1995年6月6日号

(No.65)


@週刊Nuts「平成の目安箱」

村山首相様
前略
 お元気でしょうか。そろそろ暑い夏が来ますね。  首相、5月31日付けの朝日、読売、日経をお読みになりましたでしょうか。例の 「海外に住む日本人の選挙権」についての記事が載っていました。内容はこうです。 「連立与党は在外邦人選挙権に関する法案をこの秋の臨時国会に提出することに合意 した」。要するに「秋にはこの法案が成立しますよ」ということですね。
 嬉しいのであります。この運動を2年間もやってきた私としましても、「やっとな のね。やっとよ。」とウハウハと喜びたくなるのであります。でも、事はそう簡単に は運ばないです。
 この秋に国会に提出される予定の、その法案の中にこういう条件があります。「在 外選挙権が付与される対象は、3カ月以上の長期滞在者に限り、永住者は除く」。問 題は、その「永住者は除く」という部分です。
 それはないんじゃないですか、首相。私たち、あれほど「永住権を持つ者も絶対入 れるべきだ!」って言ったじゃないですか。このことは、この運動を始めた2年前か ら言ってきたことです。「永住者は選挙できない」ということは、日本で「永住権」 と訳されている「グリーンカード」を持つ者は選挙できないということです。もし、 その「永住者を除く」の「永住者」が「市民権を有する者」という定義でしたら問題 ありません。市民権を持っているということは、その人はもうすでに「そこの国の人 になる」と決めた、という意味です。でも、アメリカで言う「グリーンカード(永住 権)」を持つということは、別に「これからアメリカ人として一生懸命やっていくの であります」ということに、直接繋がるわけではありません。
 私、思うんですけど、この「永住権」という訳自体がすこしおかしいんですよね。 アメリカのグリーンカードは「永住権」と訳されるよりは、「書き換えのいらない労 働許可書」と訳される方が、その本当の性格を現してると思います。それにグリーン カードというのは永久に与えられたものではありません。もし1年も2年もアメリカ を留守にしたら取り上げられてしまいます。
 日本にいる皆さんには、「永住権」と聞くと、「ああ、日本を捨てたのね」という イメージがあるのかもしれません。でも、そのイメージは、はっきり言って間違って います。
 日本を捨てられれば楽ですよ。グダグダ心配することもなくなりますから。でも、 それができないから、日本のことが心配で心配でしょうがないから、多くの「書き換 えのいらない労働許可書」保持者の方々がこの運動に参加したのです。そこのところ をご理解頂いて、もう一度例の法案をご検討下さい。お願いします。では。
                                草々
                       「週刊Nuts」編集人 竹永浩之

