1995年10月10日号

(No.83)


                     Nutsの表紙です

@週刊Nuts「平成の目安箱」

村山首相様
前略
 国会が始まりました。お忙しいことと思います。
 先日、『在外日本人』(晶文社)という本を読みました。この本の中に 「パリ症候群」というテーマで、パリの日本人精神科医の方にインタビュー したものがありました。少し長くなりますが、引用します。
 「パリに来て二、三年、ここに滞在している日本人にある共通する精神現 象がある、と気がつきました。要するに、日本に飽き足らない、日本がいや になった、ということでフランスに憧れをもって飛びだしてきて、いざ生活 してみたら憧れとはほど遠い現実の厳しさに気づく。そこで冷静に自分をと りまく現実を見つめればいいのに、フランス嫌いになるか、幻ではあっても 憧れのフランス像に固執し続けるか、と両極端になってしまう。過剰に適応 するか、不適応になる。日本もよければフランスもいい、日本も悪いところ があるし、フランスにもある、という現実的な判断に落ちつく人が意外に少 ない。」
 「大学の先生や知識人が一年留学しに来て、フランス絶対の礼讃記事を日 本に送った。西洋崇拝の姿勢ですよね。それで、憧れのパリーという精神の 構図が日本人に生まれてしまった。そういう若者たちは、日本について知り もしないのに日本を全否定してしまう。日本人に対して「この田舎者め」と いった対応になる。観光業などでアルバイトしている人に多いタイプですね。 やたらにフランスかぶれしている自分の方がおかしいのに、日本人を低く見 ることでバランスをとろうとする。」
 「日本-会で自由に泳ぎまわれない人が外国で自由に泳ぎまわれるって例 はそれほどないと思います。異文化を克服できない人は、日本でも-会的な 人間として活動できない人じゃないかー私はそう思うことがあります。」
 この精神科医の方、引用しました文の他にもいろいろと興味深き点を指摘 してます。それは、私たち、ニューヨークに住む日本人にとっても、かなり ドキリとする指摘でした。おそらく、この街にも「ニューヨーク症候群」と 呼ばれるものがあるのでしょう。
 この方の言ってることが、すべてそのまま正しいとは思いません。でも、 考慮する価値はあります。読んだり聞いたりすると、心が痛いからと言って、 目を閉じたり、耳をふさいだりする必要はありません。正面から向き合うべ きです。
 これからの数週間は「ニューヨーク症候群」のことを考えてみようと思い ます。お付き合い下さい。では、また来週。 草々 
             「週刊Nuts」編集人  竹永浩之

