などの問題が、同症候群の原因となってるのは明らかである。
で、ポイントとなるのは、そこからのさらなるツッコミだ。
パリ症候群の患者さんたちは、なぜパリに対して「過度の思い入れ」を持っ
てしまったのか。「言葉の壁」などの問題の存在をなぜ彼らは知らなかったの
か。
やっぱりそこまで深く踏み込まないと、ホントの原因って見えてこないわけ
でしょ。
ところが、である。記事は「過度の思い入れ」や「言葉の壁」などの問題を
紹介するだけで終わっているのだ。
私の本を読んだ方はもうおわかりかと思うが、パリに対する「過度の思い入
れ」を創り出してるのも、そして「言葉の壁」などの問題をきちんと日本に伝
えてないのも、もともと日本のメディアなわけよね。
つまり、パリ症候群の原因を掘り下げていくと、日本のメディア批判に行き
着くはずなのである。
でも同記事は、日本のメディアのミスには知らんぷり。前述のようにツッコ
ミが弱いのよね。
その結果として、記事の中に出てくる解決策も、いまいちトンチンカンなの
である。
同記事では、パリ症候群の名付け親である精神科医の太田博昭さんにもイン
タビューしているのだが、その太田さんから出てきた解決策というかアドバイ
スが「ずぶとく暮らしては」。
「ずぶとく」と来たか。「気合いでがんばる」や「根性で生きる」などと同
じレベルの精神論である。解決策になってないでしょ。
パリ症候群の原因をもう少しきっちりご説明すると、同症候群の引き金とな
るのは、理想と現実のギャップと、現地で直面する問題に関する無知、この2
つである。
理想が高すぎるもんだから、現実とご対面したときに恐ろしく落ちちゃうの
である。その段差というか、崖の深さがすごいわけよ。
したがって、理想と現実のギャップ問題を解決するためには、理想を引きず
り下ろして、その段差をできるだけなくさないといけないのよね。
日本のメディアが、パリに対する憧れをあおるような行いをやめれば、同問
題とはオサラバできるはずである。
「現地で直面する問題に関する無知」も、やっぱり日本のメディア次第で
しょう。だって、その無知状態を創り出した犯人は、彼らなんだからさ。
日本のメディアが今回のような記事を、外国の新聞が書いたあととか、同症
候群の存在が指摘されてから10数年後とかではなく、できるだけ早く日本に
伝えられるようになれば、被害者の数もぐっと減るはずだ。
というわけで日本のメディアの皆さん、ニューヨーク・タイムズが取材する
前に、ぜひニューヨーク病を取り上げてください。私の本も売れると思うん
で。
よろしくお願いします。
ひろ
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『ピラミッドのど真ん中』
新連載である。
その名も「ピラミッドのど真ん中」、略して「ピラどま」。
変なタイトルで申し訳ないです。
タイトルのココロを簡単に説明すると、ピラミッドのど真ん中を狙おうとい
うことである。簡単すぎてまだわからんでしょ。
いやね、ここでいうピラミッドというのは、アメリカ人マーケットのことな
のね。
ピラミッドの上のほうがお金持ちで、下のほうが貧乏人である。
要するに、その「ど真ん中」を狙うというのが、この連載のゴールなのであ
る。
たとえば、日本食。
現在アメリカで日本食を食べるのは、ピラミッドの上のほうの人たちであ
る。
日本食をもっと普及させるためには、その下の人たち、つまりピラミッドの
ど真ん中を狙わなければならない。
もしその人たちが日本食をガツガツ食い始めたら、これがまたビューティフ
ルなのよねえ。日本食レストランも増えるだろうし、日系の食品メーカーも大
儲けできるのである。そしたら、日本人の仕事も増えるしね。
最近ニューヨークでは、ゴージャス系の日本食レストランが続々とオープン
している
基本的にいいことだと私も思う。
しかし、もう飽きたわ。
目新しくもないし、相手にしてるのはあくまでもピラミッドの上の人たちだ
からね。
私はトットと次のことを考えたいのである。
次はやっぱ、ピラミッドのど真ん中の人たちでしょ。
日本食レストランにもあんまり行かず、家で日本食を食べることもない人た
ち。
