1995年9月12日号

(No.79)


                     Nutsの表紙です

@週刊Nuts「平成の目安箱」

村山首相様
前略
 ビールがまずくなり始めました。秋です。
 先週、「ウニがゴッソリ日本に送られとんぞー。」という話をしました。 そうなのであります。ゴッソリ採られて、ゴッソリ送られとるのであります。
 これは、ウニに限ったことではありません。甘エビとかマグロなどもゴッ ソリいかれてるのでしょう。で、この行為を日本は世界中でやってるのです。
 私は、別に「ウニを食うな!」とか「甘エビに平和を!」とか言ってる訳 ではありません。食ってもいいのです。でも、考えながら食わないと。
 現在、日本人は、世界中から魚介類を買いまくっております。これが何を 意味するかと言いますと、もう日本では、国民のお腹を満たすだけの魚介類 が採れないということを示しておるのであります。おそらく、昔は採れてい たのでしょう。でも、今は無理。
 ここに、大きな疑問があります。日本でお魚さんたちが採れなくなり始め た頃、日本には、「おっ、こりゃヤベ。ちょっと採るのやめて、増えるの待 とうぜ。」という声は無かったのでしょうか? その時点で、日本は悩まな かったのでしょうか? おそらく悩まなかったのでしょう。私には、「日本 には、もう魚はおらん。だから世界に羽ばたこう。」という簡単なノリで、 世界中から大量の魚介類を輸入し始めたように思えてなりません。そして、 日本で起こったこと、つまり、お魚さん、貝さんたちを海中、海底から抹殺 してしまうという行為を、今、世界中でやっとるのであります。
 「魚が採れなくなる」。これは、やはり異常なことだと思います。ある1 種類の魚が採れなくなるということは、少なくとも、その魚を食っていた別 の魚もいなくなるということを意味しています。そして、その別の魚を食っ ていた魚も・・・。その海には、一体何が残るのでしょうか? 
 日本は、その近海に住んでいた多くの魚たちを採り尽くしました。日本固 有の資源である、「日本産の魚たち」、私にとっては、「日本の仲間たち」 をやっつけてしまったわけです。
 「資源には、限りがある。」という言葉は、誰もが知ってます。でも、実 際は、ただその言葉が、私たちの脳味噌の表面に張り付いているだけであっ て、本当に理解し、脳細胞の一部にしていたとは、思えません。特に私たち 日本人は。
 まだまだ続きます。では。         草々
              「週刊Nuts」編集人 竹永浩之

「Nuts世界観光案内」アジア放浪編・パート5

 ニヤニヤそいつは笑ってやがった。
 事態は、最悪の方向にコロコロ転がりつつあった。このジムのコーチが私 に「サンドバックを蹴れ。」と言っている。私は頼んだ覚えは、断じてない。 オレ、そんなこと一言も口にしてねえじゃねえかよ、おめえ。それなのに、 なんでそんなつまんないお願いするのかしらね、このアホンダラ。
 そんな私の心も知らず、この野郎は、まだニヤニヤ笑っていた。私も一応、 笑っている。津波のように押し寄せる怒りと不安と悲しみのために、多少歪 んだ笑みではあったが、日本とタイの友好的未来のために、ここは、踏ん張 るしかなかった。「お前にオレの気持ちが分かるか! ライダーパーンチ!」 とそいつの顔面にオレの拳をお見舞いしたくなったが、勝ち目がないからや めておいた。
 「ミー? ミー? ミー?」とセミのように何度も確認しようとする私。 その度にそいつがキャンキャン頷(うなづ)きやがる。困った。ホントに困っ た。ここで引き下がれば、日本男児の名がすたる。でも、向こうにぶら下がっ ているサンドバックは、鋼鉄に見える。あれを蹴れば、絶対に痛い。繰り返 して言おう。絶対に痛い。
 そいつは、期待して、私のことを見つめている。まわりの連中も異常な事 態に気が付いた様子で、興味深々に事の成り行きを眺めている。最悪であっ た。
 やるしかなかった。どう考えても逃げられる状況ではなかった。「僕、身 体弱いから、いい。」とでも言えればよかったのだが、私の身体は黒々と焼 けて、健康そのものだった。
 覚悟をきめた。肩に掛けていたタオルを椅子の上に置き、ゆっくりと立ち 上がり、庭のような場所にでる。もうあと戻りはできなかった。
 手首を回し、足首回し、空(くう)にパンチを2、3発かまし、軽く低く 蹴りを放つ。ワン・ツーとパンチを撃ち、右足のミドルキックをブンと振る。 のってきた。イイ感じ。前後に軽くステップして、空を見上げる。そして、 私は「フッ」と笑ったのさ。その表情は、「オレは、余裕いっぱいなのよ。 サンドバックにオレの華麗な蹴りを5、6発、ブチかましてみようじゃあー りませんか。」と言っていた。私は動きを止めて、リングの向こう側にある、 黒光りするサンドバックを見つめた。 
 ゆるやかに恐怖が舞い戻りつつあった。     Hiro