マグロとイワシとサメ

 訳のわからない題でありますが、その理由は追々話します。  さて、私は先月日本に帰ったのでありますが、その本当の帰国目的に関しての報告を まだやっておりませんでしたので、ここで少しお話しします。  今回、帰った理由は、「海外在住日本人の日本での国政選挙に投票する権利を獲得す るため」です。なんか堅そうな話ですよね。漢字がやたらと多いのに、自分でも腹が立 ちます。そこで、このうっとうしい漢字軍団をやさしい言葉に置き換えて、この話を進 めて行こうと思います。置き換えはこうです。
「海外在住日本人が日本の国政選挙に投票する」=「”マグロ”する」 「海外に住む日本人の皆さん」=「”イワシ”さん」 「日本の政治家たち」=「”サメ”たち」
 それでは始めましょう。今回の帰国は、マグロする権利を獲得するためでした。その ために世界各地のイワシさんの代表が日本に帰国して、サメさんたちに「どうかマグロ ができるようにお願いします」と言いに行った訳です。
 お会いしたサメさんたちは、村山首相、土井衆議院議長をはじめとして、20名程に なります。かなりの効果はあったと思います。一部のサメさんたちには去年もお会いし たのですが、その時の私たちに対する受け答えと、今回の受け答えには相当な差があり ました。サメさんたちも相当本気になってる、というのが、今回お会いしてよく分かり ました。私たちには、「今年か来年の初めには、マグロするための制度ができるな」と いう強い手応えがありました。
 そして、「平成の目安箱」のコーナーで書いたように、5月31日付けの朝日、読売、 日経に「秋の臨時国会に提出!」という記事が載りました。最初は「ワーイ、やったや った」と喜んでいたのですが、その法案の内容をよく読んでみると「永住者は除く」と 書いてあるじゃないですか。それが分かった時、「やられた!」と私は思いました。
 今回、私と一緒に帰国したのは、世界各地で、「マグロできる制度確立」のために運 動している6団体の代表の方たちです。この方たちは、すべて「永住権」保持者です。 もし、その法案にある「永住者を除く」の永住者が「永住権保持者」という意味なら、 この6団体の代表の皆さんは自分たちが運動していたマグロする制度の中では、投票で きないことになります。なぜサメさんたちがこんな法案を作ったか、私にはよく分かり ます。だから「やられた!」と思ったのです。
 世界各地にはその地域に住むイワシさんたちのための団体がいくつかあります。ニュ ーヨークでは日系人会とかニューヨーク青年会などが上げられます。で、それらの団体 の中で積極的に活動する方々、またその団体を運営していく方たちというのは、普通 「永住権保持者」である場合が多いです。別の言い方をすると、それぞれの地域である 程度の影響力を持つのも、その「永住権保持者」の方たちとなります。良い例が、今回 私と一緒に帰国した各団体代表の皆さんです。それぞれの方が「日本人会の代表」とか 「元代表」をやってまして、その地域ではある程度の発言力を持っています。サメさん たちはそれが恐くて「永住権保持者」にマグロする権利をあげなかったのではないかと 私は思います。
 もう少し詳しく説明しましょう。一般にサメさんたちは、すべての票をコントロール したいと考えます。彼らは、自分たち以外に力を持つ者を極度に嫌います。なぜなら彼 らのコントロールが効かなくなるからです。それが国内であれば、彼らにも何か手の打 ちようがあるかもしれません。裏に手を回して、その「力を持つ者」をやっつけてしま うのも可能でしょう。でも、もしそれが「海外」ならば、彼らにやれる方法は限られて います。
 イワシさんたちを見た場合、それぞれの地域である程度「独立した」力を持つのは、 圧倒的に「永住権保持者」です。海外には多くの日本人駐在員の方たちもいるわけです が、サメさんたちは「この人々は日本からコントロールできる」と読んだのではないで しょうか。例えば、日本の本社を通してだとか。他に「学生」という集団もいるのです が、「若いモンは、投票しない」という読みなのでしょう。ですから、サメさんたちは、 「永住権保持者を封じ込めれば、あと残るは、駐在員と学生だけ。この連中は恐れるに 足らん。」と考え、ありがたいことに私たち「学生」と日本のコントロール下にあると 考えられる「駐在員とその家族」にマグロする権利をくれようというのです。要するに、 イワシさんたちは、「鰯(イワシ)」のままでいて頂戴、ということなのでしょう。 ハッハッハ。ナメよったのう。
 さて、どうしましょう。一応、その「永住者を除く」という件について、サメさんた ちに抗議するつもりです。でも、おそらく彼らは、この法案で行きます。もし、私たち があまりにもガタガタ言うようだったら、「あっそう。じゃ、あと十年はこの法案出来 ないよ。」と言って、脅してくるのでしょう。うまいよなあ。
 しかし、私たちは負けないのであります。「学生」と「駐在員とその家族」しか残ら ないのであれば、その彼らが「永住権保持者」の方たちの分まで、しっかりと日本のこ とを心配するのです。そのために私はすでに動き出しました。何を始めたのかは、今は 言えないけどね。
 世界中にマグロするために運動している団体が私の団体も含めて8つあります。それ らの代表の中で「永住権保持者」でないのは、まだ単なる「学生」の私だけです。です から、もしこの法案が通って、1、2年後にマグロができるようになった場合、投票で きるのは私だけとなります。一緒に運動していた者としましては、大変アホくさく、寂 しい気がします。でも、グダグダメソメソしている暇はありません。イワシは「鰯」な りにやれることをやっていくしかありません。少なくとも、サメよりイワシの方が塩焼 きにしても煮付けにしても「味」があって美味しいのですから・・・。
 「マグロとイワシとサメ」の物語でした。では。
                                  編集人