彼らがレストランや家庭で日本食を食い始めたら、そりゃもう大変よ。日本
食の市場も倍ぐらいの大きさになるんじゃないかしら。
だから私は、ピラミッドのど真ん中を狙いたいのである。
続きは次回に。
ひろ
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『不動産買え買え作戦4』
最近わたくし、不動産の値段に対する感覚が、完全にバカになってますね。
ブロックバスターにDVDを借りに行くときに、ときどき不動産のフリーペー
パーをピックアップするのだが、それを読んでて、クイーンズで「2ベッド
ルームのコープ、15万ドル」とか見たら、「へえ〜安いなあ」とか思っちゃ
うのである。
15万ドルよ。クイーンズで。ナメナメ状態よねえ。ったく。
この前まで5〜6万ドルだった物件が、いまだったら15万ドル以上するの
である。
そういう状態がここ1、2年続いてるせいもあり、私の金銭感覚もかなりお
かしくなってきている。
前述の例のように、ホントはまだすんげえ高いのになんとなく安く感じてし
まうのである。慣れっておそろしいわ。
いまの値段を基準にして、「あ、下がったぞ。買おうかな」と思うのは危険
である。現在の状態自体が、かなり異常だからだ。
不動産屋さんの中には、いまのマーケットについて「いや、あんまり下がん
ないと思うよ」と言う人もいる。
しかし彼らに、しっかりとした根拠はない。
これまでニューヨークの不動産マーケットは、必ず上がり下がりしてきたの
である。
確かに、長いスパンで見れば、不動産の平均価格は時代と共に上がってきて
るのよ。
でもその過程では、数年ごとに上がり下がりが起きているのだ。
したがって、今回の高騰状態について「いや、あんまり下がんないと思う
よ」と言うのであれば、それなりの理由が必要になる。「なんで今回だけ違う
のよ」ということである。
私の読みでは、今回も同じである。
必ず下がる。それも、“かなり”下がるはずだ。
10年、20年単位で見れば、現在の価格水準まで戻ってくることもあるだ
ろう。
でも、それまでに一回ドカーンと下がる。あるいは、2段階、3段階ぐらい
でガタガタ下がるかもしれない。
そのときをじっと待つのである。
読者の皆さんも不動産に対する金銭感覚がかなりおかしくなってるかもしれ
ないが、いま突っ走ったりしないように。
ケガするよ。
ひろ
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『NYのマスオさん6』
排卵日を探す日々が続いていた。
皆さん、卵がいつ落ちて来るかを知るテストってご存知ですか。体温計みた
いな形をしてて、それをオシッコに浸けて、「あ、来る来る」とか「まだね」
などとやるわけですね。
我が家でもそのテストを導入することになったのである。
ただ問題が2つあった。
ひとつは、そのテストが結構高いということ。
1箱に7、8本入ってて、30ドルぐらいしやがるのである。1回分がスタ
バのコーヒー並みの高さだった。
もうひとつの問題は、うちのかみさんがケチだということ。ケチって、なか
なか使わないのである。
「いや、できるだけ引きつけて」などとバッティング・コーチみたいなこと
をのたまい、大事な排卵日を結局ミスってしまうのだ。
そこで私は、同テストを内緒で2箱購入。かみさんにプレゼントした。
予想通り、かみさん、キレましたね。「こんな高いもの、2箱も買いやがっ
て」と。
返品するのなんのとガタガタ騒いだかみさんも、最終的にはケチらずにしっ
かりテストすることに同意。でも最後まで「1箱目で子供ができたら、もうひ
とつは返品する」と主張したのはさすがだった。パチパチパチ。
さて、準備は整った。あとはテストで排卵日を見つけて、エッチするだけ
だった。
そしてその日は、かみさんの生理が始まって、11日目にやってきたのだっ
た。
ひろ
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『今週の歌』
「身動きが できない私の 口の中に
子供が笑って ウンコする夢 ひろ」
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