「Nuts世界観光案内」アジア放浪編・パート8

 やめればいいものを、私はそのままムエタイジムに通い続けた。
 初回はサンドバックを一発蹴っただけで退場となり、仮死状態の右足を引 きずりながら宿に向かう途中、「もうこんなこと、やんない!」と心に誓っ たのである。でも、である。なんと次の日には、またジムへと舞い戻ってい た自分であった。
 さて、少しムエタイの話は置いておこう。ここで、このジム及び私の宿が 位置する辺りの風景とやらを簡単に説明しておく。
 私が泊まっていた宿は「カオサン・ロード」という道に面していた。この 「カオサン・ロード」、バンコクでも有名な旅行者通りである。つまり、安 宿が多いのだ。ゲスト・ハウスと呼ばれる安宿が、その道沿いにズラリと並 んでいる。私がいた頃(1988年)はドミトリーで、一泊200円、一人 部屋で、400円ぐらいだった。
 このカオサン・ロードには食い物屋もいっぱいあった。チャーハンとかヤ キソバなんかが、意外と美味しくて安かった。そのかわり、それらのメニュー には、味の素が親のカタキのように使われていた。つまり、憎たらしいくら いに使ってあったのである。でも、なんだかんだ言いながらも、住み心地は 抜群であった。
 道沿いに歩く。色彩豊かな看板たちが並んでいる。なんとかゲスト・ハウ スだとか、かんとか旅行会社などとエキゾチックに書いてある。レストラン をのぞくと、旅行者たち、主に貧乏旅行者であるね、がメシを食べている。 白人が圧倒的に多い。そのレストランにドアなどはなく、表にむき出しのも のばかり。確かに風通しは良い。その証拠に調理場のニオイが道まで流れて くる。クンクン。良いニオイだわ。
 続けて歩く。歩道は1.5メートル程しかない。その1.5メートルの間にいろん なものがひしめいている。人、カンバン、物売り、などなど。歩くのも一苦 労だ。このカオサン・ロードがどのくらいの長さだったか、今、思いだそう としている。おそらく、200メートルぐらいだったと思う。この道は単なる 1ブロックであるから、ブロードウェイのようにダラダラ長い道ではない。 ニューヨークで言うと、2番街と3番街の間のセント・マークス通りみたい なカンジであるね。
 道行く人の格好は、基本的にはTシャツ、短パン。ゴム草履をはいてる人 もかなりいる。ジーンズに皮ジャンというのはまずいない。それにしても旅 行者が多い。日本人も多い。このバンコクというところは飛行機のチケット がやたらと安いから、ここを中継地点にして、いろんな所に飛び立っていく 旅行者が集まる。そりゃ、宿泊費も安いし、メシもうまいし、旅行者にとっ ては天国だわな。しかし、そのメシにはーしつこいけどー味の素が鬼のよう に、つまり、恐いくらいに入っているのであった。 Hiro

「在外投票権運動について」

 かたい内容になります。例の「在外投票権制度」の件なのであります。
 「最近、あまり動きがないな。」とお感じになってる方も多いと思います。 その通りであります。動きがないのであります。それは何故か? 簡単です。 政治の場が騒がしすぎるのであります。
 皆さんご存じの通り、今、政治の場では、「宗教法人法」、「日米地位協 定」、「オウムに対する破壊防止法使用の件」など、かなりビックな話題が 議論されております。基本的に「海外に住む日本人なんかどうでもよい。」 と大部分の政治家の方たちは思っていますので、当然、この「在外投票権」 問題は完全無視されてしまうのであります。
 今年の6、7月頃の話では「今年の臨時国会に法案を提出する」というこ とだったのですが、その気配のカケラも見当たりません。どうしましょ。
 腹が立つことがもうひとつあります。例の「永住権保持者は選挙できませ ん」の件です。与党側から、「今度、国会に上げる法案には”永住権保持者 は除く”って書くからね。」と発表があった後、「そんな馬鹿な話があるか い、このアホンダラ!」とかなり激しい動きを見せてみたのですが、永田町 からは何の反応もありません。「頭だけでなく、耳まで悪くなったのではな いか?」と心配しました。そして、その心配が現実となって、この瞬間も進 行中なのであります。
 結局、与党側からは何も言ってきてませんから、何がどうなってるのか、 さっぱり分かりませんが、とりあえず動かねばなりません。自民党の総裁も 河野の洋ちゃんから、橋本の龍ちゃんに替わりましたので、この龍ちゃんも 攻めねばなりませんし、自民党の中でこの件担当の中川秀直さんという議員 さんにもアプローチしなければなりません。今は、自民党を集中的に攻めま しょ。
 で、何をするか、という話になるのですが、橋本の龍ちゃんに対しては、 例の「抗議文キャンペーン(別名不幸の手紙キャンペーン)」で攻めたいと 思います。河野さんの時の抗議葉書がまだ残っていますので、その宛名を書 き換えて使います。また、自民党の中川さんに対しては、彼が幸運にも(向 こうにとっては不運かもしれませんが。)ホームページを持ってますので、 そのアカウントに抗議文をぶち込み、そして毎日「小言メール」を送ってや ろうと思っています。
 宛名書き替え作業がありますから、抗議葉書は来週ぐらいからバラまきま す。中川さんへの「不幸のEメール」作戦は、彼のアドレスを下記に紹介し ますので、何か文句のある方はドンドンお送りください。
http://www.st.rim.or.jp/~hidenao/
 この秋がこの運動にとってのひとつ山になります。気合いを入れながら、 やるべきことはやり、突くべき所は突いて、今後の政府の動きを見守ること にしましょう。ここまできたら意地やね。
       海外有権者ネットワーク・NY
                  代表 竹永浩之      
     