ハンターを助けましょう

 来る6月10日(土)に、日系人会にて「フリーマーケット」が行われます。いらな くなった物を持ち寄って、それらを安く売る、という目的の元にとり行われます。
 で、私がここでお知らせしたいのはですねえ、「皆さん、お立ち寄り下さい」という 事と、もうひとつは「Hunterの日本人クラブのための義援金集めにご協力下さい」とい う事なのであります。
 以前、このNuts紙上で、Hunterの日本人クラブが行った「Japan Caltural Week」 というのをご紹介しました。なかなかの成功だったみたいですよ。でも、問題がひとつ 残りました。結果的に赤字になってしまったのです。
 赤字になった理由は、いろいろあるのでしょうけど、まず第一に「学校から予算が下 りない」という話だそうです。現在、ニューヨーク州と市が行っている公立大学に対す る予算削減を見ればお分かりのように、Hunter Collegeのよなニューヨーク市の公立 大学には、今、クラブ活動に回すようなお金がまったくありません。ですから、いくら 学生たちが突っついても、なかなか金が出てこないとのこと。その赤字分をかぶってい る学生たちは無惨なものですよね。
 そこでです。このNutsの読者の皆さんに「Hunterの日本人クラブに対する義援金集 め」への協力をお願いできないものかと思い、今回このような文をポロポロ書いておる のであります。
 方法は簡単です。この「フリーマーケット」でNutsがテーブルを持ちます。「Nuts テーブル」とでも名付けましょうか。そのテーブルへの物の寄付をお願いしたいのです。 古本、古着、置物、なんでも構いません。持ち寄って頂いた物の売上金が、そのまま Hunterへの義援金となります。できましたら、寄付物は、当日、現場へお持ち頂ければ 幸いです。ついでに「Nutsテーブル」にたむろしている人々と軽くくっちゃべっていっ て下さい。ちなみにNutsの最近のバックナンバーも置いときますので、ご自由にお取り 下さい。
 それでは、上記の件、よろしくお願い致します。        編集人
日時:6月10日(土)午前10時ー午後3時 場所:日系人会  15 West 44th St. 11階   (212)840ー6942 *何かお聞きになりたいことなどありましたら、編集部までご連絡下さい。

@VOICE

@やっと夏休みが始まったのであります。何しましょ。  今回のNutsはちょっと堅めです。例の選挙権がどうのこうのという話でした。分かり やすく、なおかつ、読みやすいよう、いろいろと工夫したのですが、いかがなものでし たでしょうか? 無駄な抵抗でしたでしょうか?
 政治関係のことを書くと、どうしても漢字が多くなります。漢字が多くなると、見た目 がやたら堅くなります。密度が濃く見えるんですよね。文全体が黒っぽくて、「いやー、 キミ手強そうだねえ」とイヤミのひとつも言いたくなります。ひらがな・カタカナの多い 文というのは、読んでる時も「ススイノスーイ、ルンルンルン」という感じなのですが、 漢字の多い文を読むときは、「ギギギゴゴゴガガガギギギギギギーーーー」と漢字に引っ かかりながら読んでるような、また漢字のイバラの上を「イテテ、イテテ」と飛び跳ねな がら読んでるような気がするのであります。こう感じるのは私だけでしょうか。
 その漢字の不快感をなんとか和らげるために、カタカナの「マグロ」と「イワシ」と 「サメ」を使ったのであります。かえって読みにくかったですかねえ。でも、「オニヒト デ」とか「メガネモチノウオ」とか「オニイトマキエイ」とかいった名前を使うよりは良 かったでしょ。
 そんなとこです。では、また来週。              編集人

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net