「祭りを”やり”ましょう」

 先週、先々週から、なんだかんだと言っておりますが、今年も「日本の祭 り」があるのであります。10月1日(日)、10丁目の1Aveと2Aveの間 で行われます。
 祭りの内容は、と言いますと、空手、剣道、日本舞踊などのパフォーマン ス、ブースを出して、たこ焼き売ったり、手作り人形売ったり、人間動員して 署名運動やったり、エッサホイサと御輿担いだり、などなど色々あります。
 で、ここで、私が言いたいのはですね、「皆さんも何かやらんかね。」と いうお誘いなのであります。
 お誘いする理由は、2つあります。ひとつは、「ただの観客であるよりは、 祭りをやる側の方が面白い。」ということ。もうひとつは、「何かの宣伝と か、情報バラマキしたい人で、この祭りを利用しない人は、アホである。」 ということです。
 まず、「やる側にまわる」という話。この「やる側」というのは、モノ売っ たり、御輿担いだり、というのも含まれます。では、なぜ「やる側」の方が 面白いのか? まず第一に、「見られる側になる」、というのがあります。 このニューヨークで、自分が「見られる側」にまわるというのは、そんなに あることではありません。普通、私たちは観客ですからね。「見られる」と いうのもなかなか良いものですよ。心地よい緊張感があります。それに眺め が違います。要するに舞台上と下の違いですね。たまには、別の角度から物 事を見るのも良いですよ。
 第二に、「祭りを丸ごと楽しめる」、という特典があります。お客として 祭りを訪れると、大体2時間で飽きてしまいます。でも、身内として参加し た場合には、1日中楽しめます。朝からセッティングして、昼間はモノ売っ て、おしゃべりして、そして、夕方、片づけて、そのまま宴会になだれ込む。 また、ブースに座って、通り過ぎる人々を眺めているだけでも面白いです。
 最後に、「いろんな人とお知り合いになれる」というのもあります。単な るお客さんでしたら、ただスーっと通り過ぎるだけで終わりですが、そこに 1日中へばりついて、モノ売ったり、なんか手伝ったりしてると、自然と知 り合いが出来たりします。ナンパができるかどうかは分かりませんが、確実 に新しい人間たちがあなたの前に現れます。
 次に、「これを使わない人間はアホだ」の件について。もし、あなたが、 このニューヨークで、ビジネスとか勉強会とかやりたくて、いろんな宣伝方 法を探してて、で、祭りがあることを聞いて、「でも、単なる祭りだろ。」 と簡単に片づけてしまうなら、あなたは、正真正銘のアホンダラです。
 理由を述べましょう。まず第一に、「ニューヨークには、絶対的広報力を 持つメディアがない」ということ。このニューヨークでは、新聞にしても、 テレビにしても、ミニコミにしても、大した広報力、要するに宣伝する力を 持っていません。それぞれが小さく住み分けています。「これに載せりゃ、 大体の日本人は知るだろ」と思えるメディアがありません。では、どうする か? そういう媒体には期待できない訳ですから、自力でやるしかありませ ん。紀伊國屋さんの前でビラ配る、などの方法もあるのですが、配る数は限 られています。そこで、この祭りを利用するのです。この祭りには、毎年2 万人以上の人々が訪れます。全部が日本人ではありませんが、おそらく1万 人ぐらいの日本人がやってきます。宣伝対象が1万人いるのです。頼れるメ ディアがない訳ですから、残された方法は、力技での宣伝。そして、この祭 りが1年のうちで、その1番のチャンスなのです。
 第二に、「直接、対象にアプローチできる」というのがあります。もし、 お客が欲しかったり、仲間が欲しかったりした場合、祭りを使うと、直接そ の対象に接することができます。これは、自分の言いたい事、伝えたい事を 紙切れや画像を通して伝えるのとは違います。直にあって話ししたり、説得 したりできる訳です。この方が獲物を捕まえる可能性も高いでしょうし、な んと言っても楽しいはずです。
 最後に、「いろいろなネットワークが作れる」ということ。これは、「い ろんな人とお知り合いになれる」というのと非常に近いのですが、この場合 は、ただの知り合いじゃなくて、自分のビジネスに関係する人だとか、ライ バルだとか、自分のやってることに直接的に関わっている人に会える、とい うことです。例えば、ミニコミを例に出しますと、あるミニコミがブースを 持って、そこでそのミニコミを配ります。そこに他のミニコミの発行者が通 りかかります。「あのー、このミニコミを作ってる方ですか?」、「はい、 そうですよ。」、「あっ、私は・・・というミニコミを作ってる者ですけ ど。」、「あ、あの・・・というミニコミですね。」、「ご存じですか?  で、ちょっと質問があるんですけど、オタクのミニコミ、なんであんなにく だらないんですか?」、「なにー?」、「だから、なんであんなにつまんな いんですか?」、「おめえんとこのミニコミだってハナクソじゃねえか。」、 「あー、言ったなー。」、「なんだよー、文句あんのかよー。」、「あるに 決まってんじゃねえか、この野郎。」といったエキサイティングな戦いのネッ トワークを確立できるかもしれません。ご期待下さい。
 以上です。
 では、参加する方法にはどういうものがあるのでしょうか。
1. 自分でブースを持つ。→ニューヨーク青年会に連絡 (212-228-3030)
2. 祭りのお手伝いをする。→竹永のひろピーに連絡 (212-982-3348)
3. Nutsブースに参加して、わしらとワイワイガヤガヤやる。            →新谷のてっちゃんに連絡(212-677-8913)
などなどとなっております。
 私にとって、これが4回目の祭りになります。いろいろな思い出がありま す。祭りの会場で昔の彼女と今の彼女がご対面してしまい、その間にはさま れて死にそうになったり、祭りを通して知り合った女の子に淡い恋心を抱い たり、カレーを作って売ったけど、まったく売れず、300ドルの赤字を出 してしまったり、反対に沖縄のドーナツを400個作って売ったら、1時間 でなくなったり、などなど。さて、今年はどうなりますやら。楽しみです。
 では、皆さんのご参加、お待ちしております。  編集人

次は「王様のレストラン」で行こう。    ひろ  

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net