「VOICE」

@「Nuts井戸端会議」の話です。
 先週お知らせしましたように、数カ月ぶりに井戸端会議を開きます。テー マは「Nutsに文句あんのは誰やねん?」。日時・場所は下記の通りです。
 日時:10月17日(火)午後6:00ー8:00  場所:日系人会 15 West 44th St. 11階     (212)840ー6942 
 疑問、質問のある方は新谷のてっちゃん(212-677-8913)までご連絡くださ い。軽い気持ちで参加してね。うふっ。
 話が変わります。
 祭りが見事に終わりました。
 皆さま、お疲れさまでした。楽しかったですか? 一時はどうなることか と思いましたが、とりあえず、祭りをやりました。
 「段取りがイマイチだった。」という声もあります。当たっております。 いくつかの押さえるべき点が押さえられなかったのも事実です。それに関し ては、実行委員のひとりとして、ただ謝るしかありません。申し訳ありませ ん。
 ボランティアの方もたくさん来て頂きました。本当にありがとうございま した。また、このNutsの読者の方にもお会いできて、大変幸せでありました。  そして、祭りに協力して頂きました、その他大勢の皆さん、ありがとうご ざいました。また来年もよろしくお願いします。
 最後に。私の予感は当たっていました。祭りを開けば、そこには必ず、人 々の幸せそうな笑顔が現れる、と信じてました。皆さんもご覧になったで しょ。笑顔がいっぱい咲いてました。
 よかったです。ホントによかったです。あの笑顔がある間は、祭りをやめ る訳にはいきません。来年もやりましょね。
 そんなところです。ではまた来週。       編集人
@コンピューターに「かっこ」と打ち込むつもりだった。でも、間違えで 「かつこ」と打ち込み、私はそのまま変換を押した。そして、その画面に現 れたのは「克子」という文字だった。
 一瞬、ドキリとした。「克子」。オレの初恋の人の名前である。
 彼女のことをみんな「カッチン」と呼んでたような気がする。「克子」か らきた「カッチン」。そう・・・そうだった。こんなこと、ここ数年、思い 出したこともなかった。
 彼女が結婚したのは知っている。数年前、ハガキをもらったんだ。知らな い男の横で、あの「カッチン」がウェディングドレス姿で幸せそうに笑って た。その大量印刷のハガキに、ペンで一言、「結婚しました。」と書いてあっ た。「・・・そうか。結婚したか」。嬉しくもなく、悲しくもなく、でも、 心は少し揺れたような気がする。
 あれから数年。オレはこの街にいる。彼女がどこにいるか、オレは知らな い。あの男とまだ一緒にいるかどうかも分からない。
 ふと、思う。「彼女はオレのことを思い出してくれてるのだろうか」と。 少しは、「彼、元気かな?」と思ってくれることがあるのだろうか・・・。
 くだらないことで意地になっている自分がいる。「オレも思い出したんだ から、あいつにも思い出して欲しいよな」だって。こんなこと思う自分がは ずかしいけど、やっぱり、くやしいんだよね。
 年甲斐もなく、心が乱れてしまった。「カッチン」が好きだったあの頃も 、これと似たような恋の波動を感じてたっけ。その波動はまだオレの心のど こかに残っていたらしい。「入力間違い」したせいで、十数年ぶりにその波 が押し寄せてきた。でも、なんだか気持ち良い。今はただ、なつかしくて、 しばらくこのまま、揺れていたい。          ひろ
 
最近、昔のことをよく思い出す。それは年のせいか。それとも秋のせいか。
ひろ